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第二区画
156.オークの国
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変わり者のオークは目を離しているうちに集落の中に入って行った。どうやらオークの集落はしっかりと外壁があり、門番がいるのが当たり前らしい。
襲われた集落やリョウタのいる集落ではちゃんとした外壁が作られていないところを考えると、オークはそれだけ周囲を注意しているのだろう。
その中でも前回と違うのは門番にいるオークが今まで見てきたオークとは体型が異なり、一回り以上大きい。しかも、武器も使い慣れているように感じるほど武人の雰囲気を醸し出している。
「あれがハイオークってやつか」
俺はそのまま門番を見ていると、自動鑑定が発動された。説明にはオークよりも全体的に成長した個体種と書いてあった。
オークと比較して知能が上がっているのも特徴らしい。
今後あいつらと戦うってなると、ある程度準備は必要になるだろう。
外壁を回りながら探すが、入り口はハイオークが守っていたところしかなかった。
そんな中、見たことある奴らが集団で集まっていた。
「おい、お前らこんなとこでなにやってんだよ!」
俺の声に反応するかのように、体を捻りこちらを見ていた。
「お前らまたサボってんのか?」
集団でいたのは前回笹寺のクエストで会ったサボッテンナ達だ。陰にひっそりと隠れて、集団でサボっていた。
きっとみんなでサボれば怖くないという感覚なんだろう。数体っていうよりは、何十体と集まっていた。
俺の問いに各々様々な動きをしており、なにを伝えたいのかわからない。ただ、一つ言えることは、サボっている言い訳を必死に伝えようとしている。
サボっているのを見つからないようにしろよと声をかけるつもりが、サボッテンナ達は次々と道を開けていく。
気づいた時には中央に見た目の違うサボッテンナが立っていた。
「この中に上司がいるんかい!」
一体だけ頭に花が咲いており、見た目が違う。
きっと上司にあたる存在なんだろう。
やつもヒソヒソとサボっていた。
そりゃー上司が率先してサボっていたら、下の者達もサボるだろう。
「上がサボったら示しがつかないからあまりサボりすぎるなよ」
今一番この言葉を言いたいのは、今まで俺の上司でもあった糞部長だ。今もサボって仕事に来なくなってしまった。
退職届も出したわけでもなく、会社に連絡も来ていない。
俺は花が咲いていたサボッテンナに木属性魔法の植物成長をエールとして贈る。するとお礼にまた変な踊りをしてくれた。
「いや、デバフ……バフのほうなのか!」
前回はデバフか回復の効果がある踊りをしていたが、今回は純粋にステータスを上げるバフのようだ。
サボッテンナは踊り終わると、他のサボッテンナに指示を出して、スタスタ走って仕事に戻って行く。
あいつらもサボッテンナ界では色々と大変なんだろう。
俺はサボッテンナのバフの影響なのか、いつもより体が軽く感じた。
「これっていけるんじゃないか?」
俺は近くにいたベンを捕まえると、外壁に向かって反対方向に走る。
「よし、行ってみるか」
俺は向きを変えると勢いよく走り出した。もちろんベンは俺の腕の中で大暴れしている。
助走をつければ、なんとなく飛び越えられると思ったのだ。
「うりゃー」
脚に力を入れる。気分は棒高跳びの選手だ。
「いけえええええっ……あっ、これはやばいわ」
思ったより勢いが出たのか、俺は転がるように無事に外壁に乗ることができた。
ここまで来たらベンも逃げることはできないだろう。
俺はそのまま見つからないように、近くに建物があるところまで移動する。
「さぁ、ここの集落はどうなってるかな?」
屋根に飛び移り集落の中の状況を確認すると、オーク達がたくさん歩いていた。ドワーフや他の魔物がいるわけでもなくオークしかいない集落だ。
さすがにしっかりと外壁があるだけあって、オーク達は武器や鎧を装備していない。そもそも人間のような普通の服を着ている。
一言でいえば"オークの国"と言えるほどだ。
実際に目の当たりにすると、オークが人間に憧れていたのがわかるほどだった。
露店のようなものでお店をしている姿。
買い物帰りで親子だと思われるオークが微笑ましく手を繋いでいる姿。
仲良く子供達が走っている姿。
一つ言えることはどのオークも笑顔だ。
それでも俺はオークジェネラルを倒さないと元の世界には戻れない。それが俺に任された今回のクエストだ。
でも本当にこの生活を壊しても良いのだろうか。
