62 / 86
Eleventh Chapter...7/29
蛇見静香①
しおりを挟む
高速を走る貸し切りバス。
その規則的な揺れが、揺り籠のように眠りを誘う。
私はその揺れに身を委ね、うつらうつらと夢現を行き来していた。
あの蒸し暑い、懐かしき夏の日。
私たちの通う中学の空手部は、夏季合宿のために郊外の宿を目指していた。
都会を離れてはや数時間。
町並みは既にがらりと変わっていて、長閑な田園風景が眼下に広がっているのだった。
夏季合宿は、空手部の恒例行事だった。
正直に言えば面倒臭かったのだが、部に籍を置いている上、仮にも副主将にまでなった私は断ることもできず、一年生のときも今回も、素直に参加せざるを得なかったのである。
唯一の救いは、親友の蛇見静香も参加していたことか。
一応、希望者は全員参加だったので、彼女も参加することができたのだ。
実力は部内でかなり低い位置にいるけれど、コミュニケーションの要だった彼女。
空手部を自分の居場所だと笑う彼女がこの合宿に参加するのは、必然とも言えた。
「龍美、これ食べるか?」
「あはは……バス苦手だから遠慮しとくわ」
「お、龍美のくせに意外だな」
「くせにって何よ」
私と静香。隣同士に座って、宿までの長い旅路をのんびりと過ごす。
それは、淡く幸福な時間でもあった。
私の過去は、決して明るいものではない。
孤児として幼年期を過ごし、今の両親には『代わり』として育てられ。
ちゃんと愛されたがゆえに、その愛情に報いねばならないと背伸びをし続けた。
結果として、静香の隣で笑う私がいるのだから、過去をやり直したいとは全然思わないが、何度振り返ってみてもやはり、灰色の日々だったなという印象は変わらない。
いつかはその日々を経験したことが、自分の役に立ったと思えるようになることだけは、ずっと願っていた。
そして、私に寄り添うように親友となってくれた静香もまた、私とは違った形で灰色の日々を送る少女だった。
彼女の日々は言うなれば……愛無き灰色の日々、なのだった。
私たちの出会いは、それほどインパクトのある出来事ではない。
同じ空手部に所属し、否が応でも接触の機会があったというだけだ。
私は両親の期待に応えるため。
静香は両親の支配から逃れるため。
一所に集まり、出会った。
そんな偶然だった。
「タロット?」
「そうだ。……君もやってみるか?」
何となく、今の自分が正しいのかが気になって。
こういう遊びでも、面白い知見があるならいいかと思って。
その他大勢に混じって、私も静香のタロット占いをやってもらうことにした。
そこで少しだけ、私は勇気を貰ったのだった。
「力の逆位置は無気力や諦め。それが今の状況を作っている。現状を受け入れた上で自分なりに納得できることをやるのが、希望に繋がる……というところかな。最後は星の正位置だからね」
「抽象的な内容ねー」
「ふふ、占いなんてそういうものだよ。聞いた人がどう受け取るかが、きっと占いの本質だ」
「……なるほどね。良いこと言うじゃない、あなた」
自分の現状と、これからの道。
曖昧ではあるけれど、変化がほしいなら結局は動くしかないと受け入れるだけでも、私にとっては進歩だった。
そしてまた、彼女と仲良くなれたことも。
一つの進歩だった。
月日を重ね、仲が深まっていくほどに、私は静香がどうして空手部にいるのかが気になり始めた。
明らかに、彼女は空手に興味を持っていないからだ。
練習態度自体はとても真面目で、本気で勝負すれば試合に出るような部員とでも勝率は五分五分。けれども彼女は、たとえ試合に勝っても心から喜んだりはしなかった。
どちらかといえば、勝った自分に安心しているかのような、そんな感じだった。
静香の真実に触れられたのは、中学二年生に上がったころ。
彼女の家の話題が出たときのことだった。
仲良くなれば、一緒に遊ぶようになるのは当然のことで。
互いの家にお邪魔するのもまた、自然な流れだった。
先に私が自分の家に静香を招待したから、次は彼女の家に呼んでもらいたいと。
ただ何となく口にしたことで、私は彼女の過去を知ったのである。
「私の家には、呼べない」
「……それは」
「――はは。龍美には話しておこうか。龍美のことは、前に教えてもらったものな。お互い知らないとフェアじゃない」
そう言って、彼女は淡々と……まるで他人の人生を説明するように、語り始めた。
彼女の灰色の日々を。
彼女の家は、五人家族。両親のほか、兄と姉が一人ずつ。
力関係は父親が強く、母親は従順なのが常で、それを見ていた兄も姉も、歳を重ねるごとに母を見下すようになっていったという。
静香だけは、そんな母親を不憫に思い、家事の手伝いをしてあげることが多かった。
だが、そのせいで家庭内のヒエラルキーは、母親と同様低い位置にあてられてしまうのだった。
静香は、小学校時代から既に家庭内いじめに遭っていた。
