53 / 156
第一区画
53. スライムって強い魔物のようです! ※一部第三者視点
しおりを挟む
俺はゴブリンに捕まることもなくそのまま穴に入ることができた。ついでに倒れているゴブリン1体も袋に回収をしてきた。
お金にがめついと言われても、大事だから仕方ない。
「あー、今回も命懸けだったな」
俺は滑り込んだ状態のまま、その場で倒れて息を落ち着かせる。
「先輩大丈夫ですか?」
「ああ、ももちゃんは?」
「もちろん大丈夫ですよ」
特に怪我もなく、今回は無事に二人とも帰還できたようだ。
下水道のガスによって一度やられてはいるが、命には問題ないだろう。
拾ったHP回復ポーションと配当でもらったHP回復ポーションが底をついてしまった。今後のことを考えると少し心許ないため、異世界に入るときは配当を貰ってからの方が良さそうだ。
【スライム討伐お疲れ様でした。今回の報酬を計算します】
しばらくすると脳内にアナウンスが聞こえてきた。どこかで監視しているのか、俺が落ち着くまでアナウンスは流れて来なかった。
「今回はダメかもしれないな」
実際にクエストクリアと表記されても、システムに何体倒したかまでは書かれていない。そのためスライムを何体倒したかわからない。
ゴブリン自体も途中で遭遇したやつか、最後に戦ったぐらいであまり数多くは倒せていない。
今回の報酬はあまり期待していない。ゴブリンやポイズンスネークの素材の売却金だけだろう。
今回の目標は"桃乃を異世界へ連れて行く"ことだったから気にしないでおこう。
【スライム討伐数58体、民間人死亡0人です】
「えっ!?」
俺達はアナウンスを聞いた瞬間驚いた。桃乃を見ると彼女も同じような表情をしている。
これだけのスライムを倒す爆発なら、あれだけの数の魔物を呼ぶのは今なら頷ける。
それにしてもあの下水道にそれだけのスライムが潜んでいたと思うと、無事に帰って来れただけでも良かった。
【それでは報酬の発表です。スライム1体につき8万円で計464万円になります。パーティー1人あたり232万円の報酬となりました】
スライムの討伐数でも驚いたが、報酬額にはさらに驚かされていた。確実に年収の半分も稼げたのだ。
きっとスライムってあの世界では強い魔物の分類なんだろう。
「年収……確定申告どうしましょう……」
隣で桃乃がボソッと呟いていた。真面目な彼女も俺が初めて異世界に行った時と同じことを考えたのだろう。
そこに関しては俺も悩んでいる部分でもある。贈与税として申告すれば110万円までは税金がかからないが、明らかに今回だけでも超えてしまう。
自身で確定申告をして、所得税を支払わないといけないのだろう。
【マジックバックの中身は売却しますか?】
今回もゴブリンの素材を迷わずに売ることにした。特に素材の使い道もわからないため、お金にした方が利益になる。
【お疲れ様でした。またのご利用をお待ちしております】
どうやら、時間買取システムは気まぐれのようだ。少し時間も余っていたが、今回に限ってはなかった。
「今回の報酬はすごいな……」
あまりの金額に驚いていた。ゴブリンの素材が70万円程度と合計で300万円を超えている。
1日……いや、現実世界ではほぼ時間が経っていないため、時給300万と破格の時給になっている。
これこそ異世界副業で荒稼ぎだ。
「すぐにお金持ちになりますね」
桃乃も袋の中を見てニヤニヤとしていた。前回はあまり報酬や素材もなかったが、今回は自身でゴブリンやポイズンスネークを倒したのもあって、素材の売却でたくさん稼いだのだろう。
「じゃあ、家に帰ろうか」
俺はいつもより重い袋の重みを感じながら現実世界に戻ることにした。
♢
「ついにスライムまで倒したのね」
女はモニター越しで映像を見ていた。その映像には必死に何かと戦っている二人の姿が映っていた。
「おー、使ったことない魔法であそこまでやるとはあの子も才能があるわね」
メモを取りながら映像を見ていると、いつのまにか映像は終わっていた。それだけ映像を真剣に見ていたのだろう。
女は急いで引き出しから、マイクを取り出し接続する。
「スライム討伐お疲れ様でした。今回の報酬を計算します」
「スライム討伐数58体、民間人死亡0人です」
一度マイクの電源を切ると、右手に電卓を用意しこの世とは思えない早さで打ち出した。
「それでは報酬の発表です。スライム1体につき8万円で計464万円になります。パーティー1人あたり232万円の報酬となりました」
「マジックバックの中身は売却しますか?」
「お疲れ様でした。またのご利用をお待ちしております」
女はマイクと電卓を引き出しに片付けると大きく背筋を伸ばした。今までずっと椅子に座りモニターを見ていたため、肩も凝っているのだろう。
「ヘへへ、まさかあの彼女も再び行くとはね……。今回は無事だったけど次はどうなるかな」
女はメモを閉じるとそのまま机に吸い込まれるように消えていった。
その時どこからかインターホンが鳴っていた。
「はいはい、今出ますよ」
女は急いで隣に置いてあったエプロンを着け扉を開けた。
お金にがめついと言われても、大事だから仕方ない。
「あー、今回も命懸けだったな」
俺は滑り込んだ状態のまま、その場で倒れて息を落ち着かせる。
「先輩大丈夫ですか?」
「ああ、ももちゃんは?」
「もちろん大丈夫ですよ」
特に怪我もなく、今回は無事に二人とも帰還できたようだ。
下水道のガスによって一度やられてはいるが、命には問題ないだろう。
拾ったHP回復ポーションと配当でもらったHP回復ポーションが底をついてしまった。今後のことを考えると少し心許ないため、異世界に入るときは配当を貰ってからの方が良さそうだ。
【スライム討伐お疲れ様でした。今回の報酬を計算します】
しばらくすると脳内にアナウンスが聞こえてきた。どこかで監視しているのか、俺が落ち着くまでアナウンスは流れて来なかった。
「今回はダメかもしれないな」
実際にクエストクリアと表記されても、システムに何体倒したかまでは書かれていない。そのためスライムを何体倒したかわからない。
ゴブリン自体も途中で遭遇したやつか、最後に戦ったぐらいであまり数多くは倒せていない。
今回の報酬はあまり期待していない。ゴブリンやポイズンスネークの素材の売却金だけだろう。
今回の目標は"桃乃を異世界へ連れて行く"ことだったから気にしないでおこう。
【スライム討伐数58体、民間人死亡0人です】
「えっ!?」
俺達はアナウンスを聞いた瞬間驚いた。桃乃を見ると彼女も同じような表情をしている。
これだけのスライムを倒す爆発なら、あれだけの数の魔物を呼ぶのは今なら頷ける。
それにしてもあの下水道にそれだけのスライムが潜んでいたと思うと、無事に帰って来れただけでも良かった。
【それでは報酬の発表です。スライム1体につき8万円で計464万円になります。パーティー1人あたり232万円の報酬となりました】
スライムの討伐数でも驚いたが、報酬額にはさらに驚かされていた。確実に年収の半分も稼げたのだ。
きっとスライムってあの世界では強い魔物の分類なんだろう。
「年収……確定申告どうしましょう……」
隣で桃乃がボソッと呟いていた。真面目な彼女も俺が初めて異世界に行った時と同じことを考えたのだろう。
そこに関しては俺も悩んでいる部分でもある。贈与税として申告すれば110万円までは税金がかからないが、明らかに今回だけでも超えてしまう。
自身で確定申告をして、所得税を支払わないといけないのだろう。
【マジックバックの中身は売却しますか?】
今回もゴブリンの素材を迷わずに売ることにした。特に素材の使い道もわからないため、お金にした方が利益になる。
【お疲れ様でした。またのご利用をお待ちしております】
どうやら、時間買取システムは気まぐれのようだ。少し時間も余っていたが、今回に限ってはなかった。
「今回の報酬はすごいな……」
あまりの金額に驚いていた。ゴブリンの素材が70万円程度と合計で300万円を超えている。
1日……いや、現実世界ではほぼ時間が経っていないため、時給300万と破格の時給になっている。
これこそ異世界副業で荒稼ぎだ。
「すぐにお金持ちになりますね」
桃乃も袋の中を見てニヤニヤとしていた。前回はあまり報酬や素材もなかったが、今回は自身でゴブリンやポイズンスネークを倒したのもあって、素材の売却でたくさん稼いだのだろう。
「じゃあ、家に帰ろうか」
俺はいつもより重い袋の重みを感じながら現実世界に戻ることにした。
♢
「ついにスライムまで倒したのね」
女はモニター越しで映像を見ていた。その映像には必死に何かと戦っている二人の姿が映っていた。
「おー、使ったことない魔法であそこまでやるとはあの子も才能があるわね」
メモを取りながら映像を見ていると、いつのまにか映像は終わっていた。それだけ映像を真剣に見ていたのだろう。
女は急いで引き出しから、マイクを取り出し接続する。
「スライム討伐お疲れ様でした。今回の報酬を計算します」
「スライム討伐数58体、民間人死亡0人です」
一度マイクの電源を切ると、右手に電卓を用意しこの世とは思えない早さで打ち出した。
