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第五章 冬の嵐
126.偽聖女、魔女になる
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「ネコの手はこうやって指を曲げることで、自分の手を切らなくて済むのよ」
「確かにネコの手なら指を切らずに済むわね。ただ、本物のネコなら肉が小さくて押さえられないわよ」
私は見たことがないが、この世界にネコは存在する。
ハム達がネコを知っているのは、獣人達の昔話で出てくるかららしい。
その一方でアンフォの知っているネコは魔物だった。
大きさは人間二人分ぐらいはあると言っていた。
サイズ的にはライオンとかに近い気がする。
きっと鶏と牛が魔物のようにネコも魔物なんだろう。
この世界のことはまだまだ知らないことばかりだ。
「肉を切り終えたら、今度は火でカリカリになるまで焼きます」
さすがにアンフォでは危ないと思ったため、これからの作業を代わることにした。
ちなみに豚は猪に似ているが、普通に豚として存在する。
それでも豚に似た魔物も存在するらしい。
豚肉の脂を捨てながら、たくさんの豚肉を焼いていく。
「こんなに焼く必要があるのかしら?」
「焼かないと脂でベタベタになるのよ」
焼き終えた豚肉を取り出して、今度は玉ねぎを炒める。
「マミ先生、卵できましたよ」
事前にアルヴィンには卵の除菌を頼んでいた。
ちょうど良いタイミングで卵の準備もできた。
半熟になった卵に牛乳を入れて、塩と胡椒で味を整える。
「オリーブオイルに豚肉を入れて火にかけます。よし、うどんを入れてもらってもいいかな?」
「ドーン!」
ハムとリリは大量にうどんをフライパンの中に入れて行く。
ほとんどパスタで作るカルボナーラと同じだ。
ただ、今回使ううどんはフェットチーネに見えるようにきしめん風に切っている。
「うどんは炒めてもいいの?」
「焼きうどんってのもあるから万能なんだよね。本当はパスタを作りたいんだけど、作ったことがないから今度作ってみようか」
「ハム達のパスタだって!」
「オイーブオイルの時と同じだね!」
新しく自分達で作ることをハムとリリは楽しみにしていた。
オイーブオイルは一回目でできたけど、今度は一度も作ったことないため手探りになるだろう。
それに鶏と牛を見つけた時みたいに、流通していないだけの可能性もある。
一度街の人達にも聞いてみるのも良いかもしれない。
「そろそろうどんの中に卵液を入れてね」
「はーい!」
ハムとリリに頼んで卵液を入れてもらう。
「すぐにかき混ぜて、あとは卵液が固まらないように火を止めます」
うどんに絡んだら火から離す。
熱しながら卵液を入れるとすぐに卵が固まってしまう。
そのため、ほぼ余熱で火を通していく。
もちろん卵を事前にアルヴィンに除菌してもらったのはこのためだ。
何もしていない状態で余熱だけだと、また食中毒になる可能性があった。
「これでカルボナーラうどんの完成です!」
「いつものちゅるちゅると違うね」
フライパンの上にたくさんできたカルボナーラうどんにハムとリリは目を輝かせていた。
それよりも目をキラキラさせていたのはアンフォだった。
「やっぱりお姉様は魔女ですわ。こんな美味しそうなもの初めて見ましたわ」
貴族でもあまり美味しいものは食べていないのだろうか。
それとも料理がそこまで発展していないのか。
「アンフォお姉ちゃんと一緒に取り分けてもらってもいい?」
「はーい!」
匂いに釣られてちびっこ達も集まってきた。
ゾロゾロと来るちびっこにびっくりしながらも、取り分けをアンフォにお願いする。
その間に何度も同じ工程を繰り返して大量に作っていく。
何回も作り方を見せることで、ハムとリリもレシピを覚えたようだ。
こうやって少しずつ覚えてもらうことで、何かあった時に自分達で作れるようになるだろう。
冬は風邪が流行ると言っていた。
私が寝込んだら、料理を作ったり指示を出すのはハムとリリになる。
牛乳があれば料理のレパートリーはどんどん増えていくだろう。
できるだけたくさんのレシピをハムとリリに教えてあげたいと私は思った。
「確かにネコの手なら指を切らずに済むわね。ただ、本物のネコなら肉が小さくて押さえられないわよ」
私は見たことがないが、この世界にネコは存在する。
ハム達がネコを知っているのは、獣人達の昔話で出てくるかららしい。
その一方でアンフォの知っているネコは魔物だった。
大きさは人間二人分ぐらいはあると言っていた。
サイズ的にはライオンとかに近い気がする。
きっと鶏と牛が魔物のようにネコも魔物なんだろう。
この世界のことはまだまだ知らないことばかりだ。
「肉を切り終えたら、今度は火でカリカリになるまで焼きます」
さすがにアンフォでは危ないと思ったため、これからの作業を代わることにした。
ちなみに豚は猪に似ているが、普通に豚として存在する。
それでも豚に似た魔物も存在するらしい。
豚肉の脂を捨てながら、たくさんの豚肉を焼いていく。
「こんなに焼く必要があるのかしら?」
「焼かないと脂でベタベタになるのよ」
焼き終えた豚肉を取り出して、今度は玉ねぎを炒める。
「マミ先生、卵できましたよ」
事前にアルヴィンには卵の除菌を頼んでいた。
ちょうど良いタイミングで卵の準備もできた。
半熟になった卵に牛乳を入れて、塩と胡椒で味を整える。
「オリーブオイルに豚肉を入れて火にかけます。よし、うどんを入れてもらってもいいかな?」
「ドーン!」
ハムとリリは大量にうどんをフライパンの中に入れて行く。
ほとんどパスタで作るカルボナーラと同じだ。
ただ、今回使ううどんはフェットチーネに見えるようにきしめん風に切っている。
「うどんは炒めてもいいの?」
「焼きうどんってのもあるから万能なんだよね。本当はパスタを作りたいんだけど、作ったことがないから今度作ってみようか」
「ハム達のパスタだって!」
「オイーブオイルの時と同じだね!」
新しく自分達で作ることをハムとリリは楽しみにしていた。
オイーブオイルは一回目でできたけど、今度は一度も作ったことないため手探りになるだろう。
それに鶏と牛を見つけた時みたいに、流通していないだけの可能性もある。
一度街の人達にも聞いてみるのも良いかもしれない。
「そろそろうどんの中に卵液を入れてね」
「はーい!」
ハムとリリに頼んで卵液を入れてもらう。
「すぐにかき混ぜて、あとは卵液が固まらないように火を止めます」
うどんに絡んだら火から離す。
熱しながら卵液を入れるとすぐに卵が固まってしまう。
そのため、ほぼ余熱で火を通していく。
もちろん卵を事前にアルヴィンに除菌してもらったのはこのためだ。
何もしていない状態で余熱だけだと、また食中毒になる可能性があった。
「これでカルボナーラうどんの完成です!」
「いつものちゅるちゅると違うね」
フライパンの上にたくさんできたカルボナーラうどんにハムとリリは目を輝かせていた。
それよりも目をキラキラさせていたのはアンフォだった。
「やっぱりお姉様は魔女ですわ。こんな美味しそうなもの初めて見ましたわ」
貴族でもあまり美味しいものは食べていないのだろうか。
それとも料理がそこまで発展していないのか。
「アンフォお姉ちゃんと一緒に取り分けてもらってもいい?」
「はーい!」
匂いに釣られてちびっこ達も集まってきた。
ゾロゾロと来るちびっこにびっくりしながらも、取り分けをアンフォにお願いする。
その間に何度も同じ工程を繰り返して大量に作っていく。
何回も作り方を見せることで、ハムとリリもレシピを覚えたようだ。
こうやって少しずつ覚えてもらうことで、何かあった時に自分達で作れるようになるだろう。
冬は風邪が流行ると言っていた。
私が寝込んだら、料理を作ったり指示を出すのはハムとリリになる。
牛乳があれば料理のレパートリーはどんどん増えていくだろう。
できるだけたくさんのレシピをハムとリリに教えてあげたいと私は思った。
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