庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜

k-ing ★書籍発売中

文字の大きさ
上 下
114 / 156
第二区画

114. 久しぶりに遊びました

しおりを挟む
〈兄:ウィルフリードSide〉



そっか。バルドリックだけじゃなくて、ルイーザもエルを守る覚悟を決めていたんだね。
なんだ。そっか。僕だけじゃなかったんだ。

「はっ…、ははっ。なんだ。そっか。ははっ」

僕はエルが大好き過ぎて、いつの間にか“エルを護るのも、護れるのも僕だけ”って思い込んでいたみたいだ。そんな訳ないのにね。

「あらん?ウィルちゃんの表情か戻ったみたいでよかったわんっ♪
あっ、ウィルちゃん。因みにあたくしはエルちゃん大好きなお友達よん。改めてよろしくねん?生意気ボーイ♪」

エミリーの“生意気ボーイ”と言う言葉にイラッとし、思わず睨んでしまう。

「あらぁ~っ?あらあらぁ~んっ♪悔しかったら、あたくし以上に強くなってご覧なさいなっ☆そしたらその喧嘩をあたくしが買ってあげるわぁ~ん♪お~ほっほっほ~っ!!」

ビキッ 自分の額に青筋が立つのがわかった。

「ええ、そうですね。僕が今の貴方の年齢になるまで四半世紀はかかりますが、まぁ、その時はよろしくお願いしますね?」

「あぁぁぁんっ!?!?何だとこのクゾガキぃ~っ!!!!」

僕とエミリーの視線にバチバチッと火花が散る。

「はいはい、そこまで」

今まで僕達のやり取りを見守っていたお母様が、パンパンと手を叩きながら、話に割り込んてくる。

「ねぇ、ウィル。因みになんだけど、お母様はエルちゃんを産んだ、たったひとりの母親よ。よろしくね?」

お母様が可愛らしく小首を傾げ、からかってくる。

「ぐ…っ!!申し訳ありません。お母様…」

「あらぁ~っ、なんの事かしらぁ~?」

「あははっ。これはウィルの負けだね」

つい先程まで暗かった雰囲気が、お父様とお母様、そして悔しいけどエミリーのおかけで明るくなった。
セバスやベアティ、デルミーラにアメリアとアンネリースまで、いつ間にかクスクスと笑っている。

「私達は、自分達なら“エルの心も体も護れる”と、傲っておごっていたのかもしれないね。
シロガネ殿に言われた事を、再度噛み締め、もう二度とこんな事が起こらないようにしよう。皆、いいね?」

「かしこまりました。お父様」

「おうっ!!任せとけっ!!」
「お任せくださいませ。お父様」

僕の返事の後に、バルドリックとルイーザが返事をする。

「さぁ、明日からの事だけどね、王都での滞在期間は1週間だけにしようと思うんだ」

「あなた…、大丈夫ですの?」

お父様の急な提案に、お母様は戸惑いの色を見せる。

「大丈夫だよ。元々、ウィルフリードやバルドリック、ルイーザにお茶会やサロンの場数を踏ませようと、多めの日程にしていたに過ぎないからね。
だけど、エルは王都に不安を感じているだろう?そんな王都での生活は、エルにとって負担になるだけだからね。
他の貴族に早く帰る理由を聞かれたら、エルには申し訳ないけど、“末の娘の体調が悪い”という事にしておこう」

お父様のエルをダシにする様な発言がちょっと見過ごせなくて、思わず冷たい視線を向けてしまう。
だけど、早く帰る事に関しては賛成だ。
僕は他の貴族の子息や令嬢と過ごすより、エルと過ごす時間を優先したい。

本当は、何者にも傷つけられない様に、僕の部屋に閉じ込めてしまいたいけど、エルは籠の鳥じゃない。それに、いつも元気に外で遊ぶ姿を見るのが僕は好きなんだ。
そんなエルの自由を護る為には、僕自身の心と体の強さが必要だ。
強さを求めるのは今までと変わらないけど、それだけに固執して、本来の“エルを護るため”という目的を見失わないようにしないとね。


しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

削除予定です

伊藤ほほほ
ファンタジー
削除します

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話 主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉 神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく…… ※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!! 内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません? https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html

寝て起きたら世界がおかしくなっていた

兎屋亀吉
ファンタジー
引きこもり気味で不健康な中年システムエンジニアの山田善次郎38歳独身はある日、寝て起きたら半年経っているという意味不明な状況に直面する。乙姫とヤった記憶も無ければ玉手箱も開けてもいないのに。すぐさまネットで情報収集を始める善次郎。するととんでもないことがわかった。なんと世界中にダンジョンが出現し、モンスターが溢れ出したというのだ。そして人類にはスキルという力が備わったと。変わってしまった世界で、強スキルを手に入れたおっさんが生きていく話。※この作品はカクヨムにも投稿しています。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら
ファンタジー
 主人公小野隼人は、高校一年の夏に同じクラスの人と異世界に勇者として召喚される。  勇者は召喚の際にチートな能力を貰えるはずが、隼人は、【身体強化】と【感知】と言うありふれた能力しか貰えなかったが、しぶとく生き残り、10年目にして遂に帰還。  しかし帰還すると1ヶ月しか経っていなかった。  更に他のクラスメイトは異世界の出来事など覚えていない。  自分しか能力を持っていないことに気付いた隼人は、この力は隠して生きていくことを誓うが、いつの間にかこの世界の裏側に巻き込まれていく。 これは異世界で落ちこぼれ勇者だった隼人が、元の世界の引き継いだ能力を使って降り掛かる厄介ごとを払い除ける物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...