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「何で……」
「っごめん、でも」
“朝桐が屋上で待ってる”と圭からメールがきた。
そういえば朝桐と連絡先を交換していなかったと思い至り、そのメールを疑いもしなかった。
さっそく朝桐は圭と仲直りをしたのだと、そう思った。
だが屋上にいたのは朝桐ではなく圭だった。
(あ、ヤバい)
そう感じると同時に踵を返すが、痛いくらいの力で腕を掴まれ引き止められた。
せめてもの抵抗で振り返りはしない。
「ごめん理々子!騙すようなことして……俺、我慢したんだ!でも見てるだけで、俺っ濡れ、」
(あぁ、)
抵抗など虚しく私は自ら振り返る。
騙した罪悪感からか目に涙を溜め、でも欲に逆らえず上気しているのを全く隠せず切ない表情をした圭が目の前にいる。
約束をした日から一週間経つくらいだが、もう何ヶ月も前のように感じるほどに久しく圭を近くで見た気がしてならない。
酒など飲んだことはないけど、こういうのを酩酊状態だろうかと他人事のように思いながら後手で屋上の扉を閉じた。
実際はしっかりとした足取りなのにふらついてしまいそうだった。
「頼む、もっと近くにっ俺、もっと理々子と一緒にっ……」
入り口の裏側へと移動する間に紡がれるたどたどしい言葉は私をひたすらに煽る。
慎重かつ穏便に事を進ませたいのに、私の番がそれを許してくれそうにない。
「圭は酷いね」
「あっ」
両手をそっと首に添えただけで圭が小さく喘ぐ。
首から頬へと手を滑らすと圭がガクッと膝を折り座り込みそうになるが私の両肩を掴んで耐える。
堪らず溢れた圭の涙を指先に感じながらグッと体を近付けるとビクビクと圭が震えて軽く達したようだった。
圭の頭をソッと胸に抱き込み耳元で呟いく。
「圭、大好き」
「え、」
眼の前に剥き出しになっている圭の項に噛み付いた。
力の加減ができるほどの理性はなかったらしい。
じわりと口内に血の味が広がっていく。
「ぁああっ!あ、あっ!」
さっきの絶頂など比ではないほど圭が体を震わせる。
今度こそ腰を抜かし座り込んだ圭の肩を押せば簡単に倒れ込んだ。
その上に覆い被されば今までとは違う、でも確実に私を欲情させるニオイに包まれた。
「私だって我慢してたよ。ちゃんと圭の両親に認めてもらってから番って、安定した仕事に就いて圭を養えるようになったら結婚して数年は圭と二人きりの生活を楽しもうって」
「んぁ、あっごめんっごめん、理々子」
驚くほどスラスラと口から言葉がこぼれ出た。
圭はかつてない絶頂を味わい顔をグシャグシャにしながら、それでも必死に私の言葉に耳を傾けている。
「私は圭を見ないようにしてたのに圭はずっと私を見てたよね」
「ぁ、あっ気付いて……」
「あんな熱のこもった視線向けられたら気付いちゃうよ。番だからかな……最近は圭に見られてる時、匂いも感じるようになっちゃった。ねぇ、私が学校帰ってから部屋に閉じこもってどれだけオナニーに耽ったか知ってる?」
「っ!?」
「それでも治まらないんだよ。射精すれば元に戻るけど、どんどん圭に触れたくなってしょうがなかった。ごめんね、私自分で思ったほど自制心強くなかったみたい」
意味などないけど懺悔せずにいられない。
だって私は今からここで圭を犯すのだから。
ポタポタと落ちる雫が圭の涙に混じって頬を流れていく。
「っごめん、でも」
“朝桐が屋上で待ってる”と圭からメールがきた。
そういえば朝桐と連絡先を交換していなかったと思い至り、そのメールを疑いもしなかった。
さっそく朝桐は圭と仲直りをしたのだと、そう思った。
だが屋上にいたのは朝桐ではなく圭だった。
(あ、ヤバい)
そう感じると同時に踵を返すが、痛いくらいの力で腕を掴まれ引き止められた。
せめてもの抵抗で振り返りはしない。
「ごめん理々子!騙すようなことして……俺、我慢したんだ!でも見てるだけで、俺っ濡れ、」
(あぁ、)
抵抗など虚しく私は自ら振り返る。
騙した罪悪感からか目に涙を溜め、でも欲に逆らえず上気しているのを全く隠せず切ない表情をした圭が目の前にいる。
約束をした日から一週間経つくらいだが、もう何ヶ月も前のように感じるほどに久しく圭を近くで見た気がしてならない。
酒など飲んだことはないけど、こういうのを酩酊状態だろうかと他人事のように思いながら後手で屋上の扉を閉じた。
実際はしっかりとした足取りなのにふらついてしまいそうだった。
「頼む、もっと近くにっ俺、もっと理々子と一緒にっ……」
入り口の裏側へと移動する間に紡がれるたどたどしい言葉は私をひたすらに煽る。
慎重かつ穏便に事を進ませたいのに、私の番がそれを許してくれそうにない。
「圭は酷いね」
「あっ」
両手をそっと首に添えただけで圭が小さく喘ぐ。
首から頬へと手を滑らすと圭がガクッと膝を折り座り込みそうになるが私の両肩を掴んで耐える。
堪らず溢れた圭の涙を指先に感じながらグッと体を近付けるとビクビクと圭が震えて軽く達したようだった。
圭の頭をソッと胸に抱き込み耳元で呟いく。
「圭、大好き」
「え、」
眼の前に剥き出しになっている圭の項に噛み付いた。
力の加減ができるほどの理性はなかったらしい。
じわりと口内に血の味が広がっていく。
「ぁああっ!あ、あっ!」
さっきの絶頂など比ではないほど圭が体を震わせる。
今度こそ腰を抜かし座り込んだ圭の肩を押せば簡単に倒れ込んだ。
その上に覆い被されば今までとは違う、でも確実に私を欲情させるニオイに包まれた。
「私だって我慢してたよ。ちゃんと圭の両親に認めてもらってから番って、安定した仕事に就いて圭を養えるようになったら結婚して数年は圭と二人きりの生活を楽しもうって」
「んぁ、あっごめんっごめん、理々子」
驚くほどスラスラと口から言葉がこぼれ出た。
圭はかつてない絶頂を味わい顔をグシャグシャにしながら、それでも必死に私の言葉に耳を傾けている。
「私は圭を見ないようにしてたのに圭はずっと私を見てたよね」
「ぁ、あっ気付いて……」
「あんな熱のこもった視線向けられたら気付いちゃうよ。番だからかな……最近は圭に見られてる時、匂いも感じるようになっちゃった。ねぇ、私が学校帰ってから部屋に閉じこもってどれだけオナニーに耽ったか知ってる?」
「っ!?」
「それでも治まらないんだよ。射精すれば元に戻るけど、どんどん圭に触れたくなってしょうがなかった。ごめんね、私自分で思ったほど自制心強くなかったみたい」
意味などないけど懺悔せずにいられない。
だって私は今からここで圭を犯すのだから。
ポタポタと落ちる雫が圭の涙に混じって頬を流れていく。
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