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温度②
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しかし、以前とは違うことがあった。
「お疲れ様でした」
「お疲れー」
(今日もいない)
バイト終わり、裏口から出る時につい風間さんを探してしまうのだ。
(なんで探すんだろう)
頭の中でその理由に思い当たりはしなかったが、それでもいなければなんとなくため息が出た。
家に帰れば相変わらずの暗く何もない部屋。あるのは毛布とデスクライト。風間さんの家から帰った翌日はやはり暗いと思った。
しかし、それは別にいい。
自分が風間さんと会話できることを当然だとでも思っていたのだろうか。何か足りない感じがするのだ。風間さんと会うことがない日に感じるその足りなさは、また足りない日が続けば感じなくなるのだろうか。
そもそも人間らしくこんなにぐるぐると考えているなんて変だ。考えずに、やることだけをこなして生きる、それが正しい日々の過ごし方だと叔父の家で長らく思ってきたではないか。
ぐるぐると考える思考を手放す。
それからはもう何も考えず、シャワーを浴びて着替えると床に寝そべり資料を開く。肘が痛くなったら体制を変えて、それでもしんどくなれば寝る。
ただただ呼吸をして生きるだけだ。
ただただ生きればいいのだ。
「お疲れ様でした」
「お疲れー」
(今日もいない)
バイト終わり、裏口から出る時につい風間さんを探してしまうのだ。
(なんで探すんだろう)
頭の中でその理由に思い当たりはしなかったが、それでもいなければなんとなくため息が出た。
家に帰れば相変わらずの暗く何もない部屋。あるのは毛布とデスクライト。風間さんの家から帰った翌日はやはり暗いと思った。
しかし、それは別にいい。
自分が風間さんと会話できることを当然だとでも思っていたのだろうか。何か足りない感じがするのだ。風間さんと会うことがない日に感じるその足りなさは、また足りない日が続けば感じなくなるのだろうか。
そもそも人間らしくこんなにぐるぐると考えているなんて変だ。考えずに、やることだけをこなして生きる、それが正しい日々の過ごし方だと叔父の家で長らく思ってきたではないか。
ぐるぐると考える思考を手放す。
それからはもう何も考えず、シャワーを浴びて着替えると床に寝そべり資料を開く。肘が痛くなったら体制を変えて、それでもしんどくなれば寝る。
ただただ呼吸をして生きるだけだ。
ただただ生きればいいのだ。
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