上 下
134 / 141

134.ドレイン剣

しおりを挟む
 何度も何度も切りつけられるその剣を俺は避けるように立ち回っていた。

「おいおい、逃げるだけが……ああお前の取り柄だったな」

「煽っても――」

「実際そうだろ? 俺が誘わなければ冒険者にも勇者にもなれなかったんだからな?」

 確かにアドルに誘われたからこそ冒険者になって勇者になることができた。ただ、俺は逃げたつもりは一切ない。

「結局パーティーから外されたけどね?」

 匠の短剣からミスリルダガーに持ち変えると今度は俺から切りつけた。一度に何度も放たれる刃にアドルは驚きながらも対処していた。

「伊達に勇者と呼ばれたわけではないんだな? だけど俺には敵わないな」

 再びアドルの剣は緑色に発光すると俺を切りつけた。近くにいた俺は咄嗟にまたミスリルダガーで受けるとやはりどこか力が抜けるような感じがした。

「ははは、お前自分がだんだん遅くなっているのに気づいていないのか?」

「どういうことだ?」

「さぁ? わからないからそのまま死ねばいいさ」

 大きく後ろに下がり改めて自分を鑑定した。

《ステータス》
[名前] ウォーレン
[種族] 人間/男
[能力値] 力A/SSS 魔力S/SSS 速度A/SSS
[スキル] 証券口座、共鳴吸収、限界突破
習得:短剣術、鑑定、回復魔法、雷属性、氷属性、アイテムボックス
[状態] 早く帰りたい

 アドルが言っていたことがすぐにわかった。能力値が明らかに下がっていたのだ。

 俺は咄嗟にミスリルダガーで受けたのは避けきれないと感覚的に思ったからだ。しかし、さっきまでは普通に攻撃を避け切れていたのだ。

「ははは、その顔はこの剣の恐ろしさがわかったようだな」

 さらに追撃するようにアドルは攻撃を仕掛けた。

 確かに言われてみればさっきまで避けるのが余裕だった剣技もどことなく早く感じた。

「怖くて逃げるばかりか? かかってこいよ!」

 俺を煽るようにさらに速度を上げてきた。今は剣が緑色に発光していないということは能力値を奪うことはできないのだろう。

「俺の力はまだこれからだ!」

 ミスリルダガーに雷属性を掛け合わせて切りつけた。

「なぁ!?」

 アドルはさっきと同じように避けようとするが避けても雷属性が逃さなかった。

「あがああああああ」

 無数の刃は避けても近くに入ればある程度電流が体を走るのだ。

 さらに切りつけると避けきれなかったのかアドルはそのまま倒れた。

「アドルー!」

 遠くで彼を呼んでいる名前が聞こえた。俺はロンとニアの元へ戻ろうとすると二人に声が聞こえた。

「お兄ちゃん!」
「後ろ!」

「えっ?」

 振り返った先にはさっきまで倒れていたアドルが目の前に立っていた。

「これで終わりだな」

 アドルは緑色に発光する剣を俺の脇腹に突き刺していた。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...