77 / 79
Fifteenth Chapter...8/2
鬼が嗤い
しおりを挟む
――殺す。
ああ、また幻聴が聞こえる。
そうか、幻聴なんかじゃないんだ。
これは、やっぱり鬼の声で。
僕らは本当に、鬼に祟られてしまったんだね――。
海が見えた。道を曲がると、病院が目の前だった。街の南西まで、僕は走ってきたらしい。それでもまだ、視線は消えてはくれない。辺りには、道標の碑が立っている。この碑が鬼に乗っ取られてしまったのだとしたら、碑がある場所ならどこでも、僕は鬼に見られているのだろうか。だったら、逃げ場なんて、この街のどこにもありはしないじゃないか。
……そして。
絶望に打ちひしがれる僕の前に。
現れた、人影があった。
それは、蓑笠を纏った、鬼。
人外のモノ。
人のカタチをしているのに、人ではないと分かる、それが。
今、僕の目の前に立っていた。
「は、……はは……」
引き攣った笑いが、思わず零れていた。
もう、誤魔化せない。
この目で見てしまったものを、否定することなんて出来ない。
鬼は、確かにいたのだ。
僕らに祟りを与えるために、こうして姿を現したのだ。
そう、今日は八月二日。電波塔が稼働する日。
鬼は、それを良しとしなかった。
だから、満生台に罰を与えんとして、ここに降臨したのだ……。
――ミスズ――。
「……え……?」
鬼が、その名前を呼んだ。
まさか……どうして。
そこで、ふいに思い出す。
さっき、集会場に集まっていた人たちが言っていたことを。
彼らは確かに、口にしていた。満雀ちゃんが心配だと。鬼の祟りがあったら、と。もしかしたら、あの時点で満雀ちゃんの身に、何かが起きていた? そうだ、だから羊子さんは、集会場にまで乗り込んできたに違いない。
羊子さんが狼狽え、あそこまでするほどのことが、満雀ちゃんにあったのだとすれば。考えられるのは、満雀ちゃんが急に苦しみ出したとか、或いは、急にいなくなった……とか。
いなくなったのなら……それは。
鬼に、捕まったということ……?
目の前には、鬼がいる。不気味な黒い影となって、確かに立っている。今、それはゆっくりとこちらへ向かって、歩き始めている。きっと、僕を狂わせようとしているのだ。
――満雀ちゃん。
虎牙が僕に頼んできたのだ。満雀ちゃんを見守ってやれと。きっと、あいつはこうなることを知っていたんじゃないだろうか。そう、あいつも、龍美も、僕よりも早く鬼の存在に辿り着いてしまったのだ。だから、二人は戦っていた。僕と満雀ちゃんが巻き込まれないように姿をくらまして、辛い戦いに臨んでいたんだ、きっと。
まだ、間に合うだろうか。満雀ちゃんは、まだ無事でいるだろうか。分からないけれど、僕が行くしかない。恐怖に震える足を拳で殴り、僕は覚悟を決めて、身を翻した。
病院へ向かって、僕は走る。鬼が追ってくるのが背中越しに分かる。追い付かれたら、終わりだ。でも、怖がっている場合じゃない。自動ドアを抜け、待合室を左に進み、廊下の先にある久礼家の居住スペースを目指す。
開き戸には、鍵が掛かっていなかった。僕はすぐさま中へ入り、内から鍵を掛ける。すぐにノブをガチャガチャと回す乱暴な音が聞こえたが、気にしている余裕はなかった。
満雀ちゃんは体調を崩しているから、自室で寝ている可能性が高い。何度か遊びに来たことがあるので、部屋がどこにあるのかは覚えていた。廊下を抜け、ダイニングキッチンを抜け、その先の廊下の右側にある扉を開ける。ここが、満雀ちゃんの部屋だ。
……しかし、その部屋に満雀ちゃんはいなかった。いや、それどころか、満雀ちゃんがいた痕跡すらなかった。布団はきちんと伸ばされて、机の上も綺麗に片付いていて。これではまるで、満雀ちゃんが長い間、ここにいなかったみたいじゃ、ないか……。
そんなに前から、満雀ちゃんは鬼に連れていかれていたというのか? だとしたら、双太さんが満雀ちゃんの体調不良を伝えたあのときには、もう……?
足音が聞こえてきた。鬼が近づいてくる。僕は咄嗟に息を殺して、外の物音に全神経を集中させた。扉の開く音がする。隣の部屋に入っていったのだ。次は間違いなく、こちらへやって来る……。
ここに留まっていたら捕まる。僕は勢いよく部屋から飛び出して、リビングを抜け、病棟へ駆け戻った。鬼もそれに気づかないわけがなく、後ろから走って追いかけてくる。疲れていても、スピードを下げることはできなかった。
満雀ちゃんは、自室にいなかった。なら、どこへ行けばいいというのか。もう、どこかへ連れていかれたのかもしれないと思うと、恐ろしくてたまらない。まだ、まだどこかにいてほしい。いるとすればそれは、病院内のどこかのはずだ。
廊下を真っ直ぐ走って、病院の東側へ。こっちには何があったっけ。あまり覚えていない。とにかく、あの鬼から逃げながら、部屋を一つ一つしらみつぶしに探していかなくては。
頭痛が酷くて、考えることが難しい。こんなことをして、満雀ちゃんが見つかるのか。状況についていけていない頭が、空回りを続ける。
看護師さんたちの休憩室。薬が保管された調剤室。開けては閉めを繰り返しながら、僕は逃げ続けた。
そして、薄暗い倉庫の扉を開く。
電気を点けようとスイッチを押したのだが、どうやら蛍光灯が外れているらしく、明るくならない。こんなところにいるとは思えないけれど、どことなく怪しげな空気がした。
それに、鬼はもうすぐそこまで迫ってきている。この部屋は廊下の突き当りにあるから、中に入って、隠れるなりなんなりしなければ、捕まってしまうのは確実だった。
無駄だと分かっていながらも、内鍵を掛ける。鬼にしてみたら、こんなものはすぐに開けられるのだろう。とにかく、時間を稼いでいるうちに、満雀ちゃんがいないか、隠れられるスペースがないかを必死で探した。
人の気配は少しもなかったが、高く積まれたダンボールの間に身を隠せば、反対側を調べている間に逃げられそうだ。そう思い、走っていこうとしたのだが、慌てた拍子に足が滑った。床が埃だらけだったのだ。
そのとき、ガチャリと音がして、扉が開かれた。……鬼が、こちらを見据えている。袋小路に追い詰められた僕を、嘲笑うかのように、鬼はずっと立ち尽くしたまま、こちらに顔を向けている。
「ひっ……」
声が掠れて、言葉が出てこない。……助けて。そう叫びたいのに、喉はぐっと詰まって、吐き気を催すだけだった。
それに。どうせ叫んだってきっと……誰も来てくれは、しないのだ。
やがて鬼が、じりじりと距離を縮めてくる。僕は、倒れたままで足を動かして、ずるずる後退するしかなくて。すぐに冷たい、無機質な壁に頭と背中を打ちつけて。その冷たさに、心を打ちのめされて。
ああ――頭が、痛い。
視界が霞んで、鬼の輪郭も曖昧になってくる。
手が、伸びてくるのが見える。僕を縊り殺そうとしているのが、見える。
でも――もう、破裂しそうなほどの頭痛に、目も開けられなくて。
ごめんね、虎牙。頼まれたこと、果たせそうにないよ。
せめて、誰かを……守りたかった。
――殺す。
あのときと同じ、残酷な鬼の唸りが聞こえた。
それを最後に、僕の意識は闇の中へと落ちていった――。
ああ、また幻聴が聞こえる。
そうか、幻聴なんかじゃないんだ。
これは、やっぱり鬼の声で。
僕らは本当に、鬼に祟られてしまったんだね――。
海が見えた。道を曲がると、病院が目の前だった。街の南西まで、僕は走ってきたらしい。それでもまだ、視線は消えてはくれない。辺りには、道標の碑が立っている。この碑が鬼に乗っ取られてしまったのだとしたら、碑がある場所ならどこでも、僕は鬼に見られているのだろうか。だったら、逃げ場なんて、この街のどこにもありはしないじゃないか。
……そして。
絶望に打ちひしがれる僕の前に。
現れた、人影があった。
それは、蓑笠を纏った、鬼。
人外のモノ。
人のカタチをしているのに、人ではないと分かる、それが。
今、僕の目の前に立っていた。
「は、……はは……」
引き攣った笑いが、思わず零れていた。
もう、誤魔化せない。
この目で見てしまったものを、否定することなんて出来ない。
鬼は、確かにいたのだ。
僕らに祟りを与えるために、こうして姿を現したのだ。
そう、今日は八月二日。電波塔が稼働する日。
鬼は、それを良しとしなかった。
だから、満生台に罰を与えんとして、ここに降臨したのだ……。
――ミスズ――。
「……え……?」
鬼が、その名前を呼んだ。
まさか……どうして。
そこで、ふいに思い出す。
さっき、集会場に集まっていた人たちが言っていたことを。
彼らは確かに、口にしていた。満雀ちゃんが心配だと。鬼の祟りがあったら、と。もしかしたら、あの時点で満雀ちゃんの身に、何かが起きていた? そうだ、だから羊子さんは、集会場にまで乗り込んできたに違いない。
羊子さんが狼狽え、あそこまでするほどのことが、満雀ちゃんにあったのだとすれば。考えられるのは、満雀ちゃんが急に苦しみ出したとか、或いは、急にいなくなった……とか。
いなくなったのなら……それは。
鬼に、捕まったということ……?
目の前には、鬼がいる。不気味な黒い影となって、確かに立っている。今、それはゆっくりとこちらへ向かって、歩き始めている。きっと、僕を狂わせようとしているのだ。
――満雀ちゃん。
虎牙が僕に頼んできたのだ。満雀ちゃんを見守ってやれと。きっと、あいつはこうなることを知っていたんじゃないだろうか。そう、あいつも、龍美も、僕よりも早く鬼の存在に辿り着いてしまったのだ。だから、二人は戦っていた。僕と満雀ちゃんが巻き込まれないように姿をくらまして、辛い戦いに臨んでいたんだ、きっと。
まだ、間に合うだろうか。満雀ちゃんは、まだ無事でいるだろうか。分からないけれど、僕が行くしかない。恐怖に震える足を拳で殴り、僕は覚悟を決めて、身を翻した。
病院へ向かって、僕は走る。鬼が追ってくるのが背中越しに分かる。追い付かれたら、終わりだ。でも、怖がっている場合じゃない。自動ドアを抜け、待合室を左に進み、廊下の先にある久礼家の居住スペースを目指す。
開き戸には、鍵が掛かっていなかった。僕はすぐさま中へ入り、内から鍵を掛ける。すぐにノブをガチャガチャと回す乱暴な音が聞こえたが、気にしている余裕はなかった。
満雀ちゃんは体調を崩しているから、自室で寝ている可能性が高い。何度か遊びに来たことがあるので、部屋がどこにあるのかは覚えていた。廊下を抜け、ダイニングキッチンを抜け、その先の廊下の右側にある扉を開ける。ここが、満雀ちゃんの部屋だ。
……しかし、その部屋に満雀ちゃんはいなかった。いや、それどころか、満雀ちゃんがいた痕跡すらなかった。布団はきちんと伸ばされて、机の上も綺麗に片付いていて。これではまるで、満雀ちゃんが長い間、ここにいなかったみたいじゃ、ないか……。
そんなに前から、満雀ちゃんは鬼に連れていかれていたというのか? だとしたら、双太さんが満雀ちゃんの体調不良を伝えたあのときには、もう……?
足音が聞こえてきた。鬼が近づいてくる。僕は咄嗟に息を殺して、外の物音に全神経を集中させた。扉の開く音がする。隣の部屋に入っていったのだ。次は間違いなく、こちらへやって来る……。
ここに留まっていたら捕まる。僕は勢いよく部屋から飛び出して、リビングを抜け、病棟へ駆け戻った。鬼もそれに気づかないわけがなく、後ろから走って追いかけてくる。疲れていても、スピードを下げることはできなかった。
満雀ちゃんは、自室にいなかった。なら、どこへ行けばいいというのか。もう、どこかへ連れていかれたのかもしれないと思うと、恐ろしくてたまらない。まだ、まだどこかにいてほしい。いるとすればそれは、病院内のどこかのはずだ。
廊下を真っ直ぐ走って、病院の東側へ。こっちには何があったっけ。あまり覚えていない。とにかく、あの鬼から逃げながら、部屋を一つ一つしらみつぶしに探していかなくては。
頭痛が酷くて、考えることが難しい。こんなことをして、満雀ちゃんが見つかるのか。状況についていけていない頭が、空回りを続ける。
看護師さんたちの休憩室。薬が保管された調剤室。開けては閉めを繰り返しながら、僕は逃げ続けた。
そして、薄暗い倉庫の扉を開く。
電気を点けようとスイッチを押したのだが、どうやら蛍光灯が外れているらしく、明るくならない。こんなところにいるとは思えないけれど、どことなく怪しげな空気がした。
それに、鬼はもうすぐそこまで迫ってきている。この部屋は廊下の突き当りにあるから、中に入って、隠れるなりなんなりしなければ、捕まってしまうのは確実だった。
無駄だと分かっていながらも、内鍵を掛ける。鬼にしてみたら、こんなものはすぐに開けられるのだろう。とにかく、時間を稼いでいるうちに、満雀ちゃんがいないか、隠れられるスペースがないかを必死で探した。
人の気配は少しもなかったが、高く積まれたダンボールの間に身を隠せば、反対側を調べている間に逃げられそうだ。そう思い、走っていこうとしたのだが、慌てた拍子に足が滑った。床が埃だらけだったのだ。
そのとき、ガチャリと音がして、扉が開かれた。……鬼が、こちらを見据えている。袋小路に追い詰められた僕を、嘲笑うかのように、鬼はずっと立ち尽くしたまま、こちらに顔を向けている。
「ひっ……」
声が掠れて、言葉が出てこない。……助けて。そう叫びたいのに、喉はぐっと詰まって、吐き気を催すだけだった。
それに。どうせ叫んだってきっと……誰も来てくれは、しないのだ。
やがて鬼が、じりじりと距離を縮めてくる。僕は、倒れたままで足を動かして、ずるずる後退するしかなくて。すぐに冷たい、無機質な壁に頭と背中を打ちつけて。その冷たさに、心を打ちのめされて。
ああ――頭が、痛い。
視界が霞んで、鬼の輪郭も曖昧になってくる。
手が、伸びてくるのが見える。僕を縊り殺そうとしているのが、見える。
でも――もう、破裂しそうなほどの頭痛に、目も開けられなくて。
ごめんね、虎牙。頼まれたこと、果たせそうにないよ。
せめて、誰かを……守りたかった。
――殺す。
あのときと同じ、残酷な鬼の唸りが聞こえた。
それを最後に、僕の意識は闇の中へと落ちていった――。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
暗闇の中の囁き
葉羽
ミステリー
名門の作家、黒崎一郎が自らの死を予感し、最後の作品『囁く影』を執筆する。その作品には、彼の過去や周囲の人間関係が暗号のように隠されている。彼の死後、古びた洋館で起きた不可解な殺人事件。被害者は、彼の作品の熱心なファンであり、館の中で自殺したかのように見せかけられていた。しかし、その背後には、作家の遺作に仕込まれた恐ろしいトリックと、館に潜む恐怖が待ち受けていた。探偵の名探偵、青木は、暗号を解読しながら事件の真相に迫っていくが、次第に彼自身も館の恐怖に飲み込まれていく。果たして、彼は真実を見つけ出し、恐怖から逃れることができるのか?
