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Ⅰ 入学
徒歩100キロの通学路 4
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標高150メートル程の丘を越えると、そこにはわたしたち巨大少女向けの世界が広がっていた。1.5キロ四方のかなり大きなグラウンドを歩いていくと、その奥にはわたしたち30倍サイズの少女に合わせた大きさの平屋の建物があった。さすがに本物の学校みたいには大きくないけれど、わたしたちが入れるくらいの寮併設の建物だから、高さは地上90メートルと言ったところだろうか。ビルみたいに高い建物なのに、そこに寮と教室が中にはあるから、さらに奥行きもある。わたしの感覚で広さ3畳程しかなかった、元々住んでいたプレハブ小屋とは大違いだ。
「すごっ……」と思わず声が出る。
「わたしやお姫ちゃんも建物作るの手伝ったんだよぉ」
建築素人が携わっていいのかどうかはわからなかったけれど、少なくとも建設現場ではわたしたちの体の大きさはかなり役には立つだろうな、とは思った。わたしたちのサイズ感なら手を伸ばせば地上6、70メートルくらいまで届くだろうから、それだけで作業はかなりスムーズだ。クレーン車だって簡単に高い建物の上にに配置できるし、重たい建材もその辺の重機よりも、わたしたちの方がスムーズに運べる。
「でも、先生自ら建築のお手伝いをするってすごいですね」
建物の入り口で屋根を見上げながら確認をすると、女性がクスッと笑った。
「わたし先生に見えるかなぁ」
「見えますけど……」
「そっか、じゃあ妃織先生はお役ゴメンだねぇ」
「え? どういうことですか……?」
わたしが不思議に思っていると、突如女性は胸元に手を突っ込んだ。屋根の上に乗せたら戸建て住宅が壊れてしまいそうなくらい、主張の大きくて重たそうな胸の谷間を探っていた。
「いきなりおっぱいに手を突っ込むって痴女ですか……?」
「違うよぉ。大事な人を入れてるだけだよぉ」
いきなり何を始めるのだろうかと思って不思議に思っていると、胸元からスーツ姿の小さな女性を取り出したのだった。そして、ソッと手のひらの上に乗せていた。小さな女性は、汗をかいていたから、胸の谷間は暑かったのかもしれない。
小さな女性が声を出した。
「あのね、東條。人のことを胸に入れて持ち運ぶのやめなさいってずっと言ってるでしょ!」
「だってぇ、このカーディガン、ポケットないんですもぉん」
わたしをここまで案内してくれた大きな女性は東條さんというみたい。じゃあ、荻原先生ってどこにいるんだろ? 巨大少女クラスだから、先生もきっとわたしたちくらいのサイズだと決めつけていた。だから、東條さんの手のひらに乗っている女性は、東條さんが勝手にここまで連れてきている無関係の女性だと思っていた。
「あの、わたしたちの先生って誰なんですか?」
「これだよ」
手のひらをわたしの前にグッと近づけると、わたしと女性、どちらも同時に驚いた。小さな女性は、東條さんの手のひらの上で尻餅をついていた。
「ちょ、ちょっと! 何をしているのよ! あと、人のこと物みたいに言うな!」
いきなり近づけられて、わたしも驚いたけれど、多分見知らぬ巨大少女の顔の前に全身で近づけられた女性の方が怖かったと思い、同情してしまう。
「紹介遅くなったけどぉ、わたしは東條紗羽っていいまぁす。この学校の巨大少女の生徒さんのために事務員をしたり、寮長をしたり、保健医をしたりして、働いてまぁす。で、こっちの小さくて可愛い子が――」
「東條に紹介されなくったって、自己紹介くらい自分でやるわよ」
手のひらの上の女性が話出したから、わたしが顔を近づけると、また一瞬女性がビクッと震えたように見えた。
「春山さん、ダメだよぉ。妃織ひおりちゃん先生はとってもビビりさんだからぁ。もう結構長いこと巨大少女クラスの先生をしているのに、いまだに近づかれたらビックリしちゃうんだぁ」
「あんたも一回巨大な女の子に好きに弄ばれて、サイズ差の恐怖を体感したら良いと思うわ……」
手のひらの上の女性が東條さんを睨んだけれど、東條さんはクスッと微笑む。
「そんな意地悪なことする巨人さんがいるんですねぇ。気をつけないといけませんねぇ」
「あんた、ほんと……」
「まあまあ、鈍感な妃織ちゃん先生もわるいんですよぉ」
手のひらの上の女性を東條さんが宥める。意味深な会話を終えると、小さな女性がわたしのほうをまた見上げてくる。今度は驚かさないように少し遠くから話を聞くことにした。
小さな女性は、とても小さな咳払いをしてから、話し始めた。
「わたしがあなたの担任の萩原妃織よ。巨大少女のクラスの担任は今年で4年目になるわ」
「4年目!?」
そんな小さな体で4年も大変そう。うっかり潰されたりしなかったのだろうか。まあ、無事だったからここにいるわけだけれど。
「驚いちゃってますよぉ。妃織ちゃん先生も初年度は一刻も早く先生を辞めたがってたのに、なんだかんだ4年も頑張ってるんですねぇ」
東條さんが萩原先生を乗せていない方の指でツンツンと突いていた。萩原先生がその度に、やめなさい、と痛そうな声を出していた。
「そりゃ、大学卒業して初めての学校で、当時の怖かった東條と2人きりで、毎日命懸けで授業してたんだから、嫌にもなるわよ……」
怖かった、と聞いて、目の前のゆるふわな雰囲気の巨乳メガネの東條さんを見る。どこが怖そうなんだろうか……。
「東條さんって、もしかして、実は怒ったら怖かったりします?」
「えー、しないよぉ。妃織ちゃん先生が変なこと言うから、春山さんが勘違いして怯えちゃってるじゃないですかぁ」
「勘違いじゃないわよ……」
萩原先生が呆れてため息をついた。
そんな萩原先生の目の前に東條さんは顔を持っていき、ムッと膨れっ面をしたかと思うと、そのまま息を吐き出した。フーッと軽く息を吐き出しただけなのに、萩原先生が吹き飛ばされそうになり、慌てて東條さんの指に掴まっていた。わたしたちは地面に足をついていても、萩原先生にとっては、地上30メートル近い東條さんの手のひらの上が地面だから、強風に煽られたら結構怖いと思う。
「そ、そういうとこよ!」と萩原先生が必死に耐えながら、大きな声をだしていた。
なるほど、東條さん、萩原先生に対しては結構サディスティックなのかもしれない。目の前でそんな様子を見せられて、なんとなく2人の関係性を理解したのだった。
「すごっ……」と思わず声が出る。
「わたしやお姫ちゃんも建物作るの手伝ったんだよぉ」
建築素人が携わっていいのかどうかはわからなかったけれど、少なくとも建設現場ではわたしたちの体の大きさはかなり役には立つだろうな、とは思った。わたしたちのサイズ感なら手を伸ばせば地上6、70メートルくらいまで届くだろうから、それだけで作業はかなりスムーズだ。クレーン車だって簡単に高い建物の上にに配置できるし、重たい建材もその辺の重機よりも、わたしたちの方がスムーズに運べる。
「でも、先生自ら建築のお手伝いをするってすごいですね」
建物の入り口で屋根を見上げながら確認をすると、女性がクスッと笑った。
「わたし先生に見えるかなぁ」
「見えますけど……」
「そっか、じゃあ妃織先生はお役ゴメンだねぇ」
「え? どういうことですか……?」
わたしが不思議に思っていると、突如女性は胸元に手を突っ込んだ。屋根の上に乗せたら戸建て住宅が壊れてしまいそうなくらい、主張の大きくて重たそうな胸の谷間を探っていた。
「いきなりおっぱいに手を突っ込むって痴女ですか……?」
「違うよぉ。大事な人を入れてるだけだよぉ」
いきなり何を始めるのだろうかと思って不思議に思っていると、胸元からスーツ姿の小さな女性を取り出したのだった。そして、ソッと手のひらの上に乗せていた。小さな女性は、汗をかいていたから、胸の谷間は暑かったのかもしれない。
小さな女性が声を出した。
「あのね、東條。人のことを胸に入れて持ち運ぶのやめなさいってずっと言ってるでしょ!」
「だってぇ、このカーディガン、ポケットないんですもぉん」
わたしをここまで案内してくれた大きな女性は東條さんというみたい。じゃあ、荻原先生ってどこにいるんだろ? 巨大少女クラスだから、先生もきっとわたしたちくらいのサイズだと決めつけていた。だから、東條さんの手のひらに乗っている女性は、東條さんが勝手にここまで連れてきている無関係の女性だと思っていた。
「あの、わたしたちの先生って誰なんですか?」
「これだよ」
手のひらをわたしの前にグッと近づけると、わたしと女性、どちらも同時に驚いた。小さな女性は、東條さんの手のひらの上で尻餅をついていた。
「ちょ、ちょっと! 何をしているのよ! あと、人のこと物みたいに言うな!」
いきなり近づけられて、わたしも驚いたけれど、多分見知らぬ巨大少女の顔の前に全身で近づけられた女性の方が怖かったと思い、同情してしまう。
「紹介遅くなったけどぉ、わたしは東條紗羽っていいまぁす。この学校の巨大少女の生徒さんのために事務員をしたり、寮長をしたり、保健医をしたりして、働いてまぁす。で、こっちの小さくて可愛い子が――」
「東條に紹介されなくったって、自己紹介くらい自分でやるわよ」
手のひらの上の女性が話出したから、わたしが顔を近づけると、また一瞬女性がビクッと震えたように見えた。
「春山さん、ダメだよぉ。妃織ひおりちゃん先生はとってもビビりさんだからぁ。もう結構長いこと巨大少女クラスの先生をしているのに、いまだに近づかれたらビックリしちゃうんだぁ」
「あんたも一回巨大な女の子に好きに弄ばれて、サイズ差の恐怖を体感したら良いと思うわ……」
手のひらの上の女性が東條さんを睨んだけれど、東條さんはクスッと微笑む。
「そんな意地悪なことする巨人さんがいるんですねぇ。気をつけないといけませんねぇ」
「あんた、ほんと……」
「まあまあ、鈍感な妃織ちゃん先生もわるいんですよぉ」
手のひらの上の女性を東條さんが宥める。意味深な会話を終えると、小さな女性がわたしのほうをまた見上げてくる。今度は驚かさないように少し遠くから話を聞くことにした。
小さな女性は、とても小さな咳払いをしてから、話し始めた。
「わたしがあなたの担任の萩原妃織よ。巨大少女のクラスの担任は今年で4年目になるわ」
「4年目!?」
そんな小さな体で4年も大変そう。うっかり潰されたりしなかったのだろうか。まあ、無事だったからここにいるわけだけれど。
「驚いちゃってますよぉ。妃織ちゃん先生も初年度は一刻も早く先生を辞めたがってたのに、なんだかんだ4年も頑張ってるんですねぇ」
東條さんが萩原先生を乗せていない方の指でツンツンと突いていた。萩原先生がその度に、やめなさい、と痛そうな声を出していた。
「そりゃ、大学卒業して初めての学校で、当時の怖かった東條と2人きりで、毎日命懸けで授業してたんだから、嫌にもなるわよ……」
怖かった、と聞いて、目の前のゆるふわな雰囲気の巨乳メガネの東條さんを見る。どこが怖そうなんだろうか……。
「東條さんって、もしかして、実は怒ったら怖かったりします?」
「えー、しないよぉ。妃織ちゃん先生が変なこと言うから、春山さんが勘違いして怯えちゃってるじゃないですかぁ」
「勘違いじゃないわよ……」
萩原先生が呆れてため息をついた。
そんな萩原先生の目の前に東條さんは顔を持っていき、ムッと膨れっ面をしたかと思うと、そのまま息を吐き出した。フーッと軽く息を吐き出しただけなのに、萩原先生が吹き飛ばされそうになり、慌てて東條さんの指に掴まっていた。わたしたちは地面に足をついていても、萩原先生にとっては、地上30メートル近い東條さんの手のひらの上が地面だから、強風に煽られたら結構怖いと思う。
「そ、そういうとこよ!」と萩原先生が必死に耐えながら、大きな声をだしていた。
なるほど、東條さん、萩原先生に対しては結構サディスティックなのかもしれない。目の前でそんな様子を見せられて、なんとなく2人の関係性を理解したのだった。
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――――――――――
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