からっぽを満たせ

ゆきうさぎ

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柳要②

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叔父は欲しかった会社を手に入れた。その代わりに叔父は息子である僕を引き取ることになった。
しかし、叔父が欲しかったのは会社だけで子供は自分の妻との間にできた3人の子供だけでよかった。
それでも外聞が悪いため、会社だけでなく僕も引き取り、ちゃんと育てていることを示す必要があった。だからこそ、見てわかるように虐げることはしなかった。

わからないよう、虐げられた。

僕の生活スペースは庭にある小さな納屋だった。
冷房も暖房もない極悪な居住環境で、布団や毛布、灯りの一つだって与えられてはいなかった。
真っ暗な納屋で。冷たく硬い床の上で。納屋にしまわれたブルーシートを敷いて寝る。
寒いとか暑いとか、体が痛いとか、慣れてしまえばさほど感じなかった。

食事は平日のみ食べることができた。叔父一家の食事を作る際、多めに作っておき、お腹の空いたものがいてなくなってしまえば食事はなし。多く作りすぎることも禁止だった。必ず残る分は自分が食べられる分だけにする。食べきれないと叔父は怒り、酷い目に遭う。
そんな扱いだとしてもなんとか食べさせてもらえたのは、あまりに痩せすぎると外聞が悪いからだった。
しかしその残飯も嫌がらせのように余った分はすべて一つの容器に混ぜ、まるで給食の最後に出る残飯のようなものにされた。最初はあまりの見た目と味のごちゃごちゃさに気持ち悪くなったり、食べられなかったりすることもあったが、次第に慣れて何も感じなくなった。

休日は叔父一家は必ず出かける。家から人がいなくなるので、家に鍵をかけ、納屋にも外から鍵をかけられる。食事もなく納屋からも出られず、できることはといえば納屋にある仮設トイレや水道を使ってギリギリ生きていくことだけだ。

それでも残飯に未練はないし、叔父一家がいなければ虐げられないため落ち着いた。
叔父夫妻や叔父の子供たちがいれば何かにつけて難癖をつけられ、目につくや否や罵声を浴びせられ、小突かれたり水をかけられたり。
機嫌の悪い日や何か失敗をした時はそれらの行為は悪化し、見えないところにあざや傷ができてしまうこともあった。
しかし骨折などには至らなかったのだから絶妙な加減がされていた。

最初はそれらを本当に辛いと思っていたような気がするが今はもう何も感じない。
何に対しても感情は動かない。
ただ息をして、言われるままに食事をし、そして言われるがまま納屋で寝る。

それだけだ。
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