72 / 88
Thirteenth Chapter...7/31
ゴーレム計画②
しおりを挟む
「実を言えば、僕も詳細は知らない。僕は……いや僕らは、貴獅さんに拾われた身でしかないからね。ただ、いわゆる魂と呼ばれるもののゲノム解析やその実証、或いは死者を呼び戻す方法など、オカルティックと思われるような研究は日々進められているんだって」
「ゲノム……そんなもん、医学とか農業の品種改良云々でしか聞いたことないんすけど」
「だから、普通の人は関わっちゃいけないような組織なのさ」
自分がそこに身を置いていることも本当は嫌なんだと、双太さんの顔は如実に物語っていた。
GHOST……あまりにも底知れない組織だ。
「……ごめん、ゴーレム計画だったね。あれは聞いたかもしれないけれど、既に否決されたプロジェクトだ。人類の進化という理念からは外れていると判定された」
「やっぱ組織として、プロジェクトの取捨選択はしていくんすね」
「個々人は自由にやっているみたいだけど、下りてくる予算とかがさ。ダメってなったらもう資金が出ないし昇進も難しいみたいだ」
「なるほど……」
一度走り出したものなら、最悪は否決されようと自己資金で進めることはできるわけだ。但しそれはもう、GHOSTではなく個人の理念だが。
「ゴーレム計画は、ある意味でこの街での医療行為に近い部分はある。こちらが部分的なものなら、あちらは全体的というか……直球で言ってしまおう。あれは人体を人形に換装してしまおうという計画だった」
「……は?」
ポカンとクエスチョンマークを浮かべる俺に、当然だなと双太さんは笑う。
「GHOSTは、魂魄の存在を突き止めているし、その管理やゲノム操作も進めている。それを前提と受け入れてもらった上で聞いてほしいけど、当該部門では人形に魂魄を移す研究が行われていたんだ」
「人形に、魂魄を……」
「そう。たとえば、病気で全身麻痺になってしまった人がいるとしよう。普通の体では快復の見込がないけれど、人形の体なら自由に動くことができる。そういう考えだ」
「いやいや……そうまでしますか普通? 確かに関節人形とかなら自由に動くかもしれないっすけど、木とか樹脂とかでできた体って……」
この肌の温もりや感触もなく、眼球や髪も紛い物で。全身隈無くそうなったのだとしたらもう、それは生きていると言えるのだろうか?
人間とは、どこまでが自分の体ではなくなっても人間と言えるのだろうか……?
やけに哲学的なことを考えてしまう。それくらい、突飛過ぎる話なのだ。
「それでも生を望む人は少なからずいる。きっと誰だって死にたくはないんだ。その妥協点がどこかという話で。ゴーレム計画は、一人の少女の発案からスタートしたらしくて、その経緯を聞きかじる機会があったけれど……
ああ、そこに至るほどの凄絶な過去があったんだなと、思わされた」
「凄絶な過去、ねえ……」
たとえ人の身体を捨てても、生きていたい、生きていてほしい。発案者が少女ということは、それこそ俺くらいの歳で至った考えなのだろうか。……俺には、そこまでの発想などできない。一部が置き換わるというならまだしも、完全な人形に魂を閉じ込めるとして、そこに人間としての自由があるとは言えそうもなかった。
自分の命か、或いは大切な人か。……龍美が死の淵に立たされたとしたら、どうだろう。それでも俺は……彼女の意思をこそ望むはず。そして彼女も、人形として生きたいとは言わないと思う。
「まあ、僕も技術として凄いと感じはしても、救いの術だとまでは思えなかったよ。それ以外に選択肢がなく、望む者がいるとすれば、最後の手段として用いることもあるのかな、くらいで」
「双太さん自身は、否定的なんすね」
「……幸せに生き続けてほしいと思う人は、僕にだっているけどね」
……それは。
口に出しかけて、ぐっと堪える。
双太さんの傷を、さらに抉るようなことにはなってほしくないから。
早乙女さんという人の喪失を、きっとこの人はまだ、受け入れきれていないだろうから……。
「しっかし、魂なんてものをこの目で見たわけでもなし、ほんとフィクションの話って感じしかしないっすよ」
「うん、当然だし今後もそれでいいとは思う。今は組織の計画が事件に関わっているかもしれないせいで、足を突っ込まざるを得なくなっているけれど、虎牙くんが来るような世界の話じゃない。それは間違いない」
断言されると、それはそれで悲しくもなるのだが、仕方がない。双太さんの優しさだ。
けれど……代わりに一つ、聞かなければならずないことがあった。ゴーレム計画を手放したGHOSTが、ではここで何を行おうとしているのか、その断片だけでも。
「満生台で進められている計画は、教えられないものなんすか?」
「……そういうわけじゃない。ただ、本当に僕も全容を知らないだけなんだ。貴獅さんも永射さんも、この計画は魂魄を次のステージへ進める研究だと話していた。だから、街に集められた人の境遇も含めて考えると、何かハンディキャップを乗り越えるようなものだとは思っているんだけど」
魂魄のステージ。ハンディキャップを乗り越える。つまるところそれは、現実的な手段である■■に代わる何らかの手段ということなのか。
「それは……ゴーレム計画とは違って、一応は組織にも認められてるものなんすよね」
「うん。だからこそ現在もこの計画に資金が投入されているわけだ。ゴーレム計画は最終的に魂の尊厳が曖昧になる懸念ありとのことで否決されたけれど……貴獅さんの計画は違う、と僕は信じている」
半ば自分に言い聞かせるようにして、双太さんは続けた。
「だってあの人は……家族を、満雀ちゃんを本当に大切に思っているんだからね」
*
その夜、八木さんから家に電話がかかってきた。相変わらずノイズ混じりで、盗聴されているであろうことは想像できたが、内容を山の入口周辺の清掃活動ということにして連絡をとったそうだ。
明日の探索について、八木さんの回答はイエス。朝のうちなら何時でもということだったので、オヤジは十時と決めて伝えたとのこと。あとは牛牧さんを通じ、蟹田さんにもその旨を伝達して、予定は決まった。
明日は長い一日になると、そんな確信めいた予感で頭が満たされる。旧日本国軍の施設跡……その道に精通した人たちとの再探索で、果たして何が見つかるだろうか。暴かれるだろうか。
軍事研究。GHOSTの……久礼貴獅の計画は、その流れを汲むものなのだろうが、双太さんが真剣な顔で語った、貴獅が家族を、満雀ちゃんを大切に思っているという言葉。あれと矛盾するようなちぐはぐさはある。
ただ……携帯電話然り、軍事研究が平和利用されるようになったケースはもちろんあるし、先のゴーレム計画も目的は魂の救済であったわけで。どういう形でかは不明だが、あの言葉に偽りはないのかもしれない。
ともあれ、全ては明日だ。緊張に胸はざわつくけれど、しっかり寝て備えなければ。
期待と不安を綯い交ぜにしながら、俺はじっくりと時間をかけ、眠りの中へと沈んでいくのだった。
「ゲノム……そんなもん、医学とか農業の品種改良云々でしか聞いたことないんすけど」
「だから、普通の人は関わっちゃいけないような組織なのさ」
自分がそこに身を置いていることも本当は嫌なんだと、双太さんの顔は如実に物語っていた。
GHOST……あまりにも底知れない組織だ。
「……ごめん、ゴーレム計画だったね。あれは聞いたかもしれないけれど、既に否決されたプロジェクトだ。人類の進化という理念からは外れていると判定された」
「やっぱ組織として、プロジェクトの取捨選択はしていくんすね」
「個々人は自由にやっているみたいだけど、下りてくる予算とかがさ。ダメってなったらもう資金が出ないし昇進も難しいみたいだ」
「なるほど……」
一度走り出したものなら、最悪は否決されようと自己資金で進めることはできるわけだ。但しそれはもう、GHOSTではなく個人の理念だが。
「ゴーレム計画は、ある意味でこの街での医療行為に近い部分はある。こちらが部分的なものなら、あちらは全体的というか……直球で言ってしまおう。あれは人体を人形に換装してしまおうという計画だった」
「……は?」
ポカンとクエスチョンマークを浮かべる俺に、当然だなと双太さんは笑う。
「GHOSTは、魂魄の存在を突き止めているし、その管理やゲノム操作も進めている。それを前提と受け入れてもらった上で聞いてほしいけど、当該部門では人形に魂魄を移す研究が行われていたんだ」
「人形に、魂魄を……」
「そう。たとえば、病気で全身麻痺になってしまった人がいるとしよう。普通の体では快復の見込がないけれど、人形の体なら自由に動くことができる。そういう考えだ」
「いやいや……そうまでしますか普通? 確かに関節人形とかなら自由に動くかもしれないっすけど、木とか樹脂とかでできた体って……」
この肌の温もりや感触もなく、眼球や髪も紛い物で。全身隈無くそうなったのだとしたらもう、それは生きていると言えるのだろうか?
人間とは、どこまでが自分の体ではなくなっても人間と言えるのだろうか……?
やけに哲学的なことを考えてしまう。それくらい、突飛過ぎる話なのだ。
「それでも生を望む人は少なからずいる。きっと誰だって死にたくはないんだ。その妥協点がどこかという話で。ゴーレム計画は、一人の少女の発案からスタートしたらしくて、その経緯を聞きかじる機会があったけれど……
ああ、そこに至るほどの凄絶な過去があったんだなと、思わされた」
「凄絶な過去、ねえ……」
たとえ人の身体を捨てても、生きていたい、生きていてほしい。発案者が少女ということは、それこそ俺くらいの歳で至った考えなのだろうか。……俺には、そこまでの発想などできない。一部が置き換わるというならまだしも、完全な人形に魂を閉じ込めるとして、そこに人間としての自由があるとは言えそうもなかった。
自分の命か、或いは大切な人か。……龍美が死の淵に立たされたとしたら、どうだろう。それでも俺は……彼女の意思をこそ望むはず。そして彼女も、人形として生きたいとは言わないと思う。
「まあ、僕も技術として凄いと感じはしても、救いの術だとまでは思えなかったよ。それ以外に選択肢がなく、望む者がいるとすれば、最後の手段として用いることもあるのかな、くらいで」
「双太さん自身は、否定的なんすね」
「……幸せに生き続けてほしいと思う人は、僕にだっているけどね」
……それは。
口に出しかけて、ぐっと堪える。
双太さんの傷を、さらに抉るようなことにはなってほしくないから。
早乙女さんという人の喪失を、きっとこの人はまだ、受け入れきれていないだろうから……。
「しっかし、魂なんてものをこの目で見たわけでもなし、ほんとフィクションの話って感じしかしないっすよ」
「うん、当然だし今後もそれでいいとは思う。今は組織の計画が事件に関わっているかもしれないせいで、足を突っ込まざるを得なくなっているけれど、虎牙くんが来るような世界の話じゃない。それは間違いない」
断言されると、それはそれで悲しくもなるのだが、仕方がない。双太さんの優しさだ。
けれど……代わりに一つ、聞かなければならずないことがあった。ゴーレム計画を手放したGHOSTが、ではここで何を行おうとしているのか、その断片だけでも。
「満生台で進められている計画は、教えられないものなんすか?」
「……そういうわけじゃない。ただ、本当に僕も全容を知らないだけなんだ。貴獅さんも永射さんも、この計画は魂魄を次のステージへ進める研究だと話していた。だから、街に集められた人の境遇も含めて考えると、何かハンディキャップを乗り越えるようなものだとは思っているんだけど」
魂魄のステージ。ハンディキャップを乗り越える。つまるところそれは、現実的な手段である■■に代わる何らかの手段ということなのか。
「それは……ゴーレム計画とは違って、一応は組織にも認められてるものなんすよね」
「うん。だからこそ現在もこの計画に資金が投入されているわけだ。ゴーレム計画は最終的に魂の尊厳が曖昧になる懸念ありとのことで否決されたけれど……貴獅さんの計画は違う、と僕は信じている」
半ば自分に言い聞かせるようにして、双太さんは続けた。
「だってあの人は……家族を、満雀ちゃんを本当に大切に思っているんだからね」
*
その夜、八木さんから家に電話がかかってきた。相変わらずノイズ混じりで、盗聴されているであろうことは想像できたが、内容を山の入口周辺の清掃活動ということにして連絡をとったそうだ。
明日の探索について、八木さんの回答はイエス。朝のうちなら何時でもということだったので、オヤジは十時と決めて伝えたとのこと。あとは牛牧さんを通じ、蟹田さんにもその旨を伝達して、予定は決まった。
明日は長い一日になると、そんな確信めいた予感で頭が満たされる。旧日本国軍の施設跡……その道に精通した人たちとの再探索で、果たして何が見つかるだろうか。暴かれるだろうか。
軍事研究。GHOSTの……久礼貴獅の計画は、その流れを汲むものなのだろうが、双太さんが真剣な顔で語った、貴獅が家族を、満雀ちゃんを大切に思っているという言葉。あれと矛盾するようなちぐはぐさはある。
ただ……携帯電話然り、軍事研究が平和利用されるようになったケースはもちろんあるし、先のゴーレム計画も目的は魂の救済であったわけで。どういう形でかは不明だが、あの言葉に偽りはないのかもしれない。
ともあれ、全ては明日だ。緊張に胸はざわつくけれど、しっかり寝て備えなければ。
期待と不安を綯い交ぜにしながら、俺はじっくりと時間をかけ、眠りの中へと沈んでいくのだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
『忌み地・元霧原村の怪』
潮ノ海月
ホラー
とある年の五月の中旬、都会から来た転校生、神代渉が霧野川高校の教室に現れる。彼の洗練された姿に女子たちは興味を示し、一部の男子は不満を抱く。その中、主人公の森月和也は、渉の涼やかな笑顔の裏に冷たさを感じ、彼に違和感を感じた。
