からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

文字の大きさ
上 下
138 / 154

番外編:テーマパーク⑤

しおりを挟む
お店を出るとすぐ、カチューシャをつける。お互いにお互いのカチューシャを付け合って位置を調整する。その行為はちょっと恥ずかしかったけど、テーマパークでそんなところまでしっかり見ている人なんてそんなにいない。
「カナかわいい……いっぱい写真撮ろうね……」
ゆきはすごく嬉しそう。嬉しいけど恥ずかしい。でも僕は日頃ゆきのお世話になりっぱなしなところもあるから、喜んでくれるならなんでもしてあげたい気分だった。
アトラクションに向かいながら、至る所でゆきは僕にポージングさせて写真を撮る。ゆきの写真も欲しくてその度にツーショットを撮る。ゆき単体も撮らせてもらう。メモリーなんてすぐに無くなりそうな勢い。あまりに撮りすぎて、カチューシャを買った頃はまだ、アトラクションの時間まで余裕があったはずなのに、僕たちがアトラクションに着いたのは、ギリギリの時間だった。
時間通りとはいえ、少し並ぶ列の中で、アトラクションのためにカチューシャだけは外す。
ゆきは写真のデータを見ながら嬉しそう。
「僕も見たい」
ゆきの腕に手をかけて腕の高さを少し下げると僕にも見えるようになる。ゆきもカチューシャが似合っていて、どの写真も楽しそう。嬉しくて僕もにやける。
「カナ、その腕にしがみついてる感じ、たまらないね」
僕の耳にいつの間にか口を寄せて、ゆきが囁く。僕は一気に恥ずかしくなって手を離してしまう。
「残念」
そう言いながらゆきは楽しそうに笑っていて、僕も恥ずかしいながらに楽しい気持ちでいっぱいだった。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

囚われ王子の幸福な再婚

BL / 連載中 24h.ポイント:1,057pt お気に入り:156

宮廷画家は悪役令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:379

ライオンガール

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:20

フリー台本置き場(声劇、朗読)

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:360

処理中です...