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2巻

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   序章 二人の異世界人


 私──本庄真実ほんじょうまみが聖女召喚に巻き込まれ、異世界に来てから約三ヶ月がった。
 召喚された当時は何がなんだかわからず、生き延びようと必死だった。
 この国の宰相に頼んで孤児院での仕事を与えてもらい、これでどうにか生きていけると思ったのを覚えている。
 だが、孤児院の子ども達が死にそうになっているのを助けたり、悪い貴族に目を付けられ誘拐ゆうかいされたりと、異世界での生活は想像を超えることだらけだった。色々なトラブルを乗り越え、今の私はちびっこ達にいやされる日常を過ごしている。
 ここに来た当初は初夏に似た心地よい季節だったが、今は猛暑も終わり涼しさが増してきた。
 それだけ月日が経ったのだと実感する。
 そして、今日もいつも以上に孤児院はにぎわっていた。

「聖女様、これで合っていますか?」
「大丈夫ですよ」
「へへへ、俺も勉強したらできるじゃないか」
「これで俺達もだまされずに済むな」

 最近は孤児院に冒険者達も集まるようになった。
 孤児院で私に勉強を教えてもらったという情報が、手伝いに来ていた奥さんから広がり、それなら俺らも行こうと考えたらしい。相変わらず彼らはなぜか私を聖女と呼んでいる。
 ちなみに、冒険者達が学びたいと思う理由はいくつかあった。
 その中でも最たるものが、計算ができないことだ。
 冒険者はパーティーを組んでいる場合、普通は報酬ほうしゅうを人数分に分ける。
 ただ、その場で作った即席パーティーだと、報酬を貢献度こうけんどによって分けようとしてめることが多いらしい。その時に計算ができない人は話にも入れないし、騙されやすい。
 実際、報酬に関する詐欺さぎ事件は頻繁ひんぱんに起きていた。
 それに悩んでいた冒険者達が、夫婦そろって孤児院に来るようになったというわけだ。
 私としては、冒険者夫婦が孤児院に来ることは歓迎だ。大人が多い方が子どもの面倒を見てもらえるし、何かあった時も大人が対応できる。

「マミさんには迷惑かけてばかりね。今日も野菜を置いていくから使ってね」
「いつもありがとうございます」

 近所の人達とも関わりが増えて、本当に助かっている。
 私が外にはたらきに行けずひまを持て余していたのも解消され、今の孤児院にとってはありがたいことだらけだった。
 子育ては持ちつ持たれつっていうのは、実際に経験してみると本当だとわかる。
 奥さん達や冒険者たちが来てくれることで、本当に以前より楽になった気がする。
 彼らに刺激をもらっているのは、子ども達も同じだ。

「キキさん、これはどうしたらいいですか?」
「ここの数にはおっちゃんも入れないと、お金がもらえないよ?」
「ああ、俺もちゃんとふくめないといけないのか」

 狐っぽい獣人の子──キキは、私の助手として大人達に勉強を教えている。
 勉強したことを身につけるには、インプットしたものをアウトプットする環境が大事だ。私が問題を作って実践させようと思っていたけれど、キキは自然とそれをやっていた。

「おじさんここ違うよ?」
「おっ、本当か?」

 それを見ていたちびっこも、楽しそうに一緒になって勉強している。
 大人が子どもに教えられるなんて、普通は嫌な気持ちになるんじゃないかと心配したが、冒険者達は子ども達に優しかった。
 冒険者ギルドでは子ども達に何かしたら、聖女からの天罰がくだるといううわさが広まっているのが原因だろう。
 本当にどこから噂が広がっているのかわからないが、あまり話が大きくならなければいい。
 また、関わりが増えたのは勉強をしている子達だけではない。

「おじさん達の負け!」
「今のは手加減しただけだ」

 虎に似た獣人のトトみたいなやんちゃな元気な子は、冒険者と気が合うのか、遊んでもらったり剣の稽古をつけてもらったりしている。今も鬼ごっこに似た遊びを庭でしているようだ。
 みんなが楽しそうに生活が送れているだけで私は満足だ。
 一方、私達女性陣も料理などを通して交流し、仲を深めてきた。
 今日も台所から出て大きく息を吸い、お互いを見てから声を揃えて叫ぶ。

