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Ⅰ 手乗りサイズの新米メイド
豪華な晩御飯 1
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ソフィアとの話を終えて、わたしは一人で椅子に座って、元の大きさに戻る方法を考えていた。
「とりあえず、アリシアお嬢様が一番頼りになりそうだなぁ……。けど、メイドとしてお嬢様を使って捜索するなんてルール違反な気もするし……」
頭を悩ませていると、コンコンとノックの音がする。入ってきたのは、先ほど部屋から出て行ったばかりのソフィアだった。
「どうしたんですか?」
「お呼び出しですよ」
「アリシアお嬢様ですか!?」
ソフィアが小さく頷くのを見て、わたしは席から飛び上がるようにして立ち上がってしまった。わたしに優しくキスをしてくれたアリシアお嬢様とまた会えるなんてドキドキしてきた。しかも、昔顔を合わせたことまであると知ってからは俄然親近感がわいてくる。
つい数日前までは、綺麗だけど得体の知れない巨人だったアリシアお嬢様は、すっかりわたしの中では好感度たっぷりの愛らしいお嬢様になっていた。
早く会いたいから、階段を駆け降りる。きっと、この間キャンディやメロディと一緒に会った時に話したお茶会をするのだろう。ルンルンで階段を降りるわたしに水を差すように2階から声をかけられた。
「ただ、問題は今から晩ご飯なのですよね」
「えぇっ!?」
わたしたちの食事時間は30分と決まっている。その時間に融通は利かせられないらしい。きっとアリシアお嬢様のお呼び出しに対応していたら30分では戻ってこれない。つまり、このままではわたしは食事を食いっぱぐれてしまう。
「アリシアお嬢様ってわたしたちの食事の時間を知らないんじゃ……」
「一応知ってはいるのですが、それでもなおカロリーナさんと会いたいみたいですね」
「ご飯食べ損ねちゃうじゃないですか!?」
「まあ、一食くらい食べなくても大丈夫ですよ」
ソフィアは他人事みたいに笑った。
「大丈夫じゃないですよ! わたし、ご飯食べるのすっごい楽しみなんですからぁ!」
わたしが頬を膨らませて睨んだら、ソフィアも階段を降りてきて、笑いながらわたしの膨らませている頬を突いてきた。
「わ、笑い事じゃないですよ!」
「冗談ですよ。相手はアリシアお嬢様なのですから。ご飯を食べさせないなんて意地悪はしませんよ」
「え、でも……」
現にご飯の時間に呼び出されているのだけれど……。
「アリシアお嬢様はカロリーナさんと一緒に晩御飯を食べたいらしいのですよ」
「一緒に晩御飯?」
「ええ。アリシアお嬢様がわたしたちの誰かと一緒にご飯を食べたがるなんて珍しいですけど」
ソフィアがクスッと笑った。
「アリシアお嬢様は必要以上に誰かと関わろうとしないのですが、カロリーナさんは年も近いし、気に入ってもらえたのかもしれませんね」
「そうだと良いんですけど」
とりあえず、晩御飯は食いっぱぐれなさそうで安心した。わたしは苦笑してから、屋敷を出る。
家の外から見る外壁みたいに巨大なメイド服に威圧されながら、また恐る恐るエミリアの元に近づいていく。威圧的に黒目だけを下に向けて見下ろしてくる視線はやっぱり苦手だった。普通にしていたらスタイルの良い黒髪少女なのだろうけど、エミリアはアリシアお嬢様とは違って、わたしたちのことは雑に扱うから怖かった。
黙って出された手にさっさと乗ってしまう。時間をかけ過ぎるとまた適当に足だけもたれて逆さまに掴まれてしまうかもしれない。わたしを容易に乗せてしまうこの大きな手も、きっと同じサイズ感で見たらほっそりとした綺麗な指なのだろう。怖い巨大メイドエミリアに無言で運ばれてやってきたのは、いつものアリシアお嬢様が使っている勉強机とは違う場所だった。
部屋の中には変わりないけれど、部屋の中央の方に置いてある、2人で向かい合って使えるくらいのサイズのテーブル。その片側にアリシアお嬢様は一人で座っていた。背筋を伸ばして俯きながら、まるでエミリアと視線を合わせたくないみたいに、机の上に置いてあるステーキを見つめている。分厚いお肉で焼かれたステーキの肉厚はわたしの腰の高さくらいまでありそうだった。
「とりあえず、アリシアお嬢様が一番頼りになりそうだなぁ……。けど、メイドとしてお嬢様を使って捜索するなんてルール違反な気もするし……」
頭を悩ませていると、コンコンとノックの音がする。入ってきたのは、先ほど部屋から出て行ったばかりのソフィアだった。
「どうしたんですか?」
「お呼び出しですよ」
「アリシアお嬢様ですか!?」
ソフィアが小さく頷くのを見て、わたしは席から飛び上がるようにして立ち上がってしまった。わたしに優しくキスをしてくれたアリシアお嬢様とまた会えるなんてドキドキしてきた。しかも、昔顔を合わせたことまであると知ってからは俄然親近感がわいてくる。
つい数日前までは、綺麗だけど得体の知れない巨人だったアリシアお嬢様は、すっかりわたしの中では好感度たっぷりの愛らしいお嬢様になっていた。
早く会いたいから、階段を駆け降りる。きっと、この間キャンディやメロディと一緒に会った時に話したお茶会をするのだろう。ルンルンで階段を降りるわたしに水を差すように2階から声をかけられた。
「ただ、問題は今から晩ご飯なのですよね」
「えぇっ!?」
わたしたちの食事時間は30分と決まっている。その時間に融通は利かせられないらしい。きっとアリシアお嬢様のお呼び出しに対応していたら30分では戻ってこれない。つまり、このままではわたしは食事を食いっぱぐれてしまう。
「アリシアお嬢様ってわたしたちの食事の時間を知らないんじゃ……」
「一応知ってはいるのですが、それでもなおカロリーナさんと会いたいみたいですね」
「ご飯食べ損ねちゃうじゃないですか!?」
「まあ、一食くらい食べなくても大丈夫ですよ」
ソフィアは他人事みたいに笑った。
「大丈夫じゃないですよ! わたし、ご飯食べるのすっごい楽しみなんですからぁ!」
わたしが頬を膨らませて睨んだら、ソフィアも階段を降りてきて、笑いながらわたしの膨らませている頬を突いてきた。
「わ、笑い事じゃないですよ!」
「冗談ですよ。相手はアリシアお嬢様なのですから。ご飯を食べさせないなんて意地悪はしませんよ」
「え、でも……」
現にご飯の時間に呼び出されているのだけれど……。
「アリシアお嬢様はカロリーナさんと一緒に晩御飯を食べたいらしいのですよ」
「一緒に晩御飯?」
「ええ。アリシアお嬢様がわたしたちの誰かと一緒にご飯を食べたがるなんて珍しいですけど」
ソフィアがクスッと笑った。
「アリシアお嬢様は必要以上に誰かと関わろうとしないのですが、カロリーナさんは年も近いし、気に入ってもらえたのかもしれませんね」
「そうだと良いんですけど」
とりあえず、晩御飯は食いっぱぐれなさそうで安心した。わたしは苦笑してから、屋敷を出る。
家の外から見る外壁みたいに巨大なメイド服に威圧されながら、また恐る恐るエミリアの元に近づいていく。威圧的に黒目だけを下に向けて見下ろしてくる視線はやっぱり苦手だった。普通にしていたらスタイルの良い黒髪少女なのだろうけど、エミリアはアリシアお嬢様とは違って、わたしたちのことは雑に扱うから怖かった。
黙って出された手にさっさと乗ってしまう。時間をかけ過ぎるとまた適当に足だけもたれて逆さまに掴まれてしまうかもしれない。わたしを容易に乗せてしまうこの大きな手も、きっと同じサイズ感で見たらほっそりとした綺麗な指なのだろう。怖い巨大メイドエミリアに無言で運ばれてやってきたのは、いつものアリシアお嬢様が使っている勉強机とは違う場所だった。
部屋の中には変わりないけれど、部屋の中央の方に置いてある、2人で向かい合って使えるくらいのサイズのテーブル。その片側にアリシアお嬢様は一人で座っていた。背筋を伸ばして俯きながら、まるでエミリアと視線を合わせたくないみたいに、机の上に置いてあるステーキを見つめている。分厚いお肉で焼かれたステーキの肉厚はわたしの腰の高さくらいまでありそうだった。
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