17 / 79
Fourth Chapter...7/22
鬼封じの池
しおりを挟む
家を出るときにはまだ、雨は降っていなかった。僕は折り畳み傘を片手に、行ってきますと声を掛けて出発した。
平日でも休日でも、この街の昼間人口というか、出歩いている人の数はさほど変化がない。外出するのは大体、畑仕事か買い物か、あるいは病院か。そのどれかだろう。
道路脇に、バラバラの間隔で、無骨な石碑が立っている。道標の碑だ。いつだったか、この石碑がどこに、幾つあるのかを調べようとして、手書きの地図に丸を付けていったこともあったっけ。途方もない作業だったけれど、少しワクワクしたのも確かだ。結局この石は、幾つあるのだろうな。
道標の碑を辿るように歩いていく。そして、僕は森の入り口あたりまでやって来た。そこには当然のごとく、龍美が仁王立ちで待っていた。
「やほ、ちゃんと来たわね」
「ん、どうも。今来たとこ?」
「ええ。虎牙はいつになるかしらねー……」
まあ、あいつもそこまで薄情な奴ではないし、遅れても十分以内だろう。
夏真っ只中ではあるものの、今日は悪天候のせいか、少し涼しめだ。ひょっとすると、森の中は肌寒いくらいかもしれない。何となく、肝試しのような感じもする。
「お前ら早えーな。こちとら時間通りだぞ?」
声が聞こえたので、振り返ると、虎牙がこちらへ歩いてきていた。龍美はゆっくりと歩いてくる彼に、
「タイムイズマネーなのよ、時間通りに生きてちゃ大事なものを逃がしちゃうわよ」
「はあ?」
虎牙は首を傾げる。その反応はまあ、ご尤もだ。
「よし、三人揃ったし、まずは探索の準備でもしましょうか。秘密基地に大抵のものは置いてあるから、取りに行きましょ」
「分かった。じゃ、行こう」
三人で頷き合うと、僕らは秘密基地までの慣れた道を歩いていく。
晴れているときでも薄暗い森は、今日のような曇り空の下では一層暗く、足元に気をつけて歩かなくては躓いてしまうこともある。何度も通っている道ではあれど、心なしか僕らの足取りはゆっくりとしていた。
秘密基地に着くと、中に張ったテントに潜り込んで、懐中電灯と虫除けスプレー、それから軍手も引っ張り出した。道具は僕が持っておくことにして、軍手は二人にも渡しておく。
「むー、手袋とかって付け辛いし、付けてるとイライラするわ。軍手なんてなくても良いのよ!」
渡すなり、龍美は軍手を服のポケットにしまいこむ。彼女、そういや手先だけは不器用というか、面倒臭がりなんだよね。ムーンスパローでも、キーボードのタイピングは僕に任せるし。短気な性格も影響してるんだろうな。
探索中に何があるか分からないし、手が傷つかないか心配にはなるのだが。まあ、そこは龍美の自己責任というしかない。
秘密基地と街のちょうど中頃あたりに、分かり辛いが三叉路がある。その道を、奥へと歩いていけば鬼封じの池があるのだ。ただ、位置的にもかなり上の方にあったはずなので、長いこと歩く必要がある。
そう言えば、僕がたまに街を眺めたくなったときに来る崖も、この道から行けるんだよな。山中の地形は、結構歪なものになっているみたいだ。昔から満生台周辺は、地震が多かったらしいし、そのせいかもしれない。
「ふー、結構足に来るわね。玄人は大丈夫?」
「うん、何とか」
龍美が心配して、声をかけてくれる。今のところは問題ないが、葉っぱの積もる緩やかなこの道は、もし雨が降ったりしたら、結構危なそうだ。帰る頃、雨になってしまったら、気をつけないといけないな。
「しっかし、暗いな。足元も見えんぞ」
「あんたは目が悪すぎるのよ。しょうがないわ」
「コノヤロウ」
「あはは……」
龍美さん、虎牙のことも心配してあげてください。
「それより、道標の碑って、こんなところにもあるのね」
「ああ、やっぱりこれもそうっぽいよね。ただの石なのかと思ったけど」
道の端に転がる苔の生えた石。なるほど龍美の言う通り、これも街にあるものと同じ、道標の碑なのだろう。昔の人は、池までの道にもこれを置いた、というわけか。山道にこれを置いていくなんて、相当な労力だっただろうな。
同じ景色が続く道、次第に話すこともなくなり、僕らは無言で進んでいく。そして、もうどれくらい歩いただろうかというとき、ようやく視界が開けてきた。到着のようだ。
「……おー……」
その光景を見た龍美が、思わずそんな声を漏らす。続いて僕と虎牙も、最後の坂道を登り切って、先にあるそれを目にした。
「これが、鬼封じの池かあ……」
「思ったより、でけえな……」
鬼封じの池。そこは、森の中に広がる異空間のようにも思えた。密集した木々は、この池の形に沿うような形で開けており、何本か、倒れ朽ちた木も見える。その倒木は苔むしていて、草や茸が生えているものもあった。
周囲には、薄っすらと霧が立ち込めている。それは、この大きな池の水が、水蒸気になって、木々の檻に囚われて留まっているからだろう。しばらく立ち尽くしていれば、肌や服に水滴がつきそうなほどだ。
池の全長は、目視で推測してみても、五十メートル以上はありそうだった。日光が届かないため、この場所全体が暗いし、池の水も淀んで見える。いや、本当にこの水は黒く濁っている可能性だってあるのだが。
ここは、まるで原始時代に迷い込んだかのような。そんな錯覚すら覚える場所だった。
「こんな場所なら、鬼が封じられていても不思議じゃあないわよねえ……」
「本当にね……。何か、道標の碑が、鬼を封じている結界みたいにも見えちゃうよ」
「そうねー……実際、結界石ってあるものね。まあ、本来の結界石の意味としては、宗教上の神聖な場所とかそういう意味合いなんでしょうけど」
この池の周りに立つ道標の碑に対しては、まさに鬼を封じる結界、という意味になるだろうな。
「どうするよ? ここに来ちまったせいで、そこの池から鬼が這い出て来ちまったらよ」
「ちょっと虎牙、あんまり怖いこと言わないでよ!」
「へっ、探検しようって言いだした奴が怖がってんじゃねえぜ」
「怖くなんかないわよーだ」
龍美はそう言って頬を膨らませると、少しだけぎこちない足取りで、池の方へと歩いていった。怖がってるよなあ、絶対。
僕らも、龍美の後に続いて、池のそばまで近づいてみる。どれだけ深いのか、想像もつかないが、転落防止用の柵があるわけでもなし、足元には気をつけないといけない。
「……この池、もっと上流から流れて来た水が溜まってるんだね」
「みたいね。霧で見えにくいけど、奥の方に岩壁があって、その辺りに細い渓流みたいなものがあるわ。確か、山の上の方には釣りを楽しめる場所もあるみたいだし。そういうスポットの下に、こんな不思議な空間が広がっているなんて、面白いわね……」
山菜や川魚を取りに、山へ入る人たちは案外多い。そんな人たちでも、ここにはきっと立ち入らないだろうな。この場所は、他のどこよりも異様な空間だ。それに、見る限りこの池には魚の気配もないし、食べられそうな山菜なども見当たらない。あっても奇妙な色をした花とか茸とか、そんなものだ。
「この中に、鬼がいると思う?」
龍美が、水面を見つめながら聞いてくる。
「いそうな雰囲気だけはあるけどね」
「ここからぬーっと出てくるのかしら……」
それを聞いて、僕は何故か『金の斧』の童話を思い出したが、それは言わないことにした。
流石に鬼とは全然違うよな。
僕らは一先ず、この大きな池の外周を、ぐるりと一周してみることに決めて、左側から歩き始めた。湿気のせいか、地面も少し湿っているので、歩くたびに変な感触がした。
「寒いな。まさか夏に寒いって感じるとか思わなかったぜ……」
「同感。下にもう一枚来てくれば良かったなー」
僕も、龍美と同じことを考えた。あんまりここに長居したくはないものだ。何もなければ、早めに探検は終了して、雨にならない内に帰りたい。
平日でも休日でも、この街の昼間人口というか、出歩いている人の数はさほど変化がない。外出するのは大体、畑仕事か買い物か、あるいは病院か。そのどれかだろう。
道路脇に、バラバラの間隔で、無骨な石碑が立っている。道標の碑だ。いつだったか、この石碑がどこに、幾つあるのかを調べようとして、手書きの地図に丸を付けていったこともあったっけ。途方もない作業だったけれど、少しワクワクしたのも確かだ。結局この石は、幾つあるのだろうな。
道標の碑を辿るように歩いていく。そして、僕は森の入り口あたりまでやって来た。そこには当然のごとく、龍美が仁王立ちで待っていた。
「やほ、ちゃんと来たわね」
「ん、どうも。今来たとこ?」
「ええ。虎牙はいつになるかしらねー……」
まあ、あいつもそこまで薄情な奴ではないし、遅れても十分以内だろう。
夏真っ只中ではあるものの、今日は悪天候のせいか、少し涼しめだ。ひょっとすると、森の中は肌寒いくらいかもしれない。何となく、肝試しのような感じもする。
「お前ら早えーな。こちとら時間通りだぞ?」
声が聞こえたので、振り返ると、虎牙がこちらへ歩いてきていた。龍美はゆっくりと歩いてくる彼に、
「タイムイズマネーなのよ、時間通りに生きてちゃ大事なものを逃がしちゃうわよ」
「はあ?」
虎牙は首を傾げる。その反応はまあ、ご尤もだ。
「よし、三人揃ったし、まずは探索の準備でもしましょうか。秘密基地に大抵のものは置いてあるから、取りに行きましょ」
「分かった。じゃ、行こう」
三人で頷き合うと、僕らは秘密基地までの慣れた道を歩いていく。
晴れているときでも薄暗い森は、今日のような曇り空の下では一層暗く、足元に気をつけて歩かなくては躓いてしまうこともある。何度も通っている道ではあれど、心なしか僕らの足取りはゆっくりとしていた。
秘密基地に着くと、中に張ったテントに潜り込んで、懐中電灯と虫除けスプレー、それから軍手も引っ張り出した。道具は僕が持っておくことにして、軍手は二人にも渡しておく。
「むー、手袋とかって付け辛いし、付けてるとイライラするわ。軍手なんてなくても良いのよ!」
渡すなり、龍美は軍手を服のポケットにしまいこむ。彼女、そういや手先だけは不器用というか、面倒臭がりなんだよね。ムーンスパローでも、キーボードのタイピングは僕に任せるし。短気な性格も影響してるんだろうな。
探索中に何があるか分からないし、手が傷つかないか心配にはなるのだが。まあ、そこは龍美の自己責任というしかない。
秘密基地と街のちょうど中頃あたりに、分かり辛いが三叉路がある。その道を、奥へと歩いていけば鬼封じの池があるのだ。ただ、位置的にもかなり上の方にあったはずなので、長いこと歩く必要がある。
そう言えば、僕がたまに街を眺めたくなったときに来る崖も、この道から行けるんだよな。山中の地形は、結構歪なものになっているみたいだ。昔から満生台周辺は、地震が多かったらしいし、そのせいかもしれない。
「ふー、結構足に来るわね。玄人は大丈夫?」
「うん、何とか」
龍美が心配して、声をかけてくれる。今のところは問題ないが、葉っぱの積もる緩やかなこの道は、もし雨が降ったりしたら、結構危なそうだ。帰る頃、雨になってしまったら、気をつけないといけないな。
「しっかし、暗いな。足元も見えんぞ」
「あんたは目が悪すぎるのよ。しょうがないわ」
「コノヤロウ」
「あはは……」
龍美さん、虎牙のことも心配してあげてください。
「それより、道標の碑って、こんなところにもあるのね」
「ああ、やっぱりこれもそうっぽいよね。ただの石なのかと思ったけど」
道の端に転がる苔の生えた石。なるほど龍美の言う通り、これも街にあるものと同じ、道標の碑なのだろう。昔の人は、池までの道にもこれを置いた、というわけか。山道にこれを置いていくなんて、相当な労力だっただろうな。
同じ景色が続く道、次第に話すこともなくなり、僕らは無言で進んでいく。そして、もうどれくらい歩いただろうかというとき、ようやく視界が開けてきた。到着のようだ。
「……おー……」
その光景を見た龍美が、思わずそんな声を漏らす。続いて僕と虎牙も、最後の坂道を登り切って、先にあるそれを目にした。
「これが、鬼封じの池かあ……」
「思ったより、でけえな……」
鬼封じの池。そこは、森の中に広がる異空間のようにも思えた。密集した木々は、この池の形に沿うような形で開けており、何本か、倒れ朽ちた木も見える。その倒木は苔むしていて、草や茸が生えているものもあった。
周囲には、薄っすらと霧が立ち込めている。それは、この大きな池の水が、水蒸気になって、木々の檻に囚われて留まっているからだろう。しばらく立ち尽くしていれば、肌や服に水滴がつきそうなほどだ。
池の全長は、目視で推測してみても、五十メートル以上はありそうだった。日光が届かないため、この場所全体が暗いし、池の水も淀んで見える。いや、本当にこの水は黒く濁っている可能性だってあるのだが。
ここは、まるで原始時代に迷い込んだかのような。そんな錯覚すら覚える場所だった。
「こんな場所なら、鬼が封じられていても不思議じゃあないわよねえ……」
「本当にね……。何か、道標の碑が、鬼を封じている結界みたいにも見えちゃうよ」
「そうねー……実際、結界石ってあるものね。まあ、本来の結界石の意味としては、宗教上の神聖な場所とかそういう意味合いなんでしょうけど」
この池の周りに立つ道標の碑に対しては、まさに鬼を封じる結界、という意味になるだろうな。
「どうするよ? ここに来ちまったせいで、そこの池から鬼が這い出て来ちまったらよ」
「ちょっと虎牙、あんまり怖いこと言わないでよ!」
「へっ、探検しようって言いだした奴が怖がってんじゃねえぜ」
「怖くなんかないわよーだ」
龍美はそう言って頬を膨らませると、少しだけぎこちない足取りで、池の方へと歩いていった。怖がってるよなあ、絶対。
僕らも、龍美の後に続いて、池のそばまで近づいてみる。どれだけ深いのか、想像もつかないが、転落防止用の柵があるわけでもなし、足元には気をつけないといけない。
「……この池、もっと上流から流れて来た水が溜まってるんだね」
「みたいね。霧で見えにくいけど、奥の方に岩壁があって、その辺りに細い渓流みたいなものがあるわ。確か、山の上の方には釣りを楽しめる場所もあるみたいだし。そういうスポットの下に、こんな不思議な空間が広がっているなんて、面白いわね……」
山菜や川魚を取りに、山へ入る人たちは案外多い。そんな人たちでも、ここにはきっと立ち入らないだろうな。この場所は、他のどこよりも異様な空間だ。それに、見る限りこの池には魚の気配もないし、食べられそうな山菜なども見当たらない。あっても奇妙な色をした花とか茸とか、そんなものだ。
「この中に、鬼がいると思う?」
龍美が、水面を見つめながら聞いてくる。
「いそうな雰囲気だけはあるけどね」
「ここからぬーっと出てくるのかしら……」
それを聞いて、僕は何故か『金の斧』の童話を思い出したが、それは言わないことにした。
流石に鬼とは全然違うよな。
僕らは一先ず、この大きな池の外周を、ぐるりと一周してみることに決めて、左側から歩き始めた。湿気のせいか、地面も少し湿っているので、歩くたびに変な感触がした。
「寒いな。まさか夏に寒いって感じるとか思わなかったぜ……」
「同感。下にもう一枚来てくれば良かったなー」
僕も、龍美と同じことを考えた。あんまりここに長居したくはないものだ。何もなければ、早めに探検は終了して、雨にならない内に帰りたい。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
ヴァルプルギスの夜~ライター月島楓の事件簿
加来 史吾兎
ホラー
K県華月町(かげつちょう)の外れで、白装束を着させられた女子高生の首吊り死体が発見された。
フリーライターの月島楓(つきしまかえで)は、ひょんなことからこの事件の取材を任され、華月町出身で大手出版社の編集者である小野瀬崇彦(おのせたかひこ)と共に、山奥にある華月町へ向かう。
華月町には魔女を信仰するという宗教団体《サバト》の本拠地があり、事件への関与が噂されていたが警察の捜査は難航していた。
そんな矢先、華月町にまつわる伝承を調べていた女子大生が行方不明になってしまう。
そして魔の手は楓の身にも迫っていた──。
果たして楓と小野瀬は小さな町で巻き起こる事件の真相に辿り着くことができるのだろうか。
【恋愛ミステリ】エンケージ! ーChildren in the bird cageー
至堂文斗
ライト文芸
【完結済】
野生の鳥が多く生息する山奥の村、鴇村(ときむら)には、鳥に関する言い伝えがいくつか存在していた。
――つがいのトキを目にした恋人たちは、必ず結ばれる。
そんな恋愛を絡めた伝承は当たり前のように知られていて、村の少年少女たちは憧れを抱き。
――人は、死んだら鳥になる。
そんな死後の世界についての伝承もあり、鳥になって大空へ飛び立てるのだと信じる者も少なくなかった。
六月三日から始まる、この一週間の物語は。
そんな伝承に思いを馳せ、そして運命を狂わされていく、二組の少年少女たちと。
彼らの仲間たちや家族が紡ぎだす、甘く、優しく……そしてときには苦い。そんなお話。
※自作ADVの加筆修正版ノベライズとなります。
表紙は以下のフリー素材、フリーフォントをお借りしております。
http://sozai-natural.seesaa.net/category/10768587-1.html
http://www.fontna.com/blog/1706/
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
7月は男子校の探偵少女
金時るるの
ミステリー
孤児院暮らしから一転、女であるにも関わらずなぜか全寮制の名門男子校に入学する事になったユーリ。
性別を隠しながらも初めての学園生活を満喫していたのもつかの間、とある出来事をきっかけに、ルームメイトに目を付けられて、厄介ごとを押し付けられる。
顔の塗りつぶされた肖像画。
完成しない彫刻作品。
ユーリが遭遇する謎の数々とその真相とは。
19世紀末。ヨーロッパのとある国を舞台にした日常系ミステリー。
(タイトルに※マークのついているエピソードは他キャラ視点です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる