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記憶編
始まる侵略
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「しかし……あの八木さんが、ね」
杜村の表情は暗い。信じていた人間に裏切られたかのような顔をしている。
無論、そこまで信頼関係の厚い間柄だったわけではない。ただ、善良な住民だと思っていた人間がとんでもない悪人だったことに――更に言えばそれがGHOSTの上層部だったことに、驚きを隠せなかったのだ。
「如何に人の良さそうな顔をしても、その裏に誰も知らない闇がある……。その可能性は、どうしてもゼロにはならないんでしょう。今回はまさにそうだった」
「流石に彼が全てを仕組んでいたとは、思いつくことすらなかったよ……」
八木優……一介の学者として、観測所で静かに天と地を見つめ続けていたはずの男。
けれどその実、彼はそれ以上を掌握しようとし……今、思惑は結実しようとしている。
「こうして情報が出揃ってみると、犯人が八木さんだったというのは合点がいく。……昨日、BMIにレッドアイが仕込まれている可能性について論じたとき、僕が耳を押さえたのを覚えているかな。実は、義肢とまでは言わないんだけど僕の耳にも集音のための補助装置が埋め込まれているんだ……組織特製のね」
「あ――ということは」
「僕も電波による洗脳が効きやすい人間に該当するんだと思う。そして、これを黙っていたことは本当に申し訳ないのだけど……僕は満雀ちゃんのカメラと一緒に、三つの事件が起きた現場に立ち会っていたんだよ」
「事件現場に、ですか?」
杜村はそう、と頷いて、
「ただ、襲い来る頭痛によって記憶は酷く曖昧だった。それでも、現場には被害者の他に虎牙くんや龍美ちゃんといった子どもたちしかいなくて……状況からすると犯人は明白だったんだ。それを分かっていて僕は……朦朧とした意識の中、子どもたちを守ろうとしていた、はずなんだよ」
彼の記憶によれば、途切れ途切れのシーンの中に隠ぺい工作をしている自分がいるという。
永射が突き落とされた現場では、義眼で視界が極端に悪い虎牙に出来ないような、永射の靴を崖の前に揃えておくという工作を。
早乙女が殺された現場では、義手である龍美が出来ないような、血で押された手形を壁に付けておくという工作を。
そして久礼が殺された現場では、義足である玄人が出来ないような、裸足の足跡を残しておくという工作を……。
「多分、おかしくなった僕は覚えていなくとも、満雀ちゃんはその光景を否応なく見させられていたはずだ。それが何も言わなかったのなら……匣庭にも影響を及ぼさなかったのなら、彼女の心自体がそれを否定して、記憶を封じてしまった可能性が高い」
「真実を知ることは、つまりその凄惨な光景を思い出すことに他ならない……そういうことですか」
「そうなってしまうだろうね。そしてこの構図も、八木さんの描いていたものだったんじゃないかと思える。何故なら彼は、僕が人工内耳を付けているという情報を、事件前に聞き出してきたことがあったから……」
八木優は、自身の計画において使える手駒を把握しておきたかったということだろう。
義肢やそれに類する補助具……正確にはそこに仕込まれたレッドアイによって、洗脳できる手駒を。
連続殺人事件において、実行犯となったのは満雀の仲間である子どもたちだったのかもしれない。
そして、証拠の隠蔽を行ったのは杜村だったのかもしれない。
だが……マリオネットの糸を手繰るよう、彼らの脳へ強制的に指示を送り込んでいたのは八木だった。
彼こそが、全ての悪しき行いの根源なのだ……。
「自分は安全圏にいる、というのを可能な限り徹底したかったんだろう。ただ、彼自身がやらなければならなかったことも一つある。子どもたちでもなく、僕でもないとすれば、八木さんしかいない。彼は直接マイクロチップを奪うために死体を損壊し、それを三鬼の祟りに準えて、過剰な装飾を施したわけだ」
右腕だけを損壊してしまうと、一目でマイクロチップを奪ったとバレてしまう。
それで万が一貴獅が地下室のセキュリティを変えてしまったら面倒なことになる。
鬼の祟りという方面へ意識を逸らすことによって、八木は上手く誤魔化したのだ。
それはあまりにも猟奇的な方法であったが。
「……当時の殺人についてはこれで解明できたとして。802部隊の所長の孫であり、レッドアイ製作者でもあるGHOSTの監査役……そんな彼が癌を患っている中でWAWプログラムに介入していたとすると、その目的は……」
「うん。それが組織全体の決定だったかはさておき、彼の目的は何となく察せられる……つまり、八木さんは生き延びたかったわけだ」
癌に冒される自身の体。現代医療で治る見込みがなくなったとき、GHOSTの研究員である彼が思いつく方法は何か。
WAWプログラム――ちょうど、肉体から解放され信号領域に魂魄を移住させる計画が立ち上がっていた。
彼はそれを僥倖だと、介入を果たした……。
「とすれば、彼は領域における『従』の関係になることは承服しかねるでしょう」
「だから、単純に監査役としてプログラムを見守るだけではいけなかった」
「ええ。少なくとも、八木氏は信号領域内において自由に行動できるよう、満雀さんの意識に取り込まれずにいる必要があったわけです」
犯人――八木優がこの地下室を目指した理由。
計三人もの人間を殺害し、マイクロチップを奪取して、満雀のいる装置の中枢へと辿り着いた理由。
「専門的なところは分かりかねるけれど……装置をハッキングすることによって、八木さんは自身の魂魄が主従の枠外になるよう設定したんだろうね」
「装置の根幹を為すレッドアイは彼が製作したんですから、きっとここまで来れれば、後は簡単なことだったんでしょう」
プログラムを書き換え、後はただその時を待つ。
八月二日の夜九時を迎え、肉体は流れ去ろうとも……魂魄は、領域内で縛られることなく存在し続けられる。
それから後は? 恐らく地位の高い彼のことだ、魂魄を回収してもらうだとか、或いは他にも信号領域を作る計画があってそちらへ移るだとか、ここを脱出する算段は立てていたことだろう。
……ただ、六年間GHOSTの動きがないことを考えると、彼の思惑が組織のそれと一致しなかった可能性は考えられるが。
「八木氏に対するGHOST側の扱いはともあれ、魂魄が生きていくためには従の関係を拒絶し続ける必要がある。それに、信号領域そのものが消滅してしまったら、存在する場所が無くなってしまう。だから僕と明乃が解決に乗り出した段階で、彼は決断しなければならなくなったはずだ。……信号領域を乗っ取り、存続させることを」
「GHOSTからのレスポンスが無ければ、いずれにせよ主導権を握って外部と連絡を取らないといけないと思っていただろうけども」
真澄と明乃の登場は、彼の決断を少しばかり早めさせることになったわけだ。
もちろん、二人が来なければ八木が余裕を持って領域を掌握できた、ということになるが。
「……信号領域の主導権。それを彼に奪われてしまうと、満雀さんと明乃の帰還も極めて困難になるでしょう。出来ればそれまでに、二人が領域から脱出できればいいんですが――」
真澄がそう口にした瞬間。
突如として、信号領域の波形を観測する装置が、けたたましい警告音を発した。
「な、何だ……!?」
「まさか……!」
杜村が、波形の出ているモニタ前にかじりつくようにして確認する。
真澄も遠目で波形を見たが、それは以前までとは明らかに違う動きをみせていた。
異常な縦ぶれ。今しがたのアラームと併せて考えれば、明らかに良い兆候ではない。
「くそっ……領域が観測不可能になってる! こんなのは今まで無かった!」
「恐れていたことが、現実になってしまったのか……!?」
八木による匣庭の乗っ取り。
起きないことを願ったとて、それは甘い考えで。
そう易々と脱出することなど、許してはくれないのか。
「どうすれば……僕らはどうすればいいんだ……!」
「落ち着いてください、杜村さん! まだ望みが断たれたわけじゃありません」
「しかし……ッ」
「冷静になって……とにかく考えましょう。八木氏が犯人であるというメッセージは送った。それだけでもあちらの助けにはなるはずです。後は……何をしてあげられるか。落ち着かなければ、思いつくものもきっと思いつきません」
「……そう、だね。すまない」
真澄の説得で、少しずつ杜村は冷静さを取り戻していく。
息は荒く、目も泳ぎがちではあるが……それでも、考えるという意識に切り替え始めていた。
「満雀ちゃんと明乃さんも、きっと必死に戦っている。なら、僕らも慌てふためいてちゃいけないな……」
「ええ……二人をサポートするのが、僕らの役割です」
言いながら、真澄もまたざわつく心を何とか押し留めていた。
彼とて不安がないわけではなく……明乃たちの身を心から心配している。
どうか、最後は全てが上手く好転するように。
結末が悲劇ではないようにと、彼は祈る。
そんな結末を迎えてしまっては、誰にも申し訳が立たないのだから。
杜村の表情は暗い。信じていた人間に裏切られたかのような顔をしている。
無論、そこまで信頼関係の厚い間柄だったわけではない。ただ、善良な住民だと思っていた人間がとんでもない悪人だったことに――更に言えばそれがGHOSTの上層部だったことに、驚きを隠せなかったのだ。
「如何に人の良さそうな顔をしても、その裏に誰も知らない闇がある……。その可能性は、どうしてもゼロにはならないんでしょう。今回はまさにそうだった」
「流石に彼が全てを仕組んでいたとは、思いつくことすらなかったよ……」
八木優……一介の学者として、観測所で静かに天と地を見つめ続けていたはずの男。
けれどその実、彼はそれ以上を掌握しようとし……今、思惑は結実しようとしている。
「こうして情報が出揃ってみると、犯人が八木さんだったというのは合点がいく。……昨日、BMIにレッドアイが仕込まれている可能性について論じたとき、僕が耳を押さえたのを覚えているかな。実は、義肢とまでは言わないんだけど僕の耳にも集音のための補助装置が埋め込まれているんだ……組織特製のね」
「あ――ということは」
「僕も電波による洗脳が効きやすい人間に該当するんだと思う。そして、これを黙っていたことは本当に申し訳ないのだけど……僕は満雀ちゃんのカメラと一緒に、三つの事件が起きた現場に立ち会っていたんだよ」
「事件現場に、ですか?」
杜村はそう、と頷いて、
「ただ、襲い来る頭痛によって記憶は酷く曖昧だった。それでも、現場には被害者の他に虎牙くんや龍美ちゃんといった子どもたちしかいなくて……状況からすると犯人は明白だったんだ。それを分かっていて僕は……朦朧とした意識の中、子どもたちを守ろうとしていた、はずなんだよ」
彼の記憶によれば、途切れ途切れのシーンの中に隠ぺい工作をしている自分がいるという。
永射が突き落とされた現場では、義眼で視界が極端に悪い虎牙に出来ないような、永射の靴を崖の前に揃えておくという工作を。
早乙女が殺された現場では、義手である龍美が出来ないような、血で押された手形を壁に付けておくという工作を。
そして久礼が殺された現場では、義足である玄人が出来ないような、裸足の足跡を残しておくという工作を……。
「多分、おかしくなった僕は覚えていなくとも、満雀ちゃんはその光景を否応なく見させられていたはずだ。それが何も言わなかったのなら……匣庭にも影響を及ぼさなかったのなら、彼女の心自体がそれを否定して、記憶を封じてしまった可能性が高い」
「真実を知ることは、つまりその凄惨な光景を思い出すことに他ならない……そういうことですか」
「そうなってしまうだろうね。そしてこの構図も、八木さんの描いていたものだったんじゃないかと思える。何故なら彼は、僕が人工内耳を付けているという情報を、事件前に聞き出してきたことがあったから……」
八木優は、自身の計画において使える手駒を把握しておきたかったということだろう。
義肢やそれに類する補助具……正確にはそこに仕込まれたレッドアイによって、洗脳できる手駒を。
連続殺人事件において、実行犯となったのは満雀の仲間である子どもたちだったのかもしれない。
そして、証拠の隠蔽を行ったのは杜村だったのかもしれない。
だが……マリオネットの糸を手繰るよう、彼らの脳へ強制的に指示を送り込んでいたのは八木だった。
彼こそが、全ての悪しき行いの根源なのだ……。
「自分は安全圏にいる、というのを可能な限り徹底したかったんだろう。ただ、彼自身がやらなければならなかったことも一つある。子どもたちでもなく、僕でもないとすれば、八木さんしかいない。彼は直接マイクロチップを奪うために死体を損壊し、それを三鬼の祟りに準えて、過剰な装飾を施したわけだ」
右腕だけを損壊してしまうと、一目でマイクロチップを奪ったとバレてしまう。
それで万が一貴獅が地下室のセキュリティを変えてしまったら面倒なことになる。
鬼の祟りという方面へ意識を逸らすことによって、八木は上手く誤魔化したのだ。
それはあまりにも猟奇的な方法であったが。
「……当時の殺人についてはこれで解明できたとして。802部隊の所長の孫であり、レッドアイ製作者でもあるGHOSTの監査役……そんな彼が癌を患っている中でWAWプログラムに介入していたとすると、その目的は……」
「うん。それが組織全体の決定だったかはさておき、彼の目的は何となく察せられる……つまり、八木さんは生き延びたかったわけだ」
癌に冒される自身の体。現代医療で治る見込みがなくなったとき、GHOSTの研究員である彼が思いつく方法は何か。
WAWプログラム――ちょうど、肉体から解放され信号領域に魂魄を移住させる計画が立ち上がっていた。
彼はそれを僥倖だと、介入を果たした……。
「とすれば、彼は領域における『従』の関係になることは承服しかねるでしょう」
「だから、単純に監査役としてプログラムを見守るだけではいけなかった」
「ええ。少なくとも、八木氏は信号領域内において自由に行動できるよう、満雀さんの意識に取り込まれずにいる必要があったわけです」
犯人――八木優がこの地下室を目指した理由。
計三人もの人間を殺害し、マイクロチップを奪取して、満雀のいる装置の中枢へと辿り着いた理由。
「専門的なところは分かりかねるけれど……装置をハッキングすることによって、八木さんは自身の魂魄が主従の枠外になるよう設定したんだろうね」
「装置の根幹を為すレッドアイは彼が製作したんですから、きっとここまで来れれば、後は簡単なことだったんでしょう」
プログラムを書き換え、後はただその時を待つ。
八月二日の夜九時を迎え、肉体は流れ去ろうとも……魂魄は、領域内で縛られることなく存在し続けられる。
それから後は? 恐らく地位の高い彼のことだ、魂魄を回収してもらうだとか、或いは他にも信号領域を作る計画があってそちらへ移るだとか、ここを脱出する算段は立てていたことだろう。
……ただ、六年間GHOSTの動きがないことを考えると、彼の思惑が組織のそれと一致しなかった可能性は考えられるが。
「八木氏に対するGHOST側の扱いはともあれ、魂魄が生きていくためには従の関係を拒絶し続ける必要がある。それに、信号領域そのものが消滅してしまったら、存在する場所が無くなってしまう。だから僕と明乃が解決に乗り出した段階で、彼は決断しなければならなくなったはずだ。……信号領域を乗っ取り、存続させることを」
「GHOSTからのレスポンスが無ければ、いずれにせよ主導権を握って外部と連絡を取らないといけないと思っていただろうけども」
真澄と明乃の登場は、彼の決断を少しばかり早めさせることになったわけだ。
もちろん、二人が来なければ八木が余裕を持って領域を掌握できた、ということになるが。
「……信号領域の主導権。それを彼に奪われてしまうと、満雀さんと明乃の帰還も極めて困難になるでしょう。出来ればそれまでに、二人が領域から脱出できればいいんですが――」
真澄がそう口にした瞬間。
突如として、信号領域の波形を観測する装置が、けたたましい警告音を発した。
「な、何だ……!?」
「まさか……!」
杜村が、波形の出ているモニタ前にかじりつくようにして確認する。
真澄も遠目で波形を見たが、それは以前までとは明らかに違う動きをみせていた。
異常な縦ぶれ。今しがたのアラームと併せて考えれば、明らかに良い兆候ではない。
「くそっ……領域が観測不可能になってる! こんなのは今まで無かった!」
「恐れていたことが、現実になってしまったのか……!?」
八木による匣庭の乗っ取り。
起きないことを願ったとて、それは甘い考えで。
そう易々と脱出することなど、許してはくれないのか。
「どうすれば……僕らはどうすればいいんだ……!」
「落ち着いてください、杜村さん! まだ望みが断たれたわけじゃありません」
「しかし……ッ」
「冷静になって……とにかく考えましょう。八木氏が犯人であるというメッセージは送った。それだけでもあちらの助けにはなるはずです。後は……何をしてあげられるか。落ち着かなければ、思いつくものもきっと思いつきません」
「……そう、だね。すまない」
真澄の説得で、少しずつ杜村は冷静さを取り戻していく。
息は荒く、目も泳ぎがちではあるが……それでも、考えるという意識に切り替え始めていた。
「満雀ちゃんと明乃さんも、きっと必死に戦っている。なら、僕らも慌てふためいてちゃいけないな……」
「ええ……二人をサポートするのが、僕らの役割です」
言いながら、真澄もまたざわつく心を何とか押し留めていた。
彼とて不安がないわけではなく……明乃たちの身を心から心配している。
どうか、最後は全てが上手く好転するように。
結末が悲劇ではないようにと、彼は祈る。
そんな結末を迎えてしまっては、誰にも申し訳が立たないのだから。
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