【連作ホラー】伍横町幻想 —Until the day we meet again—
至堂文斗
ホラー
――その幻想から、逃れられるか。
降霊術。それは死者を呼び出す禁忌の術式。
歴史を遡れば幾つも逸話はあれど、現実に死者を呼ぶことが出来たかは定かでない。
だがあるとき、長い実験の果てに、一人の男がその術式を生み出した。
降霊術は決して公に出ることはなかったものの、書物として世に残り続けた。
伍横町。そこは古くから気の流れが集まる場所と言われている小さな町。
そして、全ての始まりの町。
男が生み出した術式は、この町で幾つもの悲劇をもたらしていく。
運命を狂わされた者たちは、生と死の狭間で幾つもの涙を零す。
これは、四つの悲劇。
【魂】を巡る物語の始まりを飾る、四つの幻想曲――。
【霧夏邸幻想 ―Primal prayer-】
「――霧夏邸って知ってる?」
事故により最愛の娘を喪い、 降霊術に狂った男が住んでいた邸宅。
霊に会ってみたいと、邸内に忍び込んだ少年少女たちを待ち受けるものとは。
【三神院幻想 ―Dawn comes to the girl―】
「どうか、目を覚ましてはくれないだろうか」
眠りについたままの少女のために、 少年はただ祈り続ける。
その呼び声に呼応するかのように、 少女は記憶の世界に覚醒する。
【流刻園幻想 ―Omnia fert aetas―】
「……だから、違っていたんだ。沢山のことが」
七不思議の噂で有名な流刻園。夕暮れ時、教室には二人の少年少女がいた。
少年は、一通の便箋で呼び出され、少女と別れて屋上へと向かう。それが、悲劇の始まりであるとも知らずに。
【伍横町幻想 ―Until the day we meet again―】
「……ようやく、時が来た」
伍横町で降霊術の実験を繰り返してきた仮面の男。 最愛の女性のため、彼は最後の計画を始動する。
その計画を食い止めるべく、悲劇に巻き込まれた少年少女たちは苛酷な戦いに挑む。
伍横町の命運は、子どもたちの手に委ねられた。
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
【連作ホラー】幻影回忌 ーTrilogy of GHOSTー
至堂文斗
ホラー
――其れは、人類の進化のため。
歴史の裏で暗躍する組織が、再び降霊術の物語を呼び覚ます。
魂魄の操作。悍ましき禁忌の実験は、崇高な目的の下に数多の犠牲を生み出し。
決して止まることなく、次なる生贄を求め続ける。
さあ、再び【魂魄】の物語を始めましょう。
たった一つの、望まれた終焉に向けて。
来場者の皆様、長らくお待たせいたしました。
これより幻影三部作、開幕いたします――。
【幻影綺館】
「ねえ、”まぼろしさん”って知ってる?」
鈴音町の外れに佇む、黒影館。そこに幽霊が出るという噂を聞きつけた鈴音学園ミステリ研究部の部長、安藤蘭は、メンバーを募り探検に向かおうと企画する。
その企画に巻き込まれる形で、彼女を含め七人が館に集まった。
疑いつつも、心のどこかで”まぼろしさん”の存在を願うメンバーに、悲劇は降りかからんとしていた――。
【幻影鏡界】
「――一角荘へ行ってみますか?」
黒影館で起きた凄惨な事件は、桜井令士や生き残った者たちに、大きな傷を残した。そしてレイジには、大切な目的も生まれた。
そんな事件より数週間後、束の間の平穏が終わりを告げる。鈴音学園の廊下にある掲示板に貼り出されていたポスター。
それは、かつてGHOSTによって悲劇がもたらされた因縁の地、鏡ヶ原への招待状だった。
【幻影回忌】
「私は、今度こそ創造主になってみせよう」
黒影館と鏡ヶ原、二つの場所で繰り広げられた凄惨な事件。
その黒幕である****は、恐ろしい計画を実行に移そうとしていた。
ゴーレム計画と名付けられたそれは、世界のルールをも蹂躙するものに相違なかった。
事件の生き残りである桜井令士と蒼木時雨は、***の父親に連れられ、***の過去を知らされる。
そして、悲劇の連鎖を断つために、最後の戦いに挑む決意を固めるのだった。
秋月真夜は泣くことにしたー東の京のエグレゴア
鹿村杞憂
ミステリー
カメラマン志望の大学生・百鳥圭介は、ある日、不気味な影をまとった写真を撮影する。その影について謎めいた霊媒師・秋月真夜から「エグレゴア」と呼ばれる集合的な感情や欲望の具現化だと聞かされる。圭介は真夜の助手としてエグレゴアの討伐を手伝うことになり、人々、そして社会の深淵を覗き込む「人の心」を巡る物語に巻き込まれていくことになる。
Mary Magdalene~天使と悪魔~
DAO
ミステリー
『私は血の様に赤い髪と赤い目が大嫌いだった。』『私は真っ赤に染まる姉さんが大好きだった』
正反対の性格の双子の姉妹。 赤い髪のマリアは大人しく真面目。 青い目のメアリは社交的なシスコン。
ある日、双子の乗船した豪華客船で残虐非道な殺人事件が起きるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる