上 下
6 / 43

魔女の瞳と始まり

しおりを挟む
「なぁ、インディゴって藍色のことだよな」

 僕は前の席に座るクラスメイトに聞いた。

「藍色?ジーパンとかインディゴブルーって言うよな」

「そもそも藍色ってどんな色だっけ......」

「確かに青色っぽい色って知識しかなくて、こうっていう色の説明むずいよな」

「だよなぁ」

 友人と二人で頷きあう。

「この辺にインディゴって呼ばれてるところ知らない?」

「俺は知らないなぁ」

「インディゴってどこかの山の上の病院のことじゃなかったかな」

 突然僕らの会話に入ってきた、女の子。

 あまりにも唐突な登場に僕らはびっくりした。

 その様子に構うことなく彼女は続ける。

「ちょっと待って」

 と、言いながらスマホを取り出して何やら画面を打ち始めた。

 僕が彼女のスマホを見ると、丸々としたマグロに既読用マグロと書かれた紙がデデンと張り付けられたストラップが揺れていた。

 そのマグロが揺れているのを何も言えず、ただただ眺めながら待っていると。

「うん、やっぱりそうだよ」

 なにやら一人で納得すると、彼女は『りりあ』っていう人とのメッセージのやり取りを見せてきた。

「この子ね、その病院に行ってるの」

 スマホを弄って、どこかの病院の写真を見せてきた。

 その病院は彼女を追いかけて、降りた駅で見たまさにあの病院だった。

「この病院はどこにあるの?」

 彼女は顎に人指をあてながら、

「うーん私もよくは知らないんだよね、彼女は山の上にある病院だって言ってたけどね」

 山の上か......。

 「その女の子って......」

 どんな見た目?って言おうとしたとき――

 

 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン――

 

 会話を遮るように、次の授業のチャイムが鳴った。

 気が付いたらもうさっきの彼女はおらず、どこに行ったのか彼女を探すが見当たらず、授業担当の先生が来るとそのまま授業が始まった。

 授業が終わるとさっき一緒に話してたクラスメイトに、女の子のことを聞くと俺もさっきの子は知らんって返ってきた。

 ただなんとなく彼女のことが気になった。

 彼女はいったいどこのクラスの子なんだろうか......。

 彼女が何故唐突に現れたのか疑問に感じながらも、とりあえず僕は彼女が見せてくれた病院に行ってみようと思った。

 次にあったとき聞けば良いかと思い直す。

 きっとそこに行けば何かわかるだろうという、どこか確信めいたものを感じていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――

敬二 盤
ファンタジー
※なろう版との同時連載をしております ※表紙の実穂はpicrewのはなまめ様作ユル女子メーカーで作成した物です 最近投稿ペース死んだけど3日に一度は投稿したい! 第三章 完!! クラスの中のボス的な存在の市町の娘とその取り巻き数人にいじめられ続けた高校生「進和実穂」。 ある日異世界に召喚されてしまった。 そして召喚された城を追い出されるは指名手配されるはでとっても大変! でも突如であった仲間達と一緒に居れば怖くない!? チートな仲間達との愉快な冒険が今始まる!…寄り道しすぎだけどね。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

半熟卵とメリーゴーランド

ゲル純水
恋愛
あのこはフリーライター。 そのお手伝いの副産物。 短い文章やら、メモやら、写真やら。 フィクションまたはファンクション。 相も変わらず性別不安定な面々。 ※意図的にキャラクターのほとんどは「あの子」「きみ」などで表現され、名前もなく、何タイプのキャラクターがいるのかも伏せてあります。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

災厄殺しの剣姫〜黒龍を滅ぼすまでの物語〜

代永 並木
ファンタジー
黒龍の突然の出現により1つの村が滅ぼされた 偶然居合わせた冒険者が対抗するも為す術なく1人を残して全滅した 心が折れ真剣を握れず魔獣を前にすると怯えるようになってしまった 唯一の生存者となった少女は冒険者を辞め遠くの村へ逃げるように引っ越した 2年経ち少女の住むルーヌ村にワイバーンが現れた 戦えない少女は応援を呼びに森を走るがそこでレスと名乗る謎の人物と会い戦闘となりそれが引き金に天才少女は戦いに戻る

仮面の王と風吹く国の姫君

藤野ひま
ファンタジー
 これは、仮面の王との政略結婚から始まる、ある姫君の物語。    舞台は中世欧州風の異世界。  ラヴェイラ王国の妹姫である主人公リリアスは、長い吊り橋を渡ろうとしていた。事の発端は、政略結婚。正体の不明な隣国の新王に嫁ぐことになったのだ。  王命なので粛々と従おうとするも、粗末な身なりでとても花嫁が通るとは思えないような吊り橋をたった一人で渡るという、理不尽な状況に不満を漏らすリリアス。  しかし、この吊り橋を渡り切った時、更なる試練が待ち受けていた。  無事に仮面の王に対面するも、いきなり命の危機を告げられ⁉︎  この政略結婚の背景とは。  主人公の夫となる隣国の新王とはどんな人物なのか。主人公は無事に王城へたどり着けるのか? そして彼女自身の持つ秘密とは?果たしてこの婚姻の行く末は⁉︎ *第二章より戦闘描写、残酷描写があります。苦手な方はご注意願います。 *転生等はありません。

転生悪役令嬢は双子執事を護りたい~フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません!~

天咲 琴葉
ファンタジー
推しのフィギュアを公式に認めてもらうーーその一心で人生最高傑作を造り出した私。 しかし、企業との打ち合わせ前に寄ったカフェでフィギュアの原型を盗まれそうになり、犯人と揉み合った挙げ句刺されてしまう。 目が覚めると私は赤ちゃんになっていた。 母が私を呼ぶ名前はーー推しであるイケメン双子執事の主、悪役令嬢サシャ!? ならば私の目指すべき未来は1つ! 推し達の幸せは絶対に私が守る!

化け猫ミッケと黒い天使

ひろみ透夏
児童書・童話
運命の人と出会える逢生橋――。 そんな言い伝えのある橋の上で、化け猫《ミッケ》が出会ったのは、幽霊やお化けが見える小学五年生の少女《黒崎美玲》。 彼女の家に居候したミッケは、やがて美玲の親友《七海萌》や、内気な級友《蜂谷優斗》、怪奇クラブ部長《綾小路薫》らに巻き込まれて、様々な怪奇現象を体験する。 次々と怪奇現象を解決する《美玲》。しかし《七海萌》の暴走により、取り返しのつかない深刻な事態に……。 そこに現れたのは、妖しい能力を持った青年《四聖進》。彼に出会った事で、物語は急展開していく。

処理中です...