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ここはドコ?私はナナミ

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眠ったと思ったら、しらない森の中だった。
会社からもどってクタクタになり、そのまま寝ちゃったんだっけ。

ブラック企業に勤めて数年。転職を数回しそれなりの業績も出していた。部下もいたバリキャリOLだった。

「このまま過労で〇んじゃうのかなぁ・・」

そんなことを思いながら、洋服のままベッドに倒れ込んだとこまでは覚えていた。

きずいたらあたり一面、樹木!

(え?まじか?木、いや樹木、もの〇け姫とか出てきそうな森だな)

ここにいてもしかたない、街を探そうと歩き出した。
大きい樹木や鳥のさえずり。外国のようでもある。

そんなことを考えていたら、遠くから馬のひずめの音がした
。馬に乗った騎士の男性。ラノベに出てくる騎士団みたいな見たことのない服装をしていた。でも言葉は通じるようだ。

「あの、こんにちは」

「その服装。庶民か?」

(庶民?まぁ、一般OLだけど庶民っちゃ庶民よね)

騎士が馬を降りた。長い茶色の前髪で左目を隠しているが、美形だ。
私の姿を上から下までじろりと見る。

「王国語はわかるか?」

「わかりますよ。はい」

「……ついてこい」

いやに偉そうだけれど、言葉は通じるし、ここで私が騒いでも仕方ないだろうと思い後についていった。馬に乗ったまま彼は進んでいく。馬の歩くスピードはそこそこ早いけれど。

(女性に合わすって考えはないのかしら・・)

速度の速さにムッとしながら騎士の男についていった。まずは状況を把握しなければ。今夜の寝床も食料も確保しなきゃならない。

(ああ、先が思いやられるわ。こんな威圧的な男性ばかりなのかしら)

「ついたぞ」

騎士の男は馬から降りると、ぐいっと私を抱き上げ、馬の鞍の上に置いた。そして彼の前に座らされる。いわゆるお姫様抱っこだ。

(いやいや。まって!)

抗議したいが彼の表情が硬すぎて何もいえない。

(失礼すぎるでしょ!これってあのお姫様抱っこよね!?)

「あの、すみませんけど下ろしていただけませんか?」

「うるさい」

バッサリだ。なんなんだこの男は!

(こんちきしょうめ。一人で歩けるっつーの!)

「あの、恥ずかしいのでおろしてください。歩けますから」

「……」

無視かい!騎士はどんどん歩く。私はため息をついた。

「仕方ないなぁ。下りるのは自分でしますから、おろしてくださいね」

「……ん」

彼はゆっくりと私をおろした。ちょっと頭が固いだけで悪い人ではないのかもしれない。私は自力で馬から下りた。

私が地面に立つと彼もまた馬から降りた。私よりずいぶん背が高い。190cmあるのではないだろうか。髪で左目が隠れているが、かなり整った顔をしているのがうかがえた。

(顔はそこそこイケメンだけど、表情が固いな。若い子なら怖がるだろうに・・・)

「あの、私の名前はナナミです。あなたは?」

「……」

また無視ですか。まったく愛想がない人だ。

「えっと、私は街に行きたいのでおろしてくれたんですよね?」

「……」

(こいつ!!)

私は心の中でキレたが、相手は偉いのかもしれないと思いなおし、大人な対応をすることにした。

「ありがとうございます」

お礼だけは丁寧に言うと彼はちょっと驚いたようだ。
目を開いて私をみたが何も言わなかった。
たぶんこれはお礼を言われると思っていなかったからだろう。


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