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Ⅰ 手乗りサイズの新米メイド
パトリシアⅡ 7
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「ベイリーさん、パトリシアお嬢様が小さくなっていってます……!」
「え?」とベイリーが驚いて立ち止まる。パトリシアお嬢様は本来、ベイリーよりも背は高いはず。それなのに、今パトリシアお嬢様はベイリーどころかソフィアよりも小柄に見えた。しかもこの話をしている間にも、どんどん小さくなっていっている。
「い、一度止まってください!」
「まずいわね。明らかに軽くなっているもの! ソフィア、早くパトリシアお嬢様を抱いてあげて! わたし落としちゃうわ!」
元々背の高いパトリシアお嬢様を背負うような姿勢でおんぶをしていたから、パトリシアお嬢様が小さくなっていくにつれて、ベイリーが背負いにくそうにしている。パトリシアお嬢様が小さくなっていっていることに、もちろん不安はあるけれど、今はとにかくパトリシアお嬢様を抱えに行かないと。
すでに猫くらいのサイズになってしまっているし、もっと小さくなってしまうと、きっとベイリーの肩の高さはビルみたいに大きく感じられるだろうから、そこから落ちたら大変なことになってしまう。慌てて両手でソッと抱きしめた時には、すでにパトリシアお嬢様がハムスターのようなサイズになっていた。両手で優しく持ったけれど、ソフィアの手の中でさらに小さくなっていく。
「パトリシアお嬢様……」
どこまで小さくなっていくのかわからなかった。もし、このまま見えないくらい小さくなってしまったらどうしようかと思うと、涙が溢れてしまう。けれど、その涙はきっと気を失っているパトリシアお嬢様の顔にかかったら溺れてしまうような多量だろうから、必死に堪えた。
こんな不思議な現象を起こせるのはベイリーくらいだと思ったから、本当はベイリーのことを責めないといけなかった。けれど、顔を真っ青にして、歯をガタガタ震わせて、瞳から涙を溢しているベイリーのことをこの状況で責めるほど、ソフィアはベイリーのことが嫌いではなかった。
「解除の方法は知っているのですか?」
「知らないわよ……。知ってたらすぐにでも解除するわ。それに、そもそも原因がわからないんじゃ、何もしようがないもの……。とりあえず、今はパトリシアお嬢様を見失わないようにして……」
弱々しい声でベイリーが指示をする。どこまで小さくなるか分からない以上、見失うことが一番恐ろしい。とにかくジッと目を凝らしていると、8センチ程の大きさで止まった。
「とりあえず、止まってくれたみたいですけど……」
「もうちょっと様子を見ておいた方がいいわ。パトリシアお嬢様が小さすぎて、体の大きさが変わっていても気づかないだけかもしれない。わたしたちと、今のパトリシアお嬢様とではサイズに対する感覚が違うから」
「わたしたちが20センチ小さくなったら一瞬で気づきますけれど、同じ割合でもパトリシアお嬢様が1センチ小さくなっただけでは気付かないかもしれない、と言うことですか……」
ベイリーが静かに頷いた。
それから1時間ほど、ソフィアは手のひらの上でパトリシアお嬢様の様子を見守っていた。ずっと緊張感を持っていたから、手汗でパトリシアお嬢様の綺麗なドレスも濡れているのが申し訳なかった。けれど、手の上に乗せておかないと、見失うことがとても怖い。ベイリーも一緒にソフィアの手のひらの上のパトリシアお嬢様を見つめ続けていて、2人で小さなパトリシアお嬢様を目を凝らして見つめていたのだった。
「一応、ここからは動きはないと思って問題ないと思う。なんらかの魔法がかかって一度継続した動きが止まってからは、新たに魔力の干渉がなければ2、30分変化がなければまず大丈夫だと思うから」
「それは信じて良いんですね?」
ジッと瞳を見つめると、ベイリーが小さくため息をついた。
「過去の例から考えたらそれで間違いないわ。ただ、これは初めての事例だから……」
今度はソフィアがため息をついた。
「屋敷で魔法をかけるのも問題なのに、自分でかけた魔法にはせめて責任取ってくださいよ……」
「わ、わたしだって好きでかけたわけじゃないから!」
ベイリーが大きな声を出したら、その瞬間にソフィアの手のひらの上から小さな声がして、少し動きがあった。パトリシアお嬢様が起きたようだ。
「え?」とベイリーが驚いて立ち止まる。パトリシアお嬢様は本来、ベイリーよりも背は高いはず。それなのに、今パトリシアお嬢様はベイリーどころかソフィアよりも小柄に見えた。しかもこの話をしている間にも、どんどん小さくなっていっている。
「い、一度止まってください!」
「まずいわね。明らかに軽くなっているもの! ソフィア、早くパトリシアお嬢様を抱いてあげて! わたし落としちゃうわ!」
元々背の高いパトリシアお嬢様を背負うような姿勢でおんぶをしていたから、パトリシアお嬢様が小さくなっていくにつれて、ベイリーが背負いにくそうにしている。パトリシアお嬢様が小さくなっていっていることに、もちろん不安はあるけれど、今はとにかくパトリシアお嬢様を抱えに行かないと。
すでに猫くらいのサイズになってしまっているし、もっと小さくなってしまうと、きっとベイリーの肩の高さはビルみたいに大きく感じられるだろうから、そこから落ちたら大変なことになってしまう。慌てて両手でソッと抱きしめた時には、すでにパトリシアお嬢様がハムスターのようなサイズになっていた。両手で優しく持ったけれど、ソフィアの手の中でさらに小さくなっていく。
「パトリシアお嬢様……」
どこまで小さくなっていくのかわからなかった。もし、このまま見えないくらい小さくなってしまったらどうしようかと思うと、涙が溢れてしまう。けれど、その涙はきっと気を失っているパトリシアお嬢様の顔にかかったら溺れてしまうような多量だろうから、必死に堪えた。
こんな不思議な現象を起こせるのはベイリーくらいだと思ったから、本当はベイリーのことを責めないといけなかった。けれど、顔を真っ青にして、歯をガタガタ震わせて、瞳から涙を溢しているベイリーのことをこの状況で責めるほど、ソフィアはベイリーのことが嫌いではなかった。
「解除の方法は知っているのですか?」
「知らないわよ……。知ってたらすぐにでも解除するわ。それに、そもそも原因がわからないんじゃ、何もしようがないもの……。とりあえず、今はパトリシアお嬢様を見失わないようにして……」
弱々しい声でベイリーが指示をする。どこまで小さくなるか分からない以上、見失うことが一番恐ろしい。とにかくジッと目を凝らしていると、8センチ程の大きさで止まった。
「とりあえず、止まってくれたみたいですけど……」
「もうちょっと様子を見ておいた方がいいわ。パトリシアお嬢様が小さすぎて、体の大きさが変わっていても気づかないだけかもしれない。わたしたちと、今のパトリシアお嬢様とではサイズに対する感覚が違うから」
「わたしたちが20センチ小さくなったら一瞬で気づきますけれど、同じ割合でもパトリシアお嬢様が1センチ小さくなっただけでは気付かないかもしれない、と言うことですか……」
ベイリーが静かに頷いた。
それから1時間ほど、ソフィアは手のひらの上でパトリシアお嬢様の様子を見守っていた。ずっと緊張感を持っていたから、手汗でパトリシアお嬢様の綺麗なドレスも濡れているのが申し訳なかった。けれど、手の上に乗せておかないと、見失うことがとても怖い。ベイリーも一緒にソフィアの手のひらの上のパトリシアお嬢様を見つめ続けていて、2人で小さなパトリシアお嬢様を目を凝らして見つめていたのだった。
「一応、ここからは動きはないと思って問題ないと思う。なんらかの魔法がかかって一度継続した動きが止まってからは、新たに魔力の干渉がなければ2、30分変化がなければまず大丈夫だと思うから」
「それは信じて良いんですね?」
ジッと瞳を見つめると、ベイリーが小さくため息をついた。
「過去の例から考えたらそれで間違いないわ。ただ、これは初めての事例だから……」
今度はソフィアがため息をついた。
「屋敷で魔法をかけるのも問題なのに、自分でかけた魔法にはせめて責任取ってくださいよ……」
「わ、わたしだって好きでかけたわけじゃないから!」
ベイリーが大きな声を出したら、その瞬間にソフィアの手のひらの上から小さな声がして、少し動きがあった。パトリシアお嬢様が起きたようだ。
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