34 / 141
34.洞窟探検隊
しおりを挟む
俺はなぜかつるはしという訳の分からない武器を担いでいる。ロンとニアに連れられて山に向かっていた。
なぜ山に向かっているかというと、この間スキルホルダーが欲しいと言った二人にメジストが"魔金"を持ってきたら作れるぞと言ったのが始まりだった。
「にいちゃ楽しみだね!」
「お兄ちゃんもお揃いにしようね」
「おっ、そうだな」
二人は楽しみにしているが俺は今回はさすがに難しいと思っている。
そもそも俺は魔金という存在を知らないのだ。冒険者ギルドで本を読んでみたが、何も情報を得られなかった。
むしろ冒険者達がポーターだからといって、俺達装備を見て絡んでくる方がめんどくさいのだ。絶対お前らよりロンとニアの方が強いんだからな。
そもそも最近は冒険者ギルドのスタッフと関わるのが嫌でギルドにも行っていなかった。
直接メジストとモーリンに魔石と薬草を卸して利益を得れば問題はない。
そんなかんやで俺達は山の中にある洞窟に着いた。
「二人は後ろからついて来てね」
「わかったー!」
元気な二人の返事は洞窟に響いていた。俺は魔石が埋められた灯りを持って歩き出した。
辺りは真っ暗で急に何かが出てきても対応できないのだ。だからこそ外套をしっかり着てゆっくりと進んでいた。
「二人ともついてきてるか?」
「……」
俺が声をかけても反応がなかった。外套を着ているから2人の存在を認知しにくいのだ。
「ロンー! ニアー!」
俺が大きな声を出しても洞窟の中に声が響き返ってくるのは俺の声だけだった。俺が前ばかり気にしていたため二人は本当にいなくなってしまった。
「わぁ!」
「ひゃい!?」
急な声に俺は驚いてその場で跪いてしまう。
「ロンが脅かそうって言うからお兄ちゃん倒れちゃったじゃん!」
「にいちゃごめんね」
俺は二人を見つけるとそのまま引き寄せて抱き締めた。
「本当にいなくなったと思ったよ」
俺の気持ちが伝わったのか二人は俺を抱きしめ返す。
「ごめんなさい」
あまり人には言いたくはないが、昔から俺は暗闇が苦手だった。
「じゃあ、歩いて行こうか」
今度は心配させないとニアが灯りを持ち、二人が俺を引っ張っててくれた。何も言ってはいないが俺としては助かった。
洞窟の中は奥に進むと少しずつ広がっていき、次第に窮屈さは感じなくなってくる。
「にいちゃ何かいるよ?」
この辺は獣人であるロンの方が敏感だった。俺はすぐに鑑定を発動させた。
「痛っ!?」
突然の情報量に俺の脳が追いつかず頭痛がした。俺はすぐに目を閉じて一度深呼吸をした。
「天井に魔物の集団がいる」
俺が見たのはブラッディバッドと呼ばれる魔物が隙間なく天井にくっついていたのだ。それでも俺達の存在に気づかないってことは外套の効果があるのだろう。
俺達はそこを通り過ぎるとしばらくまた歩いた。途中からロンに従って歩いてきたがスキル【収集】の効果によってなのかいつのまにか一際明るい場所に着いた。
「多分ここにあると思うよ」
どうやらロンは魔金のある場所をなんとなく感じとっているのかもしれない。
俺はつるはしを持って大きく振りかぶった。
「硬っ!? こんなん無理だぞ」
ロンに言われた通りにつるはしを使って壁を叩くが一向に掘れる気配がしない。元々つるはしもそれ専用のスキルがあるのだろう。
それから場所を変えても全く掘れずにロンとニアがやっても変わらない。流石に諦めるしかなかった。
「なぁ、もう帰ろうか」
「嫌だ!」
「お兄ちゃん仕方ないよ」
それでもロンは諦めずに一生懸命つるはしを振っていた。
「だってここにあるんだよ? スキルホルダーがあったらもっと強くなってにいちゃとニアを守れるもん!」
泣きながら強くなるために必死に頑張るロンを見て、最初から諦めている俺は自分自身に絶望した。
小さい体でこんなに頑張っているやつが、目の前にいるのに自分は何をやっているんだ。
「よし、掘れるだけ色々試してみるか」
俺はつるはし以外で掘れる方法を探した。つるはしも何かしらのスキルで掘ることが出来るのなら……。
「これでいけるか?」
俺はサハギンの時に雷属性のスキル玉を使った時に異様にサハギンが柔らかくなるのを感じていた。
その時と同じ原理で壁が柔らかくならないかと考えた。
俺は【雷属性】と【短剣術】のスキル玉を取り出し左手に持ち、右手には匠の短剣を持つと大きく壁に突きつけた。
