からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

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これまで、これから⑦

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2人でゆきの家に帰ってきた。
僕の部屋は解約した。叔父は僕のアパートにはまだ手をつけていなかったようで、僕がおいていた荷物は無事だった。(もちろんゆきが買ってくれた布団やクッションくらいしかないのだが)それらは全てゆきの家に持ってきた。
僕はゆきが買ってくれたライオンのクッションが無事だったらそれでよかった。
ゆきの家ではソファに置かれている。
僕は手洗いや着替えを済ませるとソファに陣取っているライオンのクッションを抱えてそこに座る。
「ん~あげてよかったよそれ。かわいすぎ。」
同じように手洗いなどを済ませて部屋に入ってきたゆきが僕を見てニコニコとそう言う。
恥ずかしくて僕はライオンのクッションに顔を埋める。
「カナが入院してる間にね?カナと俺のベッド捨てて、ワイドダブルベッドを買ってみた」
「えっ??」
僕は驚いてソファの隣に座ってきたゆきを見る。あのベッドは新しいものだったはずだ。それを捨てたと言ってのける。ゆきは浪費はしない。しかしやりたいようにやりすぎる節がある。僕は呆れたように見つめるが、ゆきはいつもの嬉しそうな笑顔だ。
「怪我も治ったでしょ?ね、一緒に寝てくれる??」
ゆきの声は妙に艶やかな雰囲気があった。多分それだけで終わらない気がする。僕はライオンに顔を埋め直してそっとゆきを見つめ直すとゆきは少し意地悪な笑顔に変わっていた。
「カナ察したね」
僕は肩を小さく揺らす。
「いいよね?」
ずるい。ゆきは絶対わかってる。僕はゆきの誘いには弱くて、あまり逆らえないことを。そういう恥ずかしい誘いを僕が少し嬉しいって思っていることも。
「カナはわかりやすいよねぇ~」
にやにやとするゆきに少しイラッとした。
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