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第五章 冬の嵐
133.偽聖女、ポンタに話を聞く
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「ちゃんと口は開くようだね」
私はスプーンで牛乳を掬って、そのまま妹タヌキにミルクを飲ませる。
ちびちびと飲めているため、問題はないようだ。
問題なのはずっと泣いているポンタの方だった。
「うまい……うまい……嘘だああああ!」
もう何が嘘なのか私もわからなくなってきた。
「どうしたの?」
「嘘だあああ!」
私が声をかけても同じ言葉を発しながら、サンドイッチにかぶりついている。
サンドイッチ自体は口に合っているようだ。
「ポンタおかしくなっちゃったよ?」
「少し落ち着くまで待ってみようかな」
「うん……でも心配だね」
「キキは優しいね」
ポンタに文句を言われても、キキは気にせず心配していた。
きっとお腹を空かしているのも何か理由があるのだろう。
しばらくするとポンタは落ち着きを取り戻した。
「食べ終わったかな?」
「うん」
お皿の上にあったサンドイッチは綺麗に無くなっていた。
まだお腹が空いているのかチラチラと私の方を見ている。
「昼食もあと少しだから待っててね。一気に食べるとお腹が痛くなっても困るからね」
「ちゅーしょく?」
ひょっとしたら昼食の存在自体を知らないのかもしれない。
「お昼にもご飯があるからね」
私の言葉にポンタは目を輝かせていた。
「ゲフッ」
妹タヌキもしっかりミルクを飲んだのか、ゲップをしてスヤスヤと腕の中で寝ている。
ただ、お昼前までには今の状況を整理しないといけないだろう。
この街には獣人の存在が少ない。
それに今まで半獣を見たことがなかった。
何か理由がないと半獣がここまで来ないだろう。
「ポンタは今何歳なの?」
「ワイは4歳だ!」
手を大きく広げて私に見せてきた。
確かに指は4本しかない。
それよりも肉球がプニプニしてて可愛い。
「じゃあ、キキと一緒だね」
キキは同い年だと知って嬉しそうだ。
ここにいる4歳組はクロ、トト、キキ、ハムの4人いる。ポンタはそこに入る。
そう考えると我が子達の成長は早い気がする。
「ここに来たのは何かあったのか?」
「母ちゃんと父ちゃんに言われて来た」
「お母さんとお父さんはどこにいるの?」
「アニマリアにいる」
「アニマリアだと!?」
アルヴィンは驚いてポンタに詰め寄った。
聞いたことのない地名に私は首を傾げる。
「アニマリアは獣人の国とも言われているところです。距離も遠いのでどうやってここまで来たのか……」
ひょっとしたらクロ達が連れ去られた国からポンタは来たのかもしれない。
それに"アニマリア"という単語が出てから、キキも少し震えている。
「キキも遊びに行ってきたらどうかな?」
「ママ先生……キキもちゃんと話を聞く」
キキには聞かせないように気を使ったが、自分の国のことが知りたいのかもしれない。
「アニマリアは隣国に接する帝国と戦争になっているんですよ」
「ワイの街もボロボロになったから、住むところがなくてここに来た」
アルヴィンの話では冬はこの国より寒くなるため、戦争は停戦状態になるらしい。
それでも住むところがない者達は寒さを逃れるために、ポンタ達のように逃げている人もいる。
アルヴィンの話を聞いて、私は一つのことが頭をよぎった。
実はゴールドピンチ子爵家のやっていたことが、人助けになっていたのではないかということだ。
現にクロ達は親と離れることになったが、生きていられる。
殺人や誘拐自体が間違っているのは私でも理解できる。
ただ、誘拐されても安全に生活ができれば別問題だ。
その機会を私が捕まったことで、彼は幽閉され機会自体を奪うことになったのかもしれない。
「私、昼食の準備をしてくるからポンタは休んできたらどうかな? キキは案内をお願いね」
そう言って私はポンタに子タヌキを抱かせて部屋を出た。
きっとあの場にいたらみんなを心配させてしまうだろう。
私のやっていたことが本当によかったことなのか、今頃心配になってしまった。
私はスプーンで牛乳を掬って、そのまま妹タヌキにミルクを飲ませる。
ちびちびと飲めているため、問題はないようだ。
問題なのはずっと泣いているポンタの方だった。
「うまい……うまい……嘘だああああ!」
もう何が嘘なのか私もわからなくなってきた。
「どうしたの?」
「嘘だあああ!」
私が声をかけても同じ言葉を発しながら、サンドイッチにかぶりついている。
サンドイッチ自体は口に合っているようだ。
「ポンタおかしくなっちゃったよ?」
「少し落ち着くまで待ってみようかな」
「うん……でも心配だね」
「キキは優しいね」
ポンタに文句を言われても、キキは気にせず心配していた。
きっとお腹を空かしているのも何か理由があるのだろう。
しばらくするとポンタは落ち着きを取り戻した。
「食べ終わったかな?」
「うん」
お皿の上にあったサンドイッチは綺麗に無くなっていた。
まだお腹が空いているのかチラチラと私の方を見ている。
「昼食もあと少しだから待っててね。一気に食べるとお腹が痛くなっても困るからね」
「ちゅーしょく?」
ひょっとしたら昼食の存在自体を知らないのかもしれない。
「お昼にもご飯があるからね」
私の言葉にポンタは目を輝かせていた。
「ゲフッ」
妹タヌキもしっかりミルクを飲んだのか、ゲップをしてスヤスヤと腕の中で寝ている。
ただ、お昼前までには今の状況を整理しないといけないだろう。
この街には獣人の存在が少ない。
それに今まで半獣を見たことがなかった。
何か理由がないと半獣がここまで来ないだろう。
「ポンタは今何歳なの?」
「ワイは4歳だ!」
手を大きく広げて私に見せてきた。
確かに指は4本しかない。
それよりも肉球がプニプニしてて可愛い。
「じゃあ、キキと一緒だね」
キキは同い年だと知って嬉しそうだ。
ここにいる4歳組はクロ、トト、キキ、ハムの4人いる。ポンタはそこに入る。
そう考えると我が子達の成長は早い気がする。
「ここに来たのは何かあったのか?」
「母ちゃんと父ちゃんに言われて来た」
「お母さんとお父さんはどこにいるの?」
「アニマリアにいる」
「アニマリアだと!?」
アルヴィンは驚いてポンタに詰め寄った。
聞いたことのない地名に私は首を傾げる。
「アニマリアは獣人の国とも言われているところです。距離も遠いのでどうやってここまで来たのか……」
ひょっとしたらクロ達が連れ去られた国からポンタは来たのかもしれない。
それに"アニマリア"という単語が出てから、キキも少し震えている。
「キキも遊びに行ってきたらどうかな?」
「ママ先生……キキもちゃんと話を聞く」
キキには聞かせないように気を使ったが、自分の国のことが知りたいのかもしれない。
「アニマリアは隣国に接する帝国と戦争になっているんですよ」
「ワイの街もボロボロになったから、住むところがなくてここに来た」
アルヴィンの話では冬はこの国より寒くなるため、戦争は停戦状態になるらしい。
それでも住むところがない者達は寒さを逃れるために、ポンタ達のように逃げている人もいる。
アルヴィンの話を聞いて、私は一つのことが頭をよぎった。
実はゴールドピンチ子爵家のやっていたことが、人助けになっていたのではないかということだ。
現にクロ達は親と離れることになったが、生きていられる。
殺人や誘拐自体が間違っているのは私でも理解できる。
ただ、誘拐されても安全に生活ができれば別問題だ。
その機会を私が捕まったことで、彼は幽閉され機会自体を奪うことになったのかもしれない。
「私、昼食の準備をしてくるからポンタは休んできたらどうかな? キキは案内をお願いね」
そう言って私はポンタに子タヌキを抱かせて部屋を出た。
きっとあの場にいたらみんなを心配させてしまうだろう。
私のやっていたことが本当によかったことなのか、今頃心配になってしまった。
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