庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜

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97. 女性は皆怖いです

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「とりあえず歩きましょうか」

「ああ、期待させてすまなかったな」

 俺は罪悪感に包まれながら歩きだした。さっきまで桃乃が後ろを付いてきていたが、今は前を歩いている。

「ねぇ……先輩」

「なんだ?」

「なんか前から砂埃が……」

 目の前から砂埃を巻き上げこちらに何かが向かってきている。

「なぜかクエストがクリアになってますよ」

「はぁん!?」

 俺が視線をずらすと、そこにはクエストクリアとの表示が出ていた。まだ穴を見つけていないし、オークを倒してもいないのにクリアになっている。

「それよりも逃げましょうよ!」

「そっ、そうだな」

 何が起きたかわからないまま逃げているが、穴がどこにあるのかもわからない。

 マッピングしていても結局迷子になっていた。

 ただ言えるのは結局全て薙ぎ倒すしかないのだろう。

「ももちゃん、隠れるよ!」

 俺達は気づいた時には集落に戻っていた。見送ったトレント達は居なくなり、あるのは滅びた集落のみ。

 俺達は集落の建物内に身を潜め、追いかけてくる敵を観察することにした。

「どこ……イッタ……」

 俺達を追いかけてきたやつらは、ドリアードと同様に言葉を話していた。それだけ知能が高い魔物なんだろう。

「ももちゃんあいつら話してるよ」

「えっ? 僕には何言ってるかわからないです」

「ああ、自動翻訳か」

 スキルでやつらが何を話しているのか理解できたようだ。

 それにしても、やつらは何のために追いかけてきたのだろうか。

「先輩、あれってオークですか?」

 見つめていると確かにオークと表示されている。

 オークと言っても頭以外は武装しており、武器も持っているため、図体が大きい人間にしか見えない。

 一般的なゲームとかに出てくるオークとは異なり、豚の見た目をしているわけでもなく、ただの気持ち悪い太った男だ。

 顔は潰れたような見た目をしており、生理的に受け付けない不潔感が漂っている。

 オークは四体存在し、そのうち一体がトレントの実を持っていた。

「オークで合ってるけど、俺が投げたトレントの実で倒したってことか?」

 トレントの実には血が多量に付いていた。クエストをクリアできたのも、ひょっとしたら運良くトレントの実が当たって倒したのかもしれない。

「ほら、先輩のせいですよ!」

「すまん」

 俺が桃乃に謝っていると、どうやらオークの様子がおかしいようだ。

「ハァハァ……ドコダ……」

 なぜかオーク達は息を荒げて興奮していた。トレントの実を持ってはいるが、そこにはあまり興味を示していないようだ。

「気持ち悪いです。ストーカーされる気持ちってこんな感じなんですね」

 桃乃の出した例えがリアル過ぎて俺は言葉にできなかった。

 これからは女性にアピールするときは、見た目を気にしてから声をかけようと心から思った。

「アアアァァァ!!! オカス!!」

 どこか興奮しているオークは突然着ていた鎧を脱ぎ、自身の大事な部分を突き出していた。

「あれって色んな意味で興奮状態ってこと?」

「あれって……」

 俺は桃乃がまた何かを言い始めたと思い、耳を閉じた。

 同じモテない男性として、どこか桃乃の例えを聞いていると辛くなってしまう。

「とりあえず、鎧を外したから今がチャンスじゃないか?」

「すぐに火属性魔法で援護します」

 俺は魔刀の鋸を装備してオーク達の前に出た。

「オマエ……チガウゥゥ!!」

 オークはよだれを垂らしながら、俺には目もくれずに辺りを探している。

 あそこまで言われると、振られた気持ちになってしまう。

「先輩いきます!」

 桃乃が魔法の準備ができた瞬間に、建物から出るとオーク達は桃乃の方へ視線を向けた。

「ミ……ツケタァァァ!!!」

「イヤアアアァァァ!」

 桃乃の口から聞いたこともない野太い叫び声が聞こえてきた。よく聞くあの甲高い叫び声は、本当に嫌がっている声ではないのだろう。

 俺は後ろからのオークに近づき、首元に鋸を押し当てた。そのままの勢いで体を回転させ、首を切り落とす。

「メテオストライク!」

 ファイヤーボールとは違い、燃えた岩のようなものを出した桃乃はオークにぶつけている。

 当たったのは一体だけで、あと二体は桃乃に接近していた。

「イヤダァァァー!」

 桃乃はそのまま集落を出て逃げていくと、オークもつられて追いかけていく。

 そんな中、うるさかったのか奥からスカベンナーが出てきた。

 その顔はどこかニヤッとしている。

 俺は集落から出た時のことを思い出した。

 臭くはないが桃乃が普段と違った匂いが出ていることに気づいていた。

「お前の仕業か!」

 俺はスカベンナーを捕まえようと近寄るが、すぐに集落の奥へ消えていってしまった。やはり獣の形をしている魔物は足が速かった。

「それよりもももちゃんが危ない!」

 俺は体を切り返して、急いでオーク達を追いかけることにした。
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