庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜

k-ing ★書籍発売中

文字の大きさ
上 下
72 / 156
第一区画

72. 出陣じゃー! ※一部第三者視点

しおりを挟む
 あれから数日が経ち、今日庭の異世界に行くために俺の家で準備をしていた。

「先輩本当に乗るんですか?」

「ああ、ガバッといってくれ」

「わ……わかりました」

「うっ……」








 って言っても長い戦いになるのを予想して俺はストレッチをして体を解している。

 硬すぎて自分ではどうしようもない体を桃乃の重みで筋肉を伸ばしていた。

 痛いところまでやれない人は一流の選手になれないと体操の選手が昔言っていたのを思い出す。

 こういう無理やりな強要はパワハラになるのだろうか。

 頼んだ桃乃は戸惑っていたが、嫌では無さそうだから気にしなくても問題ないはずだ。

 むしろ乗り出すとどこか上機嫌で、桃乃の性格が心配だ。

「ちょ、ももちゃんいきなり体重かけ過ぎ!」

「へへへ、先輩また何か考えてましたね?」

 俺の心の声が読まれたのか急に体重をかけてきた。

 それにしても異世界に行ってから桃乃の性格がだいぶ変わった気がする。何か変なスキルを手に入れていないか心配だ。

 スキルの内容は魔法ぐらいしか聞いていないが、他に有用なパッシブスキルを持っているのだろうか。

「痛たたた……」

 全身硬い俺には死にそうなぐらい痛い。

 これも唯一聞いている精神耐性のスキルによる効果か、最近色んな場面で容赦がなくなっている気がする。

「これで伸びましたね」

 俺はため息をついて床に伸びていると、インターホンが鳴った。

「先輩出てきた方がいいですか?」

「ああ、頼む」

 桃乃はインターホンに接続して話し始めた。

お姉さん・・・・おはようございます」

 桃乃がお姉さん・・・・と呼ぶのはあの人しかいない。

 そう、隣に住むおばさんだ。

 毎回異世界に行くときに訪ねてくるが、いつもおかずを持ってきてくれるから何にも言えない。

 休みの日に仕事に行くことが減り、持って来てくれる回数が増えただけのことだ。

「今取りに行きますね」

 桃乃はインターホンを切ると玄関に向かった。

「ああ、俺もついていくよ」

 せっかくお隣さんが来てくれたのなら、家主が出ないわけにはいかない。

 俺が玄関を開けるとおばさんはなぜか驚いていた。

「あれ、桃乃さんじゃなくて慧くんが出たのね」

「一応ここの家主なんでね。おはようございます」

「慧くんおはよう」

 玄関を開けて俺が出ると、なぜか少し悲しそうな顔になるおばさんをみて、俺の方が悲しくなってくる。

「おはようございます!」

「あっ、かおちゃんおはよう! 今日はかおちゃんが好きな豆腐の揚げ出しと里芋の煮っ転がしを持ってきたわよ」

 おいおい、俺と桃乃の時とは明らかに態度が違う。それにかおちゃんとは誰のことだ。

 いつのまにか桃乃の好きな食べ物まで把握しているおばさんに驚きだ。

「本当ですか!? お姉さんのご飯美味しいので嬉しいです」

 ああ、桃乃もいつのまにか世渡り上手になっているよ。

 俺には一切褒めてくれないのにな。

「そういえば、今日もどこかに出掛けてくるの?」

「そのつもりですが、なにかありました?」

「今日寒くなるらしいから厚めの服を着て行った方がいいわよ! じゃあ、かおちゃんまたね! あっ、慧くんまたね!」

「あっ、はーい」
「いつもありがとうございます」

 最後が若干気になるが、このまま気にしていたら負けのような気がした。

「じゃあ、これを冷蔵庫に入れたら行きますか」

「かおちゃんって……」

「あっ、私香織かおりって名前なんです」

「桃の香りってことか……」

「昔よくそれでいじめられましたよ」

 桃乃はどこか冷たい表情をしていた。

 おかずを冷蔵庫に入れると、桃乃はなぜか考えごとをしていた。

「さっき今日は厚めの服装が良いって言ってましたよね?」

「そうだよな。まだ、冬でもないのになんでだろう」

 今は夏が終わり秋に差し掛かろうとしている。

 急に寒くなると言っても分厚い服を着るまでもないが、おばさんが言うのなら本当に寒くなるのだろうか。

 俺も桃乃も天気予報も見てないため、今日の気温がわからない。

「向こうの気温ってここと同じぐらいなんですか?」

 確かにそこは気にしていなかった。いつも普段通りの服装で行っているが、気温は大体同じぐらいだったような気がする。

「多分同じじゃないか?」

「なら、少し分厚めの服を着ていって、暑ければ脱いでもいいですしね」

 前回はダンジョンの穴に入るつもりが、現実世界に戻る穴に入っていた。服が目印になれば間違えることも減るだろう。