「それでは報酬の発表です。スライム1体につき8万円で計464万円になります。パーティー1人あたり232万円の報酬となりました」
「マジックバックの中身は売却しますか?」
「お疲れ様でした。またのご利用をお待ちしております」
女はマイクと電卓を引き出しに片付けると大きく背筋を伸ばした。今までずっと椅子に座りモニターを見ていたため、肩も凝っているのだろう。
「ヘへへ、まさかあの彼女も再び行くとはね……。今回は無事だったけど次はどうなるかな」
女はメモを閉じるとそのまま机に吸い込まれるように消えていった。
その時どこからかインターホンが鳴っていた。
「はいはい、今出ますよ」
女は急いで隣に置いてあったエプロンを着け扉を開けた。
41
お気に入りに追加
1,186
あなたにおすすめの小説

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう
なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。
だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。
バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。
※他サイトでも掲載しています
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

なんか黄金とかいう馬鹿みたいなスキルを得たのでダラダラ欲望のままに金稼いで人生を楽しもうと思う
ちょす氏
ファンタジー
今の時代においてもっとも平凡な大学生の一人の俺。
卒業を間近に控え、周りの学生たちは冒険者としてのキャリアを選ぶ中、俺の夢はただひとつ、「悠々自適な生活」を送ること。
金も欲しいし、時間も欲しい。
程々に働いて程々に寝る……そんな生活だ。
しかし、それも容易ではなかった。100年前の事件によって。
そのせいで現代の世界は冒険者が主役の時代となっていた。
ある日、半ば興味本位で冒険者登録をしてみた俺は、予想外のスキル「黄金」を手に入れる。
「はぁ?」
俺が望んだのは平和な日常を送るためだが!?
悠々自適な生活とは程遠い、忙しない日々を送ることになる。
追放されたけどFIREを目指して準備していたので問題はない
君山洋太朗
ファンタジー
異世界のヨーロッパ風国家「グランゼリア王国」を舞台にした合理主義冒険ファンタジー。
主人公レオン・クラウゼンは、冷静な判断と効率重視の性格を持つ冒険者。彼の能力「価値転換(バリュー・シフト)」は物や素材の価値を再構築するもので、戦闘向きではないが経済的な可能性を秘めている。パーティーから追放されたレオンは、自身の能力を活かし「FIRE(経済的自立と早期退職)」を目指す人生設計を実行に移す。
彼が一人で挑むのは、廃鉱での素材収集、不動産投資、商業ネットワークの構築といった経済活動。次々と成功を収める一方で、魔獣の襲撃や元パーティーとの因縁など、様々な試練が彼を待ち受けることになる。
「戦わずして生き抜く」レオンが描く、冒険者とは一線を画す合理主義の物語。追放を前向きに捉え、自らの手で自由を掴む彼の成長と活躍をお楽しみに!
この作品は「カクヨム」様にも掲載しています。

現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.

神様の願いを叶えて世界最強!! ~職業無職を極めて天下無双する~
波 七海
ファンタジー
※毎週土曜日更新です。よろしくお願い致します。
アウステリア王国の平民の子、レヴィンは、12才の誕生日を迎えたその日に前世の記憶を思い出した。
自分が本当は、藤堂貴正と言う名前で24歳だったという事に……。
天界で上司に結果を出す事を求められている、自称神様に出会った貴正は、異世界に革新を起こし、より進化・深化させてほしいとお願いされる事となる。
その対価はなんと、貴正の願いを叶えてくれる事!?
初めての異世界で、足掻きながらも自分の信じる道を進もうとする貴正。
最強の職業、無職(ニート)となり、混乱する世界を駆け抜ける!!
果たして、彼を待っているものは天国か、地獄か、はたまた……!?
目指すは、神様の願いを叶えて世界最強! 立身出世!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる