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昼休み突然声をかけられ動揺しまくって声すら発せなかった。
挙句、流れで図書室へ一緒に行くはめになってしまった。
動揺の主な原因は二つ。
一つ、昨日卑猥な妄想を飛ばしてきた奴と同じ声だった。
二つ、そいつの正体が入間 葉介かもしれないということ。
というか声が同じ時点で確定だ。
入間はこの男子校で絶大と言ってもいい程度の人気者。
文武両道で性格も良い、整った爽やかな顔で笑いかけられれば同性ですら油断したらトキメクし同年と思えない色気がある等、良い噂に事欠かない。
そっちの趣味のない自分ではあるが入間は入学当初から目立っていたから知っている。
そんな入間が実はムッツリでスケベだったとは。
ショックはないが衝撃的事実だ。
(はぁ……何で昨日気づかなかった自分)
「なぁ町谷」
「……っ、な、何かな」
「何でそんな離れてんの」
「気のせいだよ」
「いや明らかに離れすぎだろ」
そう指摘する入間に否定してみせるがかなり苦しい。
実際俺達の間は一メートル以上は離れている。
不思議そうな顔をして引き返してくる入間。
とっても逃げ出したいがそれはできない。
いっそ踏み止まる肝が無ければいいのにと思う。
一目散に逃げ出すチキンだったらと。
現実逃避しているうちに入間が隣に並ぶ。
「もしかして俺臭い?」
「……いや」
「香水嫌いとか?」
「……いや」
「俺が嫌い?」
「…………いや」
「他より間が長いんだけど。傷付くなー」
(否定しとくべきなのか……個人的に否定しときたいけど、でも関わりたくないし)
入間に敵視されたところで構いはしないが、それで今の環境が崩れてしまう可能性がないとも言い切れない。
かと言って嫌いではなく好いていると言って好意を示すのも躊躇われる。
もし気に入られてしまった場合、今後入間と関わる機会が増えるかもしれない。
(いや、待て。何で好かれる前提で考えてんだ自分。むしろ男に好意持たれて気持ち悪がられる可能性の方が……あ、それはそれで不都合が生じる場合も……)
「おーい町谷?」
ドツボにハマっていると入間に肩を揺すられ盛大にビクついてしまった。
明らかに不審がられてしまう反応をしてしまった。
案の定、入間は驚いた顔をしておりゆっくりと俺の肩から手を離す。
「……やっぱり俺のこと嫌いなんだ?」
「え、や、そういうんじゃなくて」
「なくて?」
「さ、触られるの……苦手なだけ、というか、そんな感じなわけで」
「へぇ?」
(……うわ、全然信じてない)
全く信じてないと疑いの目を向ける入間だったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
不可解な表情変化に呆気に取られていると、頭の中にさらに不可解な言葉が流れ込んできた。
『すげー可愛い』
「!?」
「どうかした?」
(今のやり取りの中のどこに可愛さを見出したのコイツ??)
変態の思考回路を凡人が理解などできるわけがなかった。
というか理解できなくていい。
挙句、流れで図書室へ一緒に行くはめになってしまった。
動揺の主な原因は二つ。
一つ、昨日卑猥な妄想を飛ばしてきた奴と同じ声だった。
二つ、そいつの正体が入間 葉介かもしれないということ。
というか声が同じ時点で確定だ。
入間はこの男子校で絶大と言ってもいい程度の人気者。
文武両道で性格も良い、整った爽やかな顔で笑いかけられれば同性ですら油断したらトキメクし同年と思えない色気がある等、良い噂に事欠かない。
そっちの趣味のない自分ではあるが入間は入学当初から目立っていたから知っている。
そんな入間が実はムッツリでスケベだったとは。
ショックはないが衝撃的事実だ。
(はぁ……何で昨日気づかなかった自分)
「なぁ町谷」
「……っ、な、何かな」
「何でそんな離れてんの」
「気のせいだよ」
「いや明らかに離れすぎだろ」
そう指摘する入間に否定してみせるがかなり苦しい。
実際俺達の間は一メートル以上は離れている。
不思議そうな顔をして引き返してくる入間。
とっても逃げ出したいがそれはできない。
いっそ踏み止まる肝が無ければいいのにと思う。
一目散に逃げ出すチキンだったらと。
現実逃避しているうちに入間が隣に並ぶ。
「もしかして俺臭い?」
「……いや」
「香水嫌いとか?」
「……いや」
「俺が嫌い?」
「…………いや」
「他より間が長いんだけど。傷付くなー」
(否定しとくべきなのか……個人的に否定しときたいけど、でも関わりたくないし)
入間に敵視されたところで構いはしないが、それで今の環境が崩れてしまう可能性がないとも言い切れない。
かと言って嫌いではなく好いていると言って好意を示すのも躊躇われる。
もし気に入られてしまった場合、今後入間と関わる機会が増えるかもしれない。
(いや、待て。何で好かれる前提で考えてんだ自分。むしろ男に好意持たれて気持ち悪がられる可能性の方が……あ、それはそれで不都合が生じる場合も……)
「おーい町谷?」
ドツボにハマっていると入間に肩を揺すられ盛大にビクついてしまった。
明らかに不審がられてしまう反応をしてしまった。
案の定、入間は驚いた顔をしておりゆっくりと俺の肩から手を離す。
「……やっぱり俺のこと嫌いなんだ?」
「え、や、そういうんじゃなくて」
「なくて?」
「さ、触られるの……苦手なだけ、というか、そんな感じなわけで」
「へぇ?」
(……うわ、全然信じてない)
全く信じてないと疑いの目を向ける入間だったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
不可解な表情変化に呆気に取られていると、頭の中にさらに不可解な言葉が流れ込んできた。
『すげー可愛い』
「!?」
「どうかした?」
(今のやり取りの中のどこに可愛さを見出したのコイツ??)
変態の思考回路を凡人が理解などできるわけがなかった。
というか理解できなくていい。
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