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6月1日
今日、やっとソフィーが転生者であり、僕の妻だった事の確認が出来た。
ただ残念なのは、お互いがお互いであるとの認識は出来るのに、前世である日本人だった頃の名前が、どちらも思い出せない事だ。
ソフィーはまだいい。
僕に『ダーリンちゃん』とあだ名をつけて呼んでいたから、『僕』の事を呼ぶ事が出来る。
でも僕は、前世で妻の事を『ソフィー』みたいに名前で呼んでたから、名前を思い出せない限り、呼ぶ事も呼んであげる事も出来ない。
それが悔しくて、哀しくて、寂しい。
ソフィーは
『前世での呼び方は二人ともが思い出せないんだから仕方ないよ』
『もちろん呼んでもらえてら、うれしいだろうな、って思うけど』
と少し寂しそうに言うくせに
『私がダーリンちゃんの分まで呼んであげるから、気にしなくていいよ?』
とか
『どっちにしても二人でいる時でしか呼べないから「ソフィー」と呼んでくれるだけでうれしい』
と言ってくれるけど、僕が、『僕』こそが呼びたいんだ。
ソフィーは僕の事を『アルフレッド様』と呼ぶし、これからはそれに加えて『ダーリンちゃん』とも呼べる。
ホントは『アルフレッド様』じゃなくて、もっと愛称っぽく呼んで欲しいけど、『アル君』はすっかりアルフォンソのになって定着してるし、さすがに同じのは紛らわしいし、息子と張り合ってる様で大人げなく思われそうでもある。
て事は他となると候補としては『アルフ』か、下の方を取って『フレッド』もしくは『フレド』『レッド』辺りか・・・
もし、瞳か髪が赤ければ『レッド』でも良かったかも知れないけど、あいにく近い色ではないからなぁ。
強いて言えば、髪が見ようによっては『赤に近く見えなくもない』って程度かなぁ?
まぁ、呼ぶのはソフィーだから、ソフィーに決めてもらってもいいかもね。
と、話が逸れてた。
つまり、ソフィーは僕の事を呼ぶのに2通りの呼び方で呼ぶ事が出来るのに、僕は『ソフィー』と1通りでしか呼べない事が不満なんだ。
今の『ソフィー』と前世の『妻』。
今の『私』と前世の『僕』。
どちらも自分だから、両方ともの名で呼んで欲しいし呼びたい、と思うのはやっぱり我が儘なのだろうか?
この事をソフィーに言うと
『わっがままぁ~♪そんな難しく考える必要ないよ?
そんなことばっかり考えてるからほら、また眉間にシワが寄ってきてるしハゲるよぉ?
ホント、甘えたちゃんなんだからぁ♪』
と笑い飛ばし、僕に抱きついて
『大丈夫、私はちゃんとココにいるよ?
もう、ダーリンちゃん置いてどっかに行っちゃったりしないから、そんなに怖がらないで。
もし、離ればなれになったら、今度は私が探してどこまでも追いかけるから。
イヤって言っても、もう離れてあげない。
大好きダーリンちゃん、ずっとずぅ~っと愛してる』
そんな事を言いながら、僕にキス攻めをしてくる。
本当に、敵わない。
『僕』にとってもそれが『私』であっても、ソフィーは大切で、必要で、ずっとソフィーに溺れている。
憧れ続けていると言っても、いい。
その、優しさに。
その、温かさに。
その、厳しさに。
その、包容力に。
その、強さに。
今度は絶対に離さない。
もう、二度と失いたくないんだ。
だから、確かに僕の目の前にいる君に、改めて誓うよ。
『今までもこれからも、ずっと、例え世界が変わろうと、君を愛してるよ』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アルフレッドとソフィリアがこの部屋に入ってから、約2時間が経とうとしている。
お茶をするだけならば長すぎる時間だが、今日はソフィリアと大切な話があるから、とアルフレッドは出来うる限りの執務を前倒しで終わらせ、前もってカムズに話は長くなるだろう事を伝えていた(この時1時間で部屋から出てこなければ、朝食時にソフィリアと話していたお茶等は、せっかく準備してもらったのを、急遽別のものも併せて用意させたお詫びも兼ねて側仕えに下げ渡す事が伝えられていた)ので、夕食までにも後2時間程あることから、緊急事態が起こらない限りまだ時間的な余裕はあった。
現在、胡座をかいた足の間に、いつの間にか眠ってしまったソフィーを自分の胸に頭をもたれかかせるように座らせたまま、片手で抱きしめ、アルフレッドは器用に日記を書き綴っていた。時折、ソフィーにキスを落としながら。
一応書き終え、ペンを置き日記を閉じ、ちゃぶ台に端の方に置き直す。
その時、ソフィリアが身動ぎをし、目を開けた。
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