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Ⅱ 専属メイド
巨大な侵入者 1
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「ねえ、カロリーナ、あなたに前も言ったわよね? 不要な探究心を持たないでって」
人間サイズに戻っているベイリーが手のひらサイズのわたしのことを手足ごとギュッと手のひらで握って身動きを取れないように拘束していた。
「ベ、ベイリーさん、やめてください……」
わたしは喉の奥から声を振り絞った。
「いいえ、あなたのことを簡単に解放するわけにはいきません」
パッと手を離されて、スッと一瞬で絨毯の上に落とされる。そして、腰に手を当てたベイリーがジッとこちらを見下ろす。
「さて、どうやって嬲ってやろうかしら」
「や、やめてください……」
涙声は出しているけれど、涙は出ていなかった。
「そうね、今日はじっくり踏み潰すわ。この間は一瞬で終わらせちゃってつまらなかったから」
ベイリーがメイド用のヒールシューズを履いた足を上げた。それだけで倉庫みたいに大きなシューズが簡単に持ち上がり、わたしの上に影を作る。悲鳴を出したいのに、恐怖心から声は全く出なかった。喉がつっかえているみたいに、ヒューヒューと小さな音が出ているだけだった。
「じゃあね」と声があってから、ギュッとわたしの上にシューズが乗っかる。お腹から下の辺りをシューズに踏まれていた。思ったよりも重みがないのは、きっとじっくり潰すために初めは体重をかけていないからだと思う。ゆっくりゆっくりと重みをかけていかれて、やがて……。そんな恐ろしいことを考えていたら、いつの間にかベイリーの声は、別の声に変わっていた。もっと高くて幼い声。
「カロリーナ、大丈夫?」
「カロリーナ、苦しそう」
今度は巨大なキャンディとメロディが2人して覗くようにわたしのことを見下ろしていた。
相変わらず動けないのは、押さえつけているのが、ベイリーのシューズからキャンディの手の平に変わっていたから。心配してくれているのはありがたいけれど、巨大な手のひらに下半身を押さえつけられているから、苦しいのは変わらない。
「ねえ、退けてもらっていい……?」
「ダメだよ」
「退かないよ」
聞き分けの悪い2人に向かって大きな声でやめてもらおうと伝える。
「さっきからみんな、やめてってば! なんでみんな元の大きさに戻ってるのに、わたしだけ小さいままなのよ!」
勢いよく起き上がった瞬間に、何故か頭をぶつけた。周囲を見て、状況を理解したのと同時に、キャンディとメロディの泣き声が聞こえた。
「痛いよぉ」
「怖いよぉ」
部屋の中にいるメロディとキャンディはいつも通りカロリーナよりも小さな子どもだった。ゴロンとカロリーナのベッドの上で転がって泣いていた。
「カロリーナが頭をぶつけてきたよぉ!」
「カロリーナに怒られたよぉ!」
2人の状況を見て、察した。多分、キャンディとメロディが眠っているわたしの上に無邪気に乗っかって起こそうとしていたのだ。その重みがベイリーのシューズやキャンディの手のひらに夢の中で変わっていたみたいだ。そして、勢いよく起き上がった時に2人に頭をぶつけてしまったらしい。
「えっと……。ごめんね……」
「良いよ……」
「許すよ……」
大泣きしながら許してもらえたけれど、あんまり許されている感じはしなかった。リオナが来たらきっと怒られてしまうから、さっさと泣き止ませないといけないと思って、両方の手でそれぞれの頭を撫でて宥める。
「痛いの痛いの飛んでいけ~」
そんな呪文を3回くらい口にしていると、2人はあっさり泣き止んだ。
「治った! ……気がする」
「痛くない! ……気がする」
「カロリーナ、すごい!」
「カロリーナ、偉い!」
泣き止んでから、立ち上がり、元気にわたしの手を引っ張って、体を起こさせた。
「朝ご飯だよ!」
「早く行こ!」
はいはい、と言って、のんびりと立ち上がった。今日もまた平和な朝だったことにホッとしたのだった。
人間サイズに戻っているベイリーが手のひらサイズのわたしのことを手足ごとギュッと手のひらで握って身動きを取れないように拘束していた。
「ベ、ベイリーさん、やめてください……」
わたしは喉の奥から声を振り絞った。
「いいえ、あなたのことを簡単に解放するわけにはいきません」
パッと手を離されて、スッと一瞬で絨毯の上に落とされる。そして、腰に手を当てたベイリーがジッとこちらを見下ろす。
「さて、どうやって嬲ってやろうかしら」
「や、やめてください……」
涙声は出しているけれど、涙は出ていなかった。
「そうね、今日はじっくり踏み潰すわ。この間は一瞬で終わらせちゃってつまらなかったから」
ベイリーがメイド用のヒールシューズを履いた足を上げた。それだけで倉庫みたいに大きなシューズが簡単に持ち上がり、わたしの上に影を作る。悲鳴を出したいのに、恐怖心から声は全く出なかった。喉がつっかえているみたいに、ヒューヒューと小さな音が出ているだけだった。
「じゃあね」と声があってから、ギュッとわたしの上にシューズが乗っかる。お腹から下の辺りをシューズに踏まれていた。思ったよりも重みがないのは、きっとじっくり潰すために初めは体重をかけていないからだと思う。ゆっくりゆっくりと重みをかけていかれて、やがて……。そんな恐ろしいことを考えていたら、いつの間にかベイリーの声は、別の声に変わっていた。もっと高くて幼い声。
「カロリーナ、大丈夫?」
「カロリーナ、苦しそう」
今度は巨大なキャンディとメロディが2人して覗くようにわたしのことを見下ろしていた。
相変わらず動けないのは、押さえつけているのが、ベイリーのシューズからキャンディの手の平に変わっていたから。心配してくれているのはありがたいけれど、巨大な手のひらに下半身を押さえつけられているから、苦しいのは変わらない。
「ねえ、退けてもらっていい……?」
「ダメだよ」
「退かないよ」
聞き分けの悪い2人に向かって大きな声でやめてもらおうと伝える。
「さっきからみんな、やめてってば! なんでみんな元の大きさに戻ってるのに、わたしだけ小さいままなのよ!」
勢いよく起き上がった瞬間に、何故か頭をぶつけた。周囲を見て、状況を理解したのと同時に、キャンディとメロディの泣き声が聞こえた。
「痛いよぉ」
「怖いよぉ」
部屋の中にいるメロディとキャンディはいつも通りカロリーナよりも小さな子どもだった。ゴロンとカロリーナのベッドの上で転がって泣いていた。
「カロリーナが頭をぶつけてきたよぉ!」
「カロリーナに怒られたよぉ!」
2人の状況を見て、察した。多分、キャンディとメロディが眠っているわたしの上に無邪気に乗っかって起こそうとしていたのだ。その重みがベイリーのシューズやキャンディの手のひらに夢の中で変わっていたみたいだ。そして、勢いよく起き上がった時に2人に頭をぶつけてしまったらしい。
「えっと……。ごめんね……」
「良いよ……」
「許すよ……」
大泣きしながら許してもらえたけれど、あんまり許されている感じはしなかった。リオナが来たらきっと怒られてしまうから、さっさと泣き止ませないといけないと思って、両方の手でそれぞれの頭を撫でて宥める。
「痛いの痛いの飛んでいけ~」
そんな呪文を3回くらい口にしていると、2人はあっさり泣き止んだ。
「治った! ……気がする」
「痛くない! ……気がする」
「カロリーナ、すごい!」
「カロリーナ、偉い!」
泣き止んでから、立ち上がり、元気にわたしの手を引っ張って、体を起こさせた。
「朝ご飯だよ!」
「早く行こ!」
はいはい、と言って、のんびりと立ち上がった。今日もまた平和な朝だったことにホッとしたのだった。
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