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Ⅰ 手乗りサイズの新米メイド
入浴と秘密と 1
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アリシアお嬢様がエミリアに服を脱がしてもらっている間、わたしは脱衣所の床で静かにメイド服を脱いで畳んでいた。
「本当にアリシアお嬢様と一緒に入るの……?」
誰にも聞こえないような小さな声で不安いっぱいに呟きながら上を見ると、エミリアが手際よく巨大なアリシアお嬢様の服を脱がしていた。ドレスはハンガーにかけるから床には置かないけれど、下着はドサドサとわたしの近くに平気で置いていくから、下敷きにならないように気をつけなければならない。
纏っているものを少しずつ減らしていっているアリシアお嬢様は、日焼けを一切していない、白くて柔らかそうな肌を露出させていく。その全てが広大で、圧倒的だった。
「さ、早く入りますわ」としゃがんだアリシアお嬢様は、わたしのことをソッと両手で上下から優しく包み込む。アリシアお嬢様の手のひらが、小さなテントとか秘密基地みたいな空間を作り出していた。ほんのり開いた指の間からだけうっすらとした光が入ってきている。
エミリアが開けてくれたバスルームの扉をゆっくりと通っているようだ。脱衣所とバスルームを超えた辺りから、アリシアお嬢様の手のひらテントの湿度が一気に上昇する。まるでサウナみたいになってしまっている手の中で、わたしは汗を拭う。アリシアお嬢様が歩くたびに、足元の方から水の音が聞こえていた。
「エミリアは入らないでほしいですの!」
突如、反響して聞こえるアリシアお嬢様の叫び声。室内にエミリアが入ろうとしていたようだ。
「ですが、これはレジーナお嬢様からのご命令で……」
エミリアが弱い口調で反論する。
「先ほども言いましたけれど、あなたの大好きなソフィアとベイリーなら、仮にそんな命令をされても、バスルームまでは入って来ませんわ。それともエミリアもわたくしのことはこの家の令嬢とは思っていないと、そう言いたいということですの?」
アリシアお嬢様の言葉の終わりの方にはかなり強めの毒が感じられた。
エミリアも、と言っていたけれど、ソフィアやベイリーを始め、わたしたちは間違いなくアリシアお嬢様のことをこの家の令嬢と思っているつもりなのだけれど、伝わっていないのだろうかと不安になった。
今まで聞いたことのないようなアリシアお嬢様の怖い声に、手の中のわたしまで背筋を震わせてしまう。当然、直接言葉を向けられたエミリアはこれ以上何も言えなくなっていた。少しの間を置いてから、「大変失礼致しました」とだけ言って、バスルームの扉が閉まった音がした。
「ただ、脱衣所には居させて頂きますので。これ以上の譲歩はいくらアリシアお嬢様相手とはいえ、できません。わたしはあくまでもレジーナお嬢様の面倒を見ているメイドですので」
「わかりましたわ。でも、頭の固いメイドは嫌いですの」
捨て台詞を吐いた後、アリシアお嬢様はゆっくりと手のひらを開きながら、一転して優しい声でわたしに語りかける。
「さ、カロリーナ。お風呂ですわ!」
アリシアお嬢様の手という壁は無くなったから、てっきり周囲がしっかり見渡せるかと思ったのに、湯気が辺りに充満していて、全く見えそうになかった。かろうじて音の響き方から広いお風呂であることは想像できたけれど、よく考えたら今のわたしにとっては普通のバスタブだって大浴場レベルだから、大きさの判断なんてできないかもしれない。まあ、バスタブまでそれなりに歩いていたようだから、一般家庭用のバスルームよりもはずっと広そうだけど。
アリシアお嬢様が、わたしを流さないように気をつけながら軽く体を流した後にバスタブに浸かり、手のひらを少しだけお湯につける。わたしは彼女の手のひらの上に乗せられて、簡易的に小さなバスタブを作ってもらった。わたしの周りは湯気で濃霧のようになっているから、アリシアお嬢様の顔はほとんど見えなかった。両膝を三角に立てて座り、その膝の上に手のひらを置いているから、わたしの正面にはアリシアお嬢様の胸の辺りがちょうど見えるようになっていた。
「おっきい……」
ちょっとした山みたいに大きなアリシアお嬢様のバストを見て、思わず口から漏れた。湯気でできた濃霧によってしっかりと見えていないせいもあって、なんだか本当に自然の一部みたいに見えている。元々アリシアお嬢様の身長はわたしよりも遥かに大きいのだけれど、きっと同じくらいの身長でも圧倒されていたに違いない。わたしは自分の胸元をチラッと見た。
「うん、完全に負けてるな……」
わたしの小さなため息は、アリシアお嬢様がちょっと動いた際に生じた小さな波の音によってかき消されてしまった。
「本当にアリシアお嬢様と一緒に入るの……?」
誰にも聞こえないような小さな声で不安いっぱいに呟きながら上を見ると、エミリアが手際よく巨大なアリシアお嬢様の服を脱がしていた。ドレスはハンガーにかけるから床には置かないけれど、下着はドサドサとわたしの近くに平気で置いていくから、下敷きにならないように気をつけなければならない。
纏っているものを少しずつ減らしていっているアリシアお嬢様は、日焼けを一切していない、白くて柔らかそうな肌を露出させていく。その全てが広大で、圧倒的だった。
「さ、早く入りますわ」としゃがんだアリシアお嬢様は、わたしのことをソッと両手で上下から優しく包み込む。アリシアお嬢様の手のひらが、小さなテントとか秘密基地みたいな空間を作り出していた。ほんのり開いた指の間からだけうっすらとした光が入ってきている。
エミリアが開けてくれたバスルームの扉をゆっくりと通っているようだ。脱衣所とバスルームを超えた辺りから、アリシアお嬢様の手のひらテントの湿度が一気に上昇する。まるでサウナみたいになってしまっている手の中で、わたしは汗を拭う。アリシアお嬢様が歩くたびに、足元の方から水の音が聞こえていた。
「エミリアは入らないでほしいですの!」
突如、反響して聞こえるアリシアお嬢様の叫び声。室内にエミリアが入ろうとしていたようだ。
「ですが、これはレジーナお嬢様からのご命令で……」
エミリアが弱い口調で反論する。
「先ほども言いましたけれど、あなたの大好きなソフィアとベイリーなら、仮にそんな命令をされても、バスルームまでは入って来ませんわ。それともエミリアもわたくしのことはこの家の令嬢とは思っていないと、そう言いたいということですの?」
アリシアお嬢様の言葉の終わりの方にはかなり強めの毒が感じられた。
エミリアも、と言っていたけれど、ソフィアやベイリーを始め、わたしたちは間違いなくアリシアお嬢様のことをこの家の令嬢と思っているつもりなのだけれど、伝わっていないのだろうかと不安になった。
今まで聞いたことのないようなアリシアお嬢様の怖い声に、手の中のわたしまで背筋を震わせてしまう。当然、直接言葉を向けられたエミリアはこれ以上何も言えなくなっていた。少しの間を置いてから、「大変失礼致しました」とだけ言って、バスルームの扉が閉まった音がした。
「ただ、脱衣所には居させて頂きますので。これ以上の譲歩はいくらアリシアお嬢様相手とはいえ、できません。わたしはあくまでもレジーナお嬢様の面倒を見ているメイドですので」
「わかりましたわ。でも、頭の固いメイドは嫌いですの」
捨て台詞を吐いた後、アリシアお嬢様はゆっくりと手のひらを開きながら、一転して優しい声でわたしに語りかける。
「さ、カロリーナ。お風呂ですわ!」
アリシアお嬢様の手という壁は無くなったから、てっきり周囲がしっかり見渡せるかと思ったのに、湯気が辺りに充満していて、全く見えそうになかった。かろうじて音の響き方から広いお風呂であることは想像できたけれど、よく考えたら今のわたしにとっては普通のバスタブだって大浴場レベルだから、大きさの判断なんてできないかもしれない。まあ、バスタブまでそれなりに歩いていたようだから、一般家庭用のバスルームよりもはずっと広そうだけど。
アリシアお嬢様が、わたしを流さないように気をつけながら軽く体を流した後にバスタブに浸かり、手のひらを少しだけお湯につける。わたしは彼女の手のひらの上に乗せられて、簡易的に小さなバスタブを作ってもらった。わたしの周りは湯気で濃霧のようになっているから、アリシアお嬢様の顔はほとんど見えなかった。両膝を三角に立てて座り、その膝の上に手のひらを置いているから、わたしの正面にはアリシアお嬢様の胸の辺りがちょうど見えるようになっていた。
「おっきい……」
ちょっとした山みたいに大きなアリシアお嬢様のバストを見て、思わず口から漏れた。湯気でできた濃霧によってしっかりと見えていないせいもあって、なんだか本当に自然の一部みたいに見えている。元々アリシアお嬢様の身長はわたしよりも遥かに大きいのだけれど、きっと同じくらいの身長でも圧倒されていたに違いない。わたしは自分の胸元をチラッと見た。
「うん、完全に負けてるな……」
わたしの小さなため息は、アリシアお嬢様がちょっと動いた際に生じた小さな波の音によってかき消されてしまった。
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