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究明編
舞台上の配役
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「……要するに、満雀さんは自身に起きている状況を完全に理解しているわけではない、と」
張り巡らされた装置が僅かに駆動音を立てる室内に、真澄の声が響く。
名を出された少女――既に年齢的には成人となっているが――は、眉一つ動かさずに眠り続けている。
「それは間違いない。この子が全てを理解し、受け入れることが出来ないでいるために、信号領域はずっと六年前の二週間を繰り返しているんだ」
「でも、杜村さんは実際に領域内へ入ったわけではないんですよね? どうやって、中の状況を」
明乃がそう訊ねると、杜村はほんの僅かな躊躇いの後、しかし答えを返した。
「……信号領域の主が満雀ちゃんであることは、言わずとも君たちなら理解していると思う。ただ、その領域は実のところ、約三年の間機能していなかったんだ。空間自体は発生していたけれど、中では何の動きも起きていなかった……」
「事故で装置が機能不全になっていたということは?」
「いや、僕も躍起になって点検したし、正常なことは当時確認済だ。そして今日まで、装置を修理したり、手を加えたこともない……まあ僕にはその技術自体がないとして」
「ふむ……」
WAWプログラムが完遂された二〇一二年八月二日に、この満生台は地震による津波と土砂崩れという大災害に見舞われた。北の山からは大量の土砂が、南の海からは大津波が襲い、またそれ以前に起きていた土砂崩れで外部への移動経路が断たれていたこと、災害発生の時間帯が夜であったことなど最悪に最悪が重なった結果、住民のほぼ全員が死亡するという凄惨な結末を迎えた。その中で、遺体が見つからず行方不明扱いのままでいるのが杜村双太と久礼満雀の二人だ。彼らはここでこうして生きているわけだが、特異な事情ゆえ生存を訴えることも出来ぬまま月日が過ぎている。法律上は七年経ってしまうと死亡とみなされてしまうため、社会的なリミットも迫っていると言える。
ともあれ、この地下室がシェルター代わりとなり生き残った二人だが、当然ながら満雀は信号領域の主として装置に繋がれ、意識を失っていた。杜村はまずもって満雀の意識を覚醒させようと試みたがどうにもならず、次善策として装置に異常がないかを点検、彼女の生命維持に努めながら解決策を探ることになったのだ。
「この装置は、信号領域の安定性や、魂魄の動きがある程度掴めるようになっている。GHOSTの理想としては、領域内の様子を全て監視できる一望監視装置のようなものが良かったんだろうけど、流石にまだ技術が追いついていないようだ。ただ観測するだけでなく、自由自在に出入り出来るところまで、いつかは辿り着きたいと考えていそうだし、研究は継続されていくだろう」
「その研究は阻止しなければなりませんが、さておき。装置で動きが確認できなかったから、領域が機能していないと判断したわけですね。……すると、何故三年も経ってから信号領域は動き始めたんでしょう」
「うん……それはね、必要な駒が揃ったからだと思う」
「駒……?」
首を傾げる明乃に、杜村はごめんと謝って、
「むしろ登場人物、と言うべきか。この領域は満雀ちゃんを含め、『住民たちに満ち足りた暮らしを与える』という在り方になっている。そのためには、この満生台で暮らしていた全住民の魂魄が必要不可欠でね……どうしても一人、足りなかったというわけさ」
「え――じゃあ、どうして」
杜村の言わんとしていることが分かった明乃は、だからこそ困惑する。
彼が示した一人の登場人物とは、他でもない彼自身のことなのだ。
「信号領域に侵入する、というただそれだけなら組織が現在所有する技術で可能だ。命の保証はないけどね。君たちも、その技術を携えて来たことだろうと認識してる」
「……はい。鈴音町の施設に遺された装置を今、私たちはお借りしています」
「ふふ、それなら話が早い。日下敏郎という人物についても既に?」
「あ……」
その名を聞いて、真澄と明乃の脳裏に閃いたものがあった。
「まさか――魂魄分割を……?」
「そのまさかだ。僕の魂魄の半分は今、あちらの世界にある」
少女の眠る顔に目を向けながら、杜村は答えた。
その言葉はあっさりとしていたが……彼が試みたことは、命懸けの無謀な行為に相違なく。
「どうして、そこまで……いや」
言いかけた真澄は、けれどすぐに言葉を飲み込む。
どうして? 分かり切ったことだ。他の全てと同様に、これもまた……誰かを強く想うがゆえに出来たこと。
「三年前も、これもまた夏の暑い日のことだった。誰も訪れようはずもないこの場所で、ふいにエレベータの駆動音が聞こえたんだ。幻聴でも聞こえたか、或いはとうとう組織が僕たちを消しに来たのかな、とも思った。でも、現れたのは予想外の人物だった」
その男は、GHOSTに所属する人物ではあったものの、既に行方を眩ませて久しい、言うなれば逃亡者だった。
杜村は我が目を疑ったものの、不思議と感覚的に、彼が敵ではないことを悟ったという。
「日下敏郎という者だ、と彼はどこか恥じるように名乗った。それは、自身の犯してしまった罪について恥じていたんだろう」
鈴音町で行われていた二つの研究……魂魄分割と人造魂魄。名称の通り、前者は人の魂を複数に分かち別個の存在としてしまう研究、後者は魂そのものを造り上げてしまう研究だ。日下敏郎は、鈴音町近辺にある複数の研究施設にて一連のプロジェクトを任されていたリーダーだった。しかし彼は、組織の研究が非人道的なものであることを理解していき、自らの行いを恥じるように突如失踪したのである。
実際、被験者への実験は苛烈なものだった。盈虧院の孤児だけでなく、何の関連もない子どもたちすらもおとりのイベントで誘致し、一所に集めて魂魄の改造等を行った上、満生台と同じく事故によってその証拠を隠滅するという悪辣極まる行為に及んでいたのだ。
GHOSTは畢竟、あらゆる策略を張り巡らせながらも、目的のためには手段を選ばぬ残虐非道な組織に相違ない。
「日下さんは贖罪の旅をしていた。GHOSTの傷跡が残る地を巡り、自身の技術で行えるだけの手助け、或いは後処理をしていたんだ。満生台のことも組織内では大きな話題になっていたから、彼は必ずここも回ろう、と決めていたらしい」
日下は失踪後しばらく経ってから、自らの生み出した魂魄に後を託すように布石を打ち、現実での死を迎えた。予め終着点は決めていただろうが、それまでに自分が手を出せるだけの片付けもしておきたい、と考えたのだろう。
杜村にとって彼の訪れはまさに救いの手だった。
張り巡らされた装置が僅かに駆動音を立てる室内に、真澄の声が響く。
名を出された少女――既に年齢的には成人となっているが――は、眉一つ動かさずに眠り続けている。
「それは間違いない。この子が全てを理解し、受け入れることが出来ないでいるために、信号領域はずっと六年前の二週間を繰り返しているんだ」
「でも、杜村さんは実際に領域内へ入ったわけではないんですよね? どうやって、中の状況を」
明乃がそう訊ねると、杜村はほんの僅かな躊躇いの後、しかし答えを返した。
「……信号領域の主が満雀ちゃんであることは、言わずとも君たちなら理解していると思う。ただ、その領域は実のところ、約三年の間機能していなかったんだ。空間自体は発生していたけれど、中では何の動きも起きていなかった……」
「事故で装置が機能不全になっていたということは?」
「いや、僕も躍起になって点検したし、正常なことは当時確認済だ。そして今日まで、装置を修理したり、手を加えたこともない……まあ僕にはその技術自体がないとして」
「ふむ……」
WAWプログラムが完遂された二〇一二年八月二日に、この満生台は地震による津波と土砂崩れという大災害に見舞われた。北の山からは大量の土砂が、南の海からは大津波が襲い、またそれ以前に起きていた土砂崩れで外部への移動経路が断たれていたこと、災害発生の時間帯が夜であったことなど最悪に最悪が重なった結果、住民のほぼ全員が死亡するという凄惨な結末を迎えた。その中で、遺体が見つからず行方不明扱いのままでいるのが杜村双太と久礼満雀の二人だ。彼らはここでこうして生きているわけだが、特異な事情ゆえ生存を訴えることも出来ぬまま月日が過ぎている。法律上は七年経ってしまうと死亡とみなされてしまうため、社会的なリミットも迫っていると言える。
ともあれ、この地下室がシェルター代わりとなり生き残った二人だが、当然ながら満雀は信号領域の主として装置に繋がれ、意識を失っていた。杜村はまずもって満雀の意識を覚醒させようと試みたがどうにもならず、次善策として装置に異常がないかを点検、彼女の生命維持に努めながら解決策を探ることになったのだ。
