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第二章『予想外!意外と良い場所魔王国!』

第四十話 お気楽少女の保護者的狂少女ハ………

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とある紫色の大地に一人の少女が佇んでいる。

長めのポニーテールが風に揺らされ、たまに体から紫色のオーが何処か遠くへ飛んでいく。

そんな少女の前に、突如蒼色の穴が出現した。

「うわっとっと………」

「大丈夫ですか?ご主人様」

「うん、大丈夫だよ」

穴から出てきたのは二人の少女。

一人は長い髪を風に靡かせ、もう一人はショートカットを揺らした。

「………やっと戻ってきたわね?」

「うん、お待たせ、そして………ごめんね?」

「あら?何で謝るのかしら?」

「………昨日少し美堀が変だなーって思ったけどそのままにしちゃってたんだよ、それの謝罪」

「謝罪される事なんて一つも無いわよ?私は昨日も今日もいつも通りよ?」

「………なら何であの人と一緒に居たの?」

「ああ、あの人ね?あの人はどうしても助けて欲しいって言うから少しだけ協力してあげただけよ?その代わり、この国を乗っ取ったらずっと実穂と一緒に居られる様にしてくれるって約束したのよ?」

「………」

実穂は杖を構え、クルミは黄色の刃が付いた短剣を持った。

「………私達の邪魔をする気?いくら実穂だからってそんな事したら………殺しちゃうわよ?」

「本当の美堀ならそんな事言わないよ?」

「………そう」

美堀は一度目をつぶり、見開きながら良い放った。

「わかったわ!なら相手してあげる!」

美堀が二人の居る所に手をかざすと、そこから紫色の土の槍が飛び出してきた。

「危ない!?………クルミ!惑わせて!」

「はい!」

クルミは高速で美堀の周りを回転した。

「ふふ、そんな物が私に通用するかしら?」

クルミが居る所全体に土の槍が飛び出した。

もの凄い土煙と共にドゴンッ!という音がした。

「あら?もう死んじゃったかしら?」

「《マジックウォール》!」

土煙が晴れる寸前に実穂は魔力の壁を美堀の周りに張った。

「こんな物、妨害にもならないわよ?」

美堀は魔力の壁を《側足蹴り》で割り、実穂を探した。

「《テレポート》!《マジックロープ》!」

実穂は上空に転移し、魔法の縄で美堀を縛った。

「クルミ!」

「はい!」

そこをクルミが黄色い短剣で切り裂いた。

傷口が出来るはずの切り口は見当たらず、蒼色の光が辺りに飛び散った。

「………なるほど、麻痺ね?」

「正解です」

槍の攻撃を分身でかわしていたクルミは麻痺の短剣で美堀を切り裂いたのだ。

「だけど………この程度の麻痺じゃ私には勝てないわよ?」 

美堀は魔力の縄を破り、破片を実穂に投げつけた。

(不味っ!?解除!)

魔力の縄は消え去ったが、美堀は既にクルミに向けて走っていた。

クルミは分身と二人係で美堀を攻撃するが、全てかわされ、腕を捕まれて捻り倒された。

倒された分身は光となって消えるが、それを作るのに減った魔力は回復しない。

元々魔力が少ない獣人のクルミは、あと精々分身一個が限界だった。

(………魔力ポーションそういえばライトが持たせてくれてたっけ)

実穂は、領主戦の時に使わず残っていたポーションを一つ、クルミにパスした。

「ありがとうございます!」

クルミはそれを飲み終わるとすぐさま分身を作ってクルミに攻撃しに行った。

(他に何か使えそうなアイテム無いかな?………マジックバック?あとは………麻痺の投げナイフとかも良さそう、マジックバックの中にそれと魔力と体力のポーションを入れて………)

「《テレポート》!」

実穂はアイテムが入ったマジックバックをクルミの所へとテレポートさせた。

クルミはそれからナイフを取り出すと、一人は短剣で攻撃をし、もう一人は投げナイフを投げ続けるという、一人二役をやり始めた。

「………鬱陶しいわね………消えなさい!」

地面から土の槍が波状に出ている。

その槍が美堀からクルミを離す事が成功した途端、槍は崩れ落ちた。

「あら?何でかしら?………もしかしてあの人がやられたの?………そう、ならここからは肉弾戦ね?」

そして美堀は実穂の元へと走った。

「美堀!ごめんね!《エレメンタルウォール》」

実穂は風属性だけを弱めたエレメンタルウォールを美堀の前に出現させた。

その壁を《回し蹴り》で破壊しながら、美堀はクルミの腕を掴んだ。

美堀は分身を、実穂の元へと投げたが、分身は解除されたのか光となって消えた。

それに怯んだ隙に、美堀は実穂の目の前まで迫っていた。

(不味いよ!えっと………テンパって何も浮かばない!)

そして美堀は実穂の腕を掴んだ!………瞬間手を離し、頭を抱えて苦しみだした。

「っ!?何よ!?これは!?………」

美堀は苦しみながら、何かと戦っている様だ。

「………み……ほを…………きず…付けた……らだめ………っ!?うるさいわよっ!私と実穂がずっと一緒に居るにはこれしか無いのよっ!………ほかに……も…あ………る………うるさいっ!」

美堀は自分を殴った、それで苦しみは止まった様だ。

「はぁ………はぁ………待たせたわね………続きを……始めましょうか?」

(………さっき話してたのって………美堀?って事は美堀の中身は今美堀じゃないの!?)

「《実力鑑定》」

『レベルが足りないため、表示できません』

「《実力鑑定》」

『レベルが足りないため、表示できません………スキル《実力鑑定》のレベルが上がりました』 

「《実力鑑定》」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・興和美堀
・性別 女 年齢 18歳
・種族 人間
・職業  特殊格闘柔道家
・LV 1  1/5
・握力 8
・HP 30/150(+100)
・MP 3(+100)
・AT  53(+100)
・DE 42(+100)
・IN 5(+100)
・MD 3(+100)
・AG 45(+100)
・EX 190(+100)

スキル
・特殊格闘術(柔)
・特殊格闘術(空)
・特殊格闘術(蹴)
・峰打ち

パッシブスキル
・異世界言語
・殺気感知
・審議判定(弱)

加護 呪い
・未熟な創邪神の呪い

称号
・異世界人
・大会荒らし
・盗賊キラー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(………呪い?)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・未熟な創邪神の呪い

まだ生まれてすらない邪神が掛けた呪い。
徐々に体力が吸い取られていく代わりに、いつも以上の力が出せる様にしてくれる。
人の悪い心を増幅させ、別人の様にしてしまう効果がある

・悪意増幅
・代償身体強化
・魂の生け贄(術者不在の為停止中)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(………つまりあの美堀も本当の美堀も、どっちも美堀って訳だね)

実穂はそう思い、まずは美堀の動きを止めようとした。

「………《マジックロープ》《バインド》」

魔法のロープと魔法の文字が、美堀を縛る。

そこにクルミが攻撃しようとするが………

「クルミ、ちょっと待って」

………止められてしまった。

(人の体も物質の一つだよね?)

「《物質鑑定》」

『レベルが足りないため、表示できません………スキル《物質鑑定》のレベルが上がりました』

「《物質鑑定》」

『表示できません』 

(………だめかぁ、せめて美堀が起きそうなツボがわかればねぇ?)

『条件を満たした為、スキル《万物鑑定》を取得できる様になりました』

(………良いタイミングで出たね………取得するよ)

『スキルの進化をするためにはスキル《実力鑑定》《物質鑑定》を使用しなければなりません、使用しますか?』

(使用します)

『スキルポイントが足りません』

(………駄目だね、やっぱり美堀に話し掛けて心を開いて貰うのが一番の作戦なんだけど………)

『スキル《?高?の??》の介入により、スキルポイントの一事貸し出しが可能になりました許可を取りしだい、スキルの進化を開始します』

(へ?)

実穂はクルミの方向を見る、するとクルミは笑顔で頷いた。

ちょうどそのタイミングで美堀を縛っていた二つの魔法が弾けた。

「今回のは少し手強かったわね………行くわよ!」

「ご主人様!私が時間を稼ぎます!なのでスキルの進化を!」

「わかった!」

『スキルポイントが貸し出されました、スキルの進化を開始します………スキル《?高?の??》の介入を確認、スキルの進化を開始します、スキルの進化を開始します、スキルの進化を開始します………失敗しました、失敗しました、失敗しました』

(失敗してるじゃん!)

『………パッシブスキル《森羅万象》を取得しました………ステータスの不足により、一部機能を停止します』

(やった!これで美堀に近づける!)

クルミが美堀に本体を捕まれて上に放り投げられた時、実穂のスキルの進化は成功し、パッシブスキルへと進化した。

(………あそこに魔力の壁を置けばクルミの落下衝撃はゼロなんだね?)

実穂は早速スキルの効果でわかった事を実践に移した。

クルミは、空中で一度止まり、落下し始める所で魔力の壁の上に乗った。

(凄い!本当に助けれた!………後ろ!?)

実穂は後ろに嫌な予感がして前へとジャンプした。

その予測通り、美堀が実穂を蹴る寸前だった。

そして追撃の様に実穂を追いかけてくる中、実穂は魔法を使った。

「《スローワールド》」

実穂が見る世界も、実穂の動きもゆっくりに見え、実穂は一度立ち止まった。

そこをすかさず美堀が掴もうとしてくるが、実穂は何処に行けば良いかわかるかの様に至近距離で何度もかわしている。

そして実穂は杖を握り、美堀の肩を突いた。

その威力は極めて低かったが、実穂の魔力を乗せた杖は実穂の魔力を美堀の中に浸透させた。

そして美堀は………

「ぐぅっ!?何よ!?………これ!?」

「………美堀、目を覚まして」

「何………言ってるのよ!私が美堀よ!」

「うん、知ってるよ?」

実穂は苦しんでいる美堀に向かって歩き出した。

「ご主人様!」

「止めないでね」

「………わかりました」

クルミは心配そうな様子で実穂を見ている。

「わかってるなら………何で私を消そうとするのよ!」

「消そうとなんてしてないよ?」

「今してるじゃない!」

「………それは違う、元々一つだった心がまた一つになるだけだよ」

実穂は歩み続ける。

遠くから黄色の光が流れ弾として飛んできたが、実穂は気にせず前へ進む。

光によってドロドロに溶けた地面は魔力で足場を作って歩いている。

「そんな事したら………私が消えるのよ!」

「消えないよ、だって美堀はずっと私を助けてくれてたでしょ?今はそれが少し大きくなってるだけ」

「それ………は」

「ほら美堀はとっても良い人でしょ?」

「そんな訳っ!?」

実穂は美堀の目の前まで近づくと美堀をそっと………抱き締めた。

「大丈夫、私達はいつも一緒に居たでしょ?」

「っ!?このっ!?………」

美堀は実穂を殴ろうとするが、実穂に当たる寸前で手が止まってしまった。

「………美堀、私達はこれからも…」

遠くから紫色の光が二人目掛けて飛んでくるが、実穂はそれを無視しながら言った。

「ずっと一緒だよ?」

その言葉を聞いた美堀は、涙を流しながら実穂に倒れ込んだ。

「………《リフレッシュ》」

美堀から禍々しい色の光が抜けていく。

「《浄化》」

禍々しい光が光り輝く白い光へと変化する。

「………これからも………よろしくね?」

白き光は美堀の中へ入っていった。

『称号《強者》を取得しました、スキル《?高?の??》の進化を開始します』

紫色の光は蒼色の膜によって防がれていて、クルミも実穂に抱きついた。

ずっと少女を守っていたと思っていた狂少女は、この事をきっかけに気づいた。

私がこの子を守っていたのは本当だ、だけど私は同時に守られてもいたんだ。

私達は一方的に助けられるのでは無く、助け合い、支え合って生きていたのだ………と。

そんな心を見過ごすかの様に、空には虹が輝いていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディメン「………」

ライト「………」

ディメン「(美堀を助けられて)よかったな」

ライト「(流れ弾から二人を守るのが間に合って)よかったよ」

ディメン「何か………あれだな、友情って良いな!」

ライト「たまに女の友情は続かないって聞くけど全然そんな事ないしね!」

ディメン「だな………今回のステータスだぜ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・進和 実穂 
・性別 女 年齢 18歳
・種族 人間
・職業  ?
・LV 5  9/25
・握力 5
・HP 30
・MP 50
・AT  21
・DE 20
・IN 24
・MD 20
・AG 19
・EX 11

スキル
・支援魔法支配 Lv 1
・聞き耳 Lv 3
・合成魔法 Lv 4
・読み聞かせLv 4

パッシブスキル
・異世界言語
・?高?の??
・自衛術
・幻影魔法耐性Lv 1
・森羅万象(一部封印中)

加護 呪い

称号
・異世界人
・?高?の??
・助けられた者
・空を飛ばされし物
・トラブルメーカー
・弱者
・生者
・死者
・強者
・支援の支配者


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディメン「そういやあの変態百合好どうなった?」

ライト「まだ道が開かない………多分別の世界に行ってそうなんだよねぇ」

ディメン「そうかぁ………さて今回はこの小説を読んでくれてありがとな」

ライト「誤字脱字やストーリー矛盾等がありましたらご報告の方をお願いします」

ディメン「それでは皆さん」

ディメン&ライト「「さようなら」」


第二章!完!
三章を作るコンセプトやる気が見つかるまでは関話をだします!
………一週間に一回のペースで(ボソッ)
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