54 / 150
第三部 第二章 クリムゾン・エッジ
第三部 極炎(クリムゾン)の怒り 第二章 1
しおりを挟む第二章 クリムゾン・エッジ
* 1 *
窓側の後ろの方にある僕の席の斜め前は、空席だった。
やっぱりたいしたことを話していない担任教師の終わりのホームルームの連絡事項を聞き流しつつ、僕はその空席をじっと見つめていた。
今日は火曜日。
空席の主は、夏姫。
土曜に校門の前で別れて、日曜は僕の家で練習をするはずだったけど、夏姫は来なかった。
いつも一番に来て昼飯をつくってくれたり、それができないときはメールでも通話でも連絡をくれていたのに、何の連絡もなかった。こちらからの連絡にも応答がなかった。
週が明けた昨日の月曜は学校を休み、今日もまた夏姫は休みだった。
――何やってんだ、あいつは。
姿を見せず、連絡も取れない夏姫に、僕は苛立ちを感じていた。
「ちょっと克樹。夏姫と何かあったの?」
日直の挨拶の号令に自動的に礼をこなした後、ポケットに忍ばせておいたイヤホンマイクを耳につけて電源を入れたところで、そんな声をかけてきたのは遠坂。
「なんだよ」
「夏姫、今日も休みじゃない。あんたがなんかヘンなことして、休んでるんじゃないの?」
苛立ってる、と言うより僕に対して怒ってる様子の遠坂は、犯人が僕であるかのように、周りにまだクラスメイトがたくさんいるというのに声を荒げてくる。
担任こそもう教室を出ていていないが、クラスのそこかしこから僕に白い目が向けられる。僕に対する悪評がさらに広まるような気がしたが、そんなのはいまさらだからどうでもいいことにする。
「僕は何もやってない」
「本当に? 先週は他の学校の可愛い女の子に抱きつかれたり手をつないで歩いてたって話も聞いてるんだけど? 二股かけて夏姫を泣かしてたりするんじゃないの?!」
頭から僕が悪いと決めつけてくる遠坂は、僕の反論に対して顔を怒りに染めながら、唾でも飛ばしそうな勢いで言葉を投げつけてくる。
「別に、その他の学校の子とつき合ったりしてるわけじゃない。というか、夏姫とだってつき合ってるわけじゃない」
「え? 嘘……。そうなの?」
「本当だ、って。僕はそんな可愛いことつき合うようなキャラじゃないだろ」
「それは……、否定しないって言うか、本人同士の問題だけど。克樹が普通に女の子とつき合ってるのなんて想像できないけどさ」
勢いを失った遠坂は少し呆然とした感じで、意識してるのかどうなのか、割と傷つくことを言ってくれるが、僕自身が言ってるんだからしょうがない。
「で、でも、夏姫が克樹のせいで休んでないってのは? 連絡したけど返事もないんだけど」
「家の事情で休んでるらしいよ」
「そうなの?」
「担任に確認したら、夏姫からそう連絡があったって言うんだから、本当だろう」
「……そっか」
やっと納得してくれたらしい遠坂は、机越しに詰め寄るようにしていた身体を起こした。
連絡がつかない夏姫のことは、今日の午後に担任に確認していた。
彼女は独り暮らしなんだ、酷い風邪でも引いたら助けてくれる人も側にはいないんだし、エリキシルバトル関係のトラブルに巻き込まれて大変なことになってないとも限らない。
担任からは家の事情、という以上のことは教えてもらえなかったが、昨日も今日も朝に連絡があったそうだから、たぶん大丈夫なんだろう。
昨日の放課後には夏姫の家を訪ねてみたが、呼び鈴を鳴らしても出てこなかったし、部屋の中からは物音もしなかった。ただエリキシルスフィアの反応だけはあったから、ブリュンヒルデは家に置いたまま出かけてるんだと思う。
――いったい、何があったって言うんだ。
「ねぇ、克樹」
「なんだよ」
何か用事でもあったのか、まだ僕の前で考え込むように顎に指を当てていた遠坂が声をかけてくる。
「先生からプリントとか届けてほしいって言われてるんだけど、克樹も行く?」
二年でもクラス委員に選抜された遠坂は、手に持っていたデータスティックを僕に示してくる。
プリントと言いつつほぼデータでしか配られない配布物は、学校の中にいれば何も気にせず授業用の端末で受け取れるけど、学校外ではセキュリティがどうとかでネット経由で送信ができない。授業用の端末に接続することでセキュリティが解除されるスティックに、昨日と今日の分のプリントが入ってるんだろう。
「……行かない。別にそこまで気にしてない」
「何言ってんの。連絡取れないからって先生に安否の確認取りに行ったあんたが」
「ぐっ……。家にいないかも知れないし」
「ん、わかった。もし家にいて、話聞けたら教えるよ」
「デリケートな問題かも知れないんだから、しつこく聞き出したりするなよ」
「わかってるって」
すっきりとしたものじゃないが、笑みを浮かべた遠坂は軽く手を振って教室から出ていく。
聞き耳を立てていたらしいクラスの連中も、解散して帰りの準備を再開していた。
最後まで視線を向けてきていた近藤に肩を竦めて見せて、僕はひとりで教室を出る。
『夏姫、大丈夫なのかなぁ』
イヤホンマイク越しに、リーリエがそんなことを言ってくる。
廊下を歩きながら、僕はそれに小声で答えた。
「連絡つかないんじゃわからない。ヒルデは無事なんだから、本当に家の事情なんじゃないか?」
『そうかも知れないけど、心配だな。むぅ……』
「まぁな」
心配そうなうなり声を耳元で上げてるリーリエに同意の返事をしながら、僕は考え込んでしまっていた。
父方も母方も親戚づき合いはないという話は夏姫から聞いてたし、母親の春歌は故人なのだから、本当に家の事情だとしたら、おそらく父親に何かがあったということだ。
夏姫からは微妙な関係らしい父親の話はずいぶん前に聞いて以降、一度も話題に出たことがない。
本当に家の事情なのかどうかも怪しいところだったけど、連絡がつかないし、家にもいないんじゃ、僕にはどうすることもできない。
苛立ちが抑えきれず、僕は昨日からもう何度したかもわからない舌打ちをしていた。
――なんでもいいから連絡してこいよ、夏姫!
*
「ここ、だったよね」
携帯端末のナビ表示で間違いないことを確認して、明美は大きな地震でもあったら潰れてしまいそうなアパートを眺めた。
担任教師から送信された住所を見て、鉄製の無骨な階段を上がり、浜咲と表札のある部屋の前に立つ。
呼び鈴を鳴らしてみたが、反応はなかった。
「夏姫ぃー? 明美だよーっ。学校のプリント持ってきたよーっ」
扉に呼びかけながらノックしてみたが、やはり反応がない。家にいないのかと思ったが、換気用らしい小さなガラス窓の向こうには、灯りが点いているように見えた。
――どうしよう。
担任からは家にいないなら郵便受けに入れておいてくれ、と手紙の入った封筒も渡されていた。
言われた通りにして帰ろうかとも思ったが、父子家庭で、父親も家に帰らないという夏姫の家庭事情を少しだけ聞いていた。父子家庭で家族の事情というならば、親戚の可能性も考えられたが、父親に何かあったのかも知れない、とも思う。
「ゴメン、開けるね」
心配になった明美は、ノブに手をかけて、回してみた。
「開いた……」
鍵はかかっていなかったらしく、扉は開いた。
「夏姫、いるー?」
滑り込むようにして入った室内は、キッチンなどを含めても、明美が自室として与えられている部屋よりも少し広い程度の、狭い部屋だった。
綺麗に片付いている脇のキッチンに目を向け、鍵がかかってないなんて不用心だと思いながら部屋の奥を見ると、夏姫がいた。
「……どうしたの?」
学校に行っていたわけではないだろうが、制服を着た夏姫が、壁に背をもたせかけて座っていた。
その顔には生気はなく、いつも元気で明るい彼女の面影はなかった。
生きているのか怖くなるくらいに、明美の声にも反応していない。
「夏姫? ねぇ」
「……あ、明美」
靴を脱いで側まで近寄って声をかけると、いまやっと気がついたようにうつむかせていた顔を上げ、小さく微笑んだ。
ためらいつつも、普通の状態には見えない彼女に、明美は問うてみる。
「何かあったの? 大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ。でもなんで明美がいるの?」
「先生からプリント届けるように言われたから持ってきたんだよ」
「そうなんだ。ありがと」
言葉は普段通りでも、声に元気のない夏姫は、鞄から取り出したデータスティックに手を伸ばそうとしない。仕方なく天板を折り畳んである机の上の、夏姫のピクシードールが座っている充電台の横にそれを置いた明美は、彼女の様子を詳しく眺める。
最後に会ったのは土曜日だったのに、丸三日の間に夏姫は別人になってしまったかのように違ってしまっていた。
微笑んでいるのにその頬は痩け、目の下には黒い隈が浮かんでいる。力が出ないかのように身体は弛緩していて、首を動かすのすら億劫なように見えた。
ふと思って部屋の隅のゴミ箱に視線を走らせてみると、何も入っていなかった。
自炊しているという彼女がいまの状態で食事をつくれるとは思えない。外食で済ませている可能性もあったが、動くのも億劫そうないまの状態ではそれも考え難かった。
「ちゃんと食事してる?」
「うん、大丈夫だよ」
大丈夫と言うが、食べてるとは言わない。笑っているが、その目は明美を見ていない。
失礼だとは思ったが、明美は立ち上がって狭いキッチンに行き、冷蔵庫を開けてみた。
お茶か何かと思われるポットに入った飲み物の他に、食べられそうなものは入っていなかった。隅にあるゴミ入れにも、何も入っていない。
夏姫の元へと戻った明美は、彼女の肩をつかんで、正面からその目を見つめて問う。
「いつから食べてないの?」
「んー。いつからだろ。わかんない」
「何があったの? 夏姫。……もしかして、お父さんに何かあったの?」
ためらいつつも言った明美の言葉に、夏姫は笑っているだけだった。
けれどもその目尻に涙が溢れ、筋となって零れた。
「パパが……、パパが死んじゃうかも知れない……。事故で、意識なくて、それなのに、何か、責任取らないといけないらしくて……。アタシ、わかんない。何がどうなってるのか、ぜんぜんわかんない……」
笑顔を保っていられなくて、顔をくしゃくしゃにして泣く夏姫を、明美は胸に抱き寄せる。
夏姫の父親が事故で怪我をして、意識不明の重体であることはわかった。しかしそれ以外のことは明美にはよくわからない。
仕事の関係で起こった事故の結果の怪我なのかも知れないと思うが、堰を切ったように大声で泣く夏姫に問うことはできそうになかった。
友達程度の立場で、踏み入っていいことのようには思えない。ただ、自分では助けられそうな問題ではないことだけはわかった。
――でも、克樹なら?
家もそこそこ裕福で、自身も高校生とは思えないほど稼いでいるらしい克樹。
そしておそらく、夏姫にとって一番近い、明美や、もしかしたら父親よりも近い距離の彼。
どれほど大きな問題なのかはわからなかったが、克樹ならば何とかできるかも知れないと思った明美は、夏姫の肩を押して身体を離し、彼女の顔を見つめて言う。
「克樹に相談してみよう? あいつだったらもしかしたら――」
「ダメ!」
遮るように発せられた否定の言葉。
先ほどまでの何も見ていないものでも、悲しさやつらさに揺れているものでもなく、強い拒絶を感じる瞳を、夏姫は見せていた。
「ダメって……。相談とかするならたぶんあいつが一番――」
「ダメッ。絶対にダメ。克樹には頼れないの。頼りたくないの」
「そんなこと言っても、先生とか、親戚の人に頼るとかはできないんでしょ? たぶん。だったらやっぱり克樹に、相談だけでもすれば何かいい方法考えてくれるんじゃない?」
「うぅん。ダメなの。克樹には迷惑かけられないの。アタシと、アタシの家の問題だから」
涙が止まった夏姫の瞳は、それでもまだ揺れている。
様々な感情が渦巻いているように、いまにも零れ出しそうな涙を必死で我慢しているのが見えた。
「克樹にだけは絶対に話さないで。お願い、明美」
どんなに激しく揺れていても、その気持ちだけは確かなものらしい。力の籠もった瞳で見つめられて、明美は迷ってしまっていた。
克樹に話してどうにかなる問題ではないかも知れないとも思う。
彼に迷惑をかけたくないという夏姫の気持ちも理解できる。
それと同時に、明美は理解する。
――夏姫にとって、克樹ってそんなに大切な人なんだ。
絶対に迷惑をかけたくなくて、必死でそれを訴えかけてくるほどに、夏姫にとって克樹は大きな存在なのだと、明美は感じてしまっていた。
――そっか。そうなんだ、夏姫。
寂しいのとも、悲しいのとも違うような、複雑な気持ちに胸がつかえそうになっているのを悟られないようにしながら、微笑みを浮かべた明美は、夏姫の訴えには返事をせずに言う。
「ちゃんと食事はしないとダメだよ」
「うん、わかった」
「連絡取れないって克樹が心配してたから、返事くらいはしてあげて」
「……落ち着いたら、するよ」
「そうして上げて」
目を逸らした夏姫が、克樹に連絡をしないだろうことは想像できた。
メールの返事ひとつ入れられないくらいに、問題が大きいのだろうと思う。
細かく身体を震わせている夏姫を、明美は抱きしめてやることしかできなかった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
アリスの飛び降りた教室
一初ゆずこ
SF
「この中に、あなたたちをここへ閉じ込めた“アリス”がいる」
高校生・吉野泰介はある朝クラスメイトの訃報を受けて早朝の教室へ向かうが、集まった生徒は幼馴染の佐伯葵に、一匹狼の仁科要平だけだった。
そこへ突如現れた見知らぬ少女の言葉を皮切りに、佐伯葵は謎の失踪を遂げてしまう。
少女の意図さえ分からないまま、仲間の命を懸けた“ゲーム”の幕が開けた。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
アルビオン王国宙軍士官物語(クリフエッジシリーズ合本版)
愛山雄町
SF
ハヤカワ文庫さんのSF好きにお勧め!
■■■
人類が宇宙に進出して約五千年後、地球より数千光年離れた銀河系ペルセウス腕を舞台に、後に“クリフエッジ(崖っぷち)”と呼ばれることになるアルビオン王国軍士官クリフォード・カスバート・コリングウッドの物語。
■■■
宇宙暦4500年代、銀河系ペルセウス腕には四つの政治勢力、「アルビオン王国」、「ゾンファ共和国」、「スヴァローグ帝国」、「自由星系国家連合」が割拠していた。
アルビオン王国は領土的野心の強いゾンファ共和国とスヴァローグ帝国と戦い続けている。
4512年、アルビオン王国に一人の英雄が登場した。
その名はクリフォード・カスバート・コリングウッド。
彼は柔軟な思考と確固たる信念の持ち主で、敵国の野望を打ち砕いていく。
■■■
小説家になろうで「クリフエッジシリーズ」として投稿している作品を合本版として、こちらでも投稿することにしました。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも投稿しております。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
恋するジャガーノート
まふゆとら
SF
【全話挿絵つき!巨大怪獣バトル×怪獣擬人化ラブコメ!】
遊園地のヒーローショーでスーツアクターをしている主人公・ハヤトが拾ったのは、小さな怪獣・クロだった。
クロは自分を助けてくれたハヤトと心を通わせるが、ふとしたきっかけで力を暴走させ、巨大怪獣・ヴァニラスへと変貌してしまう。
対怪獣防衛組織JAGD(ヤクト)から攻撃を受けるヴァニラス=クロを救うため、奔走するハヤト。
道中で事故に遭って死にかけた彼を、母の形見のペンダントから現れた自称・妖精のシルフィが救う。
『ハヤト、力が欲しい? クロを救える、力が』
シルフィの言葉に頷いたハヤトは、彼女の協力を得てクロを救う事に成功するが、
光となって解けた怪獣の体は、なぜか美少女の姿に変わってしまい……?
ヒーローに憧れる記憶のない怪獣・クロ、超古代から蘇った不良怪獣・カノン、地球へ逃れてきた伝説の不死蝶・ティータ──
三人(体)の怪獣娘とハヤトによる、ドタバタな日常と手に汗握る戦いの日々が幕を開ける!
「pixivFANBOX」(https://mafuyutora.fanbox.cc/)と「Fantia」(fantia.jp/mafuyu_tora)では、会員登録不要で電子書籍のように読めるスタイル(縦書き)で公開しています!有料コースでは怪獣紹介ミニコーナーも!ぜひご覧ください!
※登場する怪獣・キャラクターは全てオリジナルです。
※全編挿絵付き。画像・文章の無断転載は禁止です。
涙はソラを映す鏡
青空顎門
SF
プログラム次第で誰もが物質の生成、分解、改変を行える装置ティアによって引き起こされた未曾有の災害、落涙の日から九年。誰もがその惨状を胸に刻みながら、それでも人々は文明を保つため、未だにティアに依存するように生活していた。
そんな中、ウーシアという名の、しかし、記憶にないはずの少女の夢から目覚めた穹路は見知らぬ場所で、ティアの発明者の孫、望月螺希とその妹、真弥に出会う。彼女達に空から落ちてきたと言われた穹路は混乱しつつも、二人との会話からそこが自分の知る西暦二〇二〇年の世界から約二三〇年後の未来であることを知る。かつての時代で不治の病に侵されていた穹路は、治療を未来の技術に託した両親の手配で人体冷凍保存を受けていたのだった。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
あやとり
吉世大海(キッセイヒロミ)
SF
人類は世界を宇宙まで進出させた。
地球の「地上主権主義連合国」通称「地連」、中立国や、月にある国々、火星のドームを中心とする「ゼウス共和国」で世界は構成されている。
そして、その構成された世界に張り巡らされたのがドールプログラム。それは日常生活の機械の動作の活用から殺戮兵器の動作…それらを円滑に操るプログラムとそれによるネットワーク。つまり、世界を、宇宙を把握するプログラムである。
宇宙の国々は資源や力を、さらにはドールプログラムを操る力を持った者達、それらを巡って世界の争いは加速する。
・六本の糸
月の人工ドーム「希望」は「地連」と「ゼウス共和国」の争いの間で滅ぼされ、そこで育った仲良しの少年と少女たちは「希望」の消滅によりバラバラになってしまう。
「コウヤ・ハヤセ」は地球に住む少年だ。彼はある時期より前の記憶のない少年であり、自分の親も生まれた場所も知らない。そんな彼が自分の過去を知るという「ユイ」と名乗る少女と出会う。そして自分の住むドームに「ゼウス共和国」からの襲撃を受け「地連」の争いに巻き込まれてしまう。
~地球編~
地球が舞台。ゼウス共和国と地連の争いの話。
~「天」編~
月が舞台。軍本部と主人公たちのやり取りと人との関りがメインの話。
~研究ドーム編~
月が舞台。仲間の救出とそれぞれの過去がメインの話。
~「天」2編~
月が舞台。主人公たちの束の間の休憩時間の話。
~プログラム編~
地球が舞台。準備とドールプログラムの話。
~収束作戦編~
月と宇宙が舞台。プログラム収束作戦の話。最終章。
・泥の中
六本の糸以前の話。主役が別人物。月と宇宙が舞台。
・糸から外れて
~無力な鍵~
リコウ・ヤクシジはドールプログラムの研究者を目指す学生だった。だが、彼の元に風変わりな青年が現われてから彼の世界は変わる。
~流れ続ける因~
ドールプログラム開発、それよりもずっと昔の権力者たちの幼い話や因縁が絡んでくる。
~因の子~
前章の続き。前章では権力者の過去が絡んだが、今回はその子供の因縁が絡む。
ご都合主義です。設定や階級に穴だらけでツッコミどころ満載ですが気にしないでください。
更新しながら、最初から徐々に訂正を加えていきます。
小説家になろうで投稿していた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる