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Ⅰ 手乗りサイズの新米メイド
入浴と秘密と 3
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「あの、アリシアお嬢様。まず、わたしの大きさのことなんですけれど……」
恐る恐る、伝えるべきことを話し始める。わたしの声はアリシアお嬢様の耳の中に響いていたけれど、外にはほとんど聞こえていないようだ。
わたしの言葉が途切れたのを確認してから、アリシアお嬢様はわたしのお腹の辺りを親指と人差し指でベルトみたいにして器用に摘んで、口の前に持ってくる。アリシアお嬢様の艶やかな唇を目の前にして、とても緊張してしまう。
わたしの心臓の鼓動が速まっているのも気にせず、アリシアお嬢様はとても小さな声で囁いた。視界いっぱいに広がるアリシアお嬢様の唇が動き始める。呼吸しているのと変わらないくらい小さな声で、小さなわたしの耳に言葉を吹き込んだ。
"カロリーナは可愛らしいから、小人さんか妖精さんの種族と思ってましたけど、違いますの?"
吐息が吹きかかり、わたしの体はひんやりとする。
ただ呼吸をしているだけのような話し方だから、言葉に抑揚はないけれど、不思議がっていることはわかった。アリシアお嬢様は、わたしのことを再び耳元に連れていく。わたしはまた、アリシアお嬢様の耳という空洞に向けて話しかけた。
「違います。わたしは元々アリシアお嬢様と同じくらいの身長でした」
お互いに時間を空けながら言葉を発しているから、会話のテンポは悪くなってしまっていて、定型文みたいになってしまってぎこちない。けれど、ようやくわたしはアリシアお嬢様に事実を伝えることができている。
わたしの言葉を聞いたアリシアお嬢様が一瞬深呼吸をしてから、再びわたしを口の前に持ってくる。
"ソフィアやベイリーと同じというわけですわね……。カロリーナも、どうして小さくなったかとか、どうやって小さくなったかとかはわかりませんのね?"
ソフィアとベイリーが小さくされたということを知っているのは、きっと彼女たちが長年勤めているメイドだから。アリシアお嬢様は元の大きさのときから世話をしてもらっていたのだと思う。
アリシアお嬢様は、またわたしを耳元に持っていく。いちいち肩に乗せるのが面倒臭いからか、手でわたしを持ったまま、耳に近づけている。足が宙に浮いているから、耳の穴に顔を突っ込むような形になっていた。
先ほどよりも少し大きな声でも外には聞こえなさそうだから、悲しそうな声で、感情までしっかりと伝えて、訴えかけた。
「何もわかりません……。小さくなった時のことは何も……。ただ、早く元の大きさに戻りたいです……」
わたしの言葉を聞いたら、アリシアお嬢様の手が震えた。そして、そのまま胸元にギュッと押し付けるように抱きしめられる。弾力のある肌に埋められると、心臓の音がはっきりと聞こえてきた。少し早いテンポで心音を刻んでいるのは、わたしも同じだった。
「かわいそうなカロリーナ!」
優しいアリシアお嬢様は、わたしにとても感情移入してくれている。そのせいで、発した声はヒソヒソ声ではなくなってしまっていて、今にも泣き出しそうなものになっていた。
普通の大きさの声になってしまっていたせいで、わたしにしか聞こえない声ではなくなってしまっていたらしい。ガラリと扉を開けて、エミリアがバスルームに入ってくる。
その瞬間に慌てたアリシアお嬢様はわたしのことをギュッと胸に押し付けてしまった。アリシアお嬢様の手の強い力が加わってしまったせいで、わたしは身動きが取れなくなってしまった。
「痛いからやめてぇ」と声を出したけど、口元もしっかり乳房に押し付けられている状態では、アリシアお嬢様に声は届いていなかったらしい。圧迫感で苦しい中で、わたしはエミリアとアリシアお嬢様の会話を聞くことになった。
恐る恐る、伝えるべきことを話し始める。わたしの声はアリシアお嬢様の耳の中に響いていたけれど、外にはほとんど聞こえていないようだ。
わたしの言葉が途切れたのを確認してから、アリシアお嬢様はわたしのお腹の辺りを親指と人差し指でベルトみたいにして器用に摘んで、口の前に持ってくる。アリシアお嬢様の艶やかな唇を目の前にして、とても緊張してしまう。
わたしの心臓の鼓動が速まっているのも気にせず、アリシアお嬢様はとても小さな声で囁いた。視界いっぱいに広がるアリシアお嬢様の唇が動き始める。呼吸しているのと変わらないくらい小さな声で、小さなわたしの耳に言葉を吹き込んだ。
"カロリーナは可愛らしいから、小人さんか妖精さんの種族と思ってましたけど、違いますの?"
吐息が吹きかかり、わたしの体はひんやりとする。
ただ呼吸をしているだけのような話し方だから、言葉に抑揚はないけれど、不思議がっていることはわかった。アリシアお嬢様は、わたしのことを再び耳元に連れていく。わたしはまた、アリシアお嬢様の耳という空洞に向けて話しかけた。
「違います。わたしは元々アリシアお嬢様と同じくらいの身長でした」
お互いに時間を空けながら言葉を発しているから、会話のテンポは悪くなってしまっていて、定型文みたいになってしまってぎこちない。けれど、ようやくわたしはアリシアお嬢様に事実を伝えることができている。
わたしの言葉を聞いたアリシアお嬢様が一瞬深呼吸をしてから、再びわたしを口の前に持ってくる。
"ソフィアやベイリーと同じというわけですわね……。カロリーナも、どうして小さくなったかとか、どうやって小さくなったかとかはわかりませんのね?"
ソフィアとベイリーが小さくされたということを知っているのは、きっと彼女たちが長年勤めているメイドだから。アリシアお嬢様は元の大きさのときから世話をしてもらっていたのだと思う。
アリシアお嬢様は、またわたしを耳元に持っていく。いちいち肩に乗せるのが面倒臭いからか、手でわたしを持ったまま、耳に近づけている。足が宙に浮いているから、耳の穴に顔を突っ込むような形になっていた。
先ほどよりも少し大きな声でも外には聞こえなさそうだから、悲しそうな声で、感情までしっかりと伝えて、訴えかけた。
「何もわかりません……。小さくなった時のことは何も……。ただ、早く元の大きさに戻りたいです……」
わたしの言葉を聞いたら、アリシアお嬢様の手が震えた。そして、そのまま胸元にギュッと押し付けるように抱きしめられる。弾力のある肌に埋められると、心臓の音がはっきりと聞こえてきた。少し早いテンポで心音を刻んでいるのは、わたしも同じだった。
「かわいそうなカロリーナ!」
優しいアリシアお嬢様は、わたしにとても感情移入してくれている。そのせいで、発した声はヒソヒソ声ではなくなってしまっていて、今にも泣き出しそうなものになっていた。
普通の大きさの声になってしまっていたせいで、わたしにしか聞こえない声ではなくなってしまっていたらしい。ガラリと扉を開けて、エミリアがバスルームに入ってくる。
その瞬間に慌てたアリシアお嬢様はわたしのことをギュッと胸に押し付けてしまった。アリシアお嬢様の手の強い力が加わってしまったせいで、わたしは身動きが取れなくなってしまった。
「痛いからやめてぇ」と声を出したけど、口元もしっかり乳房に押し付けられている状態では、アリシアお嬢様に声は届いていなかったらしい。圧迫感で苦しい中で、わたしはエミリアとアリシアお嬢様の会話を聞くことになった。
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