「みなさん、ご飯ができましたよ!」

 孤児院にひびく、昼時を伝える女性陣の声。それと同時に戦いが始まる。

「待ってましたあああああ!」
「俺が一番!」

 私は他の女性達と一緒に、たくさんのそうめんが入ったざるを持って移動する。
 すると、庭で遊んでいた冒険者達も、子どもときそうように走ってきた。
 最近気づいたが、私の護衛のアルヴィンを筆頭に、孤児院に来ると子どもっぽく振る舞う男性が増えている気がする。
 この世界には、少年の気持ちを忘れていない男性が多いのだろうか。
 いや、そもそも男性の中には、女性と比べて子どもっぽいところがある人もいるもんね。
 どこの世界でもそれは共通のようだ。

「マミ先生、準備できたぞ」

 ちょうどアルヴィン達も準備ができたようだ。
 せっかくならと思ってアルヴィンに提案したことが本当にできるとは思わなかった。

「ママ先生、これで何をするの?」

 狼獣人っぽい子どもであるクロを始めとする孤児院の面々は、何をするのかわからないまま、ただただ言われた通りについてきたらしい。

「そうめんって言ったら、一度でもいいからこれをやらないとダメでしょ!」

 私の目の前には、竹のような植物を半分に割り、それをつなげて作られた細長い台が置いてあった。
 これでやることといったら、当然流しそうめんだ。
 もうそろそろ秋になってしまいそうなので、その前にやっておきたいイベントだった。
 石鹸せっけんを作るための容器を用意した時、竹のようなものでできたうつわを見かけたのがこれをやろうと思ったきっかけだ。なんとなくふしのようなものがある容器が気になって、商店街にいる職人さんにこの世界に竹という植物があるか確認したら、似たような植物が存在しているとわかった。
 次の日には実物を持ってきてくれたため、それをもらい受け、勉強をしに来る冒険者と協力して流しそうめんの台を作っていたのだ。
 冒険者も何をするかわからないのに、よく指示通りに協力してくれた。その分、今日は思い切り楽しんでほしい。

「みなさんつけだれを一つずつ持ってくださいね」

 持参してもらったお皿にお出汁だしを入れていく。
 この世界にははしが存在しないため、フォークでそうめんを食べる予定だ。
 隙間があるフォークでは台からそうめんを取る時にすり抜けていくから食べにくいと思ったが、人数が多い分誰かが取り逃がしても他の人が取るだろうし、ちょうどよさそうな気がする。
 大人と子どもが交ざった状態で、ついに戦いが始まった。

「いきますねー!」

 アルヴィンが水属性魔法みずぞくせいまほうを使い、水とともに少しずつそうめんを流していく。
 そうめんは少し取りやすいように、一口サイズに丸めている。
 初めはコロコロと転がり、そうめんがほぐれながら流れていく。

「おー!」

 周囲から歓声が湧き上がる。
 タイミングが中々合わないのか、大人達は流れていくそうめんを取るのに少し手間取っていた。
 一方、感覚が鋭敏な子ども達の方がタイミングは合っていた。

「へへへ、オイラが先に食べるもん」

 一番初めに取れたのはトトだった。
 虎っぽい獣人だから、反射神経も特にいいのだろう。

「くっ、子ども達には負けてられねーぞー!」
「おー!」

 どうやら冒険者達に火がついたようだ。

「お前ら中々やるな」
「おっちゃんこそ」

 冒険者達と子ども達はにらみ合っている。なんだか流しそうめんが大人、子ども関係なく楽しめるスポーツのように見えてきた。
 仲よく流しそうめんを食べてくれるかと思ったら、そうもいかないようだ。
 これは大人と子どもの戦いなんだろう。
 それでもトトやクロを中心とした年上組は、そうめんを取ったらちびっこ達のお皿に入れている。
 一方、ご飯のことになると頭がよく働くハムスターっぽい獣人のハムは、すぐにベストスポットを見つけていた。

