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【幻影鏡界 ―Church of GHOST―】

31.そして繋がる線

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「行っちゃいました、ね」
「……みたいだな」

 まだ聞きたいことはあったが、時間切れというなら仕方ない。
 また一たび会えたことに、感謝するとしよう。

「みんな教会で殺された、か」
「……マコちゃんは、ミコちゃんの方が教会で殺されたから、何かがあると思って部屋を抜け出したんですね」
「多分な。そしてそれは正しいんだと思う」

 そう。きっと全ては教会を起点にしている。
 あの場所こそが元凶なのだ。

「教会に行ってみよう。そこが犯行現場だって言うんなら、きっと何かがあるはずなんだから」

 無言で頷くシグレの肩を、ポンと叩いて。
 俺たちはまた、教会への道を上っていく。
 顔を上げれば見えるのは、教会の屋根。チラリと見える女神像の顔。
 外壁はかなりの部分が崩落して、あの女神像もこの位置から眺められるようになっているのだ。
 自らの研究を誇示するかのように作られた、関節人形の女神像。
 それでも何故かあの女神像には、人知を超えた何かに射すくめられているような、奇妙な気持ちにもなってしまう。
 あの教会の中で、マコちゃんたちとマキバさんが殺された。
 何故三人は殺され、そしてあんな場所で見つかったのだろうか。
 誰が犯人足り得るんだろうか。
 ふと、足元を見やる。
 そこにもまた、薄らと血痕が散らばっていた。

 ――きっと、手掛かりは十分にある。

 幾つもの情報が点となり、それが結ばれていく。黒影館でも経験した感覚だ。
 だけど、どこかもっと深いところで。
 俺はこの感覚を知っているような気さえしたのだが。

「……血痕」

 線が、一本に繋がった。

「……はは……ははは」
「レ、レイジさん……!?」

 突然笑い出した俺を心配して、シグレが声をかけてくる。
 まあ当然の反応だ。こんな状況でいきなり笑ったら、ついに気が狂ったかと思われても仕方がない。
 でも、俺が辿り着いた答えは本当に、笑うしかないほどとんでもない真相だった。
 常識では及びもつかない、霊空間の奇蹟、いや悲劇なのだった……。

「は、犯人が分かったんですか……!?」
「ああ。とんでもない答えでも、そうに違いない」
「だ、誰なんです? みんなを殺した犯人って」

 シグレの問いに、俺は教会へ視線を移す。
 霊空間に支配された鏡ヶ原。その一帯を見下ろす女神像が、視線の先にいた。

「……信じられないかもしれないけれど、一人だけいる」

 そして、きっとそいつも。

「数奇な運命に縛られた魂魄の一つ……なんだろうな」
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