 また、別の穴に入っても戻ることがあるため要注意だ。

「あっ、服って持ってきてないよね?」

 俺は部屋に上着を取りに行き、桃乃に渡すとなぜか複雑そうな顔をしていた。

 なんだその顔は……。

 一応クリーニングに出した後に、片付けたやつだから臭くはないはずだ。

「ひょっとして臭いか?」

 桃乃は匂いを嗅ぐと止まっていた。嫌なら嗅がなければいいだけの話だが……。

「よっし!」

 おいおい、そんなに気合いを入れるぐらいなら、無理して着なくてもいい。

 それでも本人は寒いから仕方ないと、俺の服を着ていた。

 異世界に行く前に心を折られた気がしたまま、俺達は出発した。





 彼女は自分の子供を殺したあいつらを待っていた。

 途中コボルト達が邪魔をしてきたが、自分より下位の魔物をものともせずに薙ぎ倒す。

 その荒れ狂う姿に緑色の髪をした女性が必死に落ち着かせようと魔法を掛けていたが、それでも彼女の力じゃ足りないのだろう。

 今日も彼女はずっと泣きながら暴れて何かを探し回っていた。

 自分の子供を殺した誰かなのか、それとも自分を止めてくれる誰かなのか、それは彼女しかわからない。

 今日も彼女は森の中を大きな体で彷徨っている。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

なんか黄金とかいう馬鹿みたいなスキルを得たのでダラダラ欲望のままに金稼いで人生を楽しもうと思う

ちょす氏
ファンタジー
 今の時代においてもっとも平凡な大学生の一人の俺。 卒業を間近に控え、周りの学生たちは冒険者としてのキャリアを選ぶ中、俺の夢はただひとつ、「悠々自適な生活」を送ること。 金も欲しいし、時間も欲しい。 程々に働いて程々に寝る……そんな生活だ。 しかし、それも容易ではなかった。100年前の事件によって。 そのせいで現代の世界は冒険者が主役の時代となっていた。 ある日、半ば興味本位で冒険者登録をしてみた俺は、予想外のスキル「黄金」を手に入れる。 「はぁ?」 俺が望んだのは平和な日常を送るためだが!? 悠々自適な生活とは程遠い、忙しない日々を送ることになる。

追放されたけどFIREを目指して準備していたので問題はない

君山洋太朗
ファンタジー
異世界のヨーロッパ風国家「グランゼリア王国」を舞台にした合理主義冒険ファンタジー。 主人公レオン・クラウゼンは、冷静な判断と効率重視の性格を持つ冒険者。彼の能力「価値転換(バリュー・シフト)」は物や素材の価値を再構築するもので、戦闘向きではないが経済的な可能性を秘めている。パーティーから追放されたレオンは、自身の能力を活かし「FIRE(経済的自立と早期退職)」を目指す人生設計を実行に移す。 彼が一人で挑むのは、廃鉱での素材収集、不動産投資、商業ネットワークの構築といった経済活動。次々と成功を収める一方で、魔獣の襲撃や元パーティーとの因縁など、様々な試練が彼を待ち受けることになる。 「戦わずして生き抜く」レオンが描く、冒険者とは一線を画す合理主義の物語。追放を前向きに捉え、自らの手で自由を掴む彼の成長と活躍をお楽しみに! この作品は「カクヨム」様にも掲載しています。

かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる

竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。 ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする. モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする. その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

神様の願いを叶えて世界最強!! ~職業無職を極めて天下無双する~

波 七海
ファンタジー
※毎週土曜日更新です。よろしくお願い致します。  アウステリア王国の平民の子、レヴィンは、12才の誕生日を迎えたその日に前世の記憶を思い出した。  自分が本当は、藤堂貴正と言う名前で24歳だったという事に……。  天界で上司に結果を出す事を求められている、自称神様に出会った貴正は、異世界に革新を起こし、より進化・深化させてほしいとお願いされる事となる。  その対価はなんと、貴正の願いを叶えてくれる事!?  初めての異世界で、足掻きながらも自分の信じる道を進もうとする貴正。  最強の職業、無職(ニート)となり、混乱する世界を駆け抜ける!!  果たして、彼を待っているものは天国か、地獄か、はたまた……!?  目指すは、神様の願いを叶えて世界最強! 立身出世!

処理中です...