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Ⅱ 専属メイド
メイド研修 4
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わたしはエミリアに連れられて、配膳ワゴンの上に乗せられ、クロッシュの被さったお皿たちと共に、運ばれていく。キッチンに行く時には手を貸さないと言われたのに、お嬢様たちのお部屋に行く時には随分優しいから不思議に思っていると、エミリアが冷静な声で言う。
「運んであげているのは、料理が冷めてお嬢様に失礼をしないようにしているだけですからね」
やっぱりそうか、とむしろ安心した。エミリアが突然優しくなったらそれはそれで怖い。それに、エミリアは性格は悪いけれど、メイドとしての意識の高さは正直少し見直しつつある。お嬢様たちのことを第一に考えるという点において、エミリアはブレないから、だんだん彼女の考えていることも理解はできるようになってきた。
レジーナお嬢様からの指示でアリシアお嬢様の護衛をしていると言われてからは、不審人物に容赦が無かったり、アリシアお嬢様の耳に余計な情報を入れないようにするために、わたしからの情報を遮断させていたりと、今までの怖かった行動にも納得できる部分が多くなっていた。カラカラと配膳ワゴンを転がして、レジーナお嬢様よりも先にアリシアお嬢様の部屋の扉をノックして入る。
「アリシアお嬢様、お食事とカロリーナを持って参りました」
そっと食事を丁寧に置いた後に、わたしのことをゴロリと投げ捨てるみたいに机に置いた。
その後にお猪口よりも小さな鍋を持って、わたしたちの小さなメイド屋敷の方へと向かっていた。屋敷の前には姿勢を正したソフィアが立っているのがわかった。こうやってわたしたちの食事は運ばれてくるらしい。わたしたちがいつもお腹いっぱいになるくらい山盛りの量が入っている巨大鍋も、エミリアにとってはお猪口サイズで、とても小さく見えた。
「カロリーナ、よそ見してどうしましたの?」
屋敷の方を見ていると、アリシアお嬢様が心配そうに声をかけてくれる。
「いえ、ちょっと考え事をしていました」
「大丈夫ですの? まさか、エミリアに意地悪されたんじゃ……!」
「あ、いえ、意地悪されたわけじゃ……」
アリシアお嬢様が、丁寧にお猪口サイズの鍋をソフィアに手渡しているエミリアの後ろ姿を凄い形相で睨んでいる。エミリアはわたしを机に置く時とは比にならないくらいソフィアに対しては丁寧に鍋を渡していた。それに、信じられないことに、あのエミリアが小さなソフィアよりも視線を下げて、しゃがんで頭を下げた状態で手渡しているのだ。そんな普段のエミリアからは信じられないような姿をみてしまって、ぼんやりしてしまっていた。
まあ、実際にメイド研修ではエミリアに意地悪されてはいるから、そこは否定はできないけれど、少なくとも今ぼんやりしていたのは珍しいエミリアの姿を目撃したことが理由だった。
だんだんとエミリアのことは意地悪なメイドから真面目なメイドに私の中では変わっていっていた。だから、エミリアが真面目なソフィアに懐いているのは、かなり納得できた。
「意地悪されてないんだったら、いいですわ……」
心配そうにアリシアお嬢様がわたしを見つめている。その横で、エミリアがアリシアお嬢様に頭を下げる。
「1時間ほどしたらお皿を下げに参ります。ごゆっくりお食事をどうぞ」
「ありがとうですの」
少し不機嫌そうにアリシアお嬢様がエミリアにお礼を言う。
アリシアお嬢様のお食事が1時間、その間小さなメイド屋敷の中では、わたしたち手乗りメイドは、重い鍋を運び、食事を机に並べて、みんなで食事をして、片付けていた。そこまでの動作を1時間で済ませなければならないから、食事時間はきっちり30分と短い時間だったのかと納得する。食事で30分、準備、後片付けで30分、そうしないとエミリアが配膳をしてくれないから厳密に時間を守らされていたらしい。
「運んであげているのは、料理が冷めてお嬢様に失礼をしないようにしているだけですからね」
やっぱりそうか、とむしろ安心した。エミリアが突然優しくなったらそれはそれで怖い。それに、エミリアは性格は悪いけれど、メイドとしての意識の高さは正直少し見直しつつある。お嬢様たちのことを第一に考えるという点において、エミリアはブレないから、だんだん彼女の考えていることも理解はできるようになってきた。
レジーナお嬢様からの指示でアリシアお嬢様の護衛をしていると言われてからは、不審人物に容赦が無かったり、アリシアお嬢様の耳に余計な情報を入れないようにするために、わたしからの情報を遮断させていたりと、今までの怖かった行動にも納得できる部分が多くなっていた。カラカラと配膳ワゴンを転がして、レジーナお嬢様よりも先にアリシアお嬢様の部屋の扉をノックして入る。
「アリシアお嬢様、お食事とカロリーナを持って参りました」
そっと食事を丁寧に置いた後に、わたしのことをゴロリと投げ捨てるみたいに机に置いた。
その後にお猪口よりも小さな鍋を持って、わたしたちの小さなメイド屋敷の方へと向かっていた。屋敷の前には姿勢を正したソフィアが立っているのがわかった。こうやってわたしたちの食事は運ばれてくるらしい。わたしたちがいつもお腹いっぱいになるくらい山盛りの量が入っている巨大鍋も、エミリアにとってはお猪口サイズで、とても小さく見えた。
「カロリーナ、よそ見してどうしましたの?」
屋敷の方を見ていると、アリシアお嬢様が心配そうに声をかけてくれる。
「いえ、ちょっと考え事をしていました」
「大丈夫ですの? まさか、エミリアに意地悪されたんじゃ……!」
「あ、いえ、意地悪されたわけじゃ……」
アリシアお嬢様が、丁寧にお猪口サイズの鍋をソフィアに手渡しているエミリアの後ろ姿を凄い形相で睨んでいる。エミリアはわたしを机に置く時とは比にならないくらいソフィアに対しては丁寧に鍋を渡していた。それに、信じられないことに、あのエミリアが小さなソフィアよりも視線を下げて、しゃがんで頭を下げた状態で手渡しているのだ。そんな普段のエミリアからは信じられないような姿をみてしまって、ぼんやりしてしまっていた。
まあ、実際にメイド研修ではエミリアに意地悪されてはいるから、そこは否定はできないけれど、少なくとも今ぼんやりしていたのは珍しいエミリアの姿を目撃したことが理由だった。
だんだんとエミリアのことは意地悪なメイドから真面目なメイドに私の中では変わっていっていた。だから、エミリアが真面目なソフィアに懐いているのは、かなり納得できた。
「意地悪されてないんだったら、いいですわ……」
心配そうにアリシアお嬢様がわたしを見つめている。その横で、エミリアがアリシアお嬢様に頭を下げる。
「1時間ほどしたらお皿を下げに参ります。ごゆっくりお食事をどうぞ」
「ありがとうですの」
少し不機嫌そうにアリシアお嬢様がエミリアにお礼を言う。
アリシアお嬢様のお食事が1時間、その間小さなメイド屋敷の中では、わたしたち手乗りメイドは、重い鍋を運び、食事を机に並べて、みんなで食事をして、片付けていた。そこまでの動作を1時間で済ませなければならないから、食事時間はきっちり30分と短い時間だったのかと納得する。食事で30分、準備、後片付けで30分、そうしないとエミリアが配膳をしてくれないから厳密に時間を守らされていたらしい。
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