男とか女とか

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 翌日、いつもより早めに学校へ行き教室ではなく保健室へ向かう。
先日行われた血液検査で引っかかり再検査へと至ったため、検査結果の紙を提出するよう保健医に言われていた。
普通、大きな疾患以外で提出など求められはしないが、第二性別に関しては話は違ってくる。
今では学校側が生徒の第二性別を把握しておくことは必須となっている。
いざという時のことを考えれば当たり前だろうが気は進まない。

「失礼します」
「あら、おはよう町宮さん」

 私の用事を察したらしい保健医が朝一でなくても良かったのにと苦笑する。
こちらとしては気の進まないことは早く済ませてしまいたかった。
挨拶を返して早々、保健医に検査結果の紙を渡した。
早速内容をざっと見た保健医はやはりといった顔をする。

「やっぱり後天性α型だったんだね。抑制剤はもらったでしょう?」
「はい、持ってきてます」
「使う機会がなくて鞄の肥やしに……なんてこともザラにあるみたいだけど、もしもがあった時にあるのとないのとでは全然違うみたいだからね。私はβ型だからその辺りは資料にある情報としてしか知らないのよね」

 ごめんねと申し訳なさそうに謝る保健医だがこればかりは仕方がないだろう。
保健医は検査結果の紙をファイルに閉じると、引き出しから小さいクリアケースを取り出し私に差し出す。

「ピルケースは持ってる?」
「いえ、ないです」
「包装してあっても潰れちゃってたってことがあるから。学校の備品だけど返さなくていいからね」
「ありがとうございます」
「病院で説明されたと思うけど、後天性α型は急激に何かが変化したりなんてことはないし今まで通りで大丈夫だからね」
「はい」
「……えーっと、担任の先生には私から伝えておくから、もう教室に行っていいわよ」
「わかりました」

 うちの学校には数人Ω型が在籍しているため何か言われるかと思っていたが、一瞬気まずそうにしただけで保健医もまたそこに触れることはなかった。

(朝礼までまだ時間あるな……)

 気持ちゆっくりと静かな廊下を歩いていると、曲がり角から突然誰かが飛び出してきた。
咄嗟のことに避けることもかなわず正面衝突し尻餅をつく。
衝撃に驚いている中、カラカラと何かが廊下を滑る音が聞こえる。

「いってー……」

 声のした方へ顔を向けると、男子生徒が同じように尻餅をついていた。
傍らには先程もらったピルケースが転がっている。
一応声をかけておこうと思ったが、男子生徒の顔を見て言葉が引っ込んでしまった。

「あ゛?んだお前、辛気くせぇ面向けてんなよ」

 この学校で一番の傍若無人なα型と有名なあずま けいだった。
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