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ストーカーライフ
19. 浮気ですか?
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俺は木の後ろに隠れて彼女達の様子を観察していた。そんな俺をやつはずっと突っついてくる。
「ボス、なんか毛がたくさん抜けるんですが……」
「ちょっと静かにしてくれ!」
「ボス……拙者胸毛しか残ってないです」
「へっ?」
は体の向きを変えるとそこには胸の毛だけ生えているコボルトが立っていた。
胸毛だけがフッサフサの状態だ。
「おい、毛をどこにやったんだ?」
その目には涙が溜まっていた。
流石に俺もそこまで毛が抜けるとは思ってもいなかった。
「ボスが毛はいらないって――」
「えっ? 俺何も言ってないぞ?」
「そんな……」
コボルトは悲しみのあまり地面に穴を掘っていた。
あの行動は暑さ対策の習性じゃなくて悲しいから掘っていたのだ。
「いや、きっと生えてくるぞ? お前元々ふさふさだったし!」
「そうですか?」
「ああ! 今は立派な胸毛が強調されてかっこよくなったな!」
「ほんとですか?」
「ああ!」
すぐにコボルトを宥めると普段のコボルトに戻っていた。
本当に単純なやつだな。
今は胸毛を強調するように胸を突き出している。
風に吹かれる胸毛がとても印象的だ。
「それでボスはこんなところでどうしたんですか?」
「ちょっと見てみろ!」
コボルトとともに彼女達の様子を覗いた。
「はぁ……本当に今日は暑いわね」
「私も汗でべちゃべちゃだよ」
「私達しかいないから脱いじゃないなよ」
「流石に――」
「ほらほら、そんなたわわな胸を付けちゃって!」
「ちょっ……モナ……」
何やら彼女達は怪しげな雰囲気を醸し出していた。
流石に誰もいないがゴブリンが出てくるような森で暑いから服を脱ぐのはやめた方がいいと思う。
そして、俺みたいなストーカーがいる可能性がある。
本当に危険認識の低さに驚きだ。
「ボス?」
「えーっと……」
俺は後ろを振り向くとコボルトの顔が間近まできていた。
毛がなくなった顔には今までのようなコボルトらしい可愛さはない。
むしろ少し怖いぐらいだ。
「浮気? ボスこれ浮気ですよ?」
「いや、浮気も何もお前とは何もないぞ。 あとお前は雄だ!」
「拙者の胸を貸した仲ではないですか!? 拙者は性別なんか気にしませんよ?」
そもそも性別より種族の問題があるだろう。
俺はコボルトとどうこうする気は微塵もない。
「何か物音がしたわ」
「すぐに服を着て離脱よ」
「モナが私を脱がしたんじゃないか!」
「だってそんなたわわを付けてたら揉んでくださいと言っているようなものだわ」
次第に俺達の音と声は大きくなっていた。
「ボスあの時の――」
「エンチャント"力強化"」
俺は自身に力強化を付与した。なぜ付与したかって?
この駄犬を躾けるためだ!
「この馬鹿犬が!」
俺は全力でコボルトの顔を殴った。
このままだと俺の体が危ないと思ったからだ。
「いってぇ!?」
ただやはり俺よりも強い種族だからか叩いた手の方が痛かった。
「ボス大丈夫ですか? 拙者の頭はコボルト界では聖獣玄武より硬いと言われているほどですよ」
聖獣玄武とはどんな攻撃も通さないという言い伝えがある生き物だ。
実際に存在するかわからないが、童話にも出てくるほど知らない人はいないというぐらいの存在だ。
現に目の前にいるコボルトも知っているぐらいだ。
「おいおい、そういうのは早く言ってくれよ」
「すみません」
「ってかそもそも俺はあいつらを追って――」
気づいた時にはもう彼女達の姿は無くなっていた。
ストーカーは対象者見失っては失格だ。
「お前のせいでどこかにいなくなったじゃん」
「はにゃ? 拙者のせいですか?」
「もういいわ」
どこかコボルトと一緒にいると調子が狂ってしまう。それでもなぜか憎めないのだ。
「ボスどうします?」
「探すに決まってるだろうが!」
「イエッサアアァァァ!」
コボルトは腰と頭に手を当ててピシッとポーズを決めていた。
一体何のポーズなのかはわからないが胸毛だけがひらひらと風に靡いていた。
俺は再び彼女達を探すことにした。
「ボス、なんか毛がたくさん抜けるんですが……」
「ちょっと静かにしてくれ!」
「ボス……拙者胸毛しか残ってないです」
「へっ?」
は体の向きを変えるとそこには胸の毛だけ生えているコボルトが立っていた。
胸毛だけがフッサフサの状態だ。
「おい、毛をどこにやったんだ?」
その目には涙が溜まっていた。
流石に俺もそこまで毛が抜けるとは思ってもいなかった。
「ボスが毛はいらないって――」
「えっ? 俺何も言ってないぞ?」
「そんな……」
コボルトは悲しみのあまり地面に穴を掘っていた。
あの行動は暑さ対策の習性じゃなくて悲しいから掘っていたのだ。
「いや、きっと生えてくるぞ? お前元々ふさふさだったし!」
「そうですか?」
「ああ! 今は立派な胸毛が強調されてかっこよくなったな!」
「ほんとですか?」
「ああ!」
すぐにコボルトを宥めると普段のコボルトに戻っていた。
本当に単純なやつだな。
今は胸毛を強調するように胸を突き出している。
風に吹かれる胸毛がとても印象的だ。
「それでボスはこんなところでどうしたんですか?」
「ちょっと見てみろ!」
コボルトとともに彼女達の様子を覗いた。
「はぁ……本当に今日は暑いわね」
「私も汗でべちゃべちゃだよ」
「私達しかいないから脱いじゃないなよ」
「流石に――」
「ほらほら、そんなたわわな胸を付けちゃって!」
「ちょっ……モナ……」
何やら彼女達は怪しげな雰囲気を醸し出していた。
流石に誰もいないがゴブリンが出てくるような森で暑いから服を脱ぐのはやめた方がいいと思う。
そして、俺みたいなストーカーがいる可能性がある。
本当に危険認識の低さに驚きだ。
「ボス?」
「えーっと……」
俺は後ろを振り向くとコボルトの顔が間近まできていた。
毛がなくなった顔には今までのようなコボルトらしい可愛さはない。
むしろ少し怖いぐらいだ。
「浮気? ボスこれ浮気ですよ?」
「いや、浮気も何もお前とは何もないぞ。 あとお前は雄だ!」
「拙者の胸を貸した仲ではないですか!? 拙者は性別なんか気にしませんよ?」
そもそも性別より種族の問題があるだろう。
俺はコボルトとどうこうする気は微塵もない。
「何か物音がしたわ」
「すぐに服を着て離脱よ」
「モナが私を脱がしたんじゃないか!」
「だってそんなたわわを付けてたら揉んでくださいと言っているようなものだわ」
次第に俺達の音と声は大きくなっていた。
「ボスあの時の――」
「エンチャント"力強化"」
俺は自身に力強化を付与した。なぜ付与したかって?
この駄犬を躾けるためだ!
「この馬鹿犬が!」
俺は全力でコボルトの顔を殴った。
このままだと俺の体が危ないと思ったからだ。
「いってぇ!?」
ただやはり俺よりも強い種族だからか叩いた手の方が痛かった。
「ボス大丈夫ですか? 拙者の頭はコボルト界では聖獣玄武より硬いと言われているほどですよ」
聖獣玄武とはどんな攻撃も通さないという言い伝えがある生き物だ。
実際に存在するかわからないが、童話にも出てくるほど知らない人はいないというぐらいの存在だ。
現に目の前にいるコボルトも知っているぐらいだ。
「おいおい、そういうのは早く言ってくれよ」
「すみません」
「ってかそもそも俺はあいつらを追って――」
気づいた時にはもう彼女達の姿は無くなっていた。
ストーカーは対象者見失っては失格だ。
「お前のせいでどこかにいなくなったじゃん」
「はにゃ? 拙者のせいですか?」
「もういいわ」
どこかコボルトと一緒にいると調子が狂ってしまう。それでもなぜか憎めないのだ。
「ボスどうします?」
「探すに決まってるだろうが!」
「イエッサアアァァァ!」
コボルトは腰と頭に手を当ててピシッとポーズを決めていた。
一体何のポーズなのかはわからないが胸毛だけがひらひらと風に靡いていた。
俺は再び彼女達を探すことにした。
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