「この装置は、信号領域の安定性や、魂魄の動きがある程度掴めるようになっている。GHOSTの理想としては、領域内の様子を全て監視できる一望監視装置のようなものが良かったんだろうけど、流石にまだ技術が追いついていないようだ。ただ観測するだけでなく、自由自在に出入り出来るところまで、いつかは辿り着きたいと考えていそうだし、研究は継続されていくだろう」
「その研究は阻止しなければなりませんが、さておき。装置で動きが確認できなかったから、領域が機能していないと判断したわけですね。……すると、何故三年も経ってから信号領域は動き始めたんでしょう」
「うん……それはね、必要な駒が揃ったからだと思う」
「駒……?」
首を傾げる明乃に、杜村はごめんと謝って、
「むしろ登場人物、と言うべきか。この領域は満雀ちゃんを含め、『住民たちに満ち足りた暮らしを与える』という在り方になっている。そのためには、この満生台で暮らしていた全住民の魂魄が必要不可欠でね……どうしても一人、足りなかったというわけさ」
「え――じゃあ、どうして」
杜村の言わんとしていることが分かった明乃は、だからこそ困惑する。
彼が示した一人の登場人物とは、他でもない彼自身のことなのだ。
「信号領域に侵入する、というただそれだけなら組織が現在所有する技術で可能だ。命の保証はないけどね。君たちも、その技術を携えて来たことだろうと認識してる」
「……はい。鈴音町の施設に遺された装置を今、私たちはお借りしています」
「ふふ、それなら話が早い。日下敏郎という人物についても既に?」
「あ……」
その名を聞いて、真澄と明乃の脳裏に閃いたものがあった。
「まさか――魂魄分割を……?」
「そのまさかだ。僕の魂魄の半分は今、あちらの世界にある」
少女の眠る顔に目を向けながら、杜村は答えた。
その言葉はあっさりとしていたが……彼が試みたことは、命懸けの無謀な行為に相違なく。
「どうして、そこまで……いや」
言いかけた真澄は、けれどすぐに言葉を飲み込む。
どうして? 分かり切ったことだ。他の全てと同様に、これもまた……誰かを強く想うがゆえに出来たこと。
「三年前も、これもまた夏の暑い日のことだった。誰も訪れようはずもないこの場所で、ふいにエレベータの駆動音が聞こえたんだ。幻聴でも聞こえたか、或いはとうとう組織が僕たちを消しに来たのかな、とも思った。でも、現れたのは予想外の人物だった」
その男は、GHOSTに所属する人物ではあったものの、既に行方を眩ませて久しい、言うなれば逃亡者だった。
杜村は我が目を疑ったものの、不思議と感覚的に、彼が敵ではないことを悟ったという。
「日下敏郎という者だ、と彼はどこか恥じるように名乗った。それは、自身の犯してしまった罪について恥じていたんだろう」
鈴音町で行われていた二つの研究……魂魄分割と人造魂魄。名称の通り、前者は人の魂を複数に分かち別個の存在としてしまう研究、後者は魂そのものを造り上げてしまう研究だ。日下敏郎は、鈴音町近辺にある複数の研究施設にて一連のプロジェクトを任されていたリーダーだった。しかし彼は、組織の研究が非人道的なものであることを理解していき、自らの行いを恥じるように突如失踪したのである。
実際、被験者への実験は苛烈なものだった。盈虧院の孤児だけでなく、何の関連もない子どもたちすらもおとりのイベントで誘致し、一所に集めて魂魄の改造等を行った上、満生台と同じく事故によってその証拠を隠滅するという悪辣極まる行為に及んでいたのだ。
GHOSTは畢竟、あらゆる策略を張り巡らせながらも、目的のためには手段を選ばぬ残虐非道な組織に相違ない。
「日下さんは贖罪の旅をしていた。GHOSTの傷跡が残る地を巡り、自身の技術で行えるだけの手助け、或いは後処理をしていたんだ。満生台のことも組織内では大きな話題になっていたから、彼は必ずここも回ろう、と決めていたらしい」
日下は失踪後しばらく経ってから、自らの生み出した魂魄に後を託すように布石を打ち、現実での死を迎えた。予め終着点は決めていただろうが、それまでに自分が手を出せるだけの片付けもしておきたい、と考えたのだろう。
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