母親がやりきれない雑用を、全て代わりにさせられるようになっていた。
兄や姉の支配欲を満たすための、無意味な用事を任されることすらあり。
彼女はほとんど毎日、枕を涙で濡らすような生活をしていたという。
助けは期待できなかった。
自分と同じように辛いはずの母親は、相変わらず素直に従い続けるばかりだったからだ。
一度は逃げ出したくなったけれど。
迷惑をかけないでという母の言葉に、どうすることもできなくなった。
実家という、自分の拠り所であるはずの場所で、一度も気を休めることができず。
拒絶すれば暴力すら振るわれる絶望的な毎日から。
静香はそれでも、諦めることはしなかった。
灰色の日々からいつか抜け出せるよう、幼心にあれやこれやと呻吟した。
その結果、身体的、精神的に自分を強くするため、空手を始めようと決心したのだった……。
「今でも家庭の状況は好転してなくてね。悪いが、龍美を招待することはできない」
あえて軽い口調で、静香は私にそう告げる。
あまりのことに私が絶句しているのを見た彼女は、
「……気に病むことじゃないぞ? 私は昔より遥かに強くなったし、それに出会いにも恵まれた」
「静香……」
「だから、そうだなあ」
静香は、空を見上げながら言う。
「私が自分の家を持ったら、そのときこそ龍美を招待しよう。どうだ、それなら私の家で遊ぶということになるだろう」
「……バカ、それって何年後なのよ」
「ふふ、さてな」
彼女が快活に笑うのに、私も同じように笑って、空を仰いだ。
そのときの空は雲一つなくて……とても美しいと、心から思える空だった。
二年目の夏季合宿は、そういった経緯で静香の深い部分を知った後のイベントだった。
だから、去年の合宿よりも抵抗感は少なかった。
私は、というか私たちはなりふり構わず同室を志願して。
無事二人一緒の部屋で過ごす権利を勝ち取ったのである。
三時間ほどの長旅が終わり、スマホの電波もほとんど入らないほどの田舎に到着した私たちは、早速部屋割りの説明を受けて各々の部屋へと向かう。そこで荷物を置き、着替えを済ませてから、併設された大きな道場で長時間のトレーニングに励んだ。
流れる汗と、全身の疲れ。そのどちらを流すため、大浴場にわいわいと入り。さっぱりした体で食堂へ向かい、空きっ腹に美味しいご飯をかき込む。まあ、面倒くさいけれど、決して嫌なことではなかった。
これも青春だと思えるくらいの、楽しさはあった。
夜の自由時間には友人たちと雑談し、消灯時間後には、眠りにつくまで静香と雑談し。
そう――言うなれば、合宿はそれなりに『満ち足りた』ものだった。
ああ……。
だから、もしもそれで終わっていたなら、何もかもが。
今の私と違っていたんだろう。
その規則的な揺れが、揺り籠のように眠りを誘う。
私はその揺れに身を委ね、うつらうつらと夢現を行き来していた。
あの蒸し暑い、懐かしき夏の日。
私たちの通う中学の空手部は、夏季合宿のために郊外の宿を目指していた。
都会を離れてはや数時間。
町並みは既にがらりと変わっていて、長閑な田園風景が眼下に広がっているのだった。
夏季合宿は、空手部の恒例行事だった。
正直に言えば面倒臭かったのだが、部に籍を置いている上、仮にも副主将にまでなった私は断ることもできず、一年生のときも今回も、素直に参加せざるを得なかったのである。
唯一の救いは、親友の蛇見静香も参加していたことか。
一応、希望者は全員参加だったので、彼女も参加することができたのだ。
実力は部内でかなり低い位置にいるけれど、コミュニケーションの要だった彼女。
空手部を自分の居場所だと笑う彼女がこの合宿に参加するのは、必然とも言えた。
「龍美、これ食べるか?」
「あはは……バス苦手だから遠慮しとくわ」
「お、龍美のくせに意外だな」
「くせにって何よ」
私と静香。隣同士に座って、宿までの長い旅路をのんびりと過ごす。
それは、淡く幸福な時間でもあった。
私の過去は、決して明るいものではない。
孤児として幼年期を過ごし、今の両親には『代わり』として育てられ。
ちゃんと愛されたがゆえに、その愛情に報いねばならないと背伸びをし続けた。
結果として、静香の隣で笑う私がいるのだから、過去をやり直したいとは全然思わないが、何度振り返ってみてもやはり、灰色の日々だったなという印象は変わらない。
いつかはその日々を経験したことが、自分の役に立ったと思えるようになることだけは、ずっと願っていた。
そして、私に寄り添うように親友となってくれた静香もまた、私とは違った形で灰色の日々を送る少女だった。
彼女の日々は言うなれば……愛無き灰色の日々、なのだった。
私たちの出会いは、それほどインパクトのある出来事ではない。
同じ空手部に所属し、否が応でも接触の機会があったというだけだ。
私は両親の期待に応えるため。
静香は両親の支配から逃れるため。
一所に集まり、出会った。
そんな偶然だった。
「タロット?」
「そうだ。……君もやってみるか?」
何となく、今の自分が正しいのかが気になって。
こういう遊びでも、面白い知見があるならいいかと思って。
その他大勢に混じって、私も静香のタロット占いをやってもらうことにした。
そこで少しだけ、私は勇気を貰ったのだった。
「力の逆位置は無気力や諦め。それが今の状況を作っている。現状を受け入れた上で自分なりに納得できることをやるのが、希望に繋がる……というところかな。最後は星の正位置だからね」
「抽象的な内容ねー」
「ふふ、占いなんてそういうものだよ。聞いた人がどう受け取るかが、きっと占いの本質だ」
「……なるほどね。良いこと言うじゃない、あなた」
自分の現状と、これからの道。
曖昧ではあるけれど、変化がほしいなら結局は動くしかないと受け入れるだけでも、私にとっては進歩だった。
そしてまた、彼女と仲良くなれたことも。
一つの進歩だった。
月日を重ね、仲が深まっていくほどに、私は静香がどうして空手部にいるのかが気になり始めた。
明らかに、彼女は空手に興味を持っていないからだ。
練習態度自体はとても真面目で、本気で勝負すれば試合に出るような部員とでも勝率は五分五分。けれども彼女は、たとえ試合に勝っても心から喜んだりはしなかった。
どちらかといえば、勝った自分に安心しているかのような、そんな感じだった。
静香の真実に触れられたのは、中学二年生に上がったころ。
彼女の家の話題が出たときのことだった。
仲良くなれば、一緒に遊ぶようになるのは当然のことで。
互いの家にお邪魔するのもまた、自然な流れだった。
先に私が自分の家に静香を招待したから、次は彼女の家に呼んでもらいたいと。
ただ何となく口にしたことで、私は彼女の過去を知ったのである。
「私の家には、呼べない」
「……それは」
「――はは。龍美には話しておこうか。龍美のことは、前に教えてもらったものな。お互い知らないとフェアじゃない」
そう言って、彼女は淡々と……まるで他人の人生を説明するように、語り始めた。
彼女の灰色の日々を。
彼女の家は、五人家族。両親のほか、兄と姉が一人ずつ。
力関係は父親が強く、母親は従順なのが常で、それを見ていた兄も姉も、歳を重ねるごとに母を見下すようになっていったという。
静香だけは、そんな母親を不憫に思い、家事の手伝いをしてあげることが多かった。
だが、そのせいで家庭内のヒエラルキーは、母親と同様低い位置にあてられてしまうのだった。
静香は、小学校時代から既に家庭内いじめに遭っていた。
母親がやりきれない雑用を、全て代わりにさせられるようになっていた。
兄や姉の支配欲を満たすための、無意味な用事を任されることすらあり。
彼女はほとんど毎日、枕を涙で濡らすような生活をしていたという。
助けは期待できなかった。
自分と同じように辛いはずの母親は、相変わらず素直に従い続けるばかりだったからだ。
一度は逃げ出したくなったけれど。
迷惑をかけないでという母の言葉に、どうすることもできなくなった。
実家という、自分の拠り所であるはずの場所で、一度も気を休めることができず。
拒絶すれば暴力すら振るわれる絶望的な毎日から。
静香はそれでも、諦めることはしなかった。
灰色の日々からいつか抜け出せるよう、幼心にあれやこれやと呻吟した。
その結果、身体的、精神的に自分を強くするため、空手を始めようと決心したのだった……。
「今でも家庭の状況は好転してなくてね。悪いが、龍美を招待することはできない」
あえて軽い口調で、静香は私にそう告げる。
あまりのことに私が絶句しているのを見た彼女は、
「……気に病むことじゃないぞ? 私は昔より遥かに強くなったし、それに出会いにも恵まれた」
「静香……」
「だから、そうだなあ」
静香は、空を見上げながら言う。
「私が自分の家を持ったら、そのときこそ龍美を招待しよう。どうだ、それなら私の家で遊ぶということになるだろう」
「……バカ、それって何年後なのよ」
「ふふ、さてな」
彼女が快活に笑うのに、私も同じように笑って、空を仰いだ。
そのときの空は雲一つなくて……とても美しいと、心から思える空だった。
二年目の夏季合宿は、そういった経緯で静香の深い部分を知った後のイベントだった。
だから、去年の合宿よりも抵抗感は少なかった。
私は、というか私たちはなりふり構わず同室を志願して。
無事二人一緒の部屋で過ごす権利を勝ち取ったのである。
三時間ほどの長旅が終わり、スマホの電波もほとんど入らないほどの田舎に到着した私たちは、早速部屋割りの説明を受けて各々の部屋へと向かう。そこで荷物を置き、着替えを済ませてから、併設された大きな道場で長時間のトレーニングに励んだ。
