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1巻
1-2
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服を洗い終えた後、私達は準備を整えて買い物に向かった。
目的は、子ども達に与える食事の材料集めだ。
子ども達の腹部の浮腫みは、体内のタンパク質不足が原因のため、お肉などを食べる必要がある。だが、急に内臓への負荷はかけられない。
胃に負担をかけないように、今回は食べやすいうどんを作るつもりだ。
露店で食材の売買をやっているのを見つけたので、そちらへ行く。
イメージとしては、野菜屋や肉屋がある市みたいなものだ。
アルヴィンに聞きながら、安価で栄養があるものを中心に揃えていく。
なんと、異世界なのに日本と変わらない食材が多かった。アルヴィン曰く、過去に異世界から召喚された人々が広めたものらしい。
その後は果物や野菜、簡単な調味料、そして調理器具などを購入した。
事前に調理場を見てきたが、鍋の他は何もなかったので、一通り買い揃える必要があったのだ。
お金は私の代わりにアルヴィンが支払ってくれた。
帰り道、私は態度が軟化したアルヴィンに、孤児院についての話を聞いた。
どうやら前の孤児院の管理人は相当な悪人だったようだ。
子ども達を虐待した末、運営を放り出して逃げたらしい。
そして、獣人はこの国では珍しい存在で、あまり良く思われていない。
獣人の面倒を見たいという人は現れず、大人を嫌う子ども達は持て余されていた。
そこに、ちょうど仕事が欲しいと言った私が現れた。
私は面倒事を押し付けられた可哀想な異世界人というわけだった。
孤児院に着くと子ども達はスヤスヤと寝ていた。
体を拭いて綺麗になったことで、寝やすくなったのだろう。
子ども達が眠っている間に、私は彼らの食事を作ることにした。
うどんは小麦粉、水、塩だけでできるお手軽な料理だ。
普通うどんに使うのは中力粉だが、流石に小麦粉の種類まではわからなかった。
それでも食べやすければ問題ないだろう。
喉越しが良くてつるつると食べられるうどんなら、子どもも好きなはずだ。
小麦粉と塩を合わせて、少しずつ水を加えながら混ぜていく。
「そんな粉を食べさせるのか?」
アルヴィンは隣で文句を言っているが、今は無視して作業だ。
彼は相変わらず無表情だが、私の手元をずっと覗いている。
彼は身長が私より遥かに高いので、真後ろからでも見えるのだろう。
こっちは彼の顔を見るたびに首が痛くなるというのに。
気を取り直して、生地を揉んでは折りたたみを交互に行っていく。
表面が滑らかになったら生地を休ませる。
その間に、先ほど買ったトマトを取り出し、ざく切りにする。
「トマトを茹でて何にするんだ?」
「トマトには旨味成分であるグルタミン酸が含まれているので、昆布のように出汁を取ることができるんですよ」
「コンブ?」
「海藻の一種ですよ」
先ほどの露店では、海鮮類は見当たらなかった。醤油は買えたというのに、不思議なものだ。
そこで使うことになったのがトマトだ。
元の世界にいた時、一人暮らしだった私はしっかりと自炊をしていた。
たまにある休みの日には、たくさんの種類の料理を作るのが習慣だった。
そのほとんどが作り置き料理ばかりだったのは、少しでも仕事がある日の家事を楽にしないと、体を休める時間がなかったからだ。
医療関係の仕事って思っているよりもブラックだからね。
忙しすぎてトイレにも行けずに、膀胱炎になるって話をよく聞いた。
そうして料理にハマった時の知識が、今回は役に立ったようだ。
「本当に美味しいのか?」
私が作る料理に興味はあるものの、信用はしていない様子のアルヴィン。
彼には何をしているように見えるのだろうか。
「アルヴィンさんは食べないんですね?」
「いや、食べるぞ!」
どことなく子どもっぽい返事だったので、つい笑ってしまう。
「なぜ、笑うんだ」
「いや、たくさん質問してくるから、食べたくないのかなーって思ったのに、食べるんだなって」
そう言うと、無表情だった顔がわずかにムスッとした。
笑顔が少ないだけで、感情は露骨に出るタイプなんだろう。
一緒にいると、なんとなく彼が考えていることがわかってくる。
「俺だって働いたぞ」
きっと手伝ったから食べる権利があると言いたいのだろう。
