からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

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救出④

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次に目を覚ました時、僕は真っ白な天井を見上げていた。
辺りを見回すと真っ白なベッドの上で、自分の手には包帯がぐるぐると巻かれていて、そっと体を触ると体も硬いものと包帯に包まれているようだった。
「カナ、起きたの?」
僕は声のする方へ顔を向ける。
今度はちゃんと見える。
「ゆきにぃ」
僕はそう呼んだ。
「カナ……頑張ったね、辛かったよね…泣いていいよ、俺が聞いてあげる。頭を撫でてあげる。甘えていいんだよ」
僕の視界がぼやけていく。辛いことも悲しいことも思い出した。それでも覚えておきたかった嬉しいこともたくさん思い出せた。両親がいなくなってから、辛くて悲しかった。でも甘えられる人は1人もいなかった。だから父様のことも母様のことも、全ての思い出を抱えきれずに忘れた。ゆきにぃのことだって忘れた。
そのゆきにぃであるゆきは黙って僕を抱きしめて頭を撫でる。
昔からそうだ。こうやって黙って僕を甘やかす。だからほっとしてつい感情が引っ張り出されて、蓋をしたはずの感情も認識させられるのだ。
「悲しかった……寂しかった……どうしたらいいのかわからなかった……」
「ごめんね、迎えに行けなくてごめんね」
僕の理性はもう持たなかった。
「うわぁぁぁぁー!!ゆきのバカァァ、何で迎えにきてくれないの??なんで僕を1人にするの??父様も母様もいなかったらっ……僕にはゆきしかいないのにぃぃ……」
体中が痛い。痛いなら泣かないほうが動かなくて刺激が少ないのに、僕は思いっきり泣きじゃくった。子供みたいな駄々をこねているのはわかっている。
でも本来僕はこういうやつだ。
自由気まま、甘えられる人にはとことん甘えてわがままも言う。そういう人間だ。
「カナごめんね、これからはずっと一緒にいる。頑張ったね。もう頑張らなくていいよ」
ゆきは僕の体が痛まないようにそっと抱きしめて、そして頭を撫でてくれた。
僕は安心して余計泣きじゃくった。
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