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第五章 冬の嵐
154.偽聖女、寂しかったのかな?
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やっと起きた私は早速ご飯の準備をしていく。
ええ、ちゃんと朝食の準備ではなくて、ご飯の準備だ。
昨日からお米は浸水したので、やっと子ども達に食べさせてあげることができる。
昨日から新しい食べ物だと聞いたハムが、ずっとウキウキしていたからね。
すぐに食べられないことを知った時のハムは、露骨に落ち込んでいた姿も可愛かった。
「少し慣れるまで難しいと思うけど、ちょっとずつやっていこうか」
一緒に作るのはシル、ハム、リリの三人だ。
この孤児院の料理担当に覚えてもらった方が良いだろう。
ひょっとしたら今後も食べる機会があるかもしれない。
皇太后にもそれは頼んであるからね。
「まずは昨日水に浸けていたお米を鍋に入れます」
この世界にある鍋って深い平鍋に近い。
フライパンと言ったら、フライパンにも見えてくるが、土鍋とはまた全然違う。
「お水を同じ量より少し少なめに入れます」
私は指を入れて横から確認する。
こうすることでお米がどこまであって、水がどれぐらいあるのか分かりやすい。
一般の炊飯器とは違って、その辺は結構調整する必要があるだろう。
「しぇんしぇいむじゅかしいよ?」
ハムとリリもやってみるが、手が小さいからか全くうまくいかなさそうだ。
結局手を奥までズボッと入れなきゃいけないからね。
「それならお米を入れた量より少なめに水を入れたらいいよ! コップでどれだけお米を入れたのか覚えておかないとダメだけどね」
「ハム覚えられるもん!」
「リリはわしゅれるかも……」
ここは料理のことになったら、記憶力が良くなるハムの出番だろう。
みんなで支え合って、協力して生活できたら問題はない。
すでにシルがいてくれることで、だいぶ私がママ先生じゃなくなったとしてもどうにかなりそうだ。
まぁ、私がママ先生じゃなくなる時は、きっと体が動かなくなる時だろう。
こんなに可愛いちびっこ達から離れることなんて考えられないからね。
「先生どうしたの?」
「しぇんしぇい?」
ついつい私は二人を抱きしめていた。
「あっ、さみしかったのか!」
「ずっとはなれていたもんね」
そんな私にハムとリリは抱き返してくれた。
ひょっとしたら、私の方が子離れできていないような気がする。
このもふもふ沼を体験していたら、抜けられないからね。
「ちょっと、早く続きを教えなさいよ」
そんな状況を見ていたシルはどこかツンツンとしていた。
「シルにも抱きついてあげる!」
「ちょ、びっくりするじゃないの!」
実態がある時のシルは触れるため、抱きついたら冷たくてスベスベしていた。
ツンツンしてはいたが、自分もハグをして欲しかったのだろう。
嫌なら体が透けてくるし、露骨に嫌な顔をするだろうからね。
今はそっぽ向いている。
「やっぱり久しぶりに会えたから寂しかったのかな?」
「仕方ないわね!」
そう言ってシルも優しく抱きしめてくれた。
「ハムもー!」
「リリもー!」
二人もまたハグをしていると、廊下からバタバタとする音が聞こえてくる。
「あっ、みんなでハグしてる!」
「オイラも混ざる!」
気づいた時には次々と集まってきた。
火を使ってはいないが、さすがに狭い台所では危ない。
「ママ先生が寂しかったんだって」
「しぇんしぇい一人だったもんね」
そこにハムとリリが畳み込むから、もふもふちびっこ丼が再びできそうだ。
そんな埋もれる私をひょいっと体を持ち上げる人がいた。
「俺も寂しかったですよ」
抱きついてきたのはアルヴィンだった。
突然の行動に私は必死に離れようとするが、力が強いから離れられない。
それにさっきまでクロと剣の素振りをしていたのか、アルヴィンの匂いがする。
あっ、決して変態ってわけじゃないからね!
恋愛経験が少なくて、少し変わっているのかもしれないけど……。
色々と混乱してもう何も考えられない。
「アルヴィンは何をやってるんですか?」
「何って……はぁ!?」
レナードの声にアルヴィンはやっと気づいたのだろう。
むしろ今まで無意識にやっていたことの方が驚きだ。
アルヴィンの中では助けることまでしか頭になかったのだろう。
「ほら、マミ先生も固まっていますよ」
そう言ってレナードは私を引き寄せた。
アルヴィンとは違い、花のような爽やかな匂いがする。
うん、レナードも何をやっているのだろうか。
「ママ先生大丈夫?」
そんなレナードと私の間にひょっこり挟まるようにクロが入ってきた。
「クロは素振りをしなさい」
「そうだ」
「それなら二人ともやらないと弱くなるよ? この間負けたのも忘れたの?」
「なっ!?」
「くっ!?」
「くくく」
どこか大人気ない二人とクロを見て、ついつい笑ってしまう。
それに私がいない間にクロも強くなったようだ。
また、子どもの成長を見るのが楽しみだな。
しばらくはお米を炊くのもできなさそうだ。
───────────────────
【あとがき】
気づいている方もいますが、この作品が書籍化することが決まりました!
( ✌︎'ω')✌︎うええええええい!
皆様が応援していただいた結果だと思っております。
発売が今月の中旬頃になります!
イラストは刊行ページもしくは作者Xより確認してください!
たくさん売れて続刊できるといいなー泣
あとは新作が男性向けホトラン一位にもなったので、たくさんのお祝いコメントお待ちしております笑
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一緒に作るのはシル、ハム、リリの三人だ。
この孤児院の料理担当に覚えてもらった方が良いだろう。
ひょっとしたら今後も食べる機会があるかもしれない。
皇太后にもそれは頼んであるからね。
「まずは昨日水に浸けていたお米を鍋に入れます」
この世界にある鍋って深い平鍋に近い。
フライパンと言ったら、フライパンにも見えてくるが、土鍋とはまた全然違う。
「お水を同じ量より少し少なめに入れます」
私は指を入れて横から確認する。
こうすることでお米がどこまであって、水がどれぐらいあるのか分かりやすい。
一般の炊飯器とは違って、その辺は結構調整する必要があるだろう。
「しぇんしぇいむじゅかしいよ?」
ハムとリリもやってみるが、手が小さいからか全くうまくいかなさそうだ。
結局手を奥までズボッと入れなきゃいけないからね。
「それならお米を入れた量より少なめに水を入れたらいいよ! コップでどれだけお米を入れたのか覚えておかないとダメだけどね」
「ハム覚えられるもん!」
「リリはわしゅれるかも……」
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みんなで支え合って、協力して生活できたら問題はない。
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まぁ、私がママ先生じゃなくなる時は、きっと体が動かなくなる時だろう。
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「先生どうしたの?」
「しぇんしぇい?」
ついつい私は二人を抱きしめていた。
「あっ、さみしかったのか!」
「ずっとはなれていたもんね」
そんな私にハムとリリは抱き返してくれた。
ひょっとしたら、私の方が子離れできていないような気がする。
このもふもふ沼を体験していたら、抜けられないからね。
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そう言ってシルも優しく抱きしめてくれた。
「ハムもー!」
「リリもー!」
二人もまたハグをしていると、廊下からバタバタとする音が聞こえてくる。
「あっ、みんなでハグしてる!」
「オイラも混ざる!」
気づいた時には次々と集まってきた。
火を使ってはいないが、さすがに狭い台所では危ない。
「ママ先生が寂しかったんだって」
「しぇんしぇい一人だったもんね」
そこにハムとリリが畳み込むから、もふもふちびっこ丼が再びできそうだ。
そんな埋もれる私をひょいっと体を持ち上げる人がいた。
「俺も寂しかったですよ」
抱きついてきたのはアルヴィンだった。
突然の行動に私は必死に離れようとするが、力が強いから離れられない。
それにさっきまでクロと剣の素振りをしていたのか、アルヴィンの匂いがする。
あっ、決して変態ってわけじゃないからね!
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色々と混乱してもう何も考えられない。
「アルヴィンは何をやってるんですか?」
「何って……はぁ!?」
レナードの声にアルヴィンはやっと気づいたのだろう。
むしろ今まで無意識にやっていたことの方が驚きだ。
アルヴィンの中では助けることまでしか頭になかったのだろう。
「ほら、マミ先生も固まっていますよ」
そう言ってレナードは私を引き寄せた。
アルヴィンとは違い、花のような爽やかな匂いがする。
うん、レナードも何をやっているのだろうか。
「ママ先生大丈夫?」
そんなレナードと私の間にひょっこり挟まるようにクロが入ってきた。
「クロは素振りをしなさい」
「そうだ」
「それなら二人ともやらないと弱くなるよ? この間負けたのも忘れたの?」
「なっ!?」
「くっ!?」
「くくく」
どこか大人気ない二人とクロを見て、ついつい笑ってしまう。
それに私がいない間にクロも強くなったようだ。
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