なぜ山に向かっているかというと、この間スキルホルダーが欲しいと言った二人にメジストが"魔金"を持ってきたら作れるぞと言ったのが始まりだった。
「にいちゃ楽しみだね!」
「お兄ちゃんもお揃いにしようね」
「おっ、そうだな」
二人は楽しみにしているが俺は今回はさすがに難しいと思っている。
そもそも俺は魔金という存在を知らないのだ。冒険者ギルドで本を読んでみたが、何も情報を得られなかった。
むしろ冒険者達がポーターだからといって、俺達装備を見て絡んでくる方がめんどくさいのだ。絶対お前らよりロンとニアの方が強いんだからな。
そもそも最近は冒険者ギルドのスタッフと関わるのが嫌でギルドにも行っていなかった。
直接メジストとモーリンに魔石と薬草を卸して利益を得れば問題はない。
そんなかんやで俺達は山の中にある洞窟に着いた。
「二人は後ろからついて来てね」
「わかったー!」
元気な二人の返事は洞窟に響いていた。俺は魔石が埋められた灯りを持って歩き出した。
辺りは真っ暗で急に何かが出てきても対応できないのだ。だからこそ外套をしっかり着てゆっくりと進んでいた。
「二人ともついてきてるか?」
「……」
俺が声をかけても反応がなかった。外套を着ているから2人の存在を認知しにくいのだ。
「ロンー! ニアー!」
俺が大きな声を出しても洞窟の中に声が響き返ってくるのは俺の声だけだった。俺が前ばかり気にしていたため二人は本当にいなくなってしまった。
「わぁ!」
「ひゃい!?」
急な声に俺は驚いてその場で跪いてしまう。
「ロンが脅かそうって言うからお兄ちゃん倒れちゃったじゃん!」
「にいちゃごめんね」
俺は二人を見つけるとそのまま引き寄せて抱き締めた。
「本当にいなくなったと思ったよ」
俺の気持ちが伝わったのか二人は俺を抱きしめ返す。
「ごめんなさい」
あまり人には言いたくはないが、昔から俺は暗闇が苦手だった。
「じゃあ、歩いて行こうか」
今度は心配させないとニアが灯りを持ち、二人が俺を引っ張っててくれた。何も言ってはいないが俺としては助かった。
洞窟の中は奥に進むと少しずつ広がっていき、次第に窮屈さは感じなくなってくる。
「にいちゃ何かいるよ?」
この辺は獣人であるロンの方が敏感だった。俺はすぐに鑑定を発動させた。
「痛っ!?」
突然の情報量に俺の脳が追いつかず頭痛がした。俺はすぐに目を閉じて一度深呼吸をした。
「天井に魔物の集団がいる」
俺が見たのはブラッディバッドと呼ばれる魔物が隙間なく天井にくっついていたのだ。それでも俺達の存在に気づかないってことは外套の効果があるのだろう。
俺達はそこを通り過ぎるとしばらくまた歩いた。途中からロンに従って歩いてきたがスキル【収集】の効果によってなのかいつのまにか一際明るい場所に着いた。
「多分ここにあると思うよ」
どうやらロンは魔金のある場所をなんとなく感じとっているのかもしれない。
俺はつるはしを持って大きく振りかぶった。
「硬っ!? こんなん無理だぞ」
ロンに言われた通りにつるはしを使って壁を叩くが一向に掘れる気配がしない。元々つるはしもそれ専用のスキルがあるのだろう。
それから場所を変えても全く掘れずにロンとニアがやっても変わらない。流石に諦めるしかなかった。
「なぁ、もう帰ろうか」
「嫌だ!」
「お兄ちゃん仕方ないよ」
それでもロンは諦めずに一生懸命つるはしを振っていた。
「だってここにあるんだよ? スキルホルダーがあったらもっと強くなってにいちゃとニアを守れるもん!」
泣きながら強くなるために必死に頑張るロンを見て、最初から諦めている俺は自分自身に絶望した。
小さい体でこんなに頑張っているやつが、目の前にいるのに自分は何をやっているんだ。
「よし、掘れるだけ色々試してみるか」
俺はつるはし以外で掘れる方法を探した。つるはしも何かしらのスキルで掘ることが出来るのなら……。
「これでいけるか?」
俺はサハギンの時に雷属性のスキル玉を使った時に異様にサハギンが柔らかくなるのを感じていた。
その時と同じ原理で壁が柔らかくならないかと考えた。
俺は【雷属性】と【短剣術】のスキル玉を取り出し左手に持ち、右手には匠の短剣を持つと大きく壁に突きつけた。
1
お気に入りに追加
881
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる