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Ⅰ 入学
ビルみたいに大きなアイドルなんて見たことないでしょ? 2
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「その写真SNSにあげるの?」
「そのつもりだけど……。嫌だった?」
小鈴ちゃんが少し残念そうに言うから、わたしは首を横に振った。
「ううん、嬉しいけど、SNSやってるんだったら、アカウント教えて欲しいなって思っただけ」
「良いけど……」
小鈴ちゃんが少し困ったように頷いた。
「あんまり教えたくなかった?」
「そう言うわけじゃないわ。ただ……」
「ただ……?」
小鈴ちゃんが上目遣いでわたしのことをチラッと見てから、ため息をついた。
「わたしが大きいってこと、コメントに書いたりしないでよ?」
「そっか、小鈴ちゃん大きいのバレたくないんだもんね。別に書かないから大丈夫だよ」
わたしが親指を立ててバッチリと言う風に答えたけれど、小鈴ちゃんは疑いの目で見てくる。
「月乃はうっかり書いちゃいそうだから心配なのよ。悪気がなくても、『今度は車齧りながら撮ろうねw』くらい書きそうだから……」
「……うっかり書いちゃいそうなのは認めるけど、口の中に人が乗ってる車入れちゃいそうなくらいヤバいイメージなの……? いきなり巨大な女の子の口に入れられたら、車に乗ってる人が怖がっちゃうと思うけど」
わたしの答えを聞いて、小鈴ちゃんが頭を抱えた。
「そういうところよ! わたしは人が乗ってる車で、なんて言ってないのに……。月乃はなんか発想がサディストなのよね……」
「だ、だって、車って人が運転してるじゃん。道路を走っているところを金魚掬いの要領で手を車の速度に合わせて、ソッと捕まえて――」
「もうっ、この話は終わりよ! どんどん怪獣みたいな発想になってるから!」
小鈴ちゃんがわたしの想像を無理やり終わらせてしまった。動いている車を捕まえるのがゲームみたいでちょっと楽しそう、と心の中で思ったことは秘密である。そんなことを言ったら、また小鈴ちゃんが不機嫌になってしまいそうだから。
「ほんとにはしないよ……?」
「ほんとにしたら友達やめちゃうわよ!」
プイッと小鈴ちゃんが顔を背けた。小鈴ちゃんの反応に困りつつも、わたしは話題を変えるために、小鈴ちゃんに教えてもらったSNSに上げてもらった自分の写真を見てみた。
「このわたし、なんか可愛いね。加工上手だね」
元々美少女の小鈴ちゃんが可愛く写っているのは当然だけれど、わたしもなんだか可愛く見えた。画像加工の賜物だろうな。現代技術にありがたく思っていたら、小鈴ちゃんが「何言ってんのよ?」と呆れていた。
「加工なんてほとんどしてないんだから、これが月乃本来の可愛さよ? あんた鏡見たことないの?」
「確かに鏡はあんまり見ないけど……」
本当にほとんど加工をしていないのだとしたら、わたしは素の自分のことを可愛いとか言ってしまったということか……。さすがに恥ずかしいんだけど。俯いていたら、小鈴ちゃんが笑う。
「月乃が恥ずかしがってるの珍しいわね」
下から覗き込むようにしてわたしの顔を見てくるから、さらに恥ずかしくなる。
「嘘だよ、嘘。前言撤回! わたしは可愛くなくて、間違えて小鈴ちゃんの顔見て可愛いって言ったの!」
「自分の顔とわたしの顔間違えるのは、さすがに無理があるんじゃない?」
小鈴ちゃんがクスクス笑う。
「良いじゃないの。月乃は可愛いんだから、もっと自信持ちなさいよ」
「か、可愛くないよ! 小鈴ちゃんのバカァ!」
ジッと睨んだら、「ごめんごめん」と笑って、微笑みながら付け加える。
「でも、可愛いのは本当よ?」
「もう、その話は終わりにしてよ……」
わたしはため息をついたのだった。
「そのつもりだけど……。嫌だった?」
小鈴ちゃんが少し残念そうに言うから、わたしは首を横に振った。
「ううん、嬉しいけど、SNSやってるんだったら、アカウント教えて欲しいなって思っただけ」
「良いけど……」
小鈴ちゃんが少し困ったように頷いた。
「あんまり教えたくなかった?」
「そう言うわけじゃないわ。ただ……」
「ただ……?」
小鈴ちゃんが上目遣いでわたしのことをチラッと見てから、ため息をついた。
「わたしが大きいってこと、コメントに書いたりしないでよ?」
「そっか、小鈴ちゃん大きいのバレたくないんだもんね。別に書かないから大丈夫だよ」
わたしが親指を立ててバッチリと言う風に答えたけれど、小鈴ちゃんは疑いの目で見てくる。
「月乃はうっかり書いちゃいそうだから心配なのよ。悪気がなくても、『今度は車齧りながら撮ろうねw』くらい書きそうだから……」
「……うっかり書いちゃいそうなのは認めるけど、口の中に人が乗ってる車入れちゃいそうなくらいヤバいイメージなの……? いきなり巨大な女の子の口に入れられたら、車に乗ってる人が怖がっちゃうと思うけど」
わたしの答えを聞いて、小鈴ちゃんが頭を抱えた。
「そういうところよ! わたしは人が乗ってる車で、なんて言ってないのに……。月乃はなんか発想がサディストなのよね……」
「だ、だって、車って人が運転してるじゃん。道路を走っているところを金魚掬いの要領で手を車の速度に合わせて、ソッと捕まえて――」
「もうっ、この話は終わりよ! どんどん怪獣みたいな発想になってるから!」
小鈴ちゃんがわたしの想像を無理やり終わらせてしまった。動いている車を捕まえるのがゲームみたいでちょっと楽しそう、と心の中で思ったことは秘密である。そんなことを言ったら、また小鈴ちゃんが不機嫌になってしまいそうだから。
「ほんとにはしないよ……?」
「ほんとにしたら友達やめちゃうわよ!」
プイッと小鈴ちゃんが顔を背けた。小鈴ちゃんの反応に困りつつも、わたしは話題を変えるために、小鈴ちゃんに教えてもらったSNSに上げてもらった自分の写真を見てみた。
「このわたし、なんか可愛いね。加工上手だね」
元々美少女の小鈴ちゃんが可愛く写っているのは当然だけれど、わたしもなんだか可愛く見えた。画像加工の賜物だろうな。現代技術にありがたく思っていたら、小鈴ちゃんが「何言ってんのよ?」と呆れていた。
「加工なんてほとんどしてないんだから、これが月乃本来の可愛さよ? あんた鏡見たことないの?」
「確かに鏡はあんまり見ないけど……」
本当にほとんど加工をしていないのだとしたら、わたしは素の自分のことを可愛いとか言ってしまったということか……。さすがに恥ずかしいんだけど。俯いていたら、小鈴ちゃんが笑う。
「月乃が恥ずかしがってるの珍しいわね」
下から覗き込むようにしてわたしの顔を見てくるから、さらに恥ずかしくなる。
「嘘だよ、嘘。前言撤回! わたしは可愛くなくて、間違えて小鈴ちゃんの顔見て可愛いって言ったの!」
「自分の顔とわたしの顔間違えるのは、さすがに無理があるんじゃない?」
小鈴ちゃんがクスクス笑う。
「良いじゃないの。月乃は可愛いんだから、もっと自信持ちなさいよ」
「か、可愛くないよ! 小鈴ちゃんのバカァ!」
ジッと睨んだら、「ごめんごめん」と笑って、微笑みながら付け加える。
「でも、可愛いのは本当よ?」
「もう、その話は終わりにしてよ……」
わたしはため息をついたのだった。
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