からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

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水族館④

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風間さんの家に着くと、いつも通り僕が手を洗ったり着替えたりしている間に手を洗い、風呂のスイッチを押して準備を済ませ、ポットで湯を沸かして、僕がソファに座って少しするとすぐに部屋着に着替えた姿で横に座ってきた。
「柳くん、今日お風呂は先に入る?」
最近の風間さんは僕によくこういう質問をしてくる。比較的簡単な2択を僕に委ねるのだ。僕はその2択を今までどうしていたか、ということを踏まえて答えるので、この場合はいつも先を譲られるので先と答える。
「了解。明日は開園が10時だからその時間に着くように行くのはどうかな?」
断る理由はない。
「はい。分かりました」
風間さんはこうやって聞いていくことできっと僕が自発的に何かをしたいと言うのを待っている気がする。
それでも僕は何もしたいと言えなかった。どうしたいのか、未だにそれがよくわからない。そしてどこまで言っていいのか、それもまだ掴みきれずにいた。

結局その日も投げかけられた2択以外の要望はできずに眠りについた。それでも2択を答えれば風間さんは嬉しそうで、僕も少し嬉しくなった。
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