渉の編入から一週間が過ぎ、男子達も次第に渉を受け入れ、和也の友人の野風雄二も渉の魅力に引き込まれ、彼の友人となった。転校生騒ぎが終息しかけたある日の学校の昼休み、女子二人が『こっくりさん』で遊び始め、突然の悲鳴が教室に響く。そしてその翌日、同じクラスの女子、清水莉子が体調不良で休み、『こっくりさん』の祟りという噂が学校中に広まっていく。その次の日の放課後、莉子を心配したと斉藤凪紗は、彼女の友人である和也、雄二、凪沙、葵、渉の五人と共に莉子の家を訪れる。すると莉子の家は重苦しい雰囲気に包まれ、莉子の母親は憔悴した姿に変わっていた。その異変に気づいた渉と和也が莉子の部屋へ入ると、彼女は霊障によって変わり果てた姿に。しかし、彼女の霊障は始まりでしかなく、その後に起こる霊障、怪異。そして元霧原村に古くから伝わる因習、忌み地にまつわる闇、恐怖の怪異へと続く序章に過ぎなかった。
《主人公は月森和也(語り部)となります。転校生の神代渉はバディ訳の男子です》
【投稿開始後に1話と2話を改稿し、1話にまとめています。(内容の筋は変わっていません)】
【恋愛】×【ミステリー】失恋まであと五分~駅へ走れ!~
キルト
ミステリー
「走れっ、走れっ、走れ。」俺は自分をそう鼓舞しながら駅へ急いでいた。
失恋まであと五分。
どうしても今日だけは『あの電車』に乗らなければならなかった。
電車で居眠りする度に出会う不思議な女性『夜桜 結衣』。
俺は彼女の不思議な預言に次第に魅了されていく。
今日コクらなければ、二度と会えないっ。
電車に乗り遅れた俺は、まさかの失恋決定!?
失意の中で、偶然再会した大学の後輩『玲』へ彼女との出来事を語り出す。
ただの惨めな失恋話……の筈が事態は思わぬ展開に!?
居眠りから始まるステルスラブストーリーです。
YouTubeにて紹介動画も公開中です。
https://www.youtube.com/shorts/45ExzfPtl6Q
ダブルの謎
KT
ミステリー
舞台は、港町横浜。ある1人の男が水死した状態で見つかった。しかし、その水死したはずの男を捜査1課刑事の正行は、目撃してしまう。ついに事件は誰も予想がつかない状況に発展していく。真犯人は一体誰で、何のために、、 読み出したら止まらない、迫力満点短編ミステリー
【恋愛ミステリ】エンケージ! ーChildren in the bird cageー
至堂文斗
ライト文芸
【完結済】
野生の鳥が多く生息する山奥の村、鴇村(ときむら)には、鳥に関する言い伝えがいくつか存在していた。
――つがいのトキを目にした恋人たちは、必ず結ばれる。
そんな恋愛を絡めた伝承は当たり前のように知られていて、村の少年少女たちは憧れを抱き。
――人は、死んだら鳥になる。
そんな死後の世界についての伝承もあり、鳥になって大空へ飛び立てるのだと信じる者も少なくなかった。
六月三日から始まる、この一週間の物語は。
そんな伝承に思いを馳せ、そして運命を狂わされていく、二組の少年少女たちと。
彼らの仲間たちや家族が紡ぎだす、甘く、優しく……そしてときには苦い。そんなお話。
※自作ADVの加筆修正版ノベライズとなります。
表紙は以下のフリー素材、フリーフォントをお借りしております。
http://sozai-natural.seesaa.net/category/10768587-1.html
http://www.fontna.com/blog/1706/
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
この満ち足りた匣庭の中で 二章―Moon of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
それこそが、赤い満月へと至るのだろうか――
『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。
更なる発展を掲げ、電波塔計画が進められ……そして二〇一二年の八月、地図から消えた街。
鬼の伝承に浸食されていく混沌の街で、再び二週間の物語は幕を開ける。
古くより伝えられてきた、赤い満月が昇るその夜まで。
オートマティスム、鬼封じの池、『八〇二』の数字。
ムーンスパロー、周波数帯、デリンジャー現象。
ブラッドムーン、潮汐力、盈虧院……。
ほら、また頭の中に響いてくる鬼の声。
逃れられない惨劇へ向けて、私たちはただ日々を重ねていく――。
出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
【朗読の部屋】from 凛音
キルト
ミステリー
凛音の部屋へようこそ♪
眠れない貴方の為に毎晩、ちょっとした話を朗読するよ。
クスッやドキッを貴方へ。
youtubeにてフルボイス版も公開中です♪
https://www.youtube.com/watch?v=mtY1fq0sPDY&list=PLcNss9P7EyCSKS4-UdS-um1mSk1IJRLQ3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる