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73.騎士のスート
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俺は急に戦うことになった2人を前に外套を着て短剣を構えた。
「只今より騎士団所属ジェイクおよびジョンとウォーレンの模擬試合を始める。 武器は各々使い慣れたものを使用しても良いがスキル玉【防御魔法】内で戦うものとする」
審判の男はどこかで見たことあるスキル玉を持っていた。
「ここで使われてるのか」
そのスキル玉は俺が手に入れた魔石、琥珀色の魔石から作られたスキル玉だった。
「ではお互い何か意見はあるか」
「本当に私たち2人で大丈夫でしょうか?」
騎士は俺の心配をしているのかこちらを見ていた。しかし、その顔は今にも痛ぶろうとしているのが丸わかりだった。
相当俺達の前でウィリアムに注意されたのが気に食わなかったのだろうか。
「殿下からの指示ではあるがウォーレン殿は問題ないだろうか?」
審判の男は俺に確認を取っているがウィリアムの意見は絶対なんだろう。
「ああ、大丈夫です」
俺の言葉に騎士は笑っていた。1人で痛ぶるより2人の方がやりがいがあるのだろう。自身の舌で唇を舐める姿に俺はそんな風に感じた。
「それではお互い構えて」
――ドンッ!
模擬戦の開始の合図として空中に火属性魔法が放たれた。
俺はすぐに匠の外套のフードを被り2人に近づいた。2人のステータスは既に鑑定で確認済みだ。
《ステータス》
[名前] ジェイク・スペード
[種族] 人間/男
[能力値] 力B/A 魔力D/C 速度C/B
[スキル] スペードの騎士
[状態] 怒気
《ステータス》
[名前] ジョン・クラブ
[種族] 人間/男
[能力値] 力B/A 魔力D/C 速度C/B
[スキル] クラブの騎士
[状態] 怠慢
どちらも騎士という割にはロンよりは弱そうなステータスをしていた。
「おい、あいつはどこに行ったんだ」
「きっと消えるだけのスキルでなんも出来ないはずだ」
ジェイクとジョンはお互いに背中を合わせて俺を警戒していた。さすが騎士団所属だけあって対応は迅速だった。
「あそこにいるぞ!」
騎士の2人は何もない空間に向かって剣を振っていた。
「あいつはどこだ」
2人は辺りをキョロキョロと見渡している。
「ふふふ、あいつら馬鹿だな」
俺は笑いを堪えるのに必死だった。さっきは単純に強めに地面を蹴ると地面から音が鳴るため俺がそこにいると意図的に錯覚させた。
実際に俺は彼らの真横に立っている。
「お兄ちゃん頑張るからね」
俺は口を動かしてロンとニアに向かって手を振った。きっと俺の姿を見慣れている2人なら俺がどこにいるか見えているだろう。
「にいちゃ、絶対遊んでるよね」
「戦う気なさそうだもんね」
2人も気づいているのか俺に小さく手を振りながら話していた。
「おい、いつまで隠れてるつもりだ」
「早く姿を現しやがれ!」
2人はどこかイライラしているのだろう。確かに余裕だと思っていた模擬戦がこんな展開になるとは思ってもいなかったはずだ。
「なら早く気づいたら良いじゃないですか?」
俺はしょうがなくフードを外すと2人の隣で雷属性を発動させた。
「あばばばば」
「ぐぅ」
魔力の限界値が超えてから魔法の威力が上がったのか小さな稲妻が短剣から2人に走った。
「騎士ってこんなに弱いんですか?」
「貴様!」
ジェイクが俺に向かって剣を突きつけるが俺はすぐに後方に下がった。
「俺達騎士を侮辱するのか!」
「いやいや、侮辱するつもりはないですがあんたらが侮辱した俺の弟と妹の方が明らかに強いぞ……強いですよ?」
無意識に目の前の男達が貴族だと言うことを忘れていた。それにしても俺の言葉を聞いて照れてるロンとニアの姿が可愛いかった。今すぐにでもモフモフしたいぐらいだ。
「獣人が俺達より強いはずがねぇよ! そもそも高等教育を受けてきた俺達にそんな口しか聞けない低俗に負けるはずがない」
ああ、言葉使いが悪かったことがバレていたようだ。
それにしても本当に騎士達が弱いのかと周りにいる騎士や審判である魔法師にちゃっかり鑑定を使ったがどうやらこの2人が弱いだけらしい。
審判の男なんて俺が鑑定を使った瞬間に遮断してきたから相当の実力があるのだろう。遮断してきたと同時に目が合うとニヤニヤとしているからな。
敵は俺に切りつけて来るが俺は軽々と攻撃を避けていた。速度が遅いからなのかロンとたまに手合わせしている時の方が明らかに避けにくいし嫌なところを槍で突いてくるのだ。
「ウォーレンくんそろそろちゃんとやったらどうだい?」
俺が一向に避けてばかりだからウィリアムは俺に声をかけてきた。
「これって本気を出して良いのか?」
俺はしばらく考えていたがウィリアムも少しつまらなさそうにしていたため俺は一瞬で騎士の2人に詰め寄った。
「獣人はモフモフして気持ちいいんだぞ? お前ら人生を損してるな」
俺はスキル玉【雷属性】を最大出力で発動させて、剣ごと鎧を突き破るイメージで切りつけた。
「スキル【雷属性】を吸収しました」
俺の脳内に響く声とともに騎士2人の剣と鎧が気づくと粉々になっていた。
「只今より騎士団所属ジェイクおよびジョンとウォーレンの模擬試合を始める。 武器は各々使い慣れたものを使用しても良いがスキル玉【防御魔法】内で戦うものとする」
審判の男はどこかで見たことあるスキル玉を持っていた。
「ここで使われてるのか」
そのスキル玉は俺が手に入れた魔石、琥珀色の魔石から作られたスキル玉だった。
「ではお互い何か意見はあるか」
「本当に私たち2人で大丈夫でしょうか?」
騎士は俺の心配をしているのかこちらを見ていた。しかし、その顔は今にも痛ぶろうとしているのが丸わかりだった。
相当俺達の前でウィリアムに注意されたのが気に食わなかったのだろうか。
「殿下からの指示ではあるがウォーレン殿は問題ないだろうか?」
審判の男は俺に確認を取っているがウィリアムの意見は絶対なんだろう。
「ああ、大丈夫です」
俺の言葉に騎士は笑っていた。1人で痛ぶるより2人の方がやりがいがあるのだろう。自身の舌で唇を舐める姿に俺はそんな風に感じた。
「それではお互い構えて」
――ドンッ!
模擬戦の開始の合図として空中に火属性魔法が放たれた。
俺はすぐに匠の外套のフードを被り2人に近づいた。2人のステータスは既に鑑定で確認済みだ。
《ステータス》
[名前] ジェイク・スペード
[種族] 人間/男
[能力値] 力B/A 魔力D/C 速度C/B
[スキル] スペードの騎士
[状態] 怒気
《ステータス》
[名前] ジョン・クラブ
[種族] 人間/男
[能力値] 力B/A 魔力D/C 速度C/B
[スキル] クラブの騎士
[状態] 怠慢
どちらも騎士という割にはロンよりは弱そうなステータスをしていた。
「おい、あいつはどこに行ったんだ」
「きっと消えるだけのスキルでなんも出来ないはずだ」
ジェイクとジョンはお互いに背中を合わせて俺を警戒していた。さすが騎士団所属だけあって対応は迅速だった。
「あそこにいるぞ!」
騎士の2人は何もない空間に向かって剣を振っていた。
「あいつはどこだ」
2人は辺りをキョロキョロと見渡している。
「ふふふ、あいつら馬鹿だな」
俺は笑いを堪えるのに必死だった。さっきは単純に強めに地面を蹴ると地面から音が鳴るため俺がそこにいると意図的に錯覚させた。
実際に俺は彼らの真横に立っている。
「お兄ちゃん頑張るからね」
俺は口を動かしてロンとニアに向かって手を振った。きっと俺の姿を見慣れている2人なら俺がどこにいるか見えているだろう。
「にいちゃ、絶対遊んでるよね」
「戦う気なさそうだもんね」
2人も気づいているのか俺に小さく手を振りながら話していた。
「おい、いつまで隠れてるつもりだ」
「早く姿を現しやがれ!」
2人はどこかイライラしているのだろう。確かに余裕だと思っていた模擬戦がこんな展開になるとは思ってもいなかったはずだ。
「なら早く気づいたら良いじゃないですか?」
俺はしょうがなくフードを外すと2人の隣で雷属性を発動させた。
「あばばばば」
「ぐぅ」
魔力の限界値が超えてから魔法の威力が上がったのか小さな稲妻が短剣から2人に走った。
「騎士ってこんなに弱いんですか?」
「貴様!」
ジェイクが俺に向かって剣を突きつけるが俺はすぐに後方に下がった。
「俺達騎士を侮辱するのか!」
「いやいや、侮辱するつもりはないですがあんたらが侮辱した俺の弟と妹の方が明らかに強いぞ……強いですよ?」
無意識に目の前の男達が貴族だと言うことを忘れていた。それにしても俺の言葉を聞いて照れてるロンとニアの姿が可愛いかった。今すぐにでもモフモフしたいぐらいだ。
「獣人が俺達より強いはずがねぇよ! そもそも高等教育を受けてきた俺達にそんな口しか聞けない低俗に負けるはずがない」
ああ、言葉使いが悪かったことがバレていたようだ。
それにしても本当に騎士達が弱いのかと周りにいる騎士や審判である魔法師にちゃっかり鑑定を使ったがどうやらこの2人が弱いだけらしい。
審判の男なんて俺が鑑定を使った瞬間に遮断してきたから相当の実力があるのだろう。遮断してきたと同時に目が合うとニヤニヤとしているからな。
敵は俺に切りつけて来るが俺は軽々と攻撃を避けていた。速度が遅いからなのかロンとたまに手合わせしている時の方が明らかに避けにくいし嫌なところを槍で突いてくるのだ。
「ウォーレンくんそろそろちゃんとやったらどうだい?」
俺が一向に避けてばかりだからウィリアムは俺に声をかけてきた。
「これって本気を出して良いのか?」
俺はしばらく考えていたがウィリアムも少しつまらなさそうにしていたため俺は一瞬で騎士の2人に詰め寄った。
「獣人はモフモフして気持ちいいんだぞ? お前ら人生を損してるな」
俺はスキル玉【雷属性】を最大出力で発動させて、剣ごと鎧を突き破るイメージで切りつけた。
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