オークから見たら俺が悪魔のように見えるだろう。
次第に俺の心は本当にこのままで良いのかという疑問とこの世界でクエストを与える者への不信感に心が乱されていた。
襲われた集落やリョウタのいる集落ではちゃんとした外壁が作られていないところを考えると、オークはそれだけ周囲を注意しているのだろう。
その中でも前回と違うのは門番にいるオークが今まで見てきたオークとは体型が異なり、一回り以上大きい。しかも、武器も使い慣れているように感じるほど武人の雰囲気を醸し出している。
「あれがハイオークってやつか」
俺はそのまま門番を見ていると、自動鑑定が発動された。説明にはオークよりも全体的に成長した個体種と書いてあった。
オークと比較して知能が上がっているのも特徴らしい。
今後あいつらと戦うってなると、ある程度準備は必要になるだろう。
外壁を回りながら探すが、入り口はハイオークが守っていたところしかなかった。
そんな中、見たことある奴らが集団で集まっていた。
「おい、お前らこんなとこでなにやってんだよ!」
俺の声に反応するかのように、体を捻りこちらを見ていた。
「お前らまたサボってんのか?」
集団でいたのは前回笹寺のクエストで会ったサボッテンナ達だ。陰にひっそりと隠れて、集団でサボっていた。
きっとみんなでサボれば怖くないという感覚なんだろう。数体っていうよりは、何十体と集まっていた。
俺の問いに各々様々な動きをしており、なにを伝えたいのかわからない。ただ、一つ言えることは、サボっている言い訳を必死に伝えようとしている。
サボっているのを見つからないようにしろよと声をかけるつもりが、サボッテンナ達は次々と道を開けていく。
気づいた時には中央に見た目の違うサボッテンナが立っていた。
「この中に上司がいるんかい!」
一体だけ頭に花が咲いており、見た目が違う。
きっと上司にあたる存在なんだろう。
やつもヒソヒソとサボっていた。
そりゃー上司が率先してサボっていたら、下の者達もサボるだろう。
「上がサボったら示しがつかないからあまりサボりすぎるなよ」
今一番この言葉を言いたいのは、今まで俺の上司でもあった糞部長だ。今もサボって仕事に来なくなってしまった。
退職届も出したわけでもなく、会社に連絡も来ていない。
俺は花が咲いていたサボッテンナに木属性魔法の植物成長をエールとして贈る。するとお礼にまた変な踊りをしてくれた。
「いや、デバフ……バフのほうなのか!」
前回はデバフか回復の効果がある踊りをしていたが、今回は純粋にステータスを上げるバフのようだ。
サボッテンナは踊り終わると、他のサボッテンナに指示を出して、スタスタ走って仕事に戻って行く。
あいつらもサボッテンナ界では色々と大変なんだろう。
俺はサボッテンナのバフの影響なのか、いつもより体が軽く感じた。
「これっていけるんじゃないか?」
俺は近くにいたベンを捕まえると、外壁に向かって反対方向に走る。
「よし、行ってみるか」
俺は向きを変えると勢いよく走り出した。もちろんベンは俺の腕の中で大暴れしている。
助走をつければ、なんとなく飛び越えられると思ったのだ。
「うりゃー」
脚に力を入れる。気分は棒高跳びの選手だ。
「いけえええええっ……あっ、これはやばいわ」
思ったより勢いが出たのか、俺は転がるように無事に外壁に乗ることができた。
ここまで来たらベンも逃げることはできないだろう。
俺はそのまま見つからないように、近くに建物があるところまで移動する。
「さぁ、ここの集落はどうなってるかな?」
屋根に飛び移り集落の中の状況を確認すると、オーク達がたくさん歩いていた。ドワーフや他の魔物がいるわけでもなくオークしかいない集落だ。
さすがにしっかりと外壁があるだけあって、オーク達は武器や鎧を装備していない。そもそも人間のような普通の服を着ている。
一言でいえば"オークの国"と言えるほどだ。
実際に目の当たりにすると、オークが人間に憧れていたのがわかるほどだった。
露店のようなものでお店をしている姿。
買い物帰りで親子だと思われるオークが微笑ましく手を繋いでいる姿。
仲良く子供達が走っている姿。
一つ言えることはどのオークも笑顔だ。
それでも俺はオークジェネラルを倒さないと元の世界には戻れない。それが俺に任された今回のクエストだ。
でも本当にこの生活を壊しても良いのだろうか。
オークから見たら俺が悪魔のように見えるだろう。
次第に俺の心は本当にこのままで良いのかという疑問とこの世界でクエストを与える者への不信感に心が乱されていた。
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