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4.芋聖女、旅立つ

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 それから私は食事も喉が通らずみるみるうちに痩せていった。

 今まで着ていたドレスがどれも大きくなり、その場で簡単に修正されたものに腕を通している。

 旅立つ日になってもドレスを一着も新調してもらえないとは情けない。

 その一方で見送りに来た妹は見たこともない、華やかなドレスを着ていた。

 きっと子どもができたお祝いに、体に負担をかけないドレスをもらったのだろう。

「お姉様元気でね。私は立派な子を生みますわ」

 妹のローズはお腹がどこか大きくなっている気がした。

 妹しか見送りに来ていない私は、本当にここの家族だったのだろうか。

 婚約者だったあの人の挨拶もなく、私は一方的に婚約破棄をされた。

 誰も私のことを愛してくれない。

 今日、私は政略結婚として他国に売られた。

 もう家族だとも思われていない私は物として扱われているだけで良い方なんだろう。

 次の政略結婚相手は常に顔を仮面で隠している"戦場の悪魔"と呼ばれている。

 王族なのに結婚していない理由を調べると、その素顔を見た人は全員命を落とすと言われていた。

 この際、私も彼の素顔を見て命を落とすなら本望だ。

 自分の手で死ねない私にとっては、彼の存在が少しだけ希望に感じた。
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