お金を払っているから食べさせろって言わないところは好感が持てる。
買い物中、お金を貸してほしいと言ったら、何も言わずに支払ってくれたし、荷物もアルヴィンが持ってくれた。
「せっかくなら、もう少し手伝ってもらおうかな?」
ここから先は何度も生地を折り返すのに、小柄な私では力が足りなくなる。
「この生地を折りたたんでもらってもいいですか?」
うどんの生地を寝かしたら、再び生地を伸ばして折りたたむ。
そして棒で叩いて伸ばす工程を何回か繰り返す。
非力な私にとってこの作業は正直言って大変だ。
「なぜ、俺が――」
「騎士なら力があるのかと……」
「ああ、毎日鍛えているからそれぐらいは簡単だ!」
頼られて嬉しそうなアルヴィン。患者さんでもぶっきらぼうなおじいちゃんほど、頼ると意外に助けてくれる。彼はそんな人達に近い気がした。
トマトを鍋から取り出し、出汁にお醤油を入れれば、うどんつゆの完成だ。
本当は濾過した方がちゃんとしたトマト出汁になるが、紙は高価なため簡単に使うことができないらしい。それにそもそも私はこの世界で、まだ紙を一度も見たことがない。
「俺はいつまでこいつの上に乗っていればいいんだ?」
作業の間アルヴィンには、重しの代わりとして、できた生地の上に乗ってもらっている。
足はしっかり水属性魔法で洗い、布を何枚も重ねているから衛生面も安心だ。
水虫にでもなっていたら大変だからね。
中世の騎士は昔、水虫に悩まされていたと授業で聞いたことがある。
風通しの悪い鎧や靴は、湿度が高く清潔に保てないのだろう。
ただ、アルヴィンの足は綺麗だった。魔法のおかげだろうか。
「そのまま待っててくださいね」
「おい、俺を置いてどこに行く気だ!」
アルヴィンをうどんの生地の上に放置し、私はあるものを入れた瓶とコップを持って、子ども達の様子を見に行くことにした。
「おーい!」
調理場からアルヴィンの声が響いてくる。
「くくく」
ちゃんと動かずに待っているアルヴィンを想像すると、笑ってしまう。
扉を開けると、子ども達は一ヶ所に集まって震えていた。
「寒かったかな?」
空気の入れ替えのために窓を開けていたが、カーテンに包まるだけでは寒かったのだろうか。
近づいて声をかけると、彼らは警戒してこちらを睨んできた。
初めに声をかけてきた黒い耳がついた少年はまだ寝ており、起きているのは小さいちびっこ達だけだ。
そんな中、みんなを守ろうと前に出て、手を広げている女の子がいた。
「いたいのいや!」
言葉から察するに、この子も前の孤児院の管理人に暴力を振るわれていたのだろう。
「お嬢ちゃん達、私は怪しくないよ? ちょっと美味しいお水を飲まないかな?」
私は持ってきたある物をコップに注ぎ、口をつけて安全なことを伝える。
怪しいおじさんの台詞みたいだと自分でも思うが、出てきた言葉がこれだったので仕方ない。
瓶の中に入っているのは、さっき作ったばかりの経口補水液だ。
普通の水と比べて吸収率が良いため、飲む点滴とも呼ばれている。
レシピが複雑だと思われがちだが、実は手軽に作ることができる。
材料は水、塩、砂糖、レモンなどの柑橘類だけだ。
しかし、アピールも虚しく少女は警戒を解かない。野良猫みたいだ。
私は経口補水液をそのまま置いて、その場を離れることにした。
外に出てこっそり覗くと、少女は警戒しながらも恐る恐るコップに口をつけて飲んでいた。
「どう? 美味しいでしょ?」
「そんなことないもん」
改めて中に入った私の言葉に、少女は首を横に振ったが、飲む勢いは止まらない。
「ぷはぁー」
飲み終えて落ち着いたのか、表情が緩んでいる。
「本当にねこちゃんみたいだね」
その様子を見ていた他の子達も、少女に続いて飲み始める。
「このみじゅおいちい!?」
「これはオイラのだ」
どうやら子ども達には評判がいいようだ。取り合いになってきた。
ただ、あまり飲み過ぎると、お腹が膨れてご飯を食べられなくなる。
「ご飯を作っているから、ジュースはそこまでにして服に着替えようか」
「はぁ!?」
自分達が服を着ておらず、カーテンに巻かれていたことに今頃気づいたようだ。
大慌てする子ども達を置いて、私は調理場へ戻る。
うどんの生地の上でイライラしている姿を見るのも、それはそれで面白かったが、そろそろ仕事をしてもらおう。私はアルヴィンに声をかけて、子ども達に服を着せるように伝えた。
子ども達は騎士団服のアルヴィンに興味津々のようだ。
「おい、俺に近寄るな」
鬱陶しそうに舌打ちするアルヴィンに、私はぼそりと呟いた。
「アルヴィンさんはうどんを食べないんですね」
「なっ!?」
アルヴィンは獣人の子ども達の相手をするか、うどんを食べるかを天秤にかけていた。
「……お前ら早く来い!」
悩んだ挙句、まだ見ぬ食べ物であるうどんの誘惑に負けた。
まあ、食べたこともないものが良い匂いを放っていたら、興味が湧くのは私にもわかる。
服を持ってきて再び部屋に入ると、アルヴィンが必死に子どもを追いかけて服を着せ始めた。
それを横目で見ながら、まだ寝ている子どもの隣に経口補水液を置いていく。
次の瞬間、腕を掴まれた。
目を向けると、寝ていたはずの少年が威嚇してくる。
「グルルル」
私が近づいてくるのを目を瞑って待っていたのだろう。
しかし、腕を掴む力は弱く、子犬のような見た目も相まって全く怖くない。
それにしても人間の見た目で、獣のように唸ることにびっくりした。
「お前達は油断したオレ達を殴るつもりだろ! オレが守らないと――」
「はいはい、君はもう少し休みなさい。あっ、飲めるならこれも飲んでね」
きっと過去にそんなことがあったのだろう。
子ども達のことを思うと、胸が締め付けられる思いだ。
私はそのまま経口補水液を少年の口元に近づける。
「くんくん」
警戒しているものの、ちびっこ達が飲んでいるのを見て興味はあったのだろう。
匂いを嗅ぐ時、耳と尻尾も連動して動くのは獣人の特徴なんだろうか。
元気になったらピクピク動いている耳を触らせてもらおうかな。
私は弱り切った少年を手伝って、口の中に少しずつ経口補水液を流し込む。
「この味は、毒か!」
「なわけないでしょ」
ついツッコミを入れてしまった。少年は私を見て目をぱちくりさせている。
うん、この子可愛いな。
「本当に毒じゃないの?」
「こんな弱っている子に毒を飲ますバカはいないでしょ!」
「前のママ先生は――」
「あー、はいはい。今日からママ先生は私になったから安心しなさい。後で美味しいうどんも持ってくるからね!」
「うどん? それは新しい毒なのか?」
どうやら、用意された食事は全て毒だと思い込んでいるようだ。
この子達は今まで何を食べさせられていたのだろう。本当に食事に毒を盛られていたのか?
疑り深い少年をなんとか納得させて、調理場に戻り作業をしていると、アルヴィンと子ども達の声が聞こえてきた。きっと元気なちびっこ達の相手をしているのだろう。なんやかんやで子ども達と仲良くやっている。
うどんの生地を取り出すと、固くぎっしりとした生地が出来上がっていた。
食べやすいサイズに切って、あとは湯がいて終わりだ。
「おい、子ども達がうどんに興味津々だぞ!」
振り返ると、こっそりとこちらを覗く顔がいくつもあった。
子ども達は目をキラキラさせて私を見ている。
獣人は匂いに敏感なんだろう。
孤児院の中に充満する、トマトで作った出汁の香りに、鼻をピクピクさせてうっとりしている。
子ども達のよだれが垂れて小さな池になりそうだ。
「アルヴィンさん、ありがとうございました」
「おい、俺にはくれないのか?」
「ん? うどんなら――」
アルヴィンはどこか拗ねた顔をしていた。うどん以外に欲しいものがあるのだろうか。
「俺にもジュースをくれよ!」
「あはは、ジュースが欲しかったんですね」
どうやらアルヴィンは経口補水液が欲しいようだ。
すっかり子ども達のお兄ちゃんのようになったアルヴィンに、つい笑ってしまう。
これはジュースではなく、スポーツドリンクに近い経口補水液だという言葉は、胸の奥にしまっておくことにした。
私は残りの経口補水液をアルヴィンに渡す。
子ども達はまだ飲みたかったのか、独り占めしたがるアルヴィンに群がっていた。
「アルヴィン、私にも!」
子ども達にはアルヴィンと呼ばれているようだ。
子どもっぽい単純な性格のアルヴィンは、子どもにとって接しやすいのだろう。
ただ、相変わらずの仏頂面で嫌がっているのは面白い。
「誰がお前にやるか!」
「私、かけっこ勝ったもん! やくしょく!」
さっきまで嘔吐や下痢をしていた子どもを走らせたとは、流石に予想外だ。
どうやらアルヴィンにはまだまだ教育が足りないらしい。
「アルヴィンさん?」
「なんだ?」
アルヴィンは私の顔を見て怯む。
「うどん――」
「ほら、分ければいいんだろ!」
「あと、子ども達はまだ絶対安静ですからね。間違っても、外で走らせたりしないように!」
私のお小言を聞き流しながら、アルヴィンは渋々子ども達に経口補水液を分けた。
うどんが出来るまで、子ども達は皿を持って待機していた。
子ども達のお腹は、楽器かと思うほど大きな音を鳴らしている。
アルヴィンは私の後ろでソワソワと体を揺らしていた。
今はうどんを楽しみにしているのか、少し口元が緩んでいる気がする。
「アルヴィンさんは後ですよ? まずは子ども達に食べさせないとね」
それを言った瞬間に、アルヴィンはピタッと止まった。
口元もさっきとは違い、ギュッとしている。
きっと我慢をしている時の顔なんだろう。
笑いをこらえつつ、まずは比較的元気なちびっこ達に食事の準備をしていく。
アルヴィンの話では、獣人は人間と体の作りが違うためか、丈夫な子どもが多いらしい。
そんな彼らでも体調を崩すほどの病気だと思うだけで、不安になってしまう。
私の持つ知識を元に必要だと思った対処をしたが、彼らが私の知っている感染症にかかっている保証なんてない。異世界特有の病の可能性だって考えられる。
私もかかってしまうのではないか。
それは医療従事者には常に付き纏う不安だ。
「しぇんしぇい?」
「ああ、ごめんね」
どうやら手が止まっていたのだろう。子ども達が心配して服を掴んでいた。
わからないことをいつまでも考えていても仕方がない。
今私にできる精一杯のことをやらなければ。
私は今起きている子の分を取り分け、寝ている子達の様子を見に行く。
顔色は良くなっているが、まだ寝ている子も数人いた。
ただ、少し耳や尻尾が動いていたのが気になった。
「ご飯できたけど、食べる?」
試しにさっき起きていた犬耳の少年に小声で話しかけると、耳がぴくぴくと動いている。
「食べないなら、他の子が――」
「食べる!」
どうやら寝たふりをしていたようだ。
さっきまで耳を動かしていたのは、きっと様子を探っていたからだろう。
少年が起きたことに気づいたのか、他の子も同様に体を起こす。
ちびっこ達と違い、体が少し大きい子ども達は警戒心が強いようだ。
「ふふふ、あなた達の分も用意してあるから、ちゃんと食べて早く寝なさいよ」
私が再び調理場に戻ると、彼らはキョロキョロと周囲を見渡していた。
いつのまにか保育園の先生になったような気分だ。
それでも、可愛い子ども達が幸せそうな顔をしていると嬉しくなってしまう。
忙しい現場で一生懸命働いていた私は、久々に誰かに癒してもらった気がした。
これがアニマルセラピー……いや、ちびっこ獣人セラピーなんだろう。
♢
もうまともにご飯を食べない日が、どれだけ続いたのかも覚えていない。
お金はママ先生が全て使ってしまう。
たまに男の人を連れてきて、気持ち悪い声を孤児院中に響かせていた。
耳が良いオレ達は、遠い部屋にいても全て聞こえてしまう。
みんなで固まってお互いに耳を塞いでやり過ごした。
ママ先生の気分が良いとたまにもらえる硬いパンを、みんなで分けて食べるのが、オレ達の唯一の幸せだった。
ママ先生はそんなオレ達を見て、笑うなと言って鞭で何回も叩いた。
痛いと泣き叫んでも、それが止まることはなかった。
あまりの痛さで気持ち悪くなって吐いた。
それを飲み込まないとまた怒られて、鞭打ちが始まってしまう。
ただ、オレ達はこうでもしないと生きていけないのが現状だ。
オレ達に手を差し伸べてくれる大人は誰もいないからな。
終いにはオレ達のことが嫌いになったのか、ママ先生は出かけてから帰ってこなくなった。
これで帰ってこなくなった先生は何人目だろうか。
もう大人は信じられない。
どうせオレ達は必要ない存在だ。
次第に、自分達は生きていてはダメな存在なんだと思うようになった。
薄れる意識の中で、扉が開く音が聞こえた。
先生がいなくなってだいぶ経ったから、またオレ達をいじめる悪い大人がやってきたのだろう。
新しい先生か、オレ達を追い出そうとしている大人達だ。
でも実際は、思っていたのと違った。
「ほら、クロくんだっけ? 食べないと冷めちゃうよ?」
目の前に差し出された、白く細長い物に戸惑う。
それが浸かったキラキラと輝く液体を、他の子達は美味しそうに飲んでいた。
さっきは毒ではないと言っていたが、隣で友達がはふはふと言っている姿を見ると、何か怪しい物が入っている気がする。
目的は、子ども達に与える食事の材料集めだ。
子ども達の腹部の浮腫みは、体内のタンパク質不足が原因のため、お肉などを食べる必要がある。だが、急に内臓への負荷はかけられない。
胃に負担をかけないように、今回は食べやすいうどんを作るつもりだ。
露店で食材の売買をやっているのを見つけたので、そちらへ行く。
イメージとしては、野菜屋や肉屋がある市みたいなものだ。
アルヴィンに聞きながら、安価で栄養があるものを中心に揃えていく。
なんと、異世界なのに日本と変わらない食材が多かった。アルヴィン曰く、過去に異世界から召喚された人々が広めたものらしい。
その後は果物や野菜、簡単な調味料、そして調理器具などを購入した。
事前に調理場を見てきたが、鍋の他は何もなかったので、一通り買い揃える必要があったのだ。
お金は私の代わりにアルヴィンが支払ってくれた。
帰り道、私は態度が軟化したアルヴィンに、孤児院についての話を聞いた。
どうやら前の孤児院の管理人は相当な悪人だったようだ。
子ども達を虐待した末、運営を放り出して逃げたらしい。
そして、獣人はこの国では珍しい存在で、あまり良く思われていない。
獣人の面倒を見たいという人は現れず、大人を嫌う子ども達は持て余されていた。
そこに、ちょうど仕事が欲しいと言った私が現れた。
私は面倒事を押し付けられた可哀想な異世界人というわけだった。
孤児院に着くと子ども達はスヤスヤと寝ていた。
体を拭いて綺麗になったことで、寝やすくなったのだろう。
子ども達が眠っている間に、私は彼らの食事を作ることにした。
うどんは小麦粉、水、塩だけでできるお手軽な料理だ。
普通うどんに使うのは中力粉だが、流石に小麦粉の種類まではわからなかった。
それでも食べやすければ問題ないだろう。
喉越しが良くてつるつると食べられるうどんなら、子どもも好きなはずだ。
小麦粉と塩を合わせて、少しずつ水を加えながら混ぜていく。
「そんな粉を食べさせるのか?」
アルヴィンは隣で文句を言っているが、今は無視して作業だ。
彼は相変わらず無表情だが、私の手元をずっと覗いている。
彼は身長が私より遥かに高いので、真後ろからでも見えるのだろう。
こっちは彼の顔を見るたびに首が痛くなるというのに。
気を取り直して、生地を揉んでは折りたたみを交互に行っていく。
表面が滑らかになったら生地を休ませる。
その間に、先ほど買ったトマトを取り出し、ざく切りにする。
「トマトを茹でて何にするんだ?」
「トマトには旨味成分であるグルタミン酸が含まれているので、昆布のように出汁を取ることができるんですよ」
「コンブ?」
「海藻の一種ですよ」
先ほどの露店では、海鮮類は見当たらなかった。醤油は買えたというのに、不思議なものだ。
そこで使うことになったのがトマトだ。
元の世界にいた時、一人暮らしだった私はしっかりと自炊をしていた。
たまにある休みの日には、たくさんの種類の料理を作るのが習慣だった。
そのほとんどが作り置き料理ばかりだったのは、少しでも仕事がある日の家事を楽にしないと、体を休める時間がなかったからだ。
医療関係の仕事って思っているよりもブラックだからね。
忙しすぎてトイレにも行けずに、膀胱炎になるって話をよく聞いた。
そうして料理にハマった時の知識が、今回は役に立ったようだ。
「本当に美味しいのか?」
私が作る料理に興味はあるものの、信用はしていない様子のアルヴィン。
彼には何をしているように見えるのだろうか。
「アルヴィンさんは食べないんですね?」
「いや、食べるぞ!」
どことなく子どもっぽい返事だったので、つい笑ってしまう。
「なぜ、笑うんだ」
「いや、たくさん質問してくるから、食べたくないのかなーって思ったのに、食べるんだなって」
そう言うと、無表情だった顔がわずかにムスッとした。
笑顔が少ないだけで、感情は露骨に出るタイプなんだろう。
一緒にいると、なんとなく彼が考えていることがわかってくる。
「俺だって働いたぞ」
きっと手伝ったから食べる権利があると言いたいのだろう。
お金を払っているから食べさせろって言わないところは好感が持てる。
買い物中、お金を貸してほしいと言ったら、何も言わずに支払ってくれたし、荷物もアルヴィンが持ってくれた。
「せっかくなら、もう少し手伝ってもらおうかな?」
ここから先は何度も生地を折り返すのに、小柄な私では力が足りなくなる。
「この生地を折りたたんでもらってもいいですか?」
うどんの生地を寝かしたら、再び生地を伸ばして折りたたむ。
そして棒で叩いて伸ばす工程を何回か繰り返す。
非力な私にとってこの作業は正直言って大変だ。
「なぜ、俺が――」
「騎士なら力があるのかと……」
「ああ、毎日鍛えているからそれぐらいは簡単だ!」
頼られて嬉しそうなアルヴィン。患者さんでもぶっきらぼうなおじいちゃんほど、頼ると意外に助けてくれる。彼はそんな人達に近い気がした。
トマトを鍋から取り出し、出汁にお醤油を入れれば、うどんつゆの完成だ。
本当は濾過した方がちゃんとしたトマト出汁になるが、紙は高価なため簡単に使うことができないらしい。それにそもそも私はこの世界で、まだ紙を一度も見たことがない。
「俺はいつまでこいつの上に乗っていればいいんだ?」
作業の間アルヴィンには、重しの代わりとして、できた生地の上に乗ってもらっている。
足はしっかり水属性魔法で洗い、布を何枚も重ねているから衛生面も安心だ。
水虫にでもなっていたら大変だからね。
中世の騎士は昔、水虫に悩まされていたと授業で聞いたことがある。
風通しの悪い鎧や靴は、湿度が高く清潔に保てないのだろう。
ただ、アルヴィンの足は綺麗だった。魔法のおかげだろうか。
「そのまま待っててくださいね」
「おい、俺を置いてどこに行く気だ!」
アルヴィンをうどんの生地の上に放置し、私はあるものを入れた瓶とコップを持って、子ども達の様子を見に行くことにした。
「おーい!」
調理場からアルヴィンの声が響いてくる。
「くくく」
ちゃんと動かずに待っているアルヴィンを想像すると、笑ってしまう。
扉を開けると、子ども達は一ヶ所に集まって震えていた。
「寒かったかな?」
空気の入れ替えのために窓を開けていたが、カーテンに包まるだけでは寒かったのだろうか。
近づいて声をかけると、彼らは警戒してこちらを睨んできた。
初めに声をかけてきた黒い耳がついた少年はまだ寝ており、起きているのは小さいちびっこ達だけだ。
そんな中、みんなを守ろうと前に出て、手を広げている女の子がいた。
「いたいのいや!」
言葉から察するに、この子も前の孤児院の管理人に暴力を振るわれていたのだろう。
「お嬢ちゃん達、私は怪しくないよ? ちょっと美味しいお水を飲まないかな?」
私は持ってきたある物をコップに注ぎ、口をつけて安全なことを伝える。
怪しいおじさんの台詞みたいだと自分でも思うが、出てきた言葉がこれだったので仕方ない。
瓶の中に入っているのは、さっき作ったばかりの経口補水液だ。
普通の水と比べて吸収率が良いため、飲む点滴とも呼ばれている。
レシピが複雑だと思われがちだが、実は手軽に作ることができる。
材料は水、塩、砂糖、レモンなどの柑橘類だけだ。
しかし、アピールも虚しく少女は警戒を解かない。野良猫みたいだ。
私は経口補水液をそのまま置いて、その場を離れることにした。
外に出てこっそり覗くと、少女は警戒しながらも恐る恐るコップに口をつけて飲んでいた。
「どう? 美味しいでしょ?」
「そんなことないもん」
改めて中に入った私の言葉に、少女は首を横に振ったが、飲む勢いは止まらない。
「ぷはぁー」
飲み終えて落ち着いたのか、表情が緩んでいる。
「本当にねこちゃんみたいだね」
その様子を見ていた他の子達も、少女に続いて飲み始める。
「このみじゅおいちい!?」
「これはオイラのだ」
どうやら子ども達には評判がいいようだ。取り合いになってきた。
ただ、あまり飲み過ぎると、お腹が膨れてご飯を食べられなくなる。
「ご飯を作っているから、ジュースはそこまでにして服に着替えようか」
「はぁ!?」
自分達が服を着ておらず、カーテンに巻かれていたことに今頃気づいたようだ。
大慌てする子ども達を置いて、私は調理場へ戻る。
うどんの生地の上でイライラしている姿を見るのも、それはそれで面白かったが、そろそろ仕事をしてもらおう。私はアルヴィンに声をかけて、子ども達に服を着せるように伝えた。
子ども達は騎士団服のアルヴィンに興味津々のようだ。
「おい、俺に近寄るな」
鬱陶しそうに舌打ちするアルヴィンに、私はぼそりと呟いた。
「アルヴィンさんはうどんを食べないんですね」
「なっ!?」
アルヴィンは獣人の子ども達の相手をするか、うどんを食べるかを天秤にかけていた。
「……お前ら早く来い!」
悩んだ挙句、まだ見ぬ食べ物であるうどんの誘惑に負けた。
まあ、食べたこともないものが良い匂いを放っていたら、興味が湧くのは私にもわかる。
服を持ってきて再び部屋に入ると、アルヴィンが必死に子どもを追いかけて服を着せ始めた。
それを横目で見ながら、まだ寝ている子どもの隣に経口補水液を置いていく。
次の瞬間、腕を掴まれた。
目を向けると、寝ていたはずの少年が威嚇してくる。
「グルルル」
私が近づいてくるのを目を瞑って待っていたのだろう。
しかし、腕を掴む力は弱く、子犬のような見た目も相まって全く怖くない。
それにしても人間の見た目で、獣のように唸ることにびっくりした。
「お前達は油断したオレ達を殴るつもりだろ! オレが守らないと――」
「はいはい、君はもう少し休みなさい。あっ、飲めるならこれも飲んでね」
きっと過去にそんなことがあったのだろう。
子ども達のことを思うと、胸が締め付けられる思いだ。
私はそのまま経口補水液を少年の口元に近づける。
「くんくん」
警戒しているものの、ちびっこ達が飲んでいるのを見て興味はあったのだろう。
匂いを嗅ぐ時、耳と尻尾も連動して動くのは獣人の特徴なんだろうか。
元気になったらピクピク動いている耳を触らせてもらおうかな。
私は弱り切った少年を手伝って、口の中に少しずつ経口補水液を流し込む。
「この味は、毒か!」
「なわけないでしょ」
ついツッコミを入れてしまった。少年は私を見て目をぱちくりさせている。
うん、この子可愛いな。
「本当に毒じゃないの?」
「こんな弱っている子に毒を飲ますバカはいないでしょ!」
「前のママ先生は――」
「あー、はいはい。今日からママ先生は私になったから安心しなさい。後で美味しいうどんも持ってくるからね!」
「うどん? それは新しい毒なのか?」
どうやら、用意された食事は全て毒だと思い込んでいるようだ。
この子達は今まで何を食べさせられていたのだろう。本当に食事に毒を盛られていたのか?
疑り深い少年をなんとか納得させて、調理場に戻り作業をしていると、アルヴィンと子ども達の声が聞こえてきた。きっと元気なちびっこ達の相手をしているのだろう。なんやかんやで子ども達と仲良くやっている。
うどんの生地を取り出すと、固くぎっしりとした生地が出来上がっていた。
食べやすいサイズに切って、あとは湯がいて終わりだ。
「おい、子ども達がうどんに興味津々だぞ!」
振り返ると、こっそりとこちらを覗く顔がいくつもあった。
子ども達は目をキラキラさせて私を見ている。
獣人は匂いに敏感なんだろう。
孤児院の中に充満する、トマトで作った出汁の香りに、鼻をピクピクさせてうっとりしている。
子ども達のよだれが垂れて小さな池になりそうだ。
「アルヴィンさん、ありがとうございました」
「おい、俺にはくれないのか?」
「ん? うどんなら――」
アルヴィンはどこか拗ねた顔をしていた。うどん以外に欲しいものがあるのだろうか。
「俺にもジュースをくれよ!」
「あはは、ジュースが欲しかったんですね」
どうやらアルヴィンは経口補水液が欲しいようだ。
すっかり子ども達のお兄ちゃんのようになったアルヴィンに、つい笑ってしまう。
これはジュースではなく、スポーツドリンクに近い経口補水液だという言葉は、胸の奥にしまっておくことにした。
私は残りの経口補水液をアルヴィンに渡す。
子ども達はまだ飲みたかったのか、独り占めしたがるアルヴィンに群がっていた。
「アルヴィン、私にも!」
子ども達にはアルヴィンと呼ばれているようだ。
子どもっぽい単純な性格のアルヴィンは、子どもにとって接しやすいのだろう。
ただ、相変わらずの仏頂面で嫌がっているのは面白い。
「誰がお前にやるか!」
「私、かけっこ勝ったもん! やくしょく!」
さっきまで嘔吐や下痢をしていた子どもを走らせたとは、流石に予想外だ。
どうやらアルヴィンにはまだまだ教育が足りないらしい。
「アルヴィンさん?」
「なんだ?」
アルヴィンは私の顔を見て怯む。
「うどん――」
「ほら、分ければいいんだろ!」
「あと、子ども達はまだ絶対安静ですからね。間違っても、外で走らせたりしないように!」
私のお小言を聞き流しながら、アルヴィンは渋々子ども達に経口補水液を分けた。
うどんが出来るまで、子ども達は皿を持って待機していた。
子ども達のお腹は、楽器かと思うほど大きな音を鳴らしている。
アルヴィンは私の後ろでソワソワと体を揺らしていた。
今はうどんを楽しみにしているのか、少し口元が緩んでいる気がする。
「アルヴィンさんは後ですよ? まずは子ども達に食べさせないとね」
それを言った瞬間に、アルヴィンはピタッと止まった。
口元もさっきとは違い、ギュッとしている。
きっと我慢をしている時の顔なんだろう。
笑いをこらえつつ、まずは比較的元気なちびっこ達に食事の準備をしていく。
アルヴィンの話では、獣人は人間と体の作りが違うためか、丈夫な子どもが多いらしい。
そんな彼らでも体調を崩すほどの病気だと思うだけで、不安になってしまう。
私の持つ知識を元に必要だと思った対処をしたが、彼らが私の知っている感染症にかかっている保証なんてない。異世界特有の病の可能性だって考えられる。
私もかかってしまうのではないか。
それは医療従事者には常に付き纏う不安だ。
「しぇんしぇい?」
「ああ、ごめんね」
どうやら手が止まっていたのだろう。子ども達が心配して服を掴んでいた。
わからないことをいつまでも考えていても仕方がない。
今私にできる精一杯のことをやらなければ。
私は今起きている子の分を取り分け、寝ている子達の様子を見に行く。
顔色は良くなっているが、まだ寝ている子も数人いた。
ただ、少し耳や尻尾が動いていたのが気になった。
「ご飯できたけど、食べる?」
試しにさっき起きていた犬耳の少年に小声で話しかけると、耳がぴくぴくと動いている。
「食べないなら、他の子が――」
「食べる!」
どうやら寝たふりをしていたようだ。
さっきまで耳を動かしていたのは、きっと様子を探っていたからだろう。
少年が起きたことに気づいたのか、他の子も同様に体を起こす。
ちびっこ達と違い、体が少し大きい子ども達は警戒心が強いようだ。
「ふふふ、あなた達の分も用意してあるから、ちゃんと食べて早く寝なさいよ」
私が再び調理場に戻ると、彼らはキョロキョロと周囲を見渡していた。
いつのまにか保育園の先生になったような気分だ。
それでも、可愛い子ども達が幸せそうな顔をしていると嬉しくなってしまう。
忙しい現場で一生懸命働いていた私は、久々に誰かに癒してもらった気がした。
これがアニマルセラピー……いや、ちびっこ獣人セラピーなんだろう。
♢
もうまともにご飯を食べない日が、どれだけ続いたのかも覚えていない。
お金はママ先生が全て使ってしまう。
たまに男の人を連れてきて、気持ち悪い声を孤児院中に響かせていた。
耳が良いオレ達は、遠い部屋にいても全て聞こえてしまう。
みんなで固まってお互いに耳を塞いでやり過ごした。
ママ先生の気分が良いとたまにもらえる硬いパンを、みんなで分けて食べるのが、オレ達の唯一の幸せだった。
ママ先生はそんなオレ達を見て、笑うなと言って鞭で何回も叩いた。
痛いと泣き叫んでも、それが止まることはなかった。
あまりの痛さで気持ち悪くなって吐いた。
それを飲み込まないとまた怒られて、鞭打ちが始まってしまう。
ただ、オレ達はこうでもしないと生きていけないのが現状だ。
オレ達に手を差し伸べてくれる大人は誰もいないからな。
終いにはオレ達のことが嫌いになったのか、ママ先生は出かけてから帰ってこなくなった。
これで帰ってこなくなった先生は何人目だろうか。
もう大人は信じられない。
どうせオレ達は必要ない存在だ。
次第に、自分達は生きていてはダメな存在なんだと思うようになった。
薄れる意識の中で、扉が開く音が聞こえた。
先生がいなくなってだいぶ経ったから、またオレ達をいじめる悪い大人がやってきたのだろう。
新しい先生か、オレ達を追い出そうとしている大人達だ。
でも実際は、思っていたのと違った。
「ほら、クロくんだっけ? 食べないと冷めちゃうよ?」
目の前に差し出された、白く細長い物に戸惑う。
それが浸かったキラキラと輝く液体を、他の子達は美味しそうに飲んでいた。
さっきは毒ではないと言っていたが、隣で友達がはふはふと言っている姿を見ると、何か怪しい物が入っている気がする。
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