「ここが一番食べられるところなのにね」
「やっぱりハムは食いしん坊だね」

 ハムが待機していた場所は最後のざるの前。
 みんなが取れなかったそうめんは最終的にはハムのもとへ行く。
 そのため、ハムの頬袋の中にはたくさんのそうめんが詰め込まれていた。

「食べすぎてない?」
「大丈夫だよ」

 ハムスターは食べ物を頬袋に入れて、安全なところに行ったら食べる習性がある。
 ただ、ハムの場合は食べながら溜めているため食べすぎないか心配だ。
 少しでも消化の助けになるように、私は唾液腺だえきせん回復属性魔法かいふくぞくせいまほうで応援しておいた。
 唾液腺からは、炭水化物を消化するアミラーゼという消化酵素しょうかこうそが出てくる。
 胃液を活性化させると胃自体の壁まで溶かして胃潰瘍いかいようになる危険があるため、唾液腺を元気にするのがちょうどいいと思ったのだ。

「なんかたくさん食べられる気がしてきたよ?」

 ……どうやらハムにとっては悪い方向に働いてしまったようだ。
 きっとハムは何をされても食いしん坊のままなんだろう。
 獣人の種類にもよるが、小さい時にまともに食べられなかったという環境が今のハムに繋がっている気がした。
 この孤児院にいる子達は、かつて満足にご飯を与えられず虐待ぎゃくたいされていた過去がある。
 みんな辛い思いをしてきているからね。少しぐらい多めに食べたっていいか。

「マミさんも食べたらどうですか?」

 一生懸命食べ物を詰め込むハムを見守っていたら、ふと冒険者の奥さんの一人に話しかけられる。

「私ですか?」
「せっかくなら楽しまないともったいないですよ」

 みんなの笑顔を見ていたら、ついつい食べることを忘れていた。
 ほとんどの人が食べ終わったため、場所も空いている。
 今なら流しそうめんも楽しめるだろう。

「マミ先生、流しますよ」
「はーい!」

 アルヴィンが水を流すと一緒にそうめんが流れてきた。
 水の中でそうめんが少しずつ解れていき、フォークで取ろうとしても中々うまく取れなかった。

「やっぱり難しいですね」

 やはり箸じゃないとダメなんだろうか。
 私ではこの世界の人のようにフォークをうまく扱える気がしない。

「あっ、あれなら取れるかな?」

 私は思いつきで台所に向かった。

「しぇんしぇい、それでどうやって食べるの?」
「こうして挟んだ方が楽だと思ってね」

 私はスプーンを持ってきて、一度そうめんをせき止めてからフォークで取ろうと思ったのだ。
 ずるいと言われても気にしない。意地でも流しそうめんを取ってやる。

「マミ先生いきますよー」
「はーい!」

 私はスプーンとフォークを手にして身構える。
 みず飛沫しぶきを上げながら、目の前にそうめんが流れてくる。

「ここだ!」

 見事にスプーンの壁に当たり、フォークに引っかかって、そうめんがしっかりつかめた。

「ねぇ、見て見て! そうめん掴めました!」

 ついつい嬉しくなってみんなに見せつけると、なぜか私に視線が集まっていた。
 うん、こんなに注目されているとは思いもしなかった。
 だんだんと恥ずかしくなって、私は顔を背けた。
 自分では見えないが、今頃りんごのように頬が真っ赤になっている気がする。

「聖女様の無邪気な姿はやばいな」
「俺も今ドキッとしちまった」
「あんたら浮気はだめよ」
「はい……」
「ただ、今回だけは私も胸が締め付けられる感じがしたから許してあげるわ」

 周りで冒険者夫婦達が何か言い合いをしていたが、私は気にせず静かにそうめんをすすった。
 うん、流しそうめんは美味おいしいな。
 この世界に来てまた思い出が一つできた気がする。


 ♢


 私──たちばな聖愛せいあは、一緒にこの世界に来た看護師さんと離れて生活している。
 彼女は私の祖父が入院していた病院につとめており、この世界に来る直前は祖父のお見舞いに訪れた私と会話していた。そして、この国の危機を救う聖女として私が召喚された時、看護師さんも巻き込まれてしまったらしい。彼女は働く場所を与えられ、そこで生活するようになったと後で聞いた。
 彼女みたいなちゃんとしんを持った強い女性を私は尊敬する。
 いつも祖父から彼女はとても患者かんじゃ思いでいい看護師だと聞いていた。たまに自分のことを後回しにするからと、患者である祖父が心配するぐらいだった。
 一方、私はなぜかこの国の王子が通う学園に一緒に通うことになった。

「そんなに気にしなくても大丈夫だ。俺がいれば誰も何も言わない」

 ゆっくりと肩を抱き寄せられる。
 隣にはキラキラしたイケメン王子。
 ハリウッドスターと言われたら納得するような顔貌がんぼうとスタイルで、一度彼を見た人はついドキッとするだろう。私も召喚された当時はそうだった。
 だが、今はその気持ちもなくなりつつある。
 今私達の目の前には、一人の令嬢と彼女を囲む王子の側近達がいる。
 王子は彼女に向かってさげすむような声色こわいろで話しかけた。

「それぐらいのこともできないのに俺の婚約者を名乗っているのか?」
「私は彼女に注意しただけで――」
「君にはずいぶん困ったね」
「それで公爵令嬢って、この世も終わりだな」

 王子の隣にいる側近の男達もまくし立てるように彼女を責める。

「私も配慮が足りなくてすみません。よかったらあっちでお茶をしませんか?」

 この場を抜け出すために、私は彼女をお茶に誘った。

「ああ、聖女はなんて優しいんだ」
「グシャ公爵令嬢も見習うといい」
「こんな女は誘わなくてもいいよ」

 それなのに、王子達は彼女をさらに見下して文句を言う。

「私はこの後予定があるのでお気になさらず……」

 王子の婚約者と言われているグシャ公爵令嬢は小さな声で返事をしていた。
 ──この世界に来てから、少しずつ違和感を感じることが増えた。
 貴族の身分制度があることにはすぐに気づいた。
 だが、男尊女卑だんそんじょひがここまでひどいとは思わなかった。
 学園では女子生徒はペコペコと頭を下げて、男子生徒は威張っている。
 多少爵位によって変化はあるものの、基本男の方が偉いと思わせるような行動ばかり目に入る。

「では、俺とお茶でもしようか」
「えっ……」

 この人達と離れたいと思っていたのに、どこまでもついてくる。
 しかし、彼らをこの場に置いていくと令嬢が心配だと考え直し、私は王子達を引っ張ってその場を去ることにした。
 そんな私達を、婚約者であるはずの彼女はただじっと見つめていた。


 場所を移しても、王子の側近達が私にこびを売ってくる。

「聖愛は慈悲深い人ですね」
「あの高笑いする女性達とは違いますね」

 私は第一騎士団長の息子と財務官の息子、それに王子にいつも囲まれている。
 学園に通ううち、なぜか私はこの人達と過ごすことが増えた。
 正確に言えば、他のみんなは私から逃げていってしまう。
 最初は聖女召喚された異世界の人間だからと思ったが、そうではなかった。

「彼女こそ俺に相応ふさわしい婚約者だ」

 なぜか王子が私を婚約者だと吹聴ふいちょうしているからだ。
 もちろん婚約者になるとは言ってないし、承諾しょうだくした覚えもない。
 勝手に王子が決めつけているだけだ。
 それに王子にはちゃんとした公爵家の婚約者がいるらしい。

「聖愛みたいな女性がもっと増えればこの世も幸せになるだろうな」
「その時は俺が財務官になっているから、結婚式に金をたくさん回そう」
「ははは、国庫に金はいくらでもあるからな」

 話を聞いている私は絶句して何も言えない。
 この人達が将来この国をになう人になるのだろうか。
 早くこの国を出て、違う国へ行った方がいいのかと思ってしまう。
 それだけこの国の上層部のレベルの低さを感じる。
 そして、私と一緒に来た看護師さんはこんなやつらがいる世の中で働いているのかと心配になってしまう。
 無性に元の世界が恋しくなった。


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