からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

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番外編:取材②

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「カナただいま~~」
雑誌を読んでいたらゆきが帰ってきた。
「おかえり」
なんとなくゆきを直視できなくて、雑誌を読んだまま待つ。
雑誌の中のゆきはいつにも増して綺麗なスーツを着て、ポーズを決めていてかっこいい。インタビューの内容もカッコよかった。
「カナ?……うわっ、それ買ったの!?カナ!なんで知ってるの??」
「松永が取材を受けたって言ってたから調べた」
「はぁ、松永さんかぁ、まあカナに聞かれたら松永さん答えるよねえ」
ゆきは後頭部を触りながら照れたように言う。
「ゆき……」
「ん?」
「ゆきは婚約者とかいたの?」
目線を雑誌から動かさずに言う。ゆきはしばらく黙っていた。不安になって顔を上げてゆきを見ると、ゆきは口元を抑えてなんだか気持ち悪い顔をしている。
「かわ……え?ヤキモチ?え?どうしたの…あぁかわいい」
「ゆき、僕は真剣に…!」
「いないよ、父さんがそういうのうんざりしてたから俺にそういう人を用意しなかったんだよ、いざとなった時に探すって言って」
ゆきはゆっくり近づいてきて、僕の手元から雑誌を奪って近くの机に置くと、僕を軽々と持ち上げて膝の上に乗せる。
「どうしてそう思ったの?」
後ろからギュッと抱きしめられながら聞かれて、僕は恥ずかしくなる。ゆきの腕に捕まりながら俯いて顔を隠す。
「だって、雑誌読んでた女の子たちが……予想してて……ゆき、カッコよくてモテるし」
「そうなの?でも俺カナしか見てないし、モテても関係ないよ?……女の子が見てるの嫌だった?」
「っ……!い、いや、っていうか……いやだ……」
「かわいい……本当にかわいい……カナ本当にかわいい……俺、カナしか見てないから。カナ以外誰もいらないから……」
「うん……浮気してるとは思ってない……」
「はぁぁぁぁぁ、ちゃんと信じてくれてるんだね!かわいいねぇ本当に!!カナどれだけ俺を夢中にさせたら気が済むの?」
ゆきは無理やり僕の体の向きを変えて僕の顔を覗き込んでくる。僕も手で隠そうとするけどあっさり取り払われてしまう。
「カナ、大好き」
キスをされて、今度は正面から抱きしめられる。ただただ恥ずかしくて、それでいて幸せで……」
「僕も好き」
ゆきの首に腕を回してしがみつくと、ゆきも僕の腰に回していた腕に力を込めて抱きしめ返してくれた。
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