神水戦姫の妖精譚

小峰史乃

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第二部 第二章 黒白(グラデーション)の願い

第二部 黒白(グラデーション)の願い 第二章 3

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       * 3 *


 一度家に帰って泊まる準備を整えた夏姫は、スーパーに寄り食材を買い出して克樹の家に向かっていた。
「けっこうたくさんになったな」
 肩から提げているスポーツバッグの他に背負っているリュックサックは、食材で膨らみ、肩に食い込むような重さを感じる。克樹から携帯端末間で譲渡可能な上限まで渡してもらった資金を、わずかに足が出るくらいの量を買い込んでいた。
 ――夕食できる頃には、真っ暗になっちゃうなぁ。
 まもなく夕暮れに染まってくるだろう静かな街並みを、夏姫は早足目に歩く。
「出たね」
 そんな夏姫を遮るように現れたのは、黒い衣装で身を包む小柄な影。
 灯理を追いかけていた、忍者のようなドールだった。
 庭のある家の木の上に隠れていた忍者ドールが道路に降り立ち構えを取ったのを見て、夏姫はスポーツバッグの中に手を入れ、ブリュンヒルデを取り出した。
 すぐさま襲ってこないかと警戒しつつ、現れたらすぐ対応できるよう起動状態で持ってきていたヒルデを地面に立たせ、携帯端末をポケットからつかみ出す。あらかじめ準備しておいたメールを克樹と近藤に送信し、エリキシルバトルアプリを起動した。
 克樹の家まではまだ少し距離があったが、歩いても三分とかからない。メールに自動挿入される位置情報を見て彼がどれくらいで駆けつけてきてくれるかと思いながら、どうやら戦う気らしいドールを見据え、夏姫は叫んだ。
「フェアリーリング!」
 夏姫の声に反応して、車二台がぎりぎりすれ違える道路いっぱいに、光る輪が広がる。
 ――できるだけ早く来てよ、克樹。
 心の中で呼びかけながら、夏姫は自分の願いを込めて、唱える。
「アライズ!!」
 光に包まれたヒルデが、二十五センチのピクシードールから百五十センチのエリキシルドールへと変身する。
 セミコントロールアプリを立ち上げた夏姫は、ヒルデの左の腰に提げている長剣を抜かせた。
 ――さて、どんな相手なのかな。
 忍者ドールは空手に似た構えを取り、伺ってでもいるのか、攻撃を仕掛けては来ない。
 こっそりと周囲を見回しても、夏姫の視界の中に忍者ドールのソーサラーと思しき人物は見つからなかった。
「レーダーで感知できないトリックも含めて、全部暴いてあげるから!」
 叫びながらアプリにヒルデの行動指令を打ち込み、先制攻撃を行わせる。
 忍者ドールに対して斜めの体勢で、右手の長剣を突き出すように構えていたヒルデが、大きく一歩踏み出す。
 それに対応して半歩下がろうとした忍者ドールは、下げた脚が地面に着いた瞬間、横に跳んでいた。
「ちっ。目がいいっ」
 長剣の挙動をフェイクに、左手のスナップだけで投げつけた三本のナイフは、家の壁に突き刺さっただけだった。
 ――フルコントロールソーサラー、なのかな?
 ドールの目を自分の目とし、遠隔操作をしていると思われる忍者ドールのソーサラー。
 突発的な事柄に対する柔軟な対応はフルコントロールの方が上なのはわかっていたが、いまの動きだけでは判断がつかなかった。
「まぁ、何にせよ、休ませてあげないんだからね!」
 ヒルデを前進させ、長剣による突きを見舞う。
 壁沿いに立つ忍者ドールは素早く、しかし大きな動きで連続した突きを躱していた。
 ――そんなに強くない、かも?
 ブロック塀に深く傷をつけないように力加減を考えながら、夏姫は忍者ドールの動きの大きさに、あまり強くなさそうだと感じていた。
 命中こそさせられなかったが、黒い衣装に剣先をかすめさせることは難しくない。
 ――だったら一気に畳み込む!
 片膝を着く形で突きを回避した忍者ドールに、夏姫はヒルデに新たなコマンドを発する。
 振りかぶった長剣で斬りつけようとしたとき、微かな光を夏姫は見た。
「あっぶなっ」
 とっさにヒルデを後退させながら、長剣を身体の前に構えさせると、自動で発動したディフェンスコマンドが飛来物を打ち落とした。
 剣によってアスファルトの道路に叩き落とされたのは、人の身体くらい楽に貫通できそうな長さの、針。
 一瞬前まで何も持っていなかった手で、忍者ドールは針をヒルデに投げつけてきていた。
 ヒルデに構えを取り直させたとき、地を蹴って突撃してくる忍者ドール。
 どこに持っていたのか、両手に黒い刀身をした短刀を構える忍者ドールが、しゃがみ込むほどの低い位置から攻撃を仕掛けてきた。
 長剣の間合いの内側に入ってきた敵に、夏姫は次々とヒルデにコマンドを出す。
 衣装も短刀も黒い忍者ドールの動きは見えづらかったが、逆手に持った長剣で、左の手刀で、膝や脚甲も使い、攻撃を防いでいく。
 ――目はいいけど、やっぱりそんなに強くない!
 隙を見て挟み込んだヒルデの反撃をすべて躱す忍者ドールだが、短刀による攻撃は狙い澄ましたものではなく、防ぐのはさほど難しくはなかった。
「そろそろこっちからいくからね!」
 言いながら夏姫はヒルデに新たなコマンドを飛ばす。
 それに対応したヒルデは、短刀の攻撃を膝で弾き飛ばす。
 ヒルデは動きを止めず、忍者ドールの胴体を蹴り飛ばすように、膝から先を伸ばした脚を振り抜いた。
 大きく跳んで躱されたのを見、夏姫はヒルデに左半身を前にし、開いた左手を突き出して、振りかぶるように長剣を構えた右腕で、突きの構えを取らせた。
 壁を蹴り、突進してきた忍者ドール。
 息を止め、タイミングを計った突きは、しかし繰り出せなかった。
 短刀を投げ捨て、背中に手を回した忍者ドールが取り出したのは、大きな刃と長い柄を持つ薙刀状の武器、グレイブ。
 光る筋となって振り下ろされるグレイブを右手の長剣で弾いたヒルデに、動きを止めない忍者ドールが迫った。
 その両手には、新たにナイフが握られている。
「甘い!!」
 グレイブを弾いたときには、ヒルデは腰の後ろに手を回し、短剣を抜いていた。
 腕の長さと武器のリーチの分だけ早く届いたヒルデの攻撃が、黒い衣装に覆われた細い首を捕らえる。
「浅かった?」
 本当に目だけは凄まじく良いらしい。
 首を切り落とすはずだった短剣は、二本のナイフに阻まれていた。
 それでも衣装とソフトアーマーを斬り裂き、頭を支える人工筋に傷を入れられているはずだったが、メインフレームには達していない感触を、夏姫は覚えていた。
「もう一回、いくよ」
 ダメージのないヒルデに、夏姫は構えを取らせる。
 攻撃を受けて弱気にでもなったのか、忍者ドールはナイフを持ったまま低く構え、ヒルデとの距離を保ち続けている。
「克樹?」
 微かに彼の声が聞こえてきたような気がして、夏姫の注意が一瞬敵から逸れた。
「あ、待ちなさい!」
 その隙を逃さず、忍者ドールは飛び上がって塀に乗り、高くジャンプして住宅の敷地の中に消えていった。
 ヒルデに投げナイフを構えさせたときには、もうその姿は見えなくなっている。
「逃がしちゃったかぁ。引き際を弁えてるなぁ」
 頬を膨らませながら呟いたとき、少し先の曲がり角から姿を見せ、走り寄ってきたのは、克樹。
「大丈夫、か、夏姫っ」
「大丈夫だよ。問題なし!」
 にっこり笑って答える夏姫に、ほとんど全力疾走だったのだろう、克樹は両膝に手を着いて安堵の息を吐き出していた。
『夏姫とヒルデは大丈夫? あの子はどうなったの?』
「アタシもヒルデは問題なし。あの忍者みたいのは、首の人工筋に切れ目を入れられたと思うんだけどね、逃げられちゃった」
『そっか。夏姫とヒルデが無事なら、よかった』
「無茶、するなよ。莫迦」
「ん……。そうだね」
 切れた息がすぐには整いそうにない克樹に、そんなんじゃ戦えないだろうと思いつつも、夏姫の胸の中には暖かいものが満ちてきていた。
 ――ちゃんと克樹は、アタシのために駆けつけてきてくれるんだな。
 半年前の近藤との戦いのとき、大事な用事の最中だったらしいのに、克樹は必死で助けに来てくれた。
 いつもたいていぶっきらぼうで、面倒臭がりの彼だが、いざというときは、いまのように心配してくれる。助けに来てくれる。
 そんな彼であることは、ガーベラを修理して近藤に返したときも、昨日から勉強を教えてくれるときにも感じていたが、改めてそれを確認して、夏姫は抑え切れず笑みを零していた。
 敵を逃した悔しさよりも、夏姫の胸にあったのは、克樹の行動に対する、嬉しさだった。


          *


「ふぅ……。ごちそうさま」
 夕食を食べ終えたのは、結局僕が一番最後になってしまっていた。
 夏姫がつくってくれたオーソドックスで、市販のルーを使っただけのカレーは、レトルトかチェーン店のしかしばらく食べてなかった僕にはかなり美味しくて、二回もお代わりしてしまった。
「ありがと」
「えぇっと、うん」
 カレー皿とスプーンを、流しで先に洗い物を始めている夏姫に持っていく。
 ありがとうと言うのはどっちだと思いつつも、ちょっとしゃれたデザインのブラウスに、黒のビスチェスカートを穿いて、エプロンをつけて微笑む夏姫に、僕はなんと言っていいのかよくわからなかった。
 新しいコーヒーを入れたカップを全員に配って、ダイニングテーブルに就いたのは、僕と夏姫、それから灯理と、空手の練習が終わって駆けつけた近藤。さらに実体はないから姿は見えないけど、リーリエの五人。
 全員が僕のことを見つめてきているのを確認して、椅子から立ち上がった僕は話を始める。
「さっきも説明した通り、夕方に夏姫があのドールに襲われた。撃退はしたけど、たぶん灯理だけじゃなく、もう僕たちも標的になってると考えた方がいい」
 灯理には帰ってきてから、稽古中で連絡がつかなかった近藤にはメールで、軽く状況は説明済みだった。
 心配そうに顔を歪めてる正面の近藤に、とくに気にした様子のない隣の夏姫。被ってるスマートギアからリーリエの声はなく、斜め向かいの灯理は、神妙な顔をして、深く頭を下げた。
「巻き込んでしまってすみません」
「エリキシルバトルに参加する限り、いつかはぶつかる相手だったんだから、灯理が謝るようなことじゃない」
「……灯理ぃ?」
 夏姫の地の底から響くような声と突き刺さるような視線に、いつの間にか中里さんのことを「灯理」と名前で呼び捨てにするようになってるのに気づいたけど、気づかなかった振りをして話を続ける。
「名前がないと面倒だから、あのドールのことは一応ってことで『忍者』と呼ぶことにする」
「なんで忍者なんだ?」
「なんとなく衣装がそんな感じだし、隠し武器を大量に持ってる暗器使いみたいだからね。んで、忍者のソーサラーに関してはいまのところ何もわかってない。レーダーで感知できない理屈についても、はっきりしたことはわからない」
「どれくらいの強さだったのですか?」
 そう口を挟んできたのは、灯理。
 答えたのは夏姫だった。
「んー。強さはそこそこだと思う。動きはローカルバトルの中堅どころ、って感じかな? いろんな武器隠し持ってるみたいだから、油断はできないけどね。アタシのヒルデならたいてい対応できるけど、近藤のガーベラだと相性悪いかも。暗器使いだってのわかってれば、負けないとは思うけどね」
「武器を使うタイプのドールか。確かにやっかいだな」
「リーリエにいま、夏姫の戦闘映像を解析してもらってるから、後で渡すよ」
「頼む」
 正直なところ、ヒルデの視点で撮影された戦闘映像を見て、僕は唖然としてしまった。
 確かに忍者の動きは大雑把な感じがあって、戦いに不慣れな感じはあった。
 でも拾い集めて、ヒルデと一緒にカームして本来のサイズに戻した武器を見ても思ったけど、よくあれだけ多彩な武器を予告もなしに持ち出されて、夏姫が対応できたものだと思う。
 対応能力ならリーリエも負けてないと思うけど、リーリエが格闘タイプが基本というのもあって、夏姫よりも先に僕が出くわしていたら、厳しい戦いになっただろう。
「とにかく、ゴールデンウィークの間は、できるだけ僕の家に集まるようにしてくれ。出かけるときはひとりじゃなくて、最低でもふたりで」
「と言っても、オレはここには泊まれないぞ」
「まぁ、できるだけ、ね。どうせ追試対策の勉強もあるんだし」
「うっ。確かに……」
 喉を詰まらせて、渋い顔をする近藤。
 追試対策の勉強はいつまでやるとかは決めてなかったけど、昨日の段階でゴールデンウィークの全部を使う覚悟は決めていた。
「そんな感じってことで」
「わかりました」
「ん、わかった」
「了解だ」
「リーリエもしっかり監視は頼むぞ」
『もっちろんっ。いつだってちゃんと見てるよー』
「そうだな」
 他にもいくつか細かいことを決め、夕食会を兼ねた作戦会議はお開きになった。
 席を立ち、家に帰ろうとする近藤を追い、僕は玄関まで行く。
「なぁ、本当に泊まらないか?」
「嫌だよ。なんか頼りにされてるのはお前みたいだし、どっちか片方ならともかく、ふたり揃ってる空間にオレひとりみたいなことにはなりたくないぞ」
 勉強をしてる間にか、何だか仲良く話してる様子のふたりを、近藤と一緒に玄関から閉じたLDKの扉越しに見る。
「僕だって怖いよ、それは」
「それよかお前の場合、どっちかとふたりっきりになったとき、襲いかかったりするんじゃないのか? 遠坂からも浜咲からも、他にも噂は聞いてるぞ。あんまりヘンなことするなよ」
「あーっ」
 僕のことを信用していないように、近藤は険しい視線で見つめてくる。
 もう一度ちらりとふたりの方に視線を走らせると、にっこり笑った灯理の、スマートギア越しの視線とぶつかった。
「夏姫はともかく、灯理には僕の方が食われそうだよ……」
「なんだそりゃ」
 すでに昼のうちに押し倒したなんてことは言えず、首を傾げてる近藤に僕は言葉を濁すだけだった。
 昼のあのときに灯理が言っていた、彼女の決意。
 それが僕には、どうしても引っかかっていた。

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