上 下
113 / 141

113.呼び出し

しおりを挟む
 獣人達の活躍はやはり冒険者向きではないのか感覚的には冒険者とポーターとの間の感じがした。

 どちらかと言えば索敵に向いている。あとは戦いの手段が増えればいいが獣化できる範囲が異なれば彼らも強くなるだろう。

 そして、スキル玉【幸福】の効果が偉大だった。俺からも見ただけで匠の短剣と合わせると前より品質が良くなっているのだ。

 その要因は【共鳴吸収】が関わっていた。薬草に短剣が触れた段階で脳内にはアナウンスが流れていた。

 すると光の粒子がいつもより増えていた。今まで見ていたこの粒子は幸運の光だったのかもしれないと思わせるほどだ。

 魔石の採取もしてみたいと思ったが魔物と遭遇する機会もなく依頼が終わったため王都に帰ってきた。

「ウォーレンちゃん達おかえり」
 ローガンに依頼分の薬草を提出すると獣人達に半分渡し、残りは俺達がもらった。

「そういえばウォーレンちゃんに会いたいって言ってた人が来てるわよ」
 俺に会いたいと言っていた人がどうやら来たらしい。

 ローガンに案内された部屋に入ろうとした時に強烈な光で目を閉じた。

「ぐあー、明るいよ!」

「ははは、ウォーレンくん久しぶりだな」

「その声はウィリアムさんですね! いい加減スキルを止めてください」
 どうやら俺達を呼び出したのはエヴァンの父親であるウィリアムだった。

「それじゃあ楽しくないではないか」

「いやいや、俺で楽しまないでください」
 不貞腐れた顔でウィリアムはスキルを止めると俺達の椅子に座るように勧めた。

 そしてローガンはウィリアムの隣に座った。

「今回呼んだのはウォーレンくんに頼みがあって呼んだんだ」

「えっ? 俺にですか?」
 頼みって言われると何か嫌な予感がした。

「今度貴族街で行われる祝賀会パーティーに参加してもらおうと思う。 もちろん君の家族も参加してもらうよ」
 俺が断ることを知っていたのか条件に家族も参加できるようにすれば行くかもしれないと思ったらしい。

「俺は行くつもりはな――」

「お兄ちゃん私行きたい!」

「えっ?」

「お兄ちゃん行かないの? だって綺麗なお洋服を着た人達がたくさん集まるんでしょ?」
 女の子であるニアにとっては憧れの場所なのかもしれない。王子様と出会える場所なんてそんなに……気づいたら俺達王子様とは会っている。
 現に次期国王がいるしな。

「ちなみにその祝賀会パーティーには私も行くわよ」

「えっ? なんでですか?」

「なによ! 私が行ったらいけないのかしら?」

「そんなことはないですけど……」
 そもそもなぜ俺が誘われているのかも知れない。

「そもそも私も今回活躍した人の一人だし、ロビンも来るわよ」
 ロビンであれば以前は公爵家と言っていたため来る可能性は高い。

「だって私勇者だからね」
 ローガンは以前勇者と聞いていたが私達ということはウィリアムも勇者なんだろう。

「ウィリアムさんも勇者だったんですね」

「前回のスタンビートの時に俺達のパーティーは勇者になったからね」

「私とウィリアムとロビンとあと一人ドワーフが一緒のパーティーだったわ」
 ローガンは過去を思い出しているのかどこか楽しそうだった。

「でも、私達って言ったけどそこにウォーレンちゃんも入っているわよ?」
 ニヤリと笑った二人に俺の頭はまだ理解出来てなかった。

「えっ、どういうことですか?」

「正式には祝賀会パーティーで発表されるが、ウォーレンくん勇者認定おめでとう」
 ウィリアムは一枚の紙から手渡されるとそこには俺の名前と"勇者に認定"と書かれていた。

 俺はいきなり過ぎて頭が追いついていなかった。

 最弱ポーターは夢であったになった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜

KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。 主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。 ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。 果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

処理中です...