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第二章 社畜、現実を知る
33.社畜、宇宙人心菜に驚く
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「ぬはぁ!?」
俺はいつのまにか寝ていたようだ。
なぜか頬が痛むのは気のせいだろうか。
周囲を見渡すとゴボタ達は見当たらない。
「ゴボター!」
すぐに起き上がり、ゴボタを探そうとしたが、近くにある岩の裏でホワイトが何かをやっていた。
「この草を混ぜたら惚れ薬になるかしら。今ならダンナ様は寝ているからいけるわね」
気味の悪い笑い声が聞こえると思ったら、何か草を潰して混ぜていた。
何を話しているかまでははっきりと聞こえない。
ただ、俺が倒れたのを心配して薬草もどきを混ぜていたのだろう。
「あれ? ホワイトみんなは?」
「ひゃ!?」
ホワイトはびっくりしたのか、潰していた薬草もどきをひっくり返してしまった。
「ああ、すまない。俺のために作ってくれたんだろ?」
俺はひっくり返った薬草もどきを手に取る。
薬草もどきは漢方を何種類も混ぜたような味がして、苦味が口の中にへばりついて広がっていく。
そんなやつをなるべくなら飲みたくはない。
「これ苦手だから飲むのをやめておくよ。体も元気だしね」
俺は全くない腕の筋肉を見せつけるように、両腕でガッツポーズをする。
元気なところを見せたら、ホワイトも心配しなくなるだろう。
「お優しいですわ……」
「ん? 何か言ったか?」
ホワイトは俺の顔をボーッと見ていた。
体調でも悪いのだろうか。
それなら俺よりもホワイトが薬草もどきを飲んだ方が良いだろう。
俺は葉で作られた器を手に取り、ホワイトに渡した。
「ホワイトが飲んだ方がいいんじゃないか?」
「いや、私よりダンナ様の方が――」
「ほらほら、さぁグビグビって飲んだ飲んだ!」
側から見たらアルコールハラスメントをしている親父に見えそうだ。
だが、それほど俺はこの薬草もどきを口にしたくない。
代わりに作った本人であるホワイトが飲めば、努力も無駄にならないはずだ
「私はすでに惚れて――」
俺は強引に口元につけて飲ませた。
多少強引な男性の方が女性は好きだろう。
「にっげーよ! 私にはいらねーって言ってるだろ!」
少し飲んだタイミングでホワイトは俺の手を振り払った。
急に口調が変わってびっくりした。
あの可愛いホワイトはどこにいったのだろうか。
「そもそもこれは人に飲ますもんじゃねーよ」
「えっ……でも俺に飲ませようとしていたよね?」
人が飲んだらダメなら、尚更俺は飲めない。
ひょっとしたら俺を人間だと思っていないのだろうか。
「あっ、いや……」
どこか焦ったようにモジモジするホワイト。
冗談で引っかけるつもりだった。
だが、この反応からして本当に飲んだらいけないような気がした。
「男はとりあえず飲めば良いんだよ!」
何を思ったのか俺の手を掴んだ。
逃げようとしても身動きがとれない。
ホワイトは無理やり俺の口に、薬草もどきを入れようとした。
可愛い顔をしているのに、ゴボタと同じで力が強い。
俺はここで毒殺でもされるのだろうか。
「はやく惚れ薬を飲めよ! 私を見たら大好きで一生離れたくなくなるんだぞ!」
ひょっとしたら心菜や宇宙人よりも、ホワイトの方が危ないような気がしてきた。
ドタバタしている俺達に気づいたのか、遠くの方から声が聞こえてきた。
「とーたぁーん!」
「ボォースー!」
手押し車を押しているゴボタとスクーターに乗っているリーゼントだ。
ただ、目を凝らすとその後ろから砂埃が舞い上がっていた。
「おい、あれ大丈夫なのか?」
「鬼ごっこという遊びをしているらしいですよ」
どうやら追いかけているのは心菜のようだ。
昔は俺が鬼ごっこして遊んであげていたのに、今では心菜が遊ぶ側になっていた。
「それよりも惚れ薬を――」
「おいおい、スクーターに追いつくのかよ」
心菜は走ってゴボタとリーゼントに追いついていた。
スクーターに追いつく人間がこの世に存在するのだろうか。
俺の乗っている摩訶不思議なスクーターは、初速がとんでもなく速く進化したやつだ。
それを走って追いつくとは――。
そのまま心菜は大きく飛び上がると、リーゼントとゴボタの頭上を飛び越えていく。
「タッチ!」
その瞬間、ゴボタとリーゼントの頭をタッチしていた。
やはり心菜だと思っていたやつは宇宙人なんだろうか。
あんなに急に成長するはずがないからな。
「ダンナ様は――」
ホワイトはまだ何かを言っていたが、今はそれどころではない。
「おい、逃げるぞ!」
俺はホワイトを抱えてそのまま走り出した。
「えっ、これは愛の逃走劇……」
ホワイトは俺にしがみついてきた。
ずっと何かを言っているが、今はそれどころではない。
今度は俺達に狙いを定めて宇宙人心菜が走ってきたのだ。
「なんで逃げるんですか!?」
俺は全速力で走るが、運動不足の社畜が速く走れるはずもない。
「うわああああああ!」
俺はすぐに宇宙人心菜に捕まってしまった。
やっぱりあいつは人間じゃねーよ!
俺はいつのまにか寝ていたようだ。
なぜか頬が痛むのは気のせいだろうか。
周囲を見渡すとゴボタ達は見当たらない。
「ゴボター!」
すぐに起き上がり、ゴボタを探そうとしたが、近くにある岩の裏でホワイトが何かをやっていた。
「この草を混ぜたら惚れ薬になるかしら。今ならダンナ様は寝ているからいけるわね」
気味の悪い笑い声が聞こえると思ったら、何か草を潰して混ぜていた。
何を話しているかまでははっきりと聞こえない。
ただ、俺が倒れたのを心配して薬草もどきを混ぜていたのだろう。
「あれ? ホワイトみんなは?」
「ひゃ!?」
ホワイトはびっくりしたのか、潰していた薬草もどきをひっくり返してしまった。
「ああ、すまない。俺のために作ってくれたんだろ?」
俺はひっくり返った薬草もどきを手に取る。
薬草もどきは漢方を何種類も混ぜたような味がして、苦味が口の中にへばりついて広がっていく。
そんなやつをなるべくなら飲みたくはない。
「これ苦手だから飲むのをやめておくよ。体も元気だしね」
俺は全くない腕の筋肉を見せつけるように、両腕でガッツポーズをする。
元気なところを見せたら、ホワイトも心配しなくなるだろう。
「お優しいですわ……」
「ん? 何か言ったか?」
ホワイトは俺の顔をボーッと見ていた。
体調でも悪いのだろうか。
それなら俺よりもホワイトが薬草もどきを飲んだ方が良いだろう。
俺は葉で作られた器を手に取り、ホワイトに渡した。
「ホワイトが飲んだ方がいいんじゃないか?」
「いや、私よりダンナ様の方が――」
「ほらほら、さぁグビグビって飲んだ飲んだ!」
側から見たらアルコールハラスメントをしている親父に見えそうだ。
だが、それほど俺はこの薬草もどきを口にしたくない。
代わりに作った本人であるホワイトが飲めば、努力も無駄にならないはずだ
「私はすでに惚れて――」
俺は強引に口元につけて飲ませた。
多少強引な男性の方が女性は好きだろう。
「にっげーよ! 私にはいらねーって言ってるだろ!」
少し飲んだタイミングでホワイトは俺の手を振り払った。
急に口調が変わってびっくりした。
あの可愛いホワイトはどこにいったのだろうか。
「そもそもこれは人に飲ますもんじゃねーよ」
「えっ……でも俺に飲ませようとしていたよね?」
人が飲んだらダメなら、尚更俺は飲めない。
ひょっとしたら俺を人間だと思っていないのだろうか。
「あっ、いや……」
どこか焦ったようにモジモジするホワイト。
冗談で引っかけるつもりだった。
だが、この反応からして本当に飲んだらいけないような気がした。
「男はとりあえず飲めば良いんだよ!」
何を思ったのか俺の手を掴んだ。
逃げようとしても身動きがとれない。
ホワイトは無理やり俺の口に、薬草もどきを入れようとした。
可愛い顔をしているのに、ゴボタと同じで力が強い。
俺はここで毒殺でもされるのだろうか。
「はやく惚れ薬を飲めよ! 私を見たら大好きで一生離れたくなくなるんだぞ!」
ひょっとしたら心菜や宇宙人よりも、ホワイトの方が危ないような気がしてきた。
ドタバタしている俺達に気づいたのか、遠くの方から声が聞こえてきた。
「とーたぁーん!」
「ボォースー!」
手押し車を押しているゴボタとスクーターに乗っているリーゼントだ。
ただ、目を凝らすとその後ろから砂埃が舞い上がっていた。
「おい、あれ大丈夫なのか?」
「鬼ごっこという遊びをしているらしいですよ」
どうやら追いかけているのは心菜のようだ。
昔は俺が鬼ごっこして遊んであげていたのに、今では心菜が遊ぶ側になっていた。
「それよりも惚れ薬を――」
「おいおい、スクーターに追いつくのかよ」
心菜は走ってゴボタとリーゼントに追いついていた。
スクーターに追いつく人間がこの世に存在するのだろうか。
俺の乗っている摩訶不思議なスクーターは、初速がとんでもなく速く進化したやつだ。
それを走って追いつくとは――。
そのまま心菜は大きく飛び上がると、リーゼントとゴボタの頭上を飛び越えていく。
「タッチ!」
その瞬間、ゴボタとリーゼントの頭をタッチしていた。
やはり心菜だと思っていたやつは宇宙人なんだろうか。
あんなに急に成長するはずがないからな。
「ダンナ様は――」
ホワイトはまだ何かを言っていたが、今はそれどころではない。
「おい、逃げるぞ!」
俺はホワイトを抱えてそのまま走り出した。
「えっ、これは愛の逃走劇……」
ホワイトは俺にしがみついてきた。
ずっと何かを言っているが、今はそれどころではない。
今度は俺達に狙いを定めて宇宙人心菜が走ってきたのだ。
「なんで逃げるんですか!?」
俺は全速力で走るが、運動不足の社畜が速く走れるはずもない。
「うわああああああ!」
俺はすぐに宇宙人心菜に捕まってしまった。
やっぱりあいつは人間じゃねーよ!
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