からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

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これまで、これから⑥

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「潰されたらどうしようと思ってた」
帰りの車の中、行きと同様、運転席には竹宮さん、後部座席に僕とゆきが並んで座っている。背もたれに背を預けて、息を深く吐き出す。自分で自覚はあまりなかったが、かなり不安に思っていたようで、全身から力が抜ける感覚を覚えた。
「まぁ潰すって言ったら俺が交渉して買い取ろうと思ってたんだけど」
「ぅぇ???」
ゆきが衝撃的な発言をするから僕もびっくりして横を向くと、なんでもないように笑ってゆきが見つめてくる。
「カナが望むならなんでもするから。俺」
ゆきはそのままの表情でそう言う。
表情があまりにも変わらなかったことを考えるとゆきは多分本気で言っている。
若干引き気味な目線を返したのだが、ゆきはお構いなしのようだ。
「ゆきって過保護だね」
「もちろん。カナは天使だから」
理由になってないと思う。
僕は苦笑いをして視線をゆきと反対側である窓の外へ視線を移す。
後頭部からの視線を感じた。
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