流れる汗と、全身の疲れ。そのどちらを流すため、大浴場にわいわいと入り。さっぱりした体で食堂へ向かい、空きっ腹に美味しいご飯をかき込む。まあ、面倒くさいけれど、決して嫌なことではなかった。
これも青春だと思えるくらいの、楽しさはあった。
夜の自由時間には友人たちと雑談し、消灯時間後には、眠りにつくまで静香と雑談し。
そう――言うなれば、合宿はそれなりに『満ち足りた』ものだった。
ああ……。
だから、もしもそれで終わっていたなら、何もかもが。
今の私と違っていたんだろう。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【恋愛ミステリ】エンケージ! ーChildren in the bird cageー
至堂文斗
ライト文芸
【完結済】
野生の鳥が多く生息する山奥の村、鴇村(ときむら)には、鳥に関する言い伝えがいくつか存在していた。
――つがいのトキを目にした恋人たちは、必ず結ばれる。
そんな恋愛を絡めた伝承は当たり前のように知られていて、村の少年少女たちは憧れを抱き。
――人は、死んだら鳥になる。
そんな死後の世界についての伝承もあり、鳥になって大空へ飛び立てるのだと信じる者も少なくなかった。
六月三日から始まる、この一週間の物語は。
そんな伝承に思いを馳せ、そして運命を狂わされていく、二組の少年少女たちと。
彼らの仲間たちや家族が紡ぎだす、甘く、優しく……そしてときには苦い。そんなお話。
※自作ADVの加筆修正版ノベライズとなります。
表紙は以下のフリー素材、フリーフォントをお借りしております。
http://sozai-natural.seesaa.net/category/10768587-1.html
http://www.fontna.com/blog/1706/
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール
Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・
黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に
儚くも露と消えていく』
ある朝、
目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。
小学校六年生に戻った俺を取り巻く
懐かしい顔ぶれ。
優しい先生。
いじめっ子のグループ。
クラスで一番美しい少女。
そして。
密かに想い続けていた初恋の少女。
この世界は嘘と欺瞞に満ちている。
愛を語るには幼過ぎる少女達と
愛を語るには汚れ過ぎた大人。
少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、
大人は平然と他人を騙す。
ある時、
俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。
そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。
夕日に少女の涙が落ちる時、
俺は彼女達の笑顔と
失われた真実を
取り戻すことができるのだろうか。
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
この満ち足りた匣庭の中で 三章―Ghost of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
幾度繰り返そうとも、匣庭は――。
『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。
その裏では、医療センターによる謎めいた計画『WAWプログラム』が粛々と進行し、そして避け得ぬ惨劇が街を襲った。
舞台は繰り返す。
三度、二週間の物語は幕を開け、定められた終焉へと砂時計の砂は落ちていく。
変わらない世界の中で、真実を知悉する者は誰か。この世界の意図とは何か。
科学研究所、GHOST、ゴーレム計画。
人工地震、マイクロチップ、レッドアウト。
信号領域、残留思念、ブレイン・マシン・インターフェース……。
鬼の祟りに隠れ、暗躍する機関の影。
手遅れの中にある私たちの日々がほら――また、始まった。
出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
蠍の舌─アル・ギーラ─
希彗まゆ
ミステリー
……三十九。三十八、三十七
結珂の通う高校で、人が殺された。
もしかしたら、自分の大事な友だちが関わっているかもしれない。
調べていくうちに、やがて結珂は哀しい真実を知ることになる──。
双子の因縁の物語。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる