からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

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忘却、喪失④

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「柳くん、お疲れ様~」
僕はお辞儀をしてバイト先の裏口から出る。
今日は風間さんが迎えにくると言っていたが、お店の中には入ってこなかったようなので裏口から出て当たりを見回すが姿は見えない。
おそらく仕事が長引いて遅くなっているのだろう。
念のため表に回って辺りを見回し、いないことを確認して邪魔にならないように店の付近に立って待つことにした。
時間を見ると10時をちょっと回ったくらい。風間さんの仕事が少し長引いているのだろう。

車の音が近づいてきて、自分の目の前で止まった。俯いていた顔をそっとあげるとそこには案の定一台車が停まる。風間さんではなさそうだと思いそっと俯き直そうとする。
「要」
背筋が一瞬にして凍った。聞きたくない声だ。すっかり僕の記憶から抜け始めた声だが、その一言だけで僕はこの後どんなことが起こるか、察してしまった。
「乗りなさい」
僕はこの声のままに車